編集・発行/信楽園病院検査科 第 7 号 2005年10月発行 大腸がんと便潜血検査 ●大腸がんのプロフィール 臨床検査技師 堀 敦子 に受ける二次検診(バリウムを肛門より大腸 大腸がんは大腸に発生するがんで、中高年 に注入して X 線撮影をする注腸検査や大腸内 に多発しています。食事の欧米化、肉食の増 視鏡検査)では、がんと診断されるのは 1,000 加によって、近年わが国でも大腸がんが急速 人に約2人の割合といわれています。 に増加しています。動物性脂肪の多食、ビー ルの多飲などと関係があるといわれ、将来は 胃がんよりも多くなると予想されています。 ●便潜血検査をするには? 便潜血検査に大変重要なものそれはもちろ ん便です。家で採取してきてください。採便 ●大腸がんの症状 がんがある程度大きくなるとその表面から は便の数ヶ所(表面及び内部)より採取し、 必ず専用容器に入れて持ってきてもらいます。 出血が起こり、便に血が混じるようになりま すぐに持って来れない人は低温で保存し、1 す。それと同時に大腸の内腔が狭くなるので、 週間以内に検査室に提出してください。保存 「便が細くなる」 「排便後の残便感がある」と 状態が不良の場合は正確な結果が出ないこと いった「排便異常」が起こります。このよう があります。 な出血や排便異常は、がんが肛門から近い場 所に出来た場合には気づきやすく、肛門から ●大腸がんの予防法 遠く離れた場所ではわかりにくいです。また 大腸がんの予防にはまず食生活を改善して がんは小さいうちは肛門から近い場所でもな いくことが必要です。和食のように野菜など かなか症状が現れません。 繊維の多い食事を摂るようにしましょう。禁 煙に取りくむことも大切です。禁煙はすべて ●大腸がんの検査 大腸がん検診も急速に普及しつつあります。 のがんの予防にもつながります。また節酒や 塩分の取り過ぎにも気を付け、適度な運動も それは早期発見が治療の第一歩だからです。 心掛けましょう。 大腸がん検診では便の検査が行われます。便 [追記] 中に混入した肉眼的に認めることはできない クが高くなるという結果が厚生労働省研究班 微量の血液を検出する便潜血検査を行います。 の大規模な疫学調査で報告されました(9月 現在多く行われている検査法はヒトヘモグロ 8日発表)。肥満指数「BMI」が 25 未満の ビンを特異的に検出する免疫学的便潜血検査 群に比べ 27 以上 30 未満の群は、大腸がんの で、検査前に肉類や野菜類などの食事制限を リスクが 1.4 倍でした。 ( 女性には関連が見ら することなくできる簡単な検査です。便潜血 れませんでした。) 肥満の男性は大腸がんにかかるリス 検査は、消化管の潰瘍、腫瘍、炎症、感染症 や痔などの出血でも陽性反応が出ます。した がって陽性反応が出たからといって大腸がん と決まったわけではありません。また、便潜 血が陰性だからといって大腸がんが否定でき るわけではありません。便潜血が陽性の場合 1年に1回は便潜血検査を受けましょう!
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