日本の競馬市場の賭け行動に関するシミュレーション研究

日本の競馬市場の賭け行動に関するシミュレーション研究
川村竜也
2012/1/23
卒業研究要旨
卒研題目:日本の競馬市場の賭け行動に関するシミュレーション研究
学籍番号:200811305
主専攻:社会経済システム
氏名:川村竜也
指導教員:石川竜一郎
1、目的
競馬市場における賭け行動を、意思決定理論の立場から考察する。本研究で用いた意思決定理論は期
待効用理論とプロスペクト理論であり、これらの理論の人間を想定したとき、現実の競馬市場のベッター
(賭けを行う人) の投資行動を説明することが出来るかどうかを検証する。
2、特色
実際の投資行動を分析する上で、シミュレーションを用いている。各時点において、オッズと主観勝利
確率を判断基準に、最も自分の効用が最大になる馬券を 1 単位購入させ、その結果と実際の投資行動を
比較する。
本研究の大きな特徴として、どの馬を買うかについての判断基準であるオッズに対して、捉え方が先行
研究と大きく異なる。本研究では、「オッズは買った時点と最終オッズは異なり、買った時点から変動す
る。」と想定している。それを表すために、株価の価格予測などにも用いられているホワイト・ノイズを
モデルに組み込んでいる。
そして先行研究と同条件でシミュレーションを行い、比較をしている。
3、結論
期待効用理論において、先行研究よりもモデルの説明力が上がった、という結果が出た。先行研究にお
いて期待効用理論を用いると、シミュレーション結果では最も人気がある馬 (本命馬) と最も人気がない
馬 (穴馬) しか買われなかった。しかし、本研究ではいくつかの時点において、2 番人気の馬を買うとい
う人間が存在した。
1
謝辞
本論文を作成するにあたり、多大なる御指導と御鞭撻を賜り、また的確な御助言をして頂きました、指
導教員の石川竜一郎講師と、中村研究室研究員の藤井陽一郎氏に心より感謝を申し上げます。
そして本研究に対しての助言や議論をして下さった、石川研究室の先輩でいらっしゃる上圷宏史さん、
2 年間研究室の同期として共に学びあった石川研究室の同期の皆さんに感謝いたします。
2
目次
はじめに
4
1.1
リスク下の意思決定 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
4
1.2
問題意識
5
1
研究の背景
6
2.1
競馬市場について . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
6
2.2
期待効用理論 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
8
2.3
プロスペクト理論 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
10
分析
12
3.1
データ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
12
3.2
関口論文のシミュレーション結果 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
12
3.3
モデル . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
15
3.4
分析結果
2
3
4
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 17
まとめ
21
3
1 はじめに
1.1 リスク下の意思決定
本論文では、競馬市場における賭け行動を、意思決定理論の立場から考察する。競馬市場に関する研
究は、Griffith (1949) をはじめとしてこれまで多く研究されている。競馬市場は馬券を当てたときに得
られる賭け金に対する賞金の倍率 (オッズ) が時間と共に変化していき、そのオッズを観察してベッター
(賭けを行う人) が投資を行う。これは、株価が時間と共に変化していき、その株価を評価してベッターが
投資を行う株式市場と似ている。しかし、競馬市場は投資行動の結果が決まった時間に決定するため、投
資結果もすぐに判明するという点で株式市場より研究の対象として扱いやすい。さらに、競馬というの
はデータを取りやすい。そのため、リスク下における個人の意思決定を検証するためには研究者にとっ
て良い市場である。
ベッターの性質に関する研究では有名なもので、Griffith の『本命-穴場バイアス』というものがある。
この研究では、実際に勝つ確率が高い馬ほど過小評価 (馬が 1 位になる確率に対してオッズが割高) さ
れており、反対に実際に勝つ確率が低い馬は過大評価 (馬が 1 位になる確率に対してオッズが割安) さ
れているというものである。この本命馬 (多くの人が勝つと思っている馬) と穴馬 (勝つと思っている人
が少ない馬) の間の賭け金の偏りのことを『本命−穴馬バイアス』と呼ぶ。この『本命−穴馬バイアス』
に関する研究は、さまざまな年代・地域のデータを用いて行われている。また、競馬に関する研究には、
