■連載小説『偏態パズル』 第 偏態パズル 回■ 三浦俊彦 miura toshihiko ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ■ 大蛇問答は、ハードタイプが連続したあとなどは息抜きとして屁問答へ希釈 した体験談を用いることもあった。たとえば…… (最多得票による公認タイトル「そっちかい!」 ) 水道工事の会社に勤めていたときのことです。彼女から一方的に別れを告げら れて不貞腐れて い た 頃 で し た 。 水漏れ修理でマンションにうかがいました。若い奥さんが携帯電話を耳に当て たまま出てきました。裾を絞ったスウェットの上下で、人妻の色気がムンムン、 そう、俗な表現であればあるほどよく似合う奥さんでした。通話に夢中のようで、 僕に頭を下げて無言で水漏れ箇所を指し示すと、ダイニングの椅子に腰掛け、僕 に背を向けて電話の相手と話し続けました。最上級の敬語だったり親しげな言葉 になったり独り言ふうになったり、どうも相手との関係性が聴き取れない不思議 な会話でした。ずっと喋り続けなので、入れ替わり複数の人と話している様子で もありません。世の中、いろんな人間関係があるもんだなあとなんだかシミジミ しちゃいながら、修理も完了に近づきました。 最後の一工程というときに、奧さんがもぞっと体をよじったかと思うと、片尻 を浮かせて、ピイイイィ~っ、ブっシュウウー~ッッ、と長いのを連続二発。一 拍も置かずに高周波屁+擦過低周波屁。 文字通り空気が震えるという感じでした。 すぐに、炊きたての御飯のような濃厚なニオイがたちこめてきました。 電話に熱中するあまり、すぐ後ろに僕がいることは意識から飛んでいたようで す。 僕は唖然として息を止めました。真正正常位志向で後半身が苦手な僕なので。 1 22 (彼女と別れたのも、僕の極度の後ろ嫌悪症が原因だったのです) 。もちろん退避 する手もあるのですが、気づかせてしまうのが悪い気がして。でもすぐに、なん で俺が気を遣わなきゃならないんだと普通に怒りが込み上げてきて「ブハッ」聞 こえよがしに息を吸い込みましたが、 「……」奥さんは気づかず電話に夢中です。 そればかりか椅子とお尻の接面からブブブ……残りの一泡まで絞り出す音まで洩 れてきています。どんだけ僕の存在が消えてたんでしょうか。フラれたばかりの 男ってそんなに存在感薄いもんなのか。僕の薄さと反比例して濃度増強していた 炊きたて御飯臭に僕は噎せそうになりました。密度差の傾斜で僕の鼻だけでなく 全身の皮膚からも炊きたて御飯臭がどんどん染みこんできます。くらくらっと目 眩がしてもまだ気を遣って咳込みをこらえている自分に腹を立てながら、胸の奥 から下腹部までが何だかヒリヒリ快感なのでした。そしていつしかニオイを恍惚 帰るとき、もう一度しみじみと、奥さんの美顔と色っぽいO脚を目に焼き付け てきました。 合は出費が痛いです 思えば大した違いはありま せん。……米さえあれば一 生女は要りません。主食が 2 と満喫していま し た 。 こうして僕は性癖に目覚 めたのでした。 毎晩、七分搗きのコシヒ カリとササニシキをかわり ばんこに炊いては、炊飯器 の蓋をあけた瞬間のもわあ 合 あーっを楽しむのです。濃 厚なニオイのためには な 買い込みました。毎晩新鮮 に炭火用の土鍋や蒸籠まで 型電気炊飯器にガス炊飯器 炊くのが最善とわかり、大 10 が、風俗に行く金が浮くと 10 永遠のオカズ、というオチでしたとさ……。 ■ おろちを「大蛇」と漢字で表記している少女の印南体験手記は十二例ほどあ るが、そのうちの一つ、最も文体の整っているもので、しかも印南哲治のおろち 布教活動の切なき転機を示してもいる貴重な記録を次に引用しよう。 