スノーマウンドによる雪氷資源活用と被覆材断熱性能評価に 関する研究

Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 33, No. 6
スノーマウンドによる雪氷資源活用と被覆材断熱性能評価に
関する研究
Study on Snow-and-ice Resource Utilization using Snow Mound and
Performance Evaluation of Sheet Covered Thermal Insulation
長 田
勉
*
・ 濱 田 靖 弘
Tsutomu Nagata
小 野 孝 之
**
Yasuhiro Hamada
*
・ 衛 藤 武 志
Takayuki Ono
・ 武 者 亮 佑
**
Ryosuke Musha
***
Takeshi Eto
・ 山 田 則 行
****
Noriyuki Yamada
**
窪 田 英 樹
Hideki Kubota
(原稿受付日 2012 年 5 月 29 日,受理日 2012 年 10 月 12 日)
This paper describes experiments and analyses of sheet covered snow mounds for the purpose of cold storage. First, we
conducted an experiment on melting characteristics of an open cast snow mound and environment of a storage dome inside
the mound, and confirmed snow (initial value: 360,000 m3) left until late November. The temperature inside the storage dome
and the heat flow from the ground resulted 0-0.5°C and around 1.5 W/m2, respectively. Second, we conducted experiments on
melting characteristics of a waterproof/solar shading sheet, and on the ice storage by direct burying in the snow mound.
Melting length until mid-September was around 9-11 m and stored ice maintained the initial condition. Furthermore,
experiments and analyses on thermal insulation characteristics of an air film insulation sheet and the enhanced insulation
sheet were carried out. The high insulation performance of the sheets was verified.
1.はじめに
積雪寒冷地において除排雪には多大な労力と費用が投入
寒冷地では冬期間に雪氷を貯蔵し,夏期に利用する手法
が古くから実施されていた
されているが,雪堆積場や雪山(スノーマウンド)を雪氷
1)
.雪氷は大きな冷熱を保有し
冷熱の賦存先と捉え,農作物・氷の貯蔵,周辺施設への冷熱
ており,この冷熱を夏期の冷房,農産物の貯蔵に利用でき
供給源,大規模・高冷房負荷施設への冷熱源として利用する
れば省エネルギー・二酸化炭素排出量削減に貢献し得る可
ことにより,更なる雪氷冷熱の有効利用が期待される.
本論文では,雪氷を長期保管するためのスノーマウンド
能性を有している.雪を利用する方式については,古くか
ら雪中貯蔵などが行われており
究
3)~5)
2)
被覆材の実験と解析を行ったものである.露天型スノーマ
,媚山らによる一連の研
6)
ウンド,および各種被覆材の実証実験と解析,融解実績に
,北欧における大規模な導入事例 などが特筆され
る.当初は農作物の低温貯蔵を主な利用法として始まった
ついて述べるとともに,それぞれの融解特性の比較を行う.
が,最近では事務所,集合住宅などの冷房に利用し,雪を
道路排雪等が集積する大型の雪堆積場をそのまま露天型ス
資源として活用する技術が各地で注目を集めている
7) ,8)
ノーマウンドとして利用する場合には,被覆材は不要であ
.
2002 年には,雪氷冷熱エネルギーが新エネルギーに認定さ
るが,規模の小さいスノーマウンド内に農作物・氷の貯蔵
れており,代替エネルギーとして環境負荷が低い雪氷冷熱
スペースを設けるなど長期にわたって有効に活用するため
エネルギーを有効利用することで化石燃料消費の削減に貢
には,高い有効雪氷貯蔵特性を有する被覆材が必要となる
献できると考えられる.
ことから,スノーマウンド体積と被覆材性能による貯蔵特
性の関係を定量的に明らかにする.なお,本論文は,空気
調和・衛生工学会大会において梗概的に報告した一連の内
*
国策建設株式会社
〒003-0023 札幌市白石区南郷通 20 丁目北 3 番 28 号
e-mail [email protected]
**
北海道大学大学院工学研究院
〒060-8628 札幌市北区北 13 条西 8 丁目
e-mail [email protected]
***
株式会社小川テック
〒135-0042 江東区木場 6 丁目 4 番 13 号
e-mail [email protected]
****
新菱冷熱工業株式会社
〒980-0803 仙台市青葉区国分町 3-6-1
e-mail [email protected]
容(本報に関連した既発表文献に記載)を取り纏め,加筆
を行ったものである.