理論的な研究を行ったものがある。Eisenberg and Gale (1959) や Watanbe, Nonoyama, and Mori
(1994) が挙げられる。
しかし、これらの実証的な研究や理論的な研究は、主に最終的なオッズから競馬市場の特徴を述べてい
る。しかし、現実は時間と共にオッズが変化しており、その変化するオッズで判断してベッターは賭け
を行う。その点で現実と乖離している。
賭け行動の時系列に関する研究として、Ziegelmeyer,Broihanne and Koessler (2004) がある。これ
は 2 頭の馬が走るレースを想定している。そして、それぞれの馬が勝つ確率が情報として与えられてい
るという状況において、8 人の被験者が順番に賭けていくという実験を行う。そして得られた結果より、
市場の効率性や『本命−穴馬バイアス』に関して考察している。しかしながら、実際にはもっと多くの馬
でレースというものは開催され、さらにベッターも 8 人ではなく何万人という多くの人間が賭けを行っ
ている。
そこで、関口 (2011)(以下では関口論文と呼ぶ) は日本の競馬市場をターゲットに、実際の時系列オッ
ズを用いて、ベッターの性質を求めている。様々な意思決定基準のタイプのベッターを考え、時系列オッ
ズを基にどの馬に賭けるかを行ったとき、実際のレースの投票行動データを再現できるかどうかを研究
4
している。
1.2 問題意識
関口論文は時系列オッズデータを使用し、シミュレーションを行うことによって実際の投票行動を再
現しようとした。シミュレーションを行った結果、ある意思決定基準のベッターでは説明できない部分
が多数出てきた一方、別の理論を用いると、上手く説明できる組み合わせを見つけた。
しかしながら、関口論文の考察には以下の問題がある。オッズ (= 1 単位を賭け、当たったときの配当
を表すもの) を使っているのだが、これは時間と共に変化するものである。しかしながら、実際にもらえ
る配当は賭けた時点でのオッズではなく、確定オッズによって決まるのである。つまり、買った時点で
はオッズが 10 倍であっても、確定オッズが 5 倍であったら、当たったときの配当は 10 単位ではなく 5
単位である。関口論文はオッズを時間と共に変化するとしてはいるものの、その時点でのオッズが確定
オッズになると想定している。
そこで本論では、買った時点のオッズからは変動すると考える、より現実的な仮定を置いた。モデルに
その時点でのオッズからの変動を組み込み、同じようにシミュレーションを行った。
2 章ではまず競馬市場の仕組みについて解説している。競馬はイギリスが起源であり、日本では 1861
年に初めて行われた。馬券は色々な種類が存在し、馬券を 1 単位購入すると、オッズの値だけ配当を得
ることが出来る。
次に、意思決定理論についての説明を行う。ここでは先行研究で用いられている、『期待効用理論』と
『プロスペクト理論』について説明を行い、競馬市場に当てはめて考える。
3 章ではそれを踏まえた関口論文のシミュレーション結果を示している。そして関口論文とは異なり、
オッズは変動するものである、というより現実的な状況を想定し、そのオッズの変動を反映させたモデ
ルで同じようにシミュレーションをした。期待効用理論に関しては、関口論文と異なる最も人気がある
馬と最も人気がない馬ではない馬を買うというシミュレーション結果が得られた。また、リスク回避度
α のパラメータの値を変化させていく上で、買う馬が変化する移り変わりを見ることができた。
4 章ではそれらの結果のまとめと考察を行い、今後の展望を述べている。
5
2 研究の背景
2.1 競馬市場について
現在行われている競馬は、一般的に『近代式競馬』と呼ばれるものである。馬を走らせて勝つ馬に賭け
を行い、当たれば配当を得ることができ、外れたら何も配当がないというものである。
この近代式競馬の起源は諸説あるが、イギリスというのが有力な説である。1540 年、イギリスのチェ
スター競馬場という専用の競馬場を作り、そこで行ったのが最初だという説が有力である。日本の近代
式競馬は、1861 年に横浜で居留外国人が行った競馬のレースが第一号と言われている。
日本では競馬を大きく「中央競馬」と「地方競馬」に分けている。前者の「中央競馬」は国が出資して
いる法人である、日本中央競馬会 (通称 JRA) が主催するレースのことを指す。これら以外の競馬レース
は、全て後者の「地方競馬」にあたり、主に地方自治体などが運営している。本論文では中央競馬を研究
対象としているため、今後は中央競馬について話を進める。
JRA が主催する中央競馬は、北は北海道、南は九州までの 10 ヶ所で基本的に土日に行われており、
10 時から 16 時のあいだに 1 日 12 レースがある。競馬場に入場するには入場料がかかり、200 円 (札幌、
函館、福島、新潟、小倉競馬場は 100 円) である。100 円の競馬場に関しては、年間を通して GI が行わ
れないからだと思われる。また、勝馬投票券 (馬券) は 20 歳以上なら誰でも購入することが可能で、100
円= 1 単位である。
