「教育のこれから」 2年 大貫尊弘

「教育のこれから」
2年 大貫尊弘
1 はじめに
2020年より、大学入学者選抜大学入試センター
試験、通称センター試験が廃止される。この他に
も、ゆとり教育の見直しなど、日本の教育現場は
さまざまな変化を続けてきた。では、グローバル
化のすすんでいく今の時代に必要な教育とはいった
いどのようなものなのだろうか。そして今の学生に
は必要なものは何だろうか。ここでは、同じ東ア
ジアに属する台湾と日本を比べながら、答えを探し
ていこうと思う。
2 教育体制の形成
まず、現在の教育について話していく前に、それ
ぞれの教育制度がどのようにして成り立ってきたの
かみていく。
どちらも最初に外国の制度を取り入れていると
いう点では共通しているが、日本は自国が整備を
行っている(GHQによる統治期間も、実際に改革
を行ったのは日本)のに対し、台湾は、統治して
いた外国がほとんど整備を行っているという点で
違いがある。その為、台湾ではただ発展させる為
ではなく、植民地としての国づくりを意識している
様子がみられる。
日本は台湾を獲得した当初、植民地教育に対し
て消極的であった。支配を進める際の反抗が強ま
るためである。しかし、産業の発展に伴って台湾
人労働者の育成を迫られ、各地に教育機関を設置
する。そして1919年には台湾教育令が公布され、28
年に台北帝国大学(現台湾大学)を設立された。その
際、学部の設置は農学部や医学部のみの実業大学
程度にとどめておくべきだという意見が本国で多
くあったが、設立に携わっていた伊澤多喜男は、
親友の幣原坦に協力を依頼し、法学部、文学部、
理農学部を設けて、台湾大学を総合大学として設置
することを決定した。このように、台湾に関わっ
た日本人の中には、台湾の文化の発展に尽くした
人々も多く存在した。この事実は、現在の歴史の
授業でも教えられており、親日の要因の一つになっ
ていると考えられている。日本が台湾を手放した後
は、内線に敗れて退避してきた中国国民党によって
義務教育が9年と定められ、現在に至る。
日本では、最初から国民全体の教育が行われた
わけではなく、当初は政治にかかわる貴族のみに
限られた。その後、寺院などを拠点として一般庶
民への教育が広がり、江戸時代には識字率は50%
に達していたという。(ちなみに当時の欧州の識字
率は20%ほどだったといわれている)その為、明治
時代の教育の近代化はかなり迅速に進んだ。太平
洋戦争時は、授業の内容も戦時色が強いものになっ
ていったが、敗戦後のGHQのもとで行われた改革
により、現在の制度の基本が完成した(年表)。
この年表を見ると、教育制度が、時代の流れに
合わせて変化していることもわかる。世界の現状
と、教育は密接に関係しているのだ。
3 現在の教育現場
教育の成り立ちについて見たところで、現在の両
国の教育現場について見ていく(図1)。
(1)日本
義務教育は初等教育(6∼12歳)と中等教育
(12∼15歳)の合計9年間。飛び級制度はなく、
公立も私立も国の学習指導要領等の基準に従って
教育活動を行う。高校進学率は98%(通信制含む)で
あり、1974年に初めて90%を超えてから90%台後
半で安定している。これは、先進国の中でも高い
数値である。しかし、生徒数は年々減少しており、
平成2年の時点で約580万人いた生徒は、現在は約
330万人まで減少している。またそれに伴い学校数
も減少している。
一方で、先進国の中でも低いといわれているのが、
大学進学率である。高等学校卒業者のうち、短大
を含めた大学進学率は、約55%である。この値は、
OECD(経済協力開発機構)の各国平均と比べると、
高い値とは言えない。例えば、韓国やアメリカは
約70%である。理由としては、学費が高いことが
あげられる。大学の学費への国の補助が欧米に比
べて少なく、家庭への負担が大きい。授業料も年々
増加しており、これは、少子化加速の要因の一つ
にもなっている。
また、近年の教育の変化として、「脱ゆとり教育」
がある。そもそもゆとり教育とは、正式な名称で
はなく、1980年代から2000年代初め(諸説あり)に
かけて行われた、国の学習指導要領に沿った教育
のことである。それまでの知識の詰め込みを意識
した教育課程の生徒に対する負担が大きいという
指摘から、1977年7月に小学校,中学校の学習指導
要領の全面改定が告示され、80、81年に小学校、
中学校の順に実施された。その主な内容は、授業
時間の大胆な削減である。これにより、各学年の
授業時数は100時間以上減少しており、土曜日授業
も、2002年に完全に廃止された。また、総合的な
学習の時間が、新たに追加された。これらの変更
ー126ー
