家畜衛生だより 平成24年9月号 タヌキとウシと疥癬症

家畜衛生だより 平成24年9月号
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◆◇ タヌキとウシと疥癬症 ◇◆
秋から冬に向かうにつれ、野山で生きる動物たちにはつらい季節になっていきます。
そんな中で、牛舎というのは野生動物にとって雨風がしのげておまけに栄養価の高いエサ
も置いてあるすばらしい環境です。「うちの牛舎、タヌキが出るんだよ」というお話をちょこちょこ
聞くのも、こんな理由あってこそ。
こういった野生動物の侵入には十分に注意しなければなりません。
これは飼料を盗食されることはもちろん、さまざまな病原体を運んでくるからです。
野生のタヌキは、疥癬(かいせん)症 といわれる皮膚病にかかっているものが少なくありま
せん。これは、ヒゼンダニというダニによる病気で、
痒さのあまり掻き毟ったり、アレルギーを起こしたり
して脱毛を起こしてしまいます。
タヌキ同様、牛に感染した場合も強い痒みや脱毛
が起こります。よく見られるのは、首まわりや眼の周囲、
尾の付け根です。その部分が脱毛し、ひどい場合には
掻き傷だらけになってしまうこともあります。
ヒゼンダニの一種
見た目にも痛々しい上、牛自身にも相当なストレスがかかってしまいます。
また、牛舎内をタヌキがうろうろすることによって牛に感染が広がるだけでなく、飼育者であ
る人間にもダニが移る可能性があるので注意が必要です。
その他、タヌキは寄生虫やハエウジなども運びます。
日頃から衛生管理に気を配っているにも関わらず、タヌキの侵入によってそれが台無しに
なってしまうのは、とても残念な話です。
そこで、
1. 保管する飼料は簡単に盗食されないようにする
2. 飼槽の食べ残しはこまめに取り除いてやる
これらを励行することにより、タヌキが牛舎に入ってくる原因をなくしましょう。
また、感染した場合はイベルメクチン製剤など(使用上の注意事項に留意)により、母牛・
子牛に関わらずしっかり対策を行いましょう。
※ 詳しくは熊野牛子牛育成マニュアルの駆虫プログラムを参考にしてください。
万が一、牛に異常が見られた際には家畜保健衛生所に連絡しましょう。
さらに今一度、飼養衛生管理基準を確認し、衛生的な飼養を行い病原体の侵入防止
に努めましょう。
気になることや不明な点がありましたら最寄りの家畜保健衛生所までご相談ください。