購入する場所は、直接競馬場に赴き購入する他に、場外馬券売り場(WINS)や電話投票、インター
ネット投票がある。電話投票とインターネット投票では実際の馬券は手に入らないが、予想が当たれば
配当金を得ることができる。
2.1.1 馬券の種類
「馬券」というのは俗称であり、正式には「勝馬投票券」という。ただし、明治時代には「馬券」とい
う語が公用語であり、一般には「あな札」
「賭け札」ともいわれていた。
「勝馬投票券」というのは法律用
語であるが、これは、大正12年の競馬法制定の際に用いられ、そのまま現在にいたっている。
現在の中央競馬では勝馬投票券 (馬券) は9種類に分けられている。
1. 単勝式…1 着になる馬を当てる。
2. 複勝式…7 頭以下では 2 着、8 頭以上のレースでは 3 着までに入着する馬を当てる。
3. 枠連…正式名称は「枠番号二連勝複式」という。1着と2着になる馬の枠番号の組合せを当てる。
組合わせが当たっていれば良くて、着順は問わない。
4. 馬連…正式名称は「普通馬番号二連勝複式」という。1 着と 2 着になる馬を当てる。組み合わせが
6
当たっていれば良くて、着順は問わない。枠連との違いは当てるのが馬の枠番号か、馬の馬番号か
である。
5. ワイド…正式名称は「拡大馬番号二連勝複式」という。3 着までに入る 2 頭の馬を当てる。
6. 馬単…正式名称は「馬番号二連勝単式」という。1 着になる馬と 2 着になる馬を当てる。馬連との
違いは、着順通りに当てなければいけない。
7. 3連複…正式名称は「馬番号三連勝複式」という。1着、2着、3着となる馬の組合せを的中させ
る投票法。組合せとして当たっていれば良くて、着順は問わない。
8. 3連単…正式名称は「馬番号三連勝単式」という。1着、2着、3着となる馬の馬番号を着順通り
に当てる。3 連複との違いは着順通りに当てなければならない。
9. WIN5…正式名称は「5重勝単勝式」という。JRA が指定する 5 つのレースそれぞれで 1 着と
なると思う馬を選び、5 レース全ての 1 着馬を当てる。
これらの勝馬投票券 (馬券) の中で、関口論文では単勝式に焦点を当てて研究をしている。本論文でも
単勝式に焦点を当てて進めていく。
2.1.2 オッズ
ベッターは賭け行動を行うときに、どの馬の馬券を 1 単位買うと、どのくらいの配当が得られるかを知
ることができる。この倍率のことを『オッズ』という。オッズは時々刻々と変化しており、競馬場などで
はリアルタイムに変化を見ることが出来る。オッズの決定方法は、ブックメーカー方式とパリミュチェ
ル方式という 2 つの方式のどちらを採っているかによって異なっている。前者は主催者がすべてを決定
するのに対し、後者はベッターによって賭けられた比率によって決定する。前者で有名の例として、イギ
リスがブックメーカー方式を競馬をはじめとして、さまざまなギャンブルに採用している。日本の競馬
市場では、前者は禁止されているためすべて後者が用いられている。このように、オッズはベッター全体
のうちどのくらいの割合がその馬に賭けたか、という市場の行動を表しているものでもあるため、ベッ
ターの行動に関する研究では重要なデータである。日本の競馬市場で採用しているパリミュチュエル方
式では、これは単勝方式や馬連方式などの投票方式別に賭けられた総金額から、主催者の利益分を差し
引いたものを的中者で山分けするというものである。それを式で表すと以下のようになる。
Y = (勝馬に投票された金額 +
負け馬に投票された金額
) × (1 − 18%*1 )
勝馬の頭数
(Y − 勝馬に投票された金額) × 10%*2
*1
*2
第 1 次控除率という。
第 2 次控除率という。
7
(1)
(2)
(全ての馬に投票された金額÷勝馬の頭数 ) × 5%
(3)
オッズ = ((1) の式 Y − (2) の式 + (3) の式*3 ) ÷ 勝馬に投票された票数
(4)
ここで、時間 t までに賭けられた総額を Tt 、主催者の収入等の割合を β 、時間 t までに馬 i に賭けられ
た金額を ati とすると、時間 t における馬 i の単勝オッズ Oti は
Oti =
Tt × 0.788
+ 0.1
ati
(5)
で求められた値の小数点第二位以下を切り捨てしたものとなる。これは (4) の式を計算した結果である。
今後は単勝についてのみ議論するので、この計算式を用いていく。なお例外として、(5) 式の ati が 0 と
*4
なる馬のオッズは 0 とする。
2.2 期待効用理論
賭け行動を行うベッターがどういう基準で意思決定をするかについて議論する。現在、経済学におい
ては意思決定の理論体系として最も知られているものとして、期待効用理論が挙げられる。期待効用理
論とは von Neumann, J and Morgenstern, O. (1944,1947) が提唱した意思決定の理論であり、リス
ク下における意思決定に関し、代表的な意思決定理論である。ここでいうリスク下における意思決定と
は、基本的に結果の確率分布がわかる状況下での意思決定である。ある事象が起きる確率と、その事象
