第331号

豊庄だより
第 331 号 2014年9月1日
あっという間に雨と台
風の涼しい 8 月が終わっ
福岡市早良区南庄2-26-13
社会福祉法人林生会豊庄保育園
てしまい、今日から 9 月。
園長
西尾
達
保育園には夏休みはありませんが、今年の夏に観た映画と読んだ
本について書きます。
スタジオジブリの新作『思い出のマーニー』。『マーニー』と言え
ば、サスペンスの巨匠アルフレッド・ヒッチコックの作品を思い出し
ます。幼い時のトラウマから赤色を極端に恐れ、盗癖などの異常
な行動をとってしまうマーニーという女性の物語です。『サイコ』『鳥』
とヒット作を連発したヒッチコックもこの作品は、不調だったのかあ
まりいい評価は得られていません。
脱線しましたので、話を『思い出のマーニー』に戻します。原作は
同名のイギリスの児童文学。宮崎駿さんの『本へのとびら』(岩波
新書)でも登場します。宮崎監督は以前から『い出のマーニー』に
関心を持っていたものの、アニメ化は無理だとあきらめていたそう
です。しかし、スタジオジブリの俊英米林宏昌さんの手によって見
事な作品に仕上がりました。舞台をイギリスから北海道に移し、主
人公のアンナは杏奈になっていましたが、描かれているテーマは
原作(原作の『思い出のマーニー』は岩波書店、角川つばさ文庫、新潮文庫から発行されています。)と同じでした。ヒッ
チコックの『マーニー』のようなサスペンスの醍醐味はありませんが、謎めいた人物が次々と登場し、それらが次第に明
らかになっていき、そして杏奈も少しだけ成長する、そんな物語なのかなと感じました。
次は、本。タイトルは『川筋挽歌』(幻冬舎ルネッサンス)。「川筋(かわすじ)」とは福岡県北部を流れる遠賀川流域、
いわゆる筑豊をさす言葉です。福岡市内の大きな本屋さんで見つけました。副題の「そして、東京の夢」に続き、「廃坑
寸前の街、筑豊で育った少年は俳優を夢見て上京した。文学座での失敗、父の自殺、挫折と再起を繰り返す人
生・・・・・・。一途に生きた父子が残した色濃い昭和の記憶」とあります。
著者の倉田さんは、私の高校の同級生。1 年の時、同じクラスでした。
男子の方がかなり多かったため、男子だけのクラスが 2 クラスあり、1
年の時は男子クラスでした。作品にも登場する担任だった理科の教師
は生徒に自由を与えてくれ、クラスの時間はほとんど自分たちで運営し
ていたように記憶しています。また、芸術科目の専攻が音楽だったこと
もあり、休み時間になるとよく歌っていました。作品ではシャンソンを歌
っていたようなのですが、高校時代から目立ちたがり屋だったことは認
めますが、どんな歌声だったかは記憶にありません。2 年からは、彼は
文系クラス、私は理系クラスに進んだので、話すことはなくなり、卒業後
も一度もあっていません。ふと手にしたこの本で、彼の生い立ちから現
在までの人生を知り、大変驚きました。本は 8 月 27 日に発行されたば
かりで、本屋の隅にしか置かれてませんが、売れるといいなと思ってい
ます。(※今回紹介した本はすべて図書室にあります。)