の要因は、生徒の負担によるいじめや社会性の低
下が問題であるという声が高まっていたためで、授
業数などの負担を減らすことで、これの改善を図っ
たのである。しかし、このゆとり教育が進みすぎ
た結果、学力の低下が発生してしまった。これを
受けて、新たに学習指導要領が改訂され、再び授
業数が増加。また、小学校5、6年生の授業の項
目の中に「外国語活動」の項目が追加された。し
かし、ここでもまた負担の増加や学力の格差が発
生し、完全解決には至っていない。さらに、この
ゆとり教育をうけた生徒、いわゆるゆとり世代が
大学生になり、大学生の学力の低下が発生し、問
題となっている。
さらに、最初に述べた通り、政府は、2020年度
でセンター試験を廃止し、年複数回の新たなテスト
を導入する方針だ。これには、当日の試験問題や
受験者の体調不良などにより正確な学力が測れな
いというセンター試験の問題を解決するためや、高
校教育の質の向上が目的と言われている。しかし、
あまりに大きな改革のため反対意見も多く、在学
中の負担が増加する、点差の開きが少なくなり、
二次試験の競争が激化する、などの意見がある。
就職率は、約75%と、高い数値が出ている。
2010年のリーマンショックにより一時60%程まで
低下したが、その後は上昇を続けている。日本は
学歴社会であるといわれているが、企業の面接の
中で学歴は、やはり一つの基準となっているよう
だ。特に、面接を受ける人数が多い大企業では、
その傾向が強い。その理由として、単なる学力では
なくその学歴を手に入れるまでの努力などを評価
し、一つの判断材料として考慮することで、面接に
かける負担が軽減できるというものがある。
このように、日本の教育は様々な変化を遂げて
きた。しかし、いまだに完成には至っていない。
これからも、時代に合わせて変化していくだろう。
(2)台湾
台湾の義務教育も、日本と同じく、国民小学6
年、国民中学3年の9年間である。高校は、以前
は職業学校へ進学する生徒が多かったが、現在は
逆転している。また、台湾の高校進学率は約99%、
大学進学率は約95%と、とても高い水準となって
いる。これは、戦後のベビーブームで生まれた団塊
世代の親の影響があるといわれている。団塊世代
が生まれた戦後の時代は、高等教育機関が少なく、
進学が厳しかった。その影響で、自分の子供を何
としても大学に行かせたいという感情が生まれた
のだ。それによって学生に負担が重くのしかかって
しまった。これを受けた政府は、試験の難易度を
下げ、教科書を民間会社が製作することを許可し、
自由度を広げた。だが、それにより大学進学率が
上昇し、大学に進学するのが当たり前になった。
それはつまり、就職で、大学に進学しているのが当
たり前のようになり、大学のレベルが重要視され
るようになってしまった。台湾の就職活動では、
履歴書の学歴が重視される傾向にあるため、競争
はさらに激化している。結果的に、負担は減少す
るどころか増加してしまったのである。補習班と
呼ばれる塾に通う生徒がほとんどになり、学生の
時間を奪ってしまっているのだ。競争が進む分、学
力は上がっているが、その分負担がかかってしまっ
ている。
では、具体的に高校に焦点を当てて比較する。
ここで挙げたものはあくまで一例であるが、旭丘
高校と、台湾師範大学付属高級中学校の二校を比
較する。高級中学は、日本での高等学校に当たる。
また、台湾師範大学付属高級中学(以下、師大附
中)は、他の公立高校と比べて独自のカリキュラ
ムを実践しており、一般的な例とは言えないが、台
湾の高校の一つの例としここにあげる(表1)。
あくまで一例だが、部活動や授業時間を比べる
と、日本の高校より勉強が重視され、かなりそれ
に充てる時間が多いことが分かる。また、師大附
中では、高3では部活動が停止され、勉強漬けの
一年になるという。ここまで見ると、台湾の高校
生は、常に重い負担を強いられ、あまり幸福では
ないように思う。しかし、これはあくまで筆者の
感想だが、自分が会った台湾の高校生たちは、そ
の負担を感じさせない明るさだった。これはいっ
たいなぜだろうか。自分は、これは、台湾の学生
たちが、政治参加などの社会参加に積極的である
ことが一つの理由であると思う。ひまわり学生運
動は、それを象徴する出来事である。ひまわり学
生運動は、中国と台湾の間に結ばれようとしてい
た、 サービス貿易協定 の締結に反対する学生た
ちが、日本の国会議事堂にあたる立法院を24日間
占拠したという事件である。この学生たちの行動
により、サービス貿易協定は見直されることになっ
た。
また、投票率も高く、2016年1月に行われた台
湾の総統選挙では過去最低の66.27%だったが、そ
