生産者の詳細情報

2016 年 11 月吉日
~突撃★ドメーヌ最新情報!!~
◆VCN°23 ジャン・フォワヤール
生産地方:ボジョレー
新着ワイン 4 種類♪
AC モルゴン・コート・デュ・ピィ 2014(赤)
2014 年は収穫直前の天気に救われたミラクルな年!ジャン曰く、長熟なワインではないが、彼の理想としてい
るエレガントな果実味と酸のバランスが整った、今飲んでパーフェクトに近いワインが出来上がったとのこと!確
かに、果実味がビロードのように滑らかで、アフターに支える洗練されたミネラルもバランスが良く、毎度のごと
くボジョレーというカテゴリーを超越したフォワイヤール節が全開だ!これだからジャンのコート・デュ・ピィは
止められない!
AC モルゴン・コート・デュ・ピィ キュヴェ 3.14π2013(赤)
コート・デュ・ピィの樹齢 85 年を超すヴィエーユ・ヴィーニュが表現するフィネスと力強さを表現し、長熟を
コンセプトとしているため本来はいわゆる当たり年というミレジムしかつくらない。だが、2013 年は厳しいミレ
ジムにもかかわらずジャンはヴィエーユ・ヴィーニュの持つ表現力に期待を込めて、特例的に仕込んでいる!出来
立てのワインを試飲した時の印象と比べて、現在は瓶の中で 3 年熟成し、見事に見違えるような素晴らしいバラン
スのワインに変化している!今でこそはっきりコート・デュ・ピィとの差があるので、本当にブレンドしなくて良
かったと実感。35 年ワインを仕込み続けたジャンの経験値を感じさせる、最高峰のエレガンスをぜひ!!
AC モルゴン・レ・シャルム エポニム 2013(赤)
レ・シャルムはモルゴンの中で一番果実味がエレガントと言われていて、ジャンが長年仕込んでみたいと思って
いたクリマだ!キュベ名の EPONYM は、名称の起源となった(人)名のことを意味したり、また何かの名にちな
んで名付けることを意味したりする(例えばエッフェル塔は設計士エッフェル氏の名前にちなんでいる)。
通常、クリマ名からちなんで(エポニムして)そのままワイン名を「レ・シャルム」とするワインが世には多い
ので、今回はジャンとアニエスはひねりを効かし、ワイン名を「キュベ・エポニム」とし、LES CHARMES という
クリマ名をひそかにワイン名に表現している!(2013 年のラベルには LES CHARMES と小さく書かれているが、
今後はなくなる予定!)
ちなみに、モルゴンの字体と赤い点は日本をイメージしているそうだ!2015 年の来日で日本に感動したジャン
とアニエスは、そこからインスピレーションを得たようだ!(余談だが、二人は新しい飼い犬の名前を「ミソ(味
噌)
」と名付けるほど日本ファンになっている!)2013 年は、天候が厳しくアルコール度数も 11.5%までしか上
がらなかったが、ジャンの好きなエレガントな果実味は健在で、シスト土壌からくる鋭くタイトなミネラルがしっ
かりと骨格を形成する!
AC フルーリー2013(赤)
2013 年は、気温が低く、さらに雨が多くベト病が繁殖した厳しい年だった。収量は 25 hL/ha と 40%減…。だが、
収量が減ったのは実際ベト病の被害ではなく、開花前に気温が上がらなかった影響でブドウの実そのものが付かな
かったことが原因だった。なので、残ったブドウは風通しも良く、病気にはほとんどかからなかった!さらに、前
半からブドウが少なかったことで、熟すのが難しい年の中、健全なブドウのまま潜在アルコール度数 12.5%を超え
るまで持って行くことができた!ワインはジャンの好きなエレガントで果実がとてもチャーミングな味わいに仕上
がっている!ヴァンナチュール特有の柑橘系の香りもありとても官能的なワインだ!
ミレジム情報 当主ジャン・フォワヤールのコメント
2013 年は、最終的には状態の良いブドウを収穫できたが、ミレジム的には難しい年だった。春は気温が上がら
ず雨の多い天候が続き、開花のスタートが例年よりも 3 週間遅れた上に時期も長くまばらだった。また、湿気が高
かったためベト病の心配が常にあり、ボルドー液の散布もいつも以上に回数が多かった。7 月後半から天候が回復
し、遅れていた成長を幾分取り戻したが、9 月に入り再び涼しく不安定な天候に逆戻り。ブドウの糖度がなかなか
上がらず、12%を超える完熟したブドウを収穫するのに例年よりも 2 週間以上多く待たなくてはならなかった。
2014 年は、2013 年同様に難しい年だった。スタートは全て順調で、開花も例年より 3 週間も早く、雨が降ら
ないことが少し心配なくらい天気に恵まれていた。だが、7 月に入り一転、気温も低く 1 日おきに雨が降るような
不安定な天候が 8 月終わりまで続いた。夏らしい日がほとんどなく、ブドウの成長にもブレーキがかかり、毎日が
ベト病対策に追われる日々だった。このまま行くとブドウが未熟のまま収穫に入らざるを得ないと半ば絶望的だっ
たが、9 月に入り再び天気が戻ってきた。夏が遅れたようにやって来て、ブレーキのかかったブドウも全てみごと
に熟し、最終的に傷のないきれいなブドウを収穫することができた!
