2016 年 7 月吉日 ~突撃★ドメーヌ最新情報!!~ ◆VCN°23 ジャン・フォワヤール 生産地方:ボジョレー 新着ワイン情報 AC ボジョレー・アリザリーヌ 2015(赤) 2015 年はワインの当たり年!収穫は例年よりも 2 週間早い 8 月 28 日にスタートしている!2014 年に比べてブドウの粒が小さく果汁が凝縮していた結果、出来上がったワインはボリュームが豊かでス パイシー!一方で、明るくチャーミングな果実味を見事に引き出しつつ、ワイン全体を上品にまとめる ところはさすが巨匠のジャンだ!彼曰く、2015 年はブドウの果皮が厚くジュースも凝縮していたので、 ワインが重たくならないよう抽出を抑えることに細心の注意を払ったとのこと。落ち着いて食事と合わ せるのはもちろん、ちょっと引っ掛けるにも最高のワインだ! AC モルゴン・コルスレット 2014(赤) 2014 年は、前半の天候が悪く凶作が心配されたが、収穫の直前に奇跡的に天気が持ち直したミラク ルな年で、ジャンお気に入りのミレジムだ!収穫直前までヴェレゾンも終わらず未熟だったブドウが、 最終的に例年以上のアルコール度数のワインに仕上がったのをみても、いかに最後の天候に助けられた かが良く分かる!プラス、夏が涼しかったおかげでブドウにしっかりと酸が残り、とてもエレガントで バランスの良いワインに仕上がっている!ジャン曰く、2014 年は今飲んで美味しい状態にあるとのこ と!バラやシャクヤクなど香りがすでに華やかに開いていて果実味も艶やかで、ため息が出るくらい官 能的なワインだ! ミレジム情報 当主ジャン・フォワヤールのコメント 今回リリースするワインのミレジムについて語る。 2014 年は、2013 年同様に難しい年だった。スタートは全て順調で、開花も例年より 3 週間も早く、 雨が降らないことが少し心配なくらい天気に恵まれていた。だが、7 月に入り一転、気温も低く 1 日お きに雨が降るような不安定な天候が 8 月終わりまで続いた。夏らしい日がほとんどなく、ブドウの成長 にもブレーキがかかり、毎日がベト病対策に追われる日々だった。このまま行くとブドウが未熟のまま 収穫に入らざるを得ないと半ば絶望的だったが、9 月に入り再び天気が戻ってきた。夏が遅れたように やって来て、ブレーキのかかったブドウも全てみごとに熟し、最終的に傷のないきれいなブドウを収穫 することができた。 2015 年は水不足の年だったが、ワインの品質的には 2005 年や 2009 年に通じる当たり年だった。 ブドウの開花は例年よりも 2 週間早い 6 月1日頃から始まり、あっという間に終わった。雨は 6 月中旬 に 60 ㎜の大雨が降ったきり、8 月の中旬までほとんど降らなかった。空気が乾燥していたおかげでブ ドウの病気は全くなく房の数も多かったが、一方で粒の大きさが小さく例年の半分ほどだった。長引く 水不足と猛暑の影響で、ヴェレゾンの時期から成長にブレーキがかりブドウのバテ気味だったが、8 月 15 日に 30 mm くらいの恵みの雨が降ってくれたおかげで、多少息を吹き返した。ただ、総じて水不 足は解消されず、結局収穫したブドウは小粒で果皮が厚く果汁が濃厚だった。 「ヨシ」のつ・ぶ・や・き 昨年の 5 月中旬に初来日を果たして以来すっかり親日となったジャンとアニエス! ジャンに今回、 「日本のどういうところに感銘を受けたか?」と質問してみた。彼は真っ先に日本の 食べ物の美味しさと日本人のホスピタリティーを挙げてくれた。彼らは日本ではじめてクジラを食べた のだが、そのことについて感想を聞いてみると「私は政治を背景に食べ物を選んでいる訳ではない」と 軽い口調で意味深い回答をしてくれた。 日本人のホスピタリティーについては、誰もが嫌な顔をせず親切に対応してくれることに対し本当に 感銘を受けたようだ。