~突撃 ドメーヌ最新情報!!~

2014 年 6 月吉日
~突撃★ドメーヌ最新情報!!~
◆VCN°23 ジャン・フォワヤール
生産地方:ボジョレー
新着ワイン情報
モルゴン・コート・ド・ピィ 2011(赤)
「2011 年は、2010 年や 2006 年同様にボジョレーらしいワインに仕上がっている!」とジャンが言うように、確かに味
わい的には 2010 年に近い。果実味豊かでとてもエレガントなワインだ!さらに 2011 年は香りが初めから開いていて、
空けた瞬間からチェリーやオレンジピール、バラの香りが立つ!酒質も柔らかく今がまさに飲み頃のワインだ!
モルゴン・コルスレット 2012(赤)
べト病の猛威にあった大変厳しい年で、収量は例年の 50%減。しかも、ブドウの状態は完璧とは言えず、多くのブドウが
選果で落とされた。醸造中に揮発酸が一時上昇するリスクもあったようだが、見事回避!最終的にスマートにまとまったワ
インをに仕上げている。ジャン曰く、味わい的には 2008 年や 2011 年に近いとのこと。ガメイというよりも、ブラインドだっ
たら思わずブルゴーニュのピノと言ってしまいそうなフィネスと上品さを兼ね備えている!
フルーリー2010(赤)
2 年前に初めてテインスティングし、あまりの美味さに感動して以来ずっとリリースを待ち望んでいたフルーリー2010
年!「ワインのバランス、味わい全てにおいて群を抜いている!」とジャン自身も自賛するスーパーワインだ!瓶詰めか
ら 2 年半を経てますます円熟した味わいに磨きがかかる!今回のコルスレット以上にピノのキャラクターが秀でていて、
滑らかで艶美な果実味と骨格のあるボディは、まるで上品なニュイのワインを彷彿させる!!
ミレジム情報 当主ジャン・フォワヤールのコメント
今回リリースするワインのミレジムについて語る。
2010 年は、まさに生産者の仕事ぶりがそのままワインに反映された年!開花の時期に雨が降り続いたり、雹が降った
りと、天候自体は全く安定せず、ベト病や黒痘病など病気の繁殖しやすい条件が次々と重なった。私はバカンス返上で毎
日畑に出て、天気予報に注意しながら適切なタイミングでボルドー液の散布を行ない、適切な仕事をしたかいあって、満
足の行くブドウを収穫することができた。ブドウに結実不良が多かったおかげで、味わいに凝縮感がある!
2011 年は春がまるで夏に変ったような異常気象で、その影響からブドウの成長は約 1 ヶ月早いサイクルで進行して行き、
ブドウの完熟も例年より 2~3 週間早かった。2011 年のブドウの大きな特徴は、フェノール自体は十分熟していたのに、待っ
ても全然糖度が上がらなかったことだった。ワインのボリュームは控えめで、キュッと引き締まり、シャープに仕上がっている。
2012 年は、ブドウのポテンシャルに助けられた年!ミレジム的には、私がワインをつくり始めて以来、最も厳しい年
だったといえる。ベト病が猛威を振るい、その影響でブドウの収量が大きく減ってしまった。収穫直前までブドウの糖度
が上がらず、最悪ピィとコースレットはつくらない覚悟を決めていた。だが、房が極端に少なかったおかげもあってか、天
候回復につれ後半から一気に巻き返し、最終的に質の良いしっかりと中身の凝縮したブドウを収穫することができた!
「ヨシ」のつ・ぶ・や・き
2011 年は比較的豊作だったが、2010 年と 2012 年のような決して当たり年とは言えないミレジムでも、きれいに
ワインをまとめるジャンのセンスは、やっぱりさすがだ!でも、揮発酸の値を見ると意外に高いのがちょっと驚き!実際、
コルスレットが 0.73g/l、フルーリーに至っては 0.82g/l もある!1g/l を超えると AOC の認可が下りないといわれてい
る中で、この数字は決して低くなく、醸造学的にぎりぎりセーフというような数値だが、ワインからマイナスな要素が全
く感じられない!むしろ気品のあるワインに仕上がっている!結局、揮発酸が高い数値でも、全体のバランス構成が良
ければワインに華やかさが加わり、素直に美味しいと思えてしまう。揮発酸は、教科書とおりの 100 点ワインでは出会
えない、ヴァンナチュールを代表する魅力的な要素に違いない!(2014.5.12.ドメーヌ突撃訪問より)
ボジョレー無双の果実味にノックアウト!一度飲んだら虜になること間違いなし!