「ヨシ」のつ・ぶ・や・き
今年もジャンの収穫に参加した!2016 年は、コルスレットとフルーリーに雹の甚大な被害があったが、モルゴ
ン全体としては 2010 年のようなバランス良いワインとなりそうだ!
ところで、今回の収穫参加でジャンが新しくカーヴを建設していることが判明!収穫時の朝は暗かったので気づ
かなかったが、収穫から帰ってきた後、ジャンのカーヴの隣に目をやると、建設途中のどでかい新カーヴがあるで
はないか!ジャン曰く、今のカーヴは醸造所としては全く問題ないが、熟成カーヴとしては地下が狭く作業の効率
がものすごく悪いとのことで、作業効率の良いカーヴを新たに建設することにしたそうだ。来年から正式に稼働す
る予定の新設カーヴの広さは小学校の体育館並みで、その中でも特筆すべきことは、地下に 100m2 ほどの個人用
のワインストック場を設けることだ!ストックのスペースを設けたジャンはこれから将来に向けて毎年 600 本以
上のワインを確保する予定だ!すでにレジェンドとなっている彼の古酒がベストのコンディションで長年熟成され
ていくと思うと、ロマンを感じずにはいられない・・嗚呼、飲ませて欲しい~!!
(2016.9.29.のドメーヌ突撃訪問より)
ボジョレー無双の果実味にノックアウト!一度飲んだら虜になること間違いなし!
ジャン・フォワヤール
生産地
マコンからリヨンへ南下する途中、右手に大小起伏のある山々の連なる光景が一面に広がる。ボジョレーの
街ベルヴィルから西へ6km ほど緩やかに登りきったところに、クリュ・ボジョレーのひとつであるモルゴン
の産地ヴィリエ・モルゴン村がある。その村の中心地から少し外れたところにジャン・フォイヤールのドメー
ヌがある。
畑の総面積は 16 ha。そのうちの 1/3 はクリュ・ボジョレーの畑で、モルゴンの中でもとりわけ評価の高
い区画である「コート・ド・ピィ(Cote de Py)
」とその近辺に持つ。その他の畑もちょうどモルゴンとボジ
ョレヴィラージュを挟む境界付近に点在し、クリュ・ボジョレー、ボジョレー共にテロワール的には非常に恵
まれた環境下でブドウを栽培している。気候はコンチネンタルで、夏はたいへん暑く冬はたいへん寒い。東西
南北に広がる丘陵地帯によって、冷たい風や多量の雨からブドウ畑が守られている。
歴史
現オーナーであるジャン・フォワヤールは、以前はワインの瓶詰め会社で働いていた。当時、仕事で瓶詰め
設備のない小さなワイナリーをまわる機会の多かった彼は、マルセル・ラピエール、ギイ・ブルトン、イヴォ
ン・メトラ等、現在活躍する自然派ワインの生産者と深く知り合い、次第に彼らのワインづくりに興味を抱く
ようになる。特にマルセル・ラピエールに影響を受けたという彼は、ジュール・ショーヴェの本を片手に、マ
ルセルのカーヴに足繁く通いながら独学でワインの醸造を勉強した。1981 年、彼の父が畑仕事を辞めたのを
きっかけに、畑を譲り受け本格的にワインづくりをスタートさせる。ジャンの艶っぽく、エレガントなガメイ
は、ボジョレーのヴァンナチュールを代表するだけではなく、AOC、ヴァンナチュール、品種の枠を超え、
現在世界各国で高く評価されている。
生産者
現在、ジャン・フォワヤールは 16 ha の畑を 5 人で管理している。ブドウの品種は、ガメイのみで、樹齢
は 21~86 年。畑は硫黄とボルドー液散布のみで、100%ビオロジック。とにかくブドウの質にこだわり、収
穫時の選果は粒レベルで傷んだブドウは一切入れない。低温でのマセラシオンで、じっくり時間をかけた仕込
みから出来上がるワインはまさに上品の一言。彼のつくり出す果実味豊かでエレガントなワインは、ヴァンナ
チュールワインの愛好家以外の人たちからも評価が高く、ワインガイド「ル・クラスマン」を始めさまざまな
ガイドで取り上げられている。
ジャン・フォイヤールの+α情報
<もっと知りたい畑のこと>
土壌:サーブル・カリケール
総面積:16 ha
品種:ガメイ
樹齢:21~86 年
剪定方法:ゴブレ
生産量:50 hL/ha
収穫方法:収穫者 15 人前後でケースを使った手摘み。畑で粒レベルの選果
ビオの認証:なし
<もっと知りたい醸造のこと>
醸造方法:マセラシオン・カルボニック
① タンク内に葡萄を先に敷いて、醗酵を促しておく(
「ピエ・ド・キューヴ」
)
② 冷温室で葡萄を 4℃~7℃くらいまで冷やす
③ 冷やした葡萄を房のまま①のタンクへ