が起きた時に得られる効用 (=自身の幸福度の度合い)の積をとる。そしてその期待効用が最大になるよ
うな馬に対して賭け行動を行う。ただの期待値ではなく、効用の期待値で考える理論となっている。本
論文では、事象が起きる確率に主観確率を仮定して期待効用理論を用いている。これは、Savage が提唱
した「主観期待効用理論」であり、この理論で話を進める。
これを競馬のレースに当てはめて考えるために、2 頭の馬が走るケースを考える。それぞれの馬が勝つ
確率を考えるわけだが、どのくらいの確率で馬が勝利するかは誰も知ることが出来ない。そこで市場の
参加者全員の考えをまとめたものとして、Griffith の『本命-大穴バイアス』に基づいた「主観勝利確率」
というものを用いる。これは主観勝利確率を用いて求めても、事後的にわかる勝利確率と大差ないとい
うものである。それを用いて、馬 A が主観確率 pA で勝つだろうと推測しているとする。馬 B の勝つ主
観確率は pB であり、pA + pB = 1 である。
初期資産 w をもつ期待効用最大化ベッターが、馬 A に関する主観勝利確率が pA であり、オッズが OA
であるとき、馬 A に 1 単位賭けた場合の期待効用 EUA は、
*3
*4
単勝・複勝の場合にのみ計算式に導入する。
ベッターの少ないレースや、当日に行われないレースなどの投票開始直後にのみ存在する。
8
図1
リスク態度の形状
EUA = pA u(w + OA − 1) + (1 − pA )u(w − 1)
(6)
と表せる。ここで第一項は馬 A 勝つ確率と、馬 A が買った場合の効用の積である。効用関数 u(w +
OA − 1) の (w + OA − 1) は初期資産 (w) から 1 単位馬 A に賭け (-1)、勝利したのでオッズ (OA ) 単位
だけリターンを得たという勝利した場合の資産を表している。第二項は馬 A が負ける確率と、馬 A が
負けた場合の効用の積である。効用関数 u(w − 1) の (w − 1) は初期資産 (w) から 1 単位馬 A に賭け
(-1)、負けたので何もリターンがないという負けた場合の資産を表している。第一項は買った場合の期待
効用を、第二項は負けた場合の期待効用を表しており、その和で求めている。
馬 B についても同様に期待効用 EUB を求め、どちらの期待効用が大きいかを比べ、より大きい方の
馬に賭ける。
2.2.1 リスクに対する態度
人それぞれに、どの程度ギャンブルを好むかは異なる。
• 確実に 5 千円もらえる
• 50% の確率で 1 万円もらえて、50% の確率で何ももらえない
どちらかの選択を迫られたすると、どちらを選ぶであろうか。どちらが正解ということは無く、人それ
ぞれである。前述を選ぶ人はリスク回避的であり、1 万円を得られなくても良いからリスクを避ける。一
方で後述を選ぶ人はリスク愛好的であり、リスクを取ってでもより多くもらえる方を選ぶのである。ど
ちらも期待値は同じであるため、どっちでも変わらないという人はリスク中立的である。ある人はリス
クをすごい避けるし、ある人はすごいリスクを好む。そのようなリスクに対する態度の度合いをリスク
9
回避度で測る。リスク回避度 α > 0 のときはリスク回避的であり、α < 0 のときにリスク愛好的である。
値が大きいほどその態度は顕著になる。α = 0 のときはリスク中立的という。これを図で表したのが図
1 である。横軸には貰える金額 x を、縦軸にはその金額 x を得たときの効用 U (x) を表している。図 1
のようにリスク回避的な人間の効用関数は凸関数となり、リスク愛好的な人間の効用関数は凹関数にな
る。先ほどの 2 つの選択肢を効用で表すと、
• U (5000)
•
1
U (10000)
2
+ 12 U (0)
となり、それぞれのリスク態度により以下のようになる。
• U (5000) > 12 U (10000) + 12 U (0)・・・リスク回避的
• U (5000) = 12 U (10000) + 12 U (0)・・・リスク中立的
• U (5000) < 12 U (10000) + 12 U (0)・・・リスク愛好的
このように、リスク回避敵ならば
1
2
の確率で 1 万円が得られる効用よりも、確実に得られる 5000 円
の効用を選び、逆ならばリスク愛好的である。どちらもおなじであれば、リスク中立的と言える。
2.3 プロスペクト理論
前節で取り上げた期待効用理論では説明することができない事象も存在する。そのような期待効用理
論では説明できない部分の対症的な理論体系として、多くの心理実験から得られたプロスペクト理論が
ある。人々は一般的に何かを得るときにはリスク回避的になり、一方で何かを失うときにはリスク志向
的になる。そのような人間の心理を組み込んだものとして、Tversky and Kahneman (1992) が提唱し
た理論である。現状維持で得られる効用を中心 (参照点) とし、その状態から資産が増加したときと減少
したときとでは、関数を変えることが可能である。また、ベッターは確率に対しても様々な感じ方をす
る。人々は確率に対する感じ方も様々である。例えば、同じ 10% の確率であっても、死ぬ確率が 10%