れで も 、 2 0 1 4 年 の 日 本 の 衆 議 院 議 員 総 選 挙 の
52.66%を大きく上回っている。
日本では2015年6月に、選挙権年齢が18歳に引
き下げられたが、これは、学生の要求によるもの
ではなく政府が、若者の意見を取り入れるために
ー127ー
行ったものである。教育問題を解決するためには、
制度を改善するのではなく、若者自身が行動する
必要がある。社会のことについて考え、学校の内
外で積極的に学ぶ姿勢が必要なのである。
4 教育とグローバル化
今、世界では、グローバル化が進んでいる。国と
国との距離が縮まっている中、日本でも、小学校
5、6年で外国語の授業が設置されるなど、世界
で活躍できる人材を育成しようという流れがある。
では、私たちが、このグローバル化の流れに乗り
遅れないために、何ができるのだろうか。ここで
は、グローバル化に関する様々な取り組みを調べ
てみた。
(1)台湾
台湾では、2000年の陳水扁政権の時代になって
から、グローバル化を意識した英語教育が始まっ
た。その中では、英語の学習を通して異文化を理
解するということが基本理念の一つとなった。ま
た、2001年に公布された教育カリキュラムである
民国90年暫綱で英語科目が新たに設けられ、小学5
年生から必修となった。また、大陸中国からの独
立志向が強い民進党政権の影響もあり、台湾独自
の文化や歴史の理解に重点が置かれ、自分たちの
住む台湾に対する理解や認識を深め、それを通し
て世界の多文化社会を理解し、共存するというこ
とが目標の一つとなっていた。また、国際競争に
おける英語教育の必要性もさらに重視され、小学5
年生からだった英語科目の履修開始学年が、2005
年に小学3年生に早められた。このように、民進党
政権下でグローバル化の影響を踏まえつつ台湾人と
してのアイデンティティを強調した教育改革が進め
られたが、2008年の総統選で政権が国民党に移り、
台湾の教育現場はさらなる変化を迎えることにな
る。
陳水扁の後に総統となった馬英九は、2009∼12
年の「教育部民國98年至101年施政計劃」で、陳
水扁時代と同じく、グローバルな視野を持つこと
が目標として掲げられた。その中では、今までの英
語教育に加え、異文化コミュニケーション能力や
国際的知識の育成などが盛り込まれ、ただ知識を
詰め込んで外国語能力を伸ばすだけでなく、国際
的な視野を広げ、異文化理解に対する姿勢の育成
など、新たな取り組みが追加された。その反面、
陳水扁時代の台湾独自の文化の授業は減少し、大
陸中国の歴史などの授業が増加した。
次に、高級中学に視点を当て、細かく見ていく。
台湾では、1994年から、高級中学の第二外国語過
程が徐々に導入されていった。対象となっているの
は、「日本語」「フランス語」「ドイツ語」「ス
ペイン語」「韓国語」「ラテン語」「ロシア語」
「ベトナム語」「インドネシア語」「イタリア語」
「ポルトガル語」「タイ語」の全12言語である
(2013年現在)。すべての生徒が履修しているわ
けではないが、履修者は年々増え続け、2003年に
は2万人弱だった生徒数が、10年後の2013年には
5万7千人を超えた。各言語あたりの人数の割合
は、日本語が一番多く、全体の半分以上を占めて
いる。これは、親日と言われる台湾人の日本への
関心の高さの表れであるといえる。また、筆者が
訪問した台湾師範大学付属高級中学校にも、語学
コースが設置されていた。
また、外国の学校との交流も積極的に行われて
おり、姉妹校同士の相互訪問やホームステイなど
も行われている。こうした活動に対し、政府は補
助金を出し、支援を行っている。
(2)日本
日本では、「外国語活動」の授業が、2008年度
に文部科学省によって導入された。最初は「総合
的な活動の時間」のなかでの自主的なものであっ
たが、2011年度に必修化された。しかし、その英
語教育の目的は、基本的な英語力の向上や、国際
コミュニケーション能力を養うなど、台湾と違い、
具体的な人材育成については、触れられていない。
東アジアの中国、韓国と比べても、国際社会での
競争に対する意識が低く、その差は、英語を母語
としない人々の英語コミュニケーション能力を図
る国際的なテストであるTOEFLの結果からも明ら
かである。1996∼2006年の10年間の日本、中国、
韓国、台湾の4か国の点数の変化を比較すると、
日本以外の3か国は約5%ほど上昇しているのに対
し、日本の平均点数はわずか0.6%し上昇しておら
ず、明らかに遅れている。日本は、国際社会での競
争の激化についていけていないのである。
では、日本政府は、グローバル化に対する教育
の取り組みを全く行っていないのだろうか。いや、