記号
15
aSNOW
:総合日射吸収率
E
:蒸発潜熱
[W/m2]
esheet
:空気層内被覆材側入射日射量
[W/m2]
esoil
:空気層内表層土側入射日射量
[W/m2]
[-]
Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 33, No. 6
図1
露天型スノーマウンドの外観
図3
(スノーマウンド内)
測定地点概要
上段
下段
6
食糧貯蔵
損失長 [m]
5
氷保管
4
3
2
1
0
6/15
貯蔵ドーム
図2
図4
貯蔵ドーム概要
:換気負荷
H
:日射量
I
qCair
qCout
:空気層内表層土側対流熱流量
:外表面対流熱流量
6/25
7/5
7/15
7/25
実測損失長(露天型,2006 年)
ノーマウンドとしてそのまま利用することを想定したもの
[W]
2
である.利用方法としては,周辺地域への冷熱供給,スノ
2
ーマウンド内部における食糧等の貯蔵が挙げられる.2006
2
~2008 年に融解特性の実験を行った.実験施設は旭川市の
2
[W/m ]
[W/m ]
[W/m ]
qCsheet
:空気層内被覆材側対流熱流量
[W/m ]
許容雪量約 400,000 m3 の実際の雪堆積場を利用しており,
qRin
:放射熱流入量
[W/m2]
南東‐北西方向に約 160 m,南西‐北東方向に約 120 m の
qRN
:夜間放射量
2
規模となっている(図 1).スノーマウンド内には貯蔵ドー
2
[W/m ]
qRout
:放射熱流出量
[W/m ]
ム(64 m2)(図 2)を設け,融解特性とともにドーム内熱
qrain
:降水による流入熱量
[W/m2]
環境の測定を行った.貯蔵ドームは鋼板(厚さ 4 mm)のデ
qsoil
Rout
:熱伝導流量
[W/m ]
ッキプレート(日本工業規格 JIS G 3352)を用いた図 2 の
:外表面熱伝達抵抗
2
ような高さ 4.3 m のアーチ形状である.周囲が雪で覆われ,
2
侵入熱は床からの僅かな地盤湧熱のみとなるため,極めて
2
0℃に近い環境を達成することを目的としている.測定項目
2
は,外界気象条件(外気温度,日射量,風速),ドーム内温
:空気層第 1 層抵抗
R1
:空気層第 2 層抵抗
R2
2
[m K/W]
[m K/W]
[m K/W]
R3
:空気層第 3 層抵抗
Tair
:空気層内温度
[K]
湿度,ドーム床部における熱流量(床部分に熱流計を敷設)
Tout
:外気温度
[K]
である.また,融解特性評価はスノーマウンドの定期形状
Tsheet
:被覆材温度
[K]
測定によった.
Tsnow
:雪面温度
[K]
図 3 の測定地点における 2006 年,2007 年の実測損失長
Tsoil
:土表面温度
[K]
(自然融解によるスノーマウンドの沈降長さ)を図 4,図 5
[m K/W]
に,図 6 に 2007 年,2008 年の残雪量の推移を示す.2006
年は 6 月 15 日からの一箇月間で約 5 m の損失が進んでおり
2.露天型スノーマウンド
(図 4),2007 年は 6 月中旬までに約 7 m の損失長となった
本方式は,冬期間の道路排雪等が集積する雪堆積場をス
16
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2
No,0
No,30
No,55
No,167
[ W/m2 ]
雪山直下ドーム熱流量
熱流量 [W / m2 ][W/m2]
7
6
損失長 [m]
5
4
3
2
1.5
1
0.5
0
-0.5
1
5/10
5/20
5/30
6/9
6/19
3/1
6/29
4/1
図8
図5
6/1
4/30
5/1
4/20
4/1
4/10
3/1
-1
0
3/31
5/1
6/1
地盤からの熱流量
実測損失長(露天型,2007 年)
2008
2007
400,000
350,000
残雪量[m3]
300,000
250,000
200,000
150,000
100,000
50,000
0
3/15
図6
5/4
6/23
8/12
10/1
11/20
残雪量推移(露天型,2007,2008 年)
5
図9
防水遮光被覆材の外観
5/20
6/20
7,000
4
6,000
2
5,000
1
残雪量 [m3]
ドーム内温度 [℃]
3
0
-1
-2
4,000
3,000
2,000
-3
-4
1,000
-5
3/1
4/1
5/1
0
6/1
4/20
図7
図 10
貯蔵ドーム内温度
(図 5).2008 年は初期貯雪量約 360,000 m3 であり,11 月
7/20
8/20
9/20
10/20
残雪量推移
同時に行っている.2.の貯蔵ドーム方式と比較すると貯
3
中旬に 400 m ,下旬にはほぼ全てが融解した(図 6).また,
蔵物の搬出に労力を要するものの,目的によっては直埋設
貯蔵ドームの内部温度は,0~0.5℃の範囲で推移した(図 7).
