2016 年度 科 目 名 担 当 者 名 情況論 〈日本映画の場所〉 田辺 秋守 科目区分 専門 理論系 科目分類 授業形態 単位数 配当年次 学期 講義型 校舎 選択 講義 2 3・4 前期 F(その他) 白山 履修 条件 日本映画の現状を理解したいと思う人に向いている。授業で予定している映画作品をできるかぎり観ておくこと。できれば「哲学」を受 講しておいてほしい。 授業 概要 この授業では、現在の日本映画が日本の情況をいかに描いているかを、いくつかのキーワードによって分析する。その際、分析の枠 組みとして「現代思想」のいくつかの概念を援用する。それらの概念の布置関係から現在の日本映画の先鋭な場面で、どのような「倫 理–美学的」状況が現出しているのかを具体的に論じる。授業を通して、現代日本人に必要な倫理的判断や政治的公正さが何である かを理解してもらいたい。 到達 目標 受講後には、日本映画の現状と今後の展開を遠望できる知見をもっているようにしたい。 授 業 計 画 回数 内 容 1 イントロダクション:「巨匠の時代の終わり」・「80年代以降の日本映画の担い手」・「90年代の日本映画の状況」・「0年代以降の 日本映画をめぐる情況」 2 日本型生−権力のもとで:「生権力とはなにか」「日本型生権力の特徴」:崔洋一『刑務所の中』小林政広『バッシング』周防正行 『それでもボクはやってない』門井肇『休暇』 3 「特殊職業映画」の隆盛:「特殊職業映画」というジャンル・「特殊職業映画」とその変種:森田芳光『の・ようなもの』伊丹十三『マ ルサの女』『マルサの女2』周防正行『ファンシイダンス』『Shall we ダンス?』滝田洋二郎『おくりびと』石井裕也『舟を編む』 4 反抗する女たち(女性映画の現在):横浜聡子『ジャーマン+雨』万田邦敏『接吻』吉田大八『腑抜けども、悲しみの愛を見せ ろ』 熊切和嘉『ノン子36歳 (家事手伝い)』タナダユキ『ふがいない僕は空を見た』山下敦弘監督『モラトリアムたま子』 5 日常の深淵/異常性の系譜(サイコ・サスペンス)・日常の深淵/異常性というキーワード:黒沢清監督『CURE』塚本晋也『鉄 男』『ヴィタール』『悪夢探偵』井上靖雄『隣人13号』中原俊『コンセント』園子温『冷たい熱帯魚』 6 少年少女の「居場所」:豊田利晃『青い春』 岩井俊二『リリィ・シュシュのすべて』塩田明彦『害虫』タナダユキ『俺たちに明日はないッス』内 藤瑛亮『先生を流産させる会』吉田大八『桐島、部活やめるってよ』 7 ポリティカル・サスペンスの可能性:いまだ現れざるジャンル/阪本順治『KT』篠田正浩『スパイ・ゾルゲ』足立正生『幽閉者 テ ロリスト』山下敦弘『マイ・バック・ページ』阪本順治『人類資金』 8 ミニマルな笑いの彼方:日本型コメディの行方/三木聡『亀は意外と速く泳ぐ』『インスタント沼』宮藤官九郎『真夜中の弥次さん 喜多さん』山下敦弘『松ケ根乱射事件』吉田大八『クヒオ大佐』 9 異世代ノスタルジアの風景:異世代によるノスタルジア:李相日『69 sixty nine』山崎貴『ALWAYS 三丁目の夕日』トラン・アン・ ユン『ノルウェイの森』鈴木卓爾『ゲゲゲの女房』 10 地方都市の荒廃/郊外の前景化:根岸吉太郎『遠雷』柳町光男『さらば愛しき大地』中島哲也『下妻物語』富田克也『国道20 号線』入江悠『SR サイタマノラッパー』 11 偽史的想像力:出発としての68年/寺山修司『さらば箱舟』/様々な偽史物語/稲垣浩監督・円谷英二監督『日本誕生』今 村昌平監督『神々の深き欲望』天願大介監督『デンデラ』三池崇史『IZO』 12 加害と被害(加虐と被虐):青山真治『EUREKA ユリイカ』中原俊『DV』是枝裕和『花よりもなほ』小林政広『愛の予感 "THE REBIRTH"』赤堀雅秋『その夜の侍』大森立嗣『さよなら渓谷』若松節朗『柘榴坂の仇討』 13 愚か者の性愛/対幻想の行方:松江哲明『童貞。をプロデュース』大根仁『恋の渦』三浦大輔『愛の渦』カンパニー松尾『テレク ラキャノンボール 2013』 14 疑似家族/人工家族/家族の対幻想の変遷:橋口亮輔j『ハッシュ!』是枝裕和『誰も知らない』園子温『紀子の食卓』青山真 治『サッド ヴァケイション』 是枝裕和『そして父になる』 15 近未来日本(近未来SF映画)/希望なき国の未来: 押井守『イノセンス』マイケル・アリアス『鉄コン筋クリート』熊切和嘉『フ リージア』曽利文彦『ベクシル 2077 日本鎖国』 授業外 学習 できる限り現在進行形の日本映画を観ること。 教科書 特になし。毎回授業時にプリントを配布する。 主要 参考書 佐藤忠男『日本映画史3』岩波書店、四方田犬彦『日本映画のラディカルな意志』岩波書店、ミシェル・フーコー『異常者たち』『社会は防衛しなけ ればならない』『生政治の誕生』筑摩書房、ウイリアム・E・コノリー『アイデンティティ/差異』岩波書店、ジョルジョ・アガンベン『ホモ・サケル』以文 社、フレドリック・ジェイムソン『政治的無意識』平凡社 Fredric Jameson,Signatures of the Visible,Routledge, The Geopolitical Aesthetic: Cinema and Space in the World System,Indiana Univ Pr. 評価 方法 レポート60% 出席20% 授業時の発言20%
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