そうではない。文部科学省は、現在、「SGH
(Super Global High school)」と、「国際バカ
ロレア」の、二つの取り組みを、全国の指定され
た高校で行っている。まず、2つの取り組みの概要
から説明する。
まず、SGHについて。スーパーグローバルハイス
クール、通称SGHは、将来グローバル社会の中で
ー128ー
活躍できる人材を育成することを目的とした、研
究事業である。SGHに指定された高等学校は、目
指すグローバル人物像を設定し、様々な企業や国
際機関と連携し、コミュニケーション能力や問題
解決能力などの国際的能力を身に着ける。具体的
なテーマは各高校によって異なり、例を挙げると、
・生物資源を活かすビジネスを起業する課題研究
で育むグローカル人財∼茨城県立土浦第一高等
学校∼
・日本再興戦略を支える若手グローバル・リーダー
育成に関する研究開発∼愛知県立旭丘高等学校
∼
・神戸から綾なせ世界。共生への扉を開くグロー
バル・リーダー育成∼神戸市立葺合高等学校∼
など、多岐にわたる。平成26年度に指定校が56校
決定され、5年間の間、フィールドワークやディス
カッションなどを交えながら、グローバル社会に
対応できる人材の育成を行っている。
次に、国際バカロレアについて。国際バカロレ
アとは、スイスのIB(International
Baccalaureate)機構が提供している教育プログラ
ムである。多様な文化を理解し、積極的に活動す
る生徒を育成することが目的の一つとなっており、
国際的に通用する大学入学資格、国際バカロレア
資格を与え、大学進学へのルートを確保すること
が目的となっている。この国際バカロレア資格は、
アメリカやイギリスなど多くの国の大学で入学資
格として認められており、海外進学にとても有利で
ある。バカロレアのプログラムには、年齢に合わ
せた4種類のプログラムがあり、日本では、この
内、16∼19歳を対象としたDP(ディプロマ・プロ
グラム)の認定校を現在の26校から200校に増やす
方針だ。DPのカリキュラムには6つの科目(言語
と文学(母国語)、言語習得(外国語)、個人と
社会、実験科学、数学、芸術)があり、この6科
目を2年間で全て履修する。現在のDPは、英語、
フランス語、スペイン語の3言語のみでしか授業
と試験が受けられないが、文部科学省は、現在そ
れを日本語で履修できる「日本語DP」の開発を行っ
ている。現在、その一部が日本語化され、6科目
中3科目の日本語での履修が可能となっている。
このように、日本では、グローバル化に対応し
た教育制度は、まだ研究段階である。なので、ま
だまだ、一般的に広がるのにはまだまだ時間がか
かりそうだ。
5 最後に
ここまで、日本と台湾の教育制度について見て
きたが、全体を通して言えるのは、2つの国とも、
世界全体の流れに合わせて変化しているというこ
とだ。また、政府の目的も色濃く反映されており、
国民党と民進党の授業の内容にその違いがみられ
る。また、現在、2つの国はグローバル化に対応
した人材の育成を進めており、進度は違っても、
目的は同じである。
では、生徒自身は、いったい何をすればいいの
か。自分は、まず、学校での授業や生活に積極的に
なることが必要だと思う。いくら政府が制度を整
えても、対象となる生徒自身が積極的にならなけ
れば意味をなさない。どんなことにも積極的にか
かわり、知ろうとする、生徒自身の姿勢が必要で
ある。
参考文献
・林景明『台湾の「皇民化」教育 ∼私は十五歳で
「学徒兵」となった∼』
・亜洲奈みづほ『現代台湾を知るための60章【第2
版】』
・弓削耕「日本の教育の歩み(1)-(5)」SCE・Net
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・小川佳万「台湾の高級中学における「国際教育」
の特徴と課題」『東北大学大学院教育学研究科
研究年報』第63集・第1号
・郭淑齢・石川由理 『台湾の教育政策におけるグ
ローバル化と伝統文化』
・尹筱嵐(台湾)「台湾の教育の現状について―
「ゆとり教育」後遺症」『日本語日本文学』
・「台湾の教育制度等」http://www.mext.go.jp/
b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/015/siryo/
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・「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告∼グローバル化に対応した英語教育改革の