の方が選択される場合もあると考えられる.
一般の冷凍機によらず無動力で氷点冷蔵に極めて近い環境
図 10,図 11 に雪山の残雪量,及び損失長の推移を示す.
が得られていると言える.地盤からドームへの熱流量は,
3
6 月 9 日時点では 3,150 m(図
10),天頂の損失長 5.98 m(図
約 1.5 W/m2 と極めて小さい値であった(図 8).
11)であり,初期体積の約半分となった.実験途中で直埋
設氷の露出が懸念されたため,6 月 30 日に 950 m3 の雪を追
3.防水遮光被覆材
加している.損失長は 9 月中旬で約 9~11 m であった.ま
本方式はスノーマウンドを被覆材で覆い防水・遮光(日射反
た,11 月に貯蔵氷を取り出した結果,氷は初期とほぼ同じ
射率 0.47)を行っている.2.の露天型スノーマウンドよ
大きさを保っていることを確認した.2.の貯蔵ドームと
り規模の小さいスノーマウンドの中小規模市街地利用型等
同様に,直埋設方式においても,無動力で氷点冷蔵に極め
を想定し,簡易な被覆材を施したものである.図 9 に防水
て近い環境が得られている.
遮光被覆材の外観を示す.江別市に高さ 16.4 m,底面 33
m×36 m,総体積約 6,400 m3 のスノーマウンドを造成し,実
4.空気膜断熱被覆材
空気膜断熱被覆型スノーマウンドの融解特性に関する実
験を行った.また,本実験では,直埋設による氷の貯蔵を
17
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3.0
12
南東
10
南面
2.5
8
北面
2.0
6
東面
4
西面
1.0
2
天頂
0.5
北東
0
4/20
損失長 [ m ]
損失長[m]
北西
南西
1.5
0.0
5/20
図 11
6/19
7/19
8/18
3/24
実測損失長(防水遮光被覆材)
4/8
4/23
図 14
5/8
5/23
6/7
6/22
7/7
7/22
8/6
8/21
9/5
実測損失長(空気膜断熱被覆材)
反射シート
(PEフィルムコーティング)
発泡断熱材
図 12
雪
空気膜断熱被覆材の概要
図 15
高性能断熱被覆材の概要
1
損失長[m]
0.8
0.6
実測値
0.4
0.2
0
6/7
計算値
6/12
図 16
図 13
構造バルーンの外観
6/17
6/22
6/27
7/2
7/7
7/12
7/17
7/22
損失長の実測値と計算値の比較
(高性能断熱被覆材)
測評価を行った.これは,3.の防水遮光被覆材よりも高
旭川市の雪堆積場において高性能断熱被覆材の実験を行
い断熱性能をめざして,空気膜を活用した被覆材の開発を
った.これは,4.の空気膜断熱被覆材よりも運用上,維
行ったものである.空気膜断熱被覆材の概要を図 12 に,構
持・管理の容易な被覆材の開発をめざしたものである.被
造バルーンの外観を図 13 に示す.外装にターポリンシート
覆材の概要を図 15 に示す.シート(日射反射率 0.86)はポ
(繊維の布(基布)を合成樹脂フィルムで張り合わせた複
リエチレン繊維を PE フィルムでコーティングしたもので
合シート)を,内装に PVC(ポリ塩化ビニル)シートを使
あり,表面はホワイト,裏面がシルバーとなっている.シ
い空気を内部に密閉したもので厚さは約 300 mm である.
ートの中には厚さ 50 mm の断熱材(発泡材:924 mm×1,828
まず,袋状になったターポリンシート内に構造バルーンを
mm)が 16 枚入っており,4 m×8 m の大きさのシートを 1
入れ,空気層を作り,袋シート内に中敷シートを挟みこむ.
セルとし,セル間は鳩目穴を介した編み上げ状の繋ぎ込み
さらに,袋シート下に枕バルーンを敷き雪面と袋シートの
による遮水接合を行った.水平面の実測損失長と計算値の
間に空気層を作る.これによって空気層が3層(図 12 の第
比較を図 16 に示す.ここで計算値は図 15 の被覆材熱抵抗,
1~3層)となるため高い断熱効果が期待できる.図 14
相当外気温度から熱貫流による融解量を求めたものである.
に損失長を示す.損失長は,3 月 4 日から 9 月 5 日までで
比較的高い再現性が得られていると言える.また,7 月中
約 1.7~2.6 m と高い断熱性を示した.