と言われたら、『死ぬ確率が 10% もある。』と感じる人もいるだろう。逆に、試験の合格率が 10% と言
われたら、『受かる確率が 10% しかない。』と捉えるのではないだろうか。これを表すために、Tversky
and Kahneman (1992) にも用いられている確率加重関数 π(p) を用いる。この関数では、ベッターに対
する確率の感じ方が反映されている。
プロスペクト理論の効用は、確率加重関数と価値関数との積で測ることができる。参照点からの資産
の増加額を x とすると、馬 A に対する効用 VA (x) は、確率加重関数 π(pA ) と価値関数 v(x) を用いて
VA (x) = π(pA )v(OA − 1) + (1 − π(pA ))v(−1)
10
(7)
として表すこと出来る。ここで第一項は馬 A 勝つ確率に関する感じ方と、馬 A が買った場合の価値の積
である。価値関数 v(OA − 1) の (OA − 1) は現在の資産を参照点として、1 単位馬 A に賭け (-1)、勝利
したのでオッズ (OA ) 単位だけリターンを得たという勝利した場合の資産の増加を表している。第二項
は馬 A が負ける確率と、馬 A が負けた場合の効用の積である。効用関数 v(−1) の (−1) は現在の資産
を参照点として、1 単位馬 A に賭け (-1)、負けたので何もリターンがないという負けた場合の資産の減
少を表している。第一項は買った場合の効用を、第二項は負けた場合の効用を表しており、その和で求
めている。
2.3.1 価値関数
価値関数とは幸福の度合いを示す効用関数の一種であり、非線形である。基準となる点 (参照点) から
利得を得る場合と、損失を被る場合では効用関数が異なるのが特徴である。例えば去年にお年玉で 2 万
円くれた親戚のおじさんがいたとする。今年も 2 万円くれると思っていたら、1 万円だった。すると 1
万円をもらったにも関わらず、1 万円しかもらえなかったと考える。これは基準となる点 (参照点) が 2
万円となっていて、それよりも低かったために何となく残念に感じるのである。関数のグラフを図にす
ると、図 2 のようになる。横軸には参照点からの金額の増減を、縦軸にはそれに対する価値を表す。
図2
価値関数のグラフ
11
3 分析
3.1 データ
図 3 2009.5.9 京都 9R16 頭レース 時系列オッズと区間投票数のグラフ
関口論文は 2009 年の実際の時系列オッズデータを使用して、期待効用理論とプロスペクト理論の 2 タ
イプのベッターで、それぞれ実際の投票行動を再現できるかどうかをシミュレーションした。時系列オッ
ズデータに関しては、「JRA-VAN DataLab.(データラボ)会員サービス− http://jra-van.jp/dlb/」
から取得することが出来る。時系列オッズを図で表すと、図 3 のようになる。横軸には投票開始時間か
ら締切時間までの相対時間を、縦軸にはオッズの倍率と区間投票数を取っている。折れ線グラフは各馬
のオッズの変遷を表しており、面グラフはその時点における区間投票数を表している。
3.2 関口論文のシミュレーション結果
全ての時点においてベッターが賭け行動を行うと仮定する。各時点で何番人気の馬を買うべきかを、
オッズから判断するのである。ここで注意しなければいけないのは、常に何番人気の馬を買うべきかと
考えているため、同じ 1 番人気の馬を買うという選択であっても、各時点で 1 番人気の馬が同じ馬とは
限らない。そしてシミュレーションを行った結果、シミュレーションでは買われなかったが実際のデー
タでは買われているという馬が存在するかどうか、を検証している。もしそういった馬が存在したら、シ
12
ミュレーションで説明できない部分があるということである。そのような結果を『・』で表示する。
3.2.1 期待効用理論ベッター
初期資産 w をもつ期待効用最大化ベッターが、時間 t において馬 i に関する主観勝利確率が pti であ
り、オッズが Oti であるとき、馬 i へ 1 単位賭け金をかけた場合の期待効用 EUti は効用関数 u(x) を用
いて、
EUti = pti u(w + Oti − 1) + (1 − pti )u(w − 1)
(8)
となる。ここでは効用関数 u(x) を、
{
u(x) =
x1−α
1−α
log x
(α ̸= 1 のとき) (α = 1 のとき)
(9)
という相対的リスク回避度一定の効用関数とする。α はリスク回避度である。一般的に、資産が少な
くなけなしのお金をかけるベッターよりは、資産が十分にあるベッターのほうがリスクが小さくなるは
ずである。そのために、資産額を考慮している相対的リスク回避度一定の効用関数を仮定している。
また、主観勝利確率に関して馬 i に対する主観勝利確率は、『全体の投票金額のうちに馬 i に賭けられ
た割合』として表す。もし最終オッズが正確に予測できるのであれば、どの時間も主観勝利確率は同じ
になる。しかし、そのようなベッターは存在しない為、ここではベッターが賭けを行う時点でのオッズ