彼らとの関係も今まで以上に深まり、コミュニケーションも非常にスムーズで、 お世話になった日本の皆様のおかげと、改めて皆様に感謝です♪ (2016.5.30.ドメーヌ突撃訪問より) ボジョレー無双の果実味にノックアウト!一度飲んだら虜になること間違いなし! ジャン・フォワヤール 生産地 マコンからリヨンへ南下する途中、右手に大小起伏のある山々の連なる光景が一面に広がる。ボジョ レーの街ベルヴィルから西へ6km ほど緩やかに登りきったところに、クリュ・ボジョレーのひとつで あるモルゴンの産地ヴィリエ・モルゴン村がある。その村の中心地から少し外れたところにジャン・フ ォイヤールのドメーヌがある。 畑の総面積は 16 ha。そのうちの 1/3 はクリュ・ボジョレーの畑で、モルゴンの中でもとりわけ評価 の高い区画である「コート・ド・ピィ(Cote de Py)」とその近辺に持つ。その他の畑もちょうどモル ゴンとボジョレヴィラージュを挟む境界付近に点在し、クリュ・ボジョレー、ボジョレー共にテロワー ル的には非常に恵まれた環境下でブドウを栽培している。気候はコンチネンタルで、夏はたいへん暑く 冬はたいへん寒い。東西南北に広がる丘陵地帯によって、冷たい風や多量の雨からブドウ畑が守られて いる。 歴史 現オーナーであるジャン・フォワヤールは、以前はワインの瓶詰め会社で働いていた。当時、仕事で 瓶詰め設備のない小さなワイナリーをまわる機会の多かった彼は、マルセル・ラピエール、ギイ・ブル トン、イヴォン・メトラ等、現在活躍する自然派ワインの生産者と深く知り合い、次第に彼らのワイン づくりに興味を抱くようになる。特にマルセル・ラピエールに影響を受けたという彼は、ジュール・シ ョーヴェの本を片手に、マルセルのカーヴに足繁く通いながら独学でワインの醸造を勉強した。1981 年、彼の父が畑仕事を辞めたのをきっかけに、畑を譲り受け本格的にワインづくりをスタートさせる。 ジャンの艶っぽく、エレガントなガメイは、ボジョレーのヴァンナチュールを代表するだけではなく、 AOC、ヴァンナチュール、品種の枠を超え、現在世界各国で高く評価されている。 生産者 現在、ジャン・フォワヤールは 16 ha の畑を 5 人で管理している。ブドウの品種は、ガメイのみで、 樹齢は 21~86 年。畑は硫黄とボルドー液散布のみで、100%ビオロジック。とにかくブドウの質にこ だわり、収穫時の選果は粒レベルで傷んだブドウは一切入れない。低温でのマセラシオンで、じっくり 時間をかけた仕込みから出来上がるワインはまさに上品の一言。彼のつくり出す果実味豊かでエレガン トなワインは、ヴァンナチュールワインの愛好家以外の人たちからも評価が高く、ワインガイド「ル・ クラスマン」を始めさまざまなガイドで取り上げられている。 ジャン・フォイヤールの+α情報 <もっと知りたい畑のこと> 土壌:サーブル・カリケール 総面積:16 ha 品種:ガメイ 樹齢:21~86 年 剪定方法:ゴブレ 生産量:50 hL/ha 収穫方法:収穫者 15 人前後でケースを使った手摘み。畑で粒レベルの選果 ビオの認証:なし <もっと知りたい醸造のこと> 醸造方法:マセラシオン・カルボニック ① タンク内に葡萄を先に敷いて、醗酵を促しておく( 「ピエ・ド・キューヴ」 ) ② 冷温室で葡萄を 4℃~7℃くらいまで冷やす ③ 冷やした葡萄を房のまま①のタンクへ ④ 二酸化炭素をタンク内に充満し、低温マセラシオン(7~8℃) ⑤ タンク密閉のまま自然発酵、浸漬期間は 3~4 週間 ⑥ (ルモンタージュ、ピジャージュは一切なし) ⑦ 空気圧式プレス機で時間をかけてプレス ⑧ フリーランとブレンド ⑨ 古樽、大樽(フードル)、セメントタンクに移し 3~8 ヶ月の熟成。 