牟婁層群 熊野層群

牟婁層群
枯木灘海岸の日置川伊古木から串本町田の崎にかけての海岸では、牟婁層群の地層をよく観察することができます。牟婁層群は、
第三紀始新世∼漸新世(今から5000万年∼2500万年ほど前)の時代に、大陸斜面上の海にたい積したものです。この層群
は、砂岩泥岩の交互層や砂岩、泥岩、れき岩の厚い地層からなり、それらが地かく変動による強い圧力で押されて曲げられ(しゅ
う曲)たり、きれたり(断層)している所がよくみられます。
①天鳥のしゅう曲
(す さみ 町天 鳥)
天鳥のしゅう曲(
天鳥の海岸では、見事なしゅう曲をした砂岩泥
岩の交互層が分布しています .
③ . 黒崎つけ根の南側の牟婁層群
(しゅう 曲)
黒崎つけ根の南側の牟婁層群(
②黒崎の先端部のしゅう曲と断層
オーソコーツァイトのれきを約16%ふくみます。
さらし首層
(串 本町 中平 見)
さらし首層(
オーソコーツァイトを含むれき層
(串本町、田の崎)
オーソコーツァイトを含むれき層(
オーソコーツァイトのれき
さらし首層は、牟婁層群の中でもっとも新しい地層で、角ばった大小さまざまな
れきを含む泥岩からできています . 海岸では泥岩が浸食されて残ったれきが、あたか
も泥の中から首を出しているように見えることから、さらし首の名がつけられまし
た . 牟婁層群のたい積していた海底が浅く不安定になったとき、すでにたい積してい
た地層がくずれ、海底の泥質のたい積物を巻き込みながら移動してたい積したもの
と考えられています .
オーソコーツァイトの表面のようす
牟婁層群のれき岩層のれきに、オーソコーツァイトという石英の粒のみでできた丸いれ
きがふくまれています . オーソコーツァイトは、大陸の砂漠のようなようなところででき
た砂がたい積したもので、ここのれきは、南の方から運ばれてきたことがわかっています
. したがって、牟婁層群がたい積したころ、その南に陸地があったと考えられています .
熊野層群
田辺層群がたい積したのと同じころ(今から1 , 400万年ほど前)、熊野地方にも地層がたい積
する場があり、そこに砂岩や泥岩の地層がたい積しました . この地層を熊野層群とよんでいます .
化石れん痕
(熊野川町小口)
化石れん痕(
牟婁層群の砂岩が海底にたい積したと
き、水の流れによって砂の表面につくられ
たさざ波のような形のもようで、リップル
マークともよばれている .
滝の拝のおう穴
(古座川町小川)
滝の拝のおう穴(
古座川支流の小川の河床は、熊野層群の砂岩層から
できています . おう穴は、その表面にできたへこみに
入った小石が水流によってころがりながらまわりをけ
ずり、しだいに深い穴になったものです . このおう穴
がいくつもつらなっためずらしい地形をしています .
どろ峡
(日高層群、熊野川町)
どろ峡(
熊野川の支流である北山川のどろ峡は、その両岸が日高川層群龍神累層(今
から7 , 000万年ほど前)の砂岩や頁岩からなる絶壁をなし、この地域のい
ちじるしい隆起運動と豊かな水の浸食によってつくられた峡谷である .
③黒崎の根元
全体がしゅう曲しています
天鳥のしゅう曲
このような地層の曲がりがたくさん見られます .
プレートテクトニクスによる沈みこみの力によって曲げられたと考えられていますが、
くわしいところはわかっていません
さらし首層
ここは、串本町田子のドライブインの前の海岸です .
ここの岩や小石は下のでい岩層にくっついています .