ロンドンに在住する、フォトグラファーの 富岡秀次 / Shu

 初めまして。ロンドンに在住する、フォトグラファーの
富岡秀次 / Shu Tomioka です。
レコード・コレクターズ誌で93年より “ブリティ
ッシュ・ロックの肖像” を連載させて戴いています。
撮影&インタヴューを通じて今迄に出会った“ブリテ
ィッシュ・ロックの巨人達”の印象などを書き連ねて
みたいと思います。
第 12 回 Rory Gallagher Tribute Concert 23/6/1996
@ ローレライ劇場
一昨日、ルー・マーティンが亡くなったと言うニュースを目に
しました。
ルーは、元ロリー・ギャラガーのバンドで、カッコいいロックン
ロール・ピアノを聴かせてくれました。とても優しくて控えめで、
誰からも好かれる人でした。もし、このニュースが本当なら、と
ても残念です。
96 年 6 月 23 日、ドイツのローレライ劇場で行われた、野外コンサ
ート“ Rockpalast “ をロリーのトリビュートに捧げるかたちで、こ
のコンサートは行われました。
この記事、写真の権利は富岡秀次が所持しており、SPACE DOG!が許可を得て転載しています。一切の無断転載を禁じます。
※Levon Helm / The Band
ランニング・オーダーは
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
Samuel Eddy
Molly Hatchet
The Band
The Muddy Waters Tribute Band
Nine Below Zero & Band Of Friends
Lynyrd Skynyrd
となっています。
この(5)が、ロリーのトリビュート・バンドで、
前日ヒースロー空港に集まったメンバーは、ロリーの元バンド
から、ジェリー・マッカヴォイ(b) ブレンダン・オニール (ds) ル
ー・マーティン (key) マーク・フェルサム (harmonica) それに、
ブライアン・ロバートソン (g 元 Thin Lizzy) アイリッシュ・フ
ォークのディ・ダノン等がいました。
ロビー・マッキントッシュ (g 元 The Pretenders)
は、翌日合流です。
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※Rick Danko (左) & Garth Hudson (右) / The Band
久し振りに顔を合わせた者も多いのか、会話に話を弾ませな
がら、僕らは慌ただしくフランクフルトへ飛びました。
その夜は、ホテルでリハーサルです。真剣にかなり細部までチ
ェックしていました。
ルーと話し込みながら、一緒に遅くまで飲んだのは、今では良
い思い出です。他に一緒に飲んでいたのは、ブライアンとデ
ィ・ダノンのメンバーの何人かに、ロリーの弟で、ストレン
ジ・ミュージック社長のドネル・ギャラガー。皆、まだロリー
が亡くなった事に対して、どう対応していいのか分からないと
言った風情でした。ロリーの思いで話が尽きません。ジェリー
もブレンダンも、コンサートに備えて、早々と部屋に戻ってい
たのは意外でした。
僕はルーとは、この時に始めて会いました。
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※Brian Robertson/ Thin Lizzy Gerry McAvoy/ Rory Gallagher Band
あなたの演奏は、ニッキー・ホプキンス並みに素敵だ、と言っ
た旨を伝えたのですが、『ニッキーの足下にも及ばないよ。彼
は僕のアイドルなんだ』と、謙虚に言っていたのが印象的でし
た。
※Lynyrd Skynyrd
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翌日、僕はひどい二日酔いでした。。。
遅い午後に会場に着くと、もうドイツのエキセントリックな
ファンが大勢詰めかけていました。
彼らは一様に、凶暴なヘルズ・エンジェルのような格好をし
ています。あまり近づきたくはないカンジですね。でも、米英
の音楽に対するリスペクトには相当なものがあるようで、観客
の反応は良かったですね。バンド・オヴ・フレンズが演奏する、
ロリーの馴染みの曲“クレイドル・ロック”“メッシン・ウイズ・
ザ・キッズ”など、大喝采を浴びていました。茶目っ気の有るブ
ライアン・ロバートソンの動き一つ一つに反応して、拍手の並
が起こります。
※Billy Powell (左) & Leon Wilkeson (右) / Lynyrd Skynyrd
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ハイライトは、ディ・ダノンもジョインしてからの“アイル・
アドミット・ユーアー・ゴーン/あなたが去ってしまった事を認
めるよ“
美しい旋律とアコースティックな響きに、会場は静まり返ってい
ました。
それは、ロリーを愛したフレンズ達にとって、通過しなくてはい
けない儀式のように、思えてなりませんでした。
※Lou Martin (左) / Rory Gallagher Band
この夜の出演者には、既に、ロリー・ギャラガー、マディー・ウ
オーターズ、ロニー・ヴァンザント、スティーヴ&キャシー・ゲイ
ンズ、アレン・コリンズ( 4人共に Lynyrd Skynyrd)、リチャー
ド・マニュエル(TheBand)と言った、悲しい不在が有りました。
でも、今では更に(前述したように本当ならば)
ルー・マーティン、レイナードからはリオン・ウイルクスン (b)、
ビリー・パウエル (key)—楽屋で、僕が観に行った日本公演の素晴
らしさを語ったら、彼らも日本公演の思い出を語ってくれました。
なんと言っても、本来の形のレイナードで来日したのですから―
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ザ・バンドからリヴォン・ヘルム (ds) リック・ダンコウ (b), マ
ディーのバンドからキャリー・ベル (harmonica) といった人々が、
もう僕たちと共にはいません。残念でなりません。
※Carey Bell (右)
心から、この人達の冥福をお祈り致します。
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