を基に主観勝利確率を求める。時間 t における馬 i に対する主観勝利確率は、
pti =
ati
0.788
=
Tt
Oti − 0.1
(10)
と表すことが出来る。また、Oti = 0 となる馬の勝利確率は 0 とする。シミュレーションでこの主観勝
利確率が用いられるが、合計が 1 にならないことがほとんどである。これはオッズの計算の際に、小数
点第二位以下を切り捨てている為である。関口論文では、シミュレーションの結果 +0.001∼ + 0.067 の
誤差が生じたが、無視している。
期待効用理論での色々なパラメータのベッターを考えるため、リスク回避度 α = −3 + 0.01 × j(j =
1...600) の 601 種類の期待効用理論ベッターでシミュレーションを行った。その結果として、図 4 のよ
うになった。
13
図 4 2009.5.9 京都 9R 期待効用理論のベッター
横軸は馬券の購入開始時間を 0、購入締切時間を 1 とした相対時間の推移である。縦軸は、何番人気の
馬であるかを示している。これは各時点での 1 番人気、2 番人気、...である。したがって、人気が入れ
替わっていることもある。『・』は、シミュレーション結果では買う人が存在しなかったが、実際は買っ
ている人が存在することを示している。関口論文のシミュレーション結果では、どの時点でも 1 番人気
と 16 番人気の馬しか買われなかった。
リスク回避度について詳しく見てみると、リスク回避度 α < 0 のリスク愛好的なベッターはどの時点
でも 16 番人気の馬を買っており、α = 0 のリスク中立的なベッターにシフトした途端、どの時点でも 1
番人気の馬を買うという行動に変化した。
3.2.2 プロスペクト理論ベッター
プロスペクト理論のベッターは時間 t において、現状の資産を参照点として効用 Vti (x) を確率加重関
数 π(pti ) と価値関数 v(x) を用いて表すと、
Vti (x) = π(pti )v(Oti + 1) + (1 − π(pti ))v(−1)
(11)
となる。そして効用 Vti (x) が最大になるような馬 i に賭けるという行動をとる。価値関数 v(x) は以下
のように定義する。
{
xα
v(x) =
−λxβ
(x ≥ 0 のとき) (x < 0 のとき)
(12)
なお、以下では α = β とし、損失に対する態度は λ(なお、λ > 0 である) で表現する。0 < λ < 1 のと
きは損失を許容する傾向をとる。一方、1 < λ のときは損失を嫌う傾向を表している。なお、λ = 1 の
ときは利得と損失に対する態度が同じであることを示す。
14
また、確率加重関数 π(p) を以下のように表す。
π(p) =
pr
1
(pr + (1 − p)r ) r
(13)
なお、r > 0 とする。0 < r < 1 のときには、ベッターは低い確率に関して値よりも高く、高い確率
を値よりも低く見積もるようになる。1 < r のときには、ベッターは低い確率に関して値よりもさら
に低く、高い確率を値よりもさらに高く見積もる。これはパラメータが r のみであり、扱いやすい。
これは Tversky and Kahneman (1992) にも用いられており、時系列実験ベットの先行研究である
Ziegelmeyer,Broihanne and Koessler (2004)でも同じ形式のものが使われている。
価値関数の損失に対する態度 λ = 0.01 × j(j = 1...100) という 100 種類のプロスペクト理論ベッ
ターでシミュレーションを行った。その結果が図 5 である。
図 5 2009.5.9 京都 9R プロスペクト理論のベッター
期待効用理論ベッターの時に比べて、より多くの馬が買われた。なお、図 5 の 2 番人気に 3 つほど
『・』が存在する。これは 1 番人気とオッズが同じであり、プログラムの構成上、同じオッズの場合は人
気が高い馬を買うようにできている。したがってこれはプログラム上の誤差であり、無視して良いと思
われる。さらに価値関数での α や確率加重関数の確率に対する態度である r を色々と動かした結果、全
ての馬について説明することが出来るようなパラメータの組み合わせが存在することがわかった。
3.3 モデル
関口論文のモデルではオッズに関して、ベッターは買った時点でのオッズが最終的な確定オッズにな
ると考えることを仮定している。しかしながら、前節の時系列オッズと区間投票数のグラフのように、実
15
際は買った時点からオッズは変動しており、投票開始時間でのオッズと確定オッズとでは大きく異なる
可能性もある。レースを調べた結果、実際の賭け行動においてほとんどのベッターは締め切り直前に集
中して馬券を購入している。これは少しでも、買った時点でのオッズと確定オッズとの乖離を減らすた
めだと思われる。直前まではオッズの変動を気にしていて、買った時点でのオッズはあてにならないと
考えているのである。
そうすると、買った時点でのオッズが最終的な確定オッズと仮定している関口論文のモデルは現実的