【私立高二 年 佐 ・ 渡多恵美の漢文ノート兼芳川静香とのメール交換、ブログ日録、会話証言 より再構成】 今どき「さわらせ屋」なんてやってるやつは馬鹿だよ。 一晩立ちとおしてせいぜい五千とか一万とかでしょ。 「大蛇おじさん」なら二時間でその十倍行くから。しかもさわらせなくていい んだよ。中腰で、それとか椅子に座って、おじさんの顔からはお尻離してて大丈 夫なの。こっちが頼めば目隠しだってさせてくれるしさ。ケツの穴見られないで すむの。そういう時はこっちが注意しておじさんの口の中にうまく命中させてあ げないといけないんだけどね。さわらせなくていいから、好きなレベルで純潔守 れるの。 はじめはそうやって「遠隔おろち」やってる子も多いみたいだけど、だんだん 情が移って、恥かしいのより情けの方が勝ってね、「密着おろち」になっていくの。 でも、なめたりされないから大丈夫。こっちがイイって言うこと以外絶対してこ ない超紳士だから。純潔重んじてくれる人だから。 でもね。でも ね あ る 日 。 ある日、いつものようにおじさんの顔にまたがってぶりぶり出しているとねえ、 うん、あたしはとっくに「密着おろち」だから、で、ぶりぶりむにむにやってる と、えっ、て感じで。おじさんひくっ、ひくっとなんだか呼吸がおかしいのよー。 この頃ロッテリアとケンタッキーばっかだったからやばいのかな、とか思ってあ わててお尻をどけて覗き込んでみるとさあ、ちゃんと山吹色のきれいな尻尾が覗 いてたんだよねー。そんなに臭くないみたいだしー。でもおじさんの顔、涙と鼻 水でぐしゃぐしゃになって泣いてるのね。あたしの大蛇を半分頬張りながら。 「むなしい。考えてみたらむなしい……」 こもった声。おじさんったら山羊の子を飲み込むコモドオオトカゲみたいに喉 仏を大きく上下させながらあたしの黄色い大蛇を少しずつ飲みくだしていったの 3 よ。唇の外にはみ出していた大蛇の茶色い尻尾が消えていってー。 「むなしいよ。オーソドックスな恋愛感情がないんじゃあ、理論的に、すべては 無意味なんだ。乗り越えられないんだ」 おじさんはむせび泣きそうだったっていうか。茶色い唾液が口の端からたらた らと垂れてヒンソーな胸毛を染めてってさあ。 恋 愛 感 情 が な い な ん て 失 礼 な、 と 思 っ た け ど( 好 き で も な い 相 手 で あ ろ う と 「恋してない」と言われるとむかつくって気がついたのはこのときが初めてだよ ……)、あたしの方も確かにおじさんに恋してなんかいないので、 おあいこですよ。 ていうかおじさんの目には、たぶん本物の大人の恋愛をくぐりぬけてきた実績っ ていうのかねえ、すごく具体的な何かが宿っていたっぽいし、とくに理由もなく こうやって泣かれちゃ映画の中みたいな「愛」を経験しちゃってるんだよって説 得力ありありだったし、あたしの方はまだ何も知らない小娘だとか言われても言 い返せないことは確かだったのだし。ねえ。 凸凹おあいこってわけにはいかないのかな。 おあいこって何の弁解にも慰めにもならないもんなのかな。 いずれにしてもあのMS問題って、確かに言われてみれば、男と女が恋愛関係 にあるってことが前提条件になって成立する哲学を説いていたのよね。あたした ちがこれまで繰り返してきたことは、だからみんな無意味なんだよ。ていうか、 いくらあたしでも無意味とわかっていることをいつまでもだらだらと、お金だけ のためになんてとてもできたもんじゃないでしょ。そう、あたしはきっと、いつ かこのおじさんとの間に特別な感情が芽生えるんじゃないかとか期待してここま でこうして。でもきっときょうおじさんは、決してあたしとの間にはそういう純 愛は芽生えないってことを悟ってしまったのだわ。 じ ゃ あ あ た し の 立 場 は ど う な る? 