酵母:自然酵母 発酵期間:セメントタンクで 23 日間 熟成方法:古樽、フードル、イノックスタンクまたはセメントタンク(モルゴンはセメントタンクで3~4 ヶ月、モルゴン・コルスレットは古樽で 7 ヶ月、モルゴン・コート・ド・ピィは古樽 50%フードル 50%で 8 ヶ月、モルゴン・コート・ド・ピィ・ヴィエーユ・ヴィーニュは古樽で 8 ヶ月の熟成) SO2 添加:瓶詰め中に極微量 熟成樽:2~5 年樽 フィルター:なし(アリザリーヌ有) ちょっと一言、独り言 初めてジャン・フォワヤールのワインを知ったのは 2005 年、ロワールのドメーヌで剪定作業を 1 週間だ け手伝いに行った時だった。2 日目の夜に出してもらったワイン、あまりにも美味しくてそのワインの名前 だけなぐり書きしたメモ帳が今でも残っている。そのメモには Py だけしか書かれていないが、それがまさ にジャン・フォワヤールの Morgon Cote du Py だったのである。以後は、自然派ワインのサロンがある度 に、彼のブースで顔を合わせ試飲をさせてもらい、その度に一人で感動していたが、今回のように実際に彼 のドメーヌに赴いてじっくり話しをしたのは初めてだった。 彼の印象は、見た目の仏頂面とは正反対に、性格は明るく、ワイン好きのイイおっちゃんという感じだ。 「昨日の飲み過ぎたお酒がまだ残っていて頭がボーとしているんだ」と言いながら、さっそく封の切られて いないモルゴンを開けて、自分にも私にもグラスなみなみに注いで朝から迎酒!私はこれからジャンのワイ ンの試飲と午後から別のドメーヌ訪問が控えていたので、注がれた一杯をゆっくり口にしながら話しを進め ていったが、彼は話しの間に軽く一本を空けてしまった!確かにジャンのワインはどれも美味しいので、普 通に一本くらいは簡単に空いてしまいそうだが・・・でも、これから畑とカーヴを見に行かなければならないし、 いきなりのハイペースで大丈夫なのだろうか? そんな心配はよそに、彼は酒の勢いで多少明るくなっただけで、畑案内とカーヴ説明はしっかりこなしてく れた。さすが大モノは違う!ちなみに彼にプライベートの趣味を聞いたところ「飲むこと!」と間髪入れず に応えてくれたので、相当ワインが好きなのだろう。 彼は、ジュール・ショーヴェやマルセル・ラピエールのワイン哲学から大きな影響を受けているが、実際 に醸造学校等で学んだことはないという。彼のコンセプトはワインらしいワインをつくるのではなく、ピュ アなブドウをそのまま醗酵させたお酒をつくることで、低温でマセレーションすること以外は技術的にほと んど人の手をかけない。かの Bettane&Desseauve の Le Classement ではジャン・フォワヤールのワイン を「全ての要素が素晴らしく融和されて、みごとなバランスを保ちながらも、後味に若々しいタンニンを感 じる、誰にもまねできない彼独特の秘法が隠されている」と絶賛する。彼には天性の才能があるのだろうか。 ジャンはまた、当然ながらボジョレーヌーボーも生産する。彼のヌーボーの特徴は長いマセレーション。 ヌーボーは解禁日が決まっているため、実際多くのワイナリーは、解禁日に遅れないようマセレーションの 期間を短くしたり、発酵温度を高めに設定し発酵をスムーズに終わらせるようなリスク回避を行なっている。 一方で、彼のヌーボーはそのような流れに逆行するかのように、自然酵母、低温長期浸漬と解禁日ぎりぎり のせめぎ合いで少しでも品質の向上を図る努力をしている。 「ボジョレーヌーボーが、世界的にある種の収穫 祭的な要素で盛り上がるのは大いに結構だが、本当にしっかりつくったボジョレーは、ブルゴーニュのグラ ンクリュに匹敵するくらいのポテンシャルがある」と言い切る彼は、ヌーボーがたんなるお祭り的なキーワ ードではなく、常にクリュ・ボジョレーの試金石となる質の高いものでなくてはならないと肝に銘じている。 品質よりも商業主義に走りがちなボジョレー生産者に一石を投じる彼の素晴らしい渾身の力を込めたキュ ヴェのラインナップをぜひお試しあれ!
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