Jean FOILLARD
(ジャン・フォワヤール)
生産地
マコンからリヨンへ南下する途中、右手に大小起伏のある山々の連なる光景が一面に広がる。ボジョレーの街ベルヴィルから西へ6km ほど緩や
かに登りきったところに、クリュ・ボジョレーのひとつであるモルゴンの産地ヴィリエ・モルゴン村がある。その村の中心地から少し外れたとこ
ろにジャン・フォイヤールのドメーヌがある。
畑の総面積は11ha。そのうちの6ha はクリュ・ボジョレーの畑で、モルゴンの中でもとりわけ評価の高い区画である「コート・ド・ピィ(Cote
de Py )」とその近辺に持つ。その他の畑もちょうどモルゴンとボジョレヴィラージュを挟む境界付近に点在し、クリュ・ボジョレー、ボジョレ
ー共にテロワール的には非常に恵まれた環境下でブドウを栽培している。気候はコンチネンタルで、夏はたいへん暑く冬はたいへん寒い。東西南
北に広がる丘陵地帯によって、冷たい風や多量の雨からブドウ畑が守られている。
歴史
現オーナーであるジャン・フォイヤールは、以前はワインの瓶詰め会社で働いていた。当時、仕事で瓶詰め設備のない小さなワイナリーをまわる
機会の多かった彼は、マルセル・ラピエール、ギイ・ブルトン、イヴォン・メトラ等、現在活躍する自然派ワインの生産者と深く知り合い、次第
に彼らのワインづくりに興味を抱くようになる。特にマルセル・ラピエールに影響を受けたという彼は、ジュール・ショーヴェの本を片手に、マ
ルセルのカーヴに足繁く通いながら独学でワインの醸造を勉強した。1981年、彼の義父が老年により畑仕事を辞めたのをきっかけに、畑を譲
り受け本格的にワインづくりをスタートする。現在ではマルセル・ラピエールに次ぐボジョレー自然派ワインの代表格となっている。
生産者
現在、ジャン・フォイヤールは11ha の畑を4人で管理している。ブドウの品種は、ガメイのみで、樹齢は27~70年。畑は硫黄とボルドー
液散布のみで、100%ビオロジック。とにかくブドウの質にこだわり、収穫時の選果は粒レベルで傷んだブドウは一切入れない。低温でのマセ
ラシオンで、じっくり時間をかけた仕込みから出来上がるワインはまさに上品の一言。彼のつくり出す果実味豊かでエレガントなワインは、自然
派ワインの愛好家以外の人たちからも評価が高く、ワインガイド「ル・クラスマン」を始めさまざまなガイドで取り上げられている。
ジャン・フォイヤールの+α情報
<もっと知りたい畑のこと>
土壌:サーブル・カリケール
総面積:11ヘクタール
品種:ガメイ、シャルドネ(買ブドウ)
樹齢:27~70年(シャルドネは20年平均)
剪定方法:ゴブレ
生産量:50hl(1ヘクタールあたり)
収穫方法:収穫者15人前後でケースを使った手摘み。畑で粒レベルの選果
ビオの認証:なし
<もっと知りたい醸造のこと>
醸造方法:赤はマセラシオン・カルボニック、白はトラディショナル。
赤は、ブドウを畑で選果後、房のままセメントタンクへ。その前にタンク内に「ピエ・ド・キューヴ」と呼ばれるすでに先に熟したブドウを敷い
て醗酵を促し、その上に収穫したブドウを入れていく。いったんキューヴの温度を7~8℃まで下げて、低温マセラシオンを施す。この間に二酸
化炭素をキューヴ内に加え充満させておく。タンクを密閉のまま発酵・浸漬期間は23日間。ルモンタージュ、ピジャージュは一切なし。垂直プ
レス機で時間をかけてプレスをした後、フリーランとアッサンブラージュ。古樽または大樽(フードル)、もしくはセメントタンクに移し3~8
ヶ月の熟成。
白は、畑での選果後、房のまま垂直プレスで4時間かけて圧搾。プレス後、ジュースをイノックスタンクに移し、温度14℃~18℃での低温発
酵で7ヶ月の醗酵熟成。澱引き後1ヶ月の清澄を経て瓶詰め。
酵母:自然酵母
発酵期間:セメントタンクで23日間