一 方 的 で も 何 か 大 切 な も の が 成 り 立 つ の か? おじさんが涙を指でチョンッとぬぐったとき、プスんとオナラが出た。我なが ら今さらの湿っ ぽ い 屁 。 了解、ッて感じの屁。 ショボい屁。しぶしぶ了解、ッて感じの。 最近肛門から緊張感がだんだん抜けてきていたのも事実だし。恥じらいっても んを全然含まない湿り気ゼロのおざなりなブツになりさがっていたのは事実だし 4 さーあ。 おじさんにしてみれば涙も当然かなと。 でも、でもでもでも、あたしが悪いの? あたしたちのこれって、ド変態プレイだよ? しょせんはド変態なんだよ? ド変態援交の、淫行だよ? ド変態援交で繋がる仲に、ロマンチックな恋が必要? 理屈が必要? って情緒と理屈の両方が必要なのかよ…… 知的で乙女チックになんなきゃダメって? 勘弁してほしいよ。そんなこと背負っていちいち生きてたら身が持たないよ。 って、おじさんのそういうとこがまたステキなんだよな。あたしたちにとって。 ただ遊んでたんじゃわけわかんないヘンなところが。だからおろちおじさんなん だよ。ちょっと気分悪いのはどうしょうもないけどね。 こうしてこの日のプレイはシンミリ終えてもらって、われわれとしては印南哲 5 治逆開眼の兆候日のエピソードとして渋く締めたいところだ。しかしこの日のプ レイには続きがある。佐渡多恵美のノート記録その他からの再構成を続けよう。 で、いつまでもおじさんがメソメソ泣いてるものだから、しかも「アユコ…… アユコを何のために死なせたか……」とか何とか、知らない女の名前まで呟きは じめたもんだから、あたしの中の共感というか切なさというか、ワダカマリが煮 えたぎってきて、お腹の中がブワッと膨らみ始めたのよ。で、 「ウリャーーッ ! 」 て自然に叫び声が出て、だってそのほかにどうしろってのよ、泣かれたワダカマ リがお腹の膨らみになって、新しい大蛇になって後から後から。 「うりゃ、りゃ、ほ、ほ、ほ……」 「うっ、うっ、 う っ … … 」 おじさんの泣きべそが悶絶に変わったのが可笑しかったな。あたしのお尻が完 全に蓋をしてるから、おじさんの口と鼻からモノスゴイ圧力で大蛇が入っていっ たと思う。よくもあんなにお腹に残っていたものだと。たぶん1キロはあったん じゃないかな。 でも次の瞬間 超 引 い た よ 。 「あっ」て叫んで飛びのいちゃった。 だって山吹色のニュルニュルがおじさんの両耳から練り歯磨きみたいに。あれ は引いたわ~。まじヤバイんちゃう、ッて鳥肌が立って、あたし急いで服来てホ テル飛び出して 来 ち ゃ っ た 。 もしかして死んだんじゃない? ワダカマリの減り方からしてすっごい量と圧 力だったから。 誰か今月になってから大蛇おじさんに会った人いる? 会ったら教えて。安心 したいんだけど 。 切 実 に 。 ポスト鮎子プレイの中で、印南がホテルから病院で運ばれ気管と鼓膜に損傷を きたしたことが一度あったとされるが、佐渡多レポートにあるこの「耳練り歯磨 き」がそれであ ろ う 。 いずれにしても印南哲治にしてみれば、セックスよりもおろちが面白い、気高 い、という布教ではもとより不充分なのだった。愛あるセックスよりも愛あるお 6 ろちが面白い、気高い、という愛込みの布教でなければ意味をなさないのだった。 少女たちを相手にした実地講義は、お金が媒介しているからといって、愛抜きの 関係でよいという言い訳にはならない。愛と金は相互排除的な関係にあるわけで は必ずしもないからである。亡き鮎子、純潔のまま逝った鮎子への自分の想いが 本物であれば、自然と愛のオーラがにじみ出て、少女たちとの間にも愛情系交流 が煌くはずだった。もちろんそんな展開になるはずがない。現代少女たち特有の ドライな感性というか、ノリというか、気合にすら完全に呑み込まれるに決まっ ていた。しかしこんなことでよかったはずはない。