旬までの損失長が 0.5 m 以下と高い断熱性を維持した.
5.高性能断熱被覆材
6.各種被覆材の保温性能
18
Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 33, No. 6
q rain
Tout
Rqout
Rout
高性能断熱シート
qqCout
out
20
図 17
露天型スノーマウンドの熱収支
qqCout
out
qRout
R
out
e sheet
露天型
3/1
4/1
5/1
6/1
7/1
8/1
9/1
10/1
11/1
qCsheet
Tair
qR
Rinin
図 20
qqCair
air
各被覆材融解特性の比較
Tsoil
q soil
図 18
10
q sheet
e soil
E
防水遮光シート
0
Tsheet
H
15
5
Tout
I
空気膜被覆
Sawdust(Sweden)
Tsoil
q soil
損失長[m]
E
25
I
防水遮光被覆材の熱収支
高性能断熱被覆材
空気膜断熱被覆材
防水遮光被覆材
露天型
Sawdust
1
0.9
Tout
qRN
I
0.8
有効雪氷貯蔵率 [‐]
Rout
シート1(袋シート上)
R1
150mm
密閉空気層1
シート2(中敷シート)
150mm
密閉空気層2
R2
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
シート3(袋シート下)
0.1
qRin
0
0
R3
300mm
0.7
100,000
空気層3
200,000
300,000
400,000
500,000
600,000
700,000
スノーマウンド体積 [㎥]
aSNOW
Tsnow
図 19
図 21
空気膜断熱被覆材の熱収支
拡張アメダス標準年気象データ(旭川市)を用い,3 月 1
スノーマウンド体積と有効雪氷貯蔵率の関係
あり,高性能断熱被覆材の場合,約 50,000~60,000 m3 で同
日から 11 月 30 日までの各種被覆材の融解特性の比較を行
等の効果が得られる.
った.露天型スノーマウンド,防水遮光被覆材の熱収支を
それぞれ図 17,図 18 に示す.空気膜断熱被覆材は図 19 の
7.まとめ
熱収支を想定した.Sawdust(厚さ 200 mm のおがくず)に
(1) 露天型スノーマウンドの融解特性と貯蔵ドーム環境に
関しては,参考文献
9),10)
の融解実績から推定した.図 20
関する実験を行った.初期雪量 360,000 m3 において,11 月
に各被覆材の融解特性の比較の結果を示す.11 月末までの
下旬まで残雪があった.また,貯蔵ドーム内気温,地盤か
損失長は,露天型,防水遮光被覆材,Sawdust でそれぞれ
らの熱流量は,それぞれ 0~0.5℃,約 1.5 W/m2 であった.
約 22 m,12 m,6 m であった.空気膜断熱被覆,および高
地盤からドームへの熱流量はきわめて小さい値であり,一
性能断熱被覆材の損失長はそれぞれ約 2.5 m,1 m と高い融
般の冷凍機によらず無動力で氷点冷蔵に極めて近い環境が
解防止効果を得られる結果となった.図 21 に各被覆材を用
得られていると言える.
いると想定した場合のスノーマウンド体積(底面積 20,000
(2) 防水遮光被覆材の融解特性と直埋設貯蔵に関する実験
2
m を想定)と 8 月末日における有効雪氷貯蔵率(=残雪量
を行った.損失長は 9 月中旬時点で約 9~11 m であった.
/初期貯雪量)の関係を示す.貯蔵率が 0.5 となるスノー
また直埋設した氷が,初期状態を保持していることを確認
マウンド体積は,露天型,防水遮光被覆材,Sawdust でそ
した.貯蔵ドームと同様に,直埋設方式においても,無動
3
3
3
れぞれ約 680,000 m ,340,000 m ,160,000 m であった.空
力で氷点冷蔵に極めて近い環境が得られた.
気膜断熱被覆,および高性能断熱被覆材においてはそれぞ
(3) 防水遮光被覆材よりも高い断熱性能をめざした空気膜
3
3
れ約 79,000 m ,30,000 m と高い雪氷貯蔵効果を得られる
結果となった.既住の施設
断熱被覆材の融解特性に関する実験を行った.三つの空気
11)
の貯蔵率は 0.7~0.75 程度で
層を利用し高い断熱効果を狙ったものであり,実測損失長
19
Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 33, No. 6
・ 長田
は 1.7~2.6 m であった.