であるとは言えない。本来は買った時点でのオッズから確定オッズまで変動をするからである。そこで、
本論では買った時点でのオッズはあてにならず、確定オッズまで変動をすると考えているベッターを考
える。しかしながら、馬ごとに買われている変遷が異なるため、オッズの変動もバラバラである。した
がって、馬ごとにオッズの変動を考えることとする。
ここでオッズがある確率分布を持っており、変動することを考える。その確率として、ホワイト・ノイ
ズを用いた。ホワイト・ノイズは株価の価格予測などにも用いられている。本研究では簡単なモデルと
して、現時点からそれぞれ
1
2
1
2
の確率で上下するというものである。上昇幅と下落幅は同じ値である。
の確率で t 時点でのオッズから最終オッズは σ ほど上がり、 21 の確率で σ ほど下がると考える人間
を想定するというものである。標準偏差 σ には、各期の対前期からのオッズの変化率をそれぞれ求め、t
期までの標準偏差を求めたものを使用した。そうすることにより、馬ごとのオッズの変動の特徴を表現
することができるからである。
買った時点でのオッズに、t 期までのオッズの変化率に関する、標準偏差 σ の予測を入れた場合の期待
効用 EUti は
EUti =
1
1
pti u(w + Oti + σ − 1) + pti u(w + Oti − σ − 1) + (1 − pti )u(w − 1)
2
2
(14)
で表せる。ここで主観勝利確率 pti と効用関数 u(x) は同じものを用いる。式の第一項は馬 i が勝ち、さ
らに買った時点よりオッズの値が上がった (つまり人気としては下がった) 場合の期待効用である。第二
項は同じく馬 i が勝った場合だが、買った時点よりオッズの値が下がった (人気が上がった) 場合の期待
効用である。第三項は馬 i が負けた場合であるため、オッズがどう変動しようと効用関数に影響を与えな
いので、負けた場合は関口論文と同じである。
そして関口論文との結果を比較するために、関口論文と同じようなパラメータの値でシミュレーショ
ンを行った。
16
3.4 分析結果
3.4.1 期待効用理論ベッター
分析を行う上で、まず最初に関口論文のシミュレーションを再現した。同じデータを使用し、同じ結
果が出るように自身でプログラミングを組み、シミュレーションを行った。プログラミングに関しては、
Mathematica を用いて、期待効用の値を比較して、その値が最大となるような馬を買うプログラムを組
んだ。使用したデータは日本の中央競馬でのレースで、最もレースの割合が高い 16 頭のレースを用いて
いる。関口論文でも使用している 2009 年 5 月 9 日京都 9R の 16 頭レースである。
そして同じレースの時系列オッズデータを使用し、モデルにオッズの変動を組み込んでシミュレーショ
ンを行い、結果を関口論文と比較した。
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図 6 2009.5.9 京都 9R オッズの変動予測を組み込んだ期待効用理論におけるシミュレーション結果
図 7 2009.5.9 京都 9R 関口論文の期待効用理論におけるシミュレーション結果
横軸は馬券の購入の相対時間の推移であり。縦軸は、何番人気の馬であるかを示している。『・』は、
シミュレーション結果では買う人が存在しなかったが、実際は買っている人が存在することを示してい
る。関口論文のシミュレーション結果では、1 番人気と 16 番人気の馬しか買われなかった。関口論文と
比較すると、オッズの変動予測を組み込んだ期待効用理論のモデルによるシミュレーションの場合では 2
番人気が 2 箇所買われている時点が存在することが見て取れる。
関口論文と比べて新たに買われた 2 番人気での 2 時点について注目してみると、1 番人気と 2 番人気の
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オッズが同じ値であった。プログラミングの構成上、同じ期待効用の値の場合は人気が高い馬のほうを
買うというプログラムにしている為、この 2 時点において、リスク回避度 α がある値のベッターにとっ
ては、
期待効用 (1 番人気の馬) < 期待効用 (2 番人気の馬)
となったので、2 番人気を買うという賭け行動をとった。変わるタイミングについて詳しく見てみると、
リスク回避度 α = 0 のリスク中立的なベッターまでは 1 番人気を買っていたのに対し、α = −0.01 のと
きに 1 番人気から 2 番人気に変化した。
3.4.2 プロスペクト理論ベッター
プロスペクト理論においても、期待効用理論と同様にオッズが変動すると仮定してシミュレーション
を行った。そして関口論文におけるプロスペクト理論ベッターの結果と比較する。
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図 8 2009.5.9 京都 9R オッズの変動予測を組み込んだプロスペクト理論におけるシミュレーション結果
図 9 2009.5.9 京都 9R 関口論文のプロスペクト理論におけるシミュレーション結果