熟成方法:古樽、フードル、イノックスタンクまたはセメントタンク(モルゴンはセメントタンクで3~4ヶ月、モルゴン・コルスレットは古樽
で7ヶ月、モルゴン・コート・ド・ピィは古樽50%フードル50%で8ヶ月、モルゴン・コート・ド・ピィ・ヴィエーユ・ヴィーニュは古樽で
8 ヶ月の熟成)
SO2 添加:瓶詰め中に極微量
熟成樽:2~5 年樽
フィルター:なし、白はメンブランシート
ちょっと一言、独り言
初めてジャン・フォイヤールのワインを知ったのは 2 年前、ロワールのドメーヌで剪定作業を 1 週間だけ手伝いに行った時だった。2 日目の夜に
出してもらったワイン、あまりにも美味しくてそのワインの名前だけなぐり書きしたメモ帳が今でも残っている。そのメモには Py だけしか書
かれていないが、それがまさにジャン・フォイヤールの Morgon Cote de Py だったのである。以後は、自然派ワインのサロンがある度に、彼の
ブースで顔を合わせ試飲をさせてもらい、その度に一人で感動していたが、今回のように実際に彼のドメーヌに赴いてじっくり話しをしたのは初
めてだった。
彼の印象は、見た目の仏頂面とは正反対に、性格は明るく、ワイン好きのイイおっちゃんという感じだ。「昨日の飲み過ぎたお酒がまだ残ってい
て頭がボーとしているんだ」と言いながら、さっそく封の切られていないモルゴンを開けて、自分にも私にもグラスなみなみに注いで朝から迎酒!
私はこれからジャンのワインの試飲と午後から別のドメーヌ訪問が控えていたので、注がれた一杯をゆっくり口にしながら話しを進めていったが、
彼は話しの間に軽く一本を空けてしまった!確かにジャンのワインはどれも美味しいので、普通に一本くらいは簡単に空いてしまいそうだが・・・
でも、これから畑とカーヴを見に行かなければならないし、いきなりのハイペースで大丈夫なのだろうか?
そんな心配はよそに、彼は酒の勢いで多少明るくなっただけで、畑案内とカーヴ説明はしっかりこなしてくれた。さすが大モノは違う!ちなみに
彼にプライベートの趣味を聞いたところ「飲むこと!」と間髪入れずに応えてくれたので、相当ワインが好きなのだろう。
彼は、ジュール・ショーヴェやマルセルラピエールのワイン哲学から大きな影響を受けているが、実際に醸造学校等で学んだことはないという。
彼のコンセプトはワインらしいワインをつくるのではなく、ピュアなブドウをそのまま醗酵させたお酒をつくることで、低温でマセレーションす
ること以外は技術的にほとんど人の手をかけない。かの Bettane&Desseauve の Le Classement ではジャン・フォイヤールのワインを「全ての
要素が素晴らしく融和されて、みごとなバランスを保ちながらも、後味に若々しいタンニンを感じる、誰にもまねできない彼独特の秘法が隠され
ている」と絶賛する。彼には天性の才能があるのだろうか。
ジャンはまた、当然ながらボジョレーヌーボーも生産する。彼のヌーボーの特徴は長いマセレーション。ヌーボーは解禁日が決まっているため、
実際多くのワイナリーは、解禁日に遅れないようマセレーションの期間を短くしたり、発酵温度を高めに設定し発酵をスムーズに終わらせるよう
なリスク回避を行なっている。一方で、彼のヌーボーはそのような流れに逆行するかのように、自然酵母、低温長期浸漬と解禁日ぎりぎりのせめ
ぎ合いで少しでも品質の向上を図る努力をしている。「ボジョレーヌーボーが、世界的にある種の収穫祭的な要素で盛り上がるのは大いに結構だ
が、本当にしっかりつくったボジョレーは、ブルゴーニュのグランクリュに匹敵するくらいのポテンシャルがある」と言い切る彼は、ヌーボーが
たんなるお祭り的なキーワードではなく、常にクリュ・ボジョレーの試金石となる質の高いものでなくては
ならないと肝に銘じている。
品質よりも商業主義に走りがちなボジョレー生産者に一石を投じる彼の素晴らしい渾身を込めたキュヴェのラインナップをぜひお試しあれ!