勉,笠原敬太,濱田靖弘,小野孝之,橋本良明,
(4) 空気膜断熱被覆材よりも運用上,維持・管理を容易と
窪田英樹;露天型スノーマウンドを用いた無動力冷蔵
することをめざした高性能断熱被覆材の融解特性に関する
システムに関する研究(第2報)融解および貯蔵特性,
実験を行った.日射反射率の高いシート内部に発泡性断熱
空気調和・衛生工学会北海道支部第43回学術講演会
材を封入したものであり,7 月中旬までの損失長が 0.5 m 以
論文集(2009),27-30.
・ 長田
下と高い断熱性能を確認した.
勉,佐藤貴季,牧野孝男,濱田靖弘,小野孝之,
(5) 各種被覆材の保温性能の比較を行った.11 月末までの
橋本良明,衛藤武志,山田則行,窪田英樹;雪氷資源
損失長が露天型約 22 m,防水遮光被覆材約 12 m,Sawdust
活用のための大規模スノーマウンド被覆材の実験と解
で約 6 m であった.空気膜断熱被覆材,および高性能断熱
析,空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集(2010),
被覆材の損失長はそれぞれ約 2.5 m,約 1 m と高い融解抑制
1951-1954(http://www.seppyou.com/にて閲覧可能).
効果が得られる結果となった.
(6) 各種被覆材の有効雪氷貯蔵率の比較を行った.貯蔵率
参考文献
が 0.5 となるスノーマウンド体積は,露天型,防水遮光被
1) 橋本良明;雪氷利用による蓄熱―氷室システム―,日
3
3
本エネルギー学会誌,81-8 (2002),707-712.
覆材,Sawdust でそれぞれ約 680,000 m ,340,000 m ,160,000
3
2) C. Vigneault ; Ice Storage of Winter Coldness for
m であった.空気膜断熱被覆,および高性能断熱被覆材に
3
3
おいてはそれぞれ約 79,000 m ,30,000 m と高い雪氷貯蔵
Agricultural Applications,American Society of Agricultural
効果が得られる結果となった.
Engineers,83-6547(1983),1-9.
3) 媚山政良;冬期間の自然冷熱エネルギーの利用に関す
る研究,日本機械学会論文集(B 編),53-495(1987),
謝辞
国策建設(株)橋本良明氏は本論文を作成する途上にお
3358-3362.
いて体調を崩しご逝去されました.本報は故人のご遺志を
4) 媚山政良;何故,雪が資源であることを忘れていたの
最大限に尊重しまとめたものであります.ここに謹んでご
か,日本エネルギー学会誌,76-2(1997),101-112.
冥福をお祈り申し上げます.
5) 媚 山 政 良 ; 雪 に よ る 冷 房 , 空 気 調 和 ・ 衛 生 工 学 ,
72-3(1998),215-223.
本報に関連した既発表文献
6) K. Skogsberg and B. Nordell;The Sundsvall Hospital Snow
・ 長沼隆之,濱田靖弘,窪田英樹,中村真人,桑原浩平,
伊藤祐輝,中野
Storage,Cold Regions Science and Technology,32(2001),
勉,安田幸弘,小野孝之,橋本良明;
63-70.
地域連携による共有雪堆積場の広域複合利用モデルに
7) 新エネルギー・産業技術総合開発機構;雪氷冷熱エネ
関する研究(第2報)雪堆積場の貯雪・貯氷特性の実
ルギー導入ガイドブック,(2002).
験と解析,空気調和・衛生工学会北海道支部第40回
8) 北海道経済産業局;雪氷冷熱エネルギー活用事例集4
学術講演会論文集(2006),135-138.
増補版,(2010).
・ 吉添一城,濱田靖弘,笠原敬太,中村真人,窪田英樹,
小野孝之,長田
9) K. Skogsberg and B. Nordell;Seasonal Snow Storage for
勉,橋本良明;シート被覆型スノー
Cooling Applications,(2001),Licentiate Thesis.
マウンドを用いた無動力冷蔵システムに関する研究,
10) K. Skogsberg ; Seasonal Snow Storage for Space and
空気調和・衛生工学会北海道支部第42回学術講演会
Process Cooling,(2005),Doctoral Thesis.
論文集(2008),231-234.
・ 吉添一城,長田
11) 濱田靖弘,長田
勉,佐藤貴季,窪田英樹,橋本良明,
勉,濱田靖弘,笠原敬太,窪田英樹,
小野孝之;貯雪デグリーデー法による雪氷庫容量の簡
小野孝之,橋本良明;露天型スノーマウンドを用いた
易推定に関する研究,エネルギー・資源,31-5(2010-9),
無動力冷蔵システムに関する研究,空気調和・衛生工
1-5
学会大会学術講演論文集(2008),881-884.
20