④ 二酸化炭素をタンク内に充満し、低温マセラシオン(7~8℃)
⑤ タンク密閉のまま自然発酵、浸漬期間は 3~4 週間
⑥ (ルモンタージュ、ピジャージュは一切なし)
⑦ 空気圧式プレス機で時間をかけてプレス
⑧ フリーランとブレンド
⑨ 古樽、大樽(フードル)、セメントタンクに移し 3~8 ヶ月の熟成。
酵母:自然酵母
発酵期間:セメントタンクで 23 日間
熟成方法:古樽、フードル、イノックスタンクまたはセメントタンク(モルゴンはセメントタンクで3~4ヶ月、
モルゴン・コルスレットは古樽で 7 ヶ月、モルゴン・コート・ド・ピィは古樽 50%フードル 50%で 8 ヶ月、モル
ゴン・コート・ド・ピィ・ヴィエーユ・ヴィーニュは古樽で 8 ヶ月の熟成)
SO2 添加:瓶詰め中に極微量
熟成樽:2~5 年樽
フィルター:なし(アリザリーヌ有)
ちょっと一言、独り言
初めてジャン・フォワヤールのワインを知ったのは 2005 年、ロワールのドメーヌで剪定作業を 1 週間だけ手伝
いに行った時だった。2 日目の夜に出してもらったワイン、あまりにも美味しくてそのワインの名前だけなぐり書
きしたメモ帳が今でも残っている。そのメモには Py だけしか書かれていないが、それがまさにジャン・フォワヤ
ールの Morgon Cote du Py だったのである。以後は、自然派ワインのサロンがある度に、彼のブースで顔を合わ
せ試飲をさせてもらい、その度に一人で感動していたが、今回のように実際に彼のドメーヌに赴いてじっくり話し
をしたのは初めてだった。
彼の印象は、見た目の仏頂面とは正反対に、性格は明るく、ワイン好きのイイおっちゃんという感じだ。
「昨日の
飲み過ぎたお酒がまだ残っていて頭がボーとしているんだ」と言いながら、さっそく封の切られていないモルゴン
を開けて、自分にも私にもグラスなみなみに注いで朝から迎酒!私はこれからジャンのワインの試飲と午後から別
のドメーヌ訪問が控えていたので、注がれた一杯をゆっくり口にしながら話しを進めていったが、彼は話しの間に
軽く一本を空けてしまった!確かにジャンのワインはどれも美味しいので、普通に一本くらいは簡単に空いてしま
いそうだが・・・でも、これから畑とカーヴを見に行かなければならないし、いきなりのハイペースで大丈夫なのだろ
うか?
そんな心配はよそに、彼は酒の勢いで多少明るくなっただけで、畑案内とカーヴ説明はしっかりこなしてくれた。
さすが大モノは違う!ちなみに彼にプライベートの趣味を聞いたところ「飲むこと!」と間髪入れずに応えてくれ
たので、相当ワインが好きなのだろう。
彼は、ジュール・ショーヴェやマルセル・ラピエールのワイン哲学から大きな影響を受けているが、実際に醸造
学校等で学んだことはないという。彼のコンセプトはワインらしいワインをつくるのではなく、ピュアなブドウを
そのまま醗酵させたお酒をつくることで、低温でマセレーションすること以外は技術的にほとんど人の手をかけな
い。かの Bettane&Desseauve の Le Classement ではジャン・フォワヤールのワインを「全ての要素が素晴らし
く融和されて、みごとなバランスを保ちながらも、後味に若々しいタンニンを感じる、誰にもまねできない彼独特
の秘法が隠されている」と絶賛する。彼には天性の才能があるのだろうか。
ジャンはまた、当然ながらボジョレーヌーボーも生産する。彼のヌーボーの特徴は長いマセレーション。ヌーボ
ーは解禁日が決まっているため、実際多くのワイナリーは、解禁日に遅れないようマセレーションの期間を短くし
たり、発酵温度を高めに設定し発酵をスムーズに終わらせるようなリスク回避を行なっている。一方で、彼のヌー
ボーはそのような流れに逆行するかのように、自然酵母、低温長期浸漬と解禁日ぎりぎりのせめぎ合いで少しでも
品質の向上を図る努力をしている。
「ボジョレーヌーボーが、世界的にある種の収穫祭的な要素で盛り上がるのは大
いに結構だが、本当にしっかりつくったボジョレーは、ブルゴーニュのグランクリュに匹敵するくらいのポテンシ
ャルがある」と言い切る彼は、ヌーボーがたんなるお祭り的なキーワードではなく、常にクリュ・ボジョレーの試
金石となる質の高いものでなくてはならないと肝に銘じている。
品質よりも商業主義に走りがちなボジョレー生産者に一石を投じる彼の素晴らしい渾身の力を込めたキュヴェの
ラインナップをぜひお試しあれ!