これではたかだか即席SMク ラブのマンネリコースになってしまう。 ただただ悲哀 … … 。 端的に印南は、愛も羞恥も混入しない純然作為的関係に悲哀を覚え始めたので ある。 印南のこの虚脱感を増幅したのは、もともと笹原圭介の示唆が自らの出発点と なっていることをつねづね謙虚に肝に銘じていたからだった。つまり、その笹原 の出発点すなわち印南自身の出発点の原点と言うべき舞台が、東亜系エステ三昧 であったという こ と で あ る 。 マッサージの最中、笹原の執拗な求めに折れて顔面座布団に同意した東亜嬢た ちについてのあの報告を思い出していただきたい。みなきわめて素朴純情無垢な 恥じらいを示していたというではないか。放屁脱糞などはもってのほか、ただ着 衣の尻を顔に押し付けるだけで躊躇いの嵐である。それに引き換え本邦女子高生 たちは、同じ水準の金のかかった密室において、全く恥じらいのカケラきらめか すわけでもなくおろち思想に納得するや即座堂々と印南の口の上に裸の肛門を押 しつけたのである。印南自身は直接軟尺に向かったために東亜系エステは経験し ていなかったが、いや経験していなければこそ、盟友笹原圭介の語った「デモー、 デモー」の東亜系恥じらいに、過大に憧れた。そして本邦の恥じらいなき尻群に、 どうしようもない幻滅とむなしさを覚えたということだったのである。 大和撫子の羞恥心はどこへいったのか。戦後日本の倫理はかくも堕落してしま ったのか。朝鮮娘や中華娘に奥床しさで水を空けられるほどに退歩してしまった のか。(この、中華尻にたいする和尻コンプレクスとも言うべき印南のトラウマ が、のちに周囲の誰にどのように感染し、連鎖的に「反国家主義的壮挙」に雪崩 れ込む顛末となったか、という次第をここにあらかじめ予期しておいていただき 7 たい)。 印南のこの民族主義的・愛国的苛立ちは、しかし「原点の感動」が保持されて いる限りにおいて、充分耐えるに値する試練であったと思われる。これがついに 耐力臨界を超えたのは、前掲の佐渡多手記で語られている涙のプレイのほぼ一週 間後に行なわれたおろちプレイにおいて「原点の感動が反転」してからであった。 そのプレイひとつが、印南のおろち人生第一幕にとって「最後のワラの一本」だ ったと評して過言ではないだろう。 後の壮烈なる印南事件のおおもとが、前述・佐渡多尻ポンプによる「耳練り歯 磨き」が引き起こした脳障害ゆえの精神爆発だという「物理的損傷説」があるが、 それよりはやはり、「最後のワラの一本」による心理的トラウマこそ第一原因と すべきだろう。 では、印南の精神的背骨を折ったその「最後のワラの一本」とは、いかなるプ レイだったのだ ろ う か 。 その日印南が神宮前でゲット したギャル二人は(布教時代の 印南の3Pおろちプレイは記録 と証言により計九回が確認され ている) 、どうも懐かしいよう な気がしてホテルの部屋に落ち 着 い て か ら じ っ と 見 つ め る と、 二人そろってプフッと思わせ ぶ り に 笑 っ て い る。( 何 か 見 覚 え が …?) 「前に僕とプレイし た?」 「…え、二人とも初めて」 何かほんわかした感じを抱きな がら印南は二人を相手にプレイ を終えた。ただしそれは奇妙な 変則プレイだった。印南の顔に 二人がかわるがわるまたがりは するのだが結局オナラ一筋発射 できず、結局「恥かしくて出な 8 い」という結論が出て、二人いっしょにトイレに閉じこもり、わずか二分後にペ ーパートレイに計二本+αの巨大なおろちを載せて出てきたのだった。 ああ……こんなに速攻で! すぐにも極太放出できるほど便意が煮詰まってい ながら人の顔にはオナラ一発ひっかけられなかったこの恥じらい、この奥ゆかし さ! 大和撫子魂ここに生きていた! 俺の布教活動も報われつつある! 