オッズの変動予測を組み込んでシミュレーションを行ったものの、プロスペクト理論においてはモデ
ルの説明力が上がるという結果には至らなかった。いくつかの時点では、説明できていた点が説明でき
なくなり、説明できなかった点が説明できるようになっている。理由として、オッズの変動の幅が微少
であり、行動に影響を与えるまでに至らなかったからだと考える。これは、期待効用理論においても同
様に言うことが出来る。つまり、オッズの変動の幅を大きくしたら、結果が変わる可能性がある。
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4 まとめ
今まで競馬市場に関する研究は、最終オッズを基にレースデータから競馬市場におけるベッターの賭
け行動の性質に関するものが多かった。それは市場全体を説明しようとするものが多く、実際の時系列
オッズを用いる研究がなかった。関口論文は時系列オッズを用いて、時間ごとのベッターの性質を明ら
かにしようとした。しかし、実際の時系列オッズを用いているものの、そのオッズが最終オッズになる
だろうとベッターが考えるという仮定を置いている。なので、買った時点からのオッズの変動に関して
議論されていなかった。
本論文では現実と同様に、その時点でのオッズでどの馬を買うかを考えている。さらに関口論文とは
異なり、本論文では『ベッターは買った時点のオッズと最終的な確定オッズは異なり、買った時点から
変動する』と考えている。このように、オッズの変動予測をモデルに加えた上で、どの馬を買うかを検
証した。
本研究の始まりとして、先行研究との比較をするために関口論文のシミュレーションを再現した。そ
してオッズの変動を組み込んだモデルでシミュレーションを行った。結果を比較するために、同じデー
タで同じ理論を用いた。用いたデータは 2009.5.9 京都 9R の 16 頭レースであり、用いた理論は期待効
用理論とプロスペクト理論である。
結果として、期待効用理論に関しては 2 時点においてであるが、従来の『最も人気がある馬と最も人
気がない馬』以外の馬が買われた。これはオッズの変動を考えた結果、2 番人気の馬の期待効用が最大に
なる人間が存在した、ということである。さらに従来、期待効用理論ではリスク回避度 α ≥ 0 まで最も
人気がある馬の馬券を買い、α < 0 の瞬間に、最も人気がない馬の馬券をシフトすると述べていた。し
かし今回のシミュレーション結果では、まずリスク回避度 α = −0.15 の時にはまだ 1 番人気を買う時点
が存在した。そして、リスク回避度 α = 0∼ − 0.16 までに、徐々に最も人気がない馬を買う時点が増加
していった。先行研究のようにいきなりシフトはしなかったのである。
今後の課題として、まずプロスペクト理論で上手く説明力が上がらなかった点が挙げられる。そこに関
してはまだまだ改善の余地があるといえる。また、他のギャンブル市場の分析や同じ競馬市場でもオッ
ズの算出方式が違うブックメーカー方式についての比較が可能である。日本のレースでも、他のレース
で検証してみる価値もある。他にも、ベッターの行動を説明できるモデルは考えられるか、また同じモ
デルでもオッズの変動に関して異なる確率分布で考えられかなどがある。そして最終的には、実際の投
票行動がなぜその時点で行われたのかまで説明することが出来れば、より詳しくベッターの性質につい
て議論することが出来る。
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参考文献
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Journal of Psychology, 62: 290-294.
[2] Savage, Leonard J. (1954, 1972) “The Foundations of Statistics”, Dover.
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Representation of Uncertainty Journal of Risk and Uncertainty, 5: 297-323.
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[6] Ziegelmeyer, A., Broihanne, M-H., and F. Koessler.(2004) “Sequential parimutuel betting
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[8] 竹村和久 (2009) 『行動意思決定論』 日本評論社
[9] 日本中央競馬会 (1976) 『競馬百科』 みんと
[10] JRA ホームページ http://www.jra.go.jp/kouza/motto/step3.html
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