五 つ の 提 言 ∼ 」 h t t p : / / w w w. m e x t . g o . j p /
b_menu/shingi/chousa/shotou/102/houkoku/
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・大学審議会「グローバル化時代に求められる高
等教育の在り方について(審議の概要)」
・「グローバル化が高校教育に与える影響」http://
www.keinet.ne.jp/gl/14/11/koukou_1411.pdf
ー129ー
・「国際バカロレアについて」http://
w w w. m e x t . g o . j p / a _ m e n u / k o k u s a i / i b /
index.htm
・「スーパーグローバルハイスクール」
www.sghc.jp
年代
・大勝美佳子 「日本の英語教育における問題点 」
『国際基督教大学 教養学部アーツ・サイエンス
学科 進学』
日本
台湾
大宝律令の中で「学令」が定められる
8世紀
9世紀
11世紀
(日本初の教育制度)
有力氏族が寄宿舎や研究室を設ける
空海が綜芸種智院(民衆教育機関)を開く
官職の世襲化により家学(自己の子弟や限られた人に
対してのみ教育を行う)化が進む
12-13世紀 寺院を利用した一般庶民への教育が始まる
地方の文化や芸能が盛んになる
15-16世紀
ヨーロッパ文明が伝えられる
17世紀 寺子屋や藩校を中心に教育が広がる
蘭学の研究が盛んになる
私塾が盛んになる
前期
台湾を統治していたオランダに
より布教活動が始まる
新港に最初の学校が設置され
る
中期
オランダを排除した 氏政権下
で教育制度の整備が進められ
る
台湾初の教育施設が設置され
る
後期
清朝による統治が始まる
無償教育を原則とする官営の書
院が設置される
18世紀
1868 明治維新
1872
国民皆学が奨励され小学校,中学校,大学が設置される
教育令が制定される
79
地方分権が進む
80 改正教育令が制定される
学校令が制定される
85
近代学校制度が整えられる
89 大日本帝国憲法公布
90 教育勅語が明治天皇から下賜される
95
下関条約により日本が台湾を獲得。日本による台湾
統治が始まる
ー130ー
台北市に最初の小学校が設置
される
公学校、小学校、国民学校や、
台湾原住民を対象にした蕃童
教育所や蕃人公学校が設置さ
れる
97-1910 帝国大学が設置される
18 高等学校令,大学令が公布される
「台湾教育令」が公布される
19
25
大学を除く中等教育以上の教育機関 で軍事訓練が必
修となる
台北帝国大学が設立される
28
38-43 戦時下に合わせ,皇国民錬成の体制が作られる
戦時教育令により、国民学校初等科以外での学校の
45.5月
授業が停止。
義務教育普及率が71%になる
(日本に次いで2位)
終戦
8月15日
9月 教科書の中の戦時色の強い部分に墨が塗られる
GHQにより教育の4大指令が出される
1 日本教育制度の管理
10-12月 2 教員や教育関係者の調査や除外
3 神道への政府の関与の禁止
4 修身,日本地理,歴史の授業停止
日本国憲法制定
46
「新教育方針」が打ち出される
教育基本法,学校教育法が公布される
47
義務教育が9年となり、現在の小学校,中学校,高等学
校,大学が誕生する
51
サンフランシスコ平和条約調印。日本が台湾を放棄
国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)に加盟する。
「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が公
布される。
小・中学校学習指導要領改訂
58
学習指導要領が法的拘束力を持つものになる
国共内戦に敗れた中国国民党
が台湾にやってくる
国民党による統治が始まる
56
義務教育が9年になる
68
75 私立学校振興助成法が公布される
2001
中央省庁再編により文部省と科学技術庁が合わさり
文部科学省が設置される
ー131ー
図1 日本と台湾の教育制度
ー132ー
愛知県立旭丘高等学校
国立台湾師範大学付属高級中学校
授業時間
50分授業×7(週1),6(週4)
50分授業×8,9(8:00~16,17:00)
部活動
部活によるが毎日2時間程度
週に一時間ほど
課題
あまりなく、自学自習
大量。夜遅くまでかかることも多い
約3900人(中高一貫)
生徒数
普通科320美術科40×3=1080
数学,科学,語学,音楽など専門コースが多く設
置されている。
卒業後
ほとんどが大学に進学
ほとんどが大学に進学
表1 旭丘高校と台湾師範大学付属高級中学校の比較
ー133ー