感動に震えながら印南はその黄土と焦茶の二本をどっちがどっちのなんだろう なと想像しながら(二人に尋ねたのだが「知られるのは恥かしい」と教えてもら え ず そ の「 非 分 配 法 則 的 羞 恥 」 (注)の奥ゆかしさにまた大感動、充血勃起を何 段階にも更新させながら)トレイに口をつけてむしゃむしゃ平らげたのであった が、うん、味もいい! 渋みが粘着度と程よく絡み合って、まろやかというかさ すがに恥じらいを知る本物の少女だ、これまでの凡俗援交少女らとはモノが違う と感極まりつつ食べ終わって唇の周りを舌なめずりしている印南に二人はくくく っと堪えかねたように「おじさん、覚えてなーイー?」ととうとう突っ込みを入 ・・・・・・・・・・・・・・・ れてきた。ん? と身を乗り出した途端に印南はアッと思い出したのである。 *注・非分配 法 則 的 羞 恥 Pを任意の命題、たとえば「この黄土色の地に焦茶的点々が混じっているブツ を出したのは私です」という命題とせよ。 Qを任意の命題、たとえば「この焦茶色の地に黄土的粒々が混じっているブツ を出したのは私です」という命題とせよ。 (一般少年少女用:P=もうやりました/Q=まだやったことありません) 主体Sは「PであるかまたはQである」と知られるのは恥かしくない。しかし、 ①「Pである」と知られるかまたは「Qである」と知られるというこ とは恥かしい。 ①の場合、主体Sは「強い意味で非分配法則的羞恥に襲われている」という。 ②「Pである」と知られるのが恥かしいかまたは「Qである」と知ら れるのが恥かし い 。 ②の場合、主体Sは「弱い意味で非分配法則的羞恥に襲われている」という。 本文では、「弱い意味での分配法則的羞恥」が問題になっている。黄土色のお ろちが自分のだと知られるか、焦茶のおろちが自分のだと知られるか、いずれに 9 確定しようが確定してしまっては自分は恥かしい、そしてそれまでは恥かしくな い、ということである。黄土色おろちか焦茶おろちか、どちらかが必ず自分のお ろちだということは知られているにもかかわらず、である。 ( 男 子 便 所 個 室 内 爆 音・ 顔 が 確 定 せ ぬ う ち は 許 せ る が 確 定 す る や い な や 殴 ら ね ば収まらぬ、という第1回・佐古寛司の回想との共通構造にも留意していただき たい) ・・・・・・・・・・・・・・・ そう、思い出した。このふたりは、今やおとなしめの焦茶のカーリーヘアに調 え、顔も美白に化粧しているからすぐにはわからなかったが、印南哲治初ナンパ の相手――断わられはしたが印南的布教の啓示となる感動的応答を提示してくれ たあのトゲトゲ青髪・橙髪、「虫除け」の名科白・超名ぜりふを吐いたあの二人 ではないか! 「そーう。やっ と わ か っ た ? 」 10 「おじさんたちまちこの界隈の有名人っつうか名物になっちゃったからー! 」 「そ。おろち系ってすっかり業界用語になっちゃってるシー 」 「こないだ『ホットドッグ』におじさんのこと載ってたシー」 「おじさんのあん時の言葉、あれだなって思い出して、気になってたノー 」 「も一度会いたいなっ、とかって、二人で 」 印南は歓喜に震えた。ペニスのみならず睾丸もどくどく脈打っていた。 で「もごめんねー、ャッパ恥ずかしくってー 」 じ 「 かに出せな く っ て ー 」 「溜まってても出ないもんだよねー、恥ずかしいと」 「全部恥ずかしかったのよ。あれから町で何度かオジサン見かけてたんだけど」 「見かけるたびに声かけたいなとか思って声かけられなくて」 「恥ずかしくて 」 「でもよかったー、きょう会えて。おじさんから声かけてくれて」 (第 回 了) 22
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