福島県⽴会津総合病院 消化器内科 ⼊澤篤志 ⽒ 更新⽇:2011年11⽉1⽇ ⽕曜⽇ 福島県⽴医科⼤学会津医療センター準備室(消化器内科)教授の⼊澤先⽣。『会津から世 界へ』を⽬標に、世界を⾒据えた新しい地域医療モデルはすでに始動している。 _ 最先端の診断法である超⾳波内視鏡下穿刺⽣検法(※1)を導⼊ し、すい臓や胆道疾患等の内視鏡診療のスペシャリストとして 数々の症例実績を持つ⼊澤先⽣。2010年4⽉に着任されてから は、院⻑補佐としても県⽴会津総合病院をリードされている。患 者さんの⼼の⽀えでありたいという⼊澤先⽣。穏やかで優しい笑 顔の中でも、ひとたび医療に対する想いを語ってもらうと、そこ に⾒えてきたものは地域医療の枠を超えた世界へ向けての展望 だ。 (取材⽇2011年7⽉13⽇) インタビュアー:五⼗嵐⾥⾹ 消化器内科とは 消化器内科の診療内容について 僕はすい臓と胆道、それから上部消化管疾患が専⾨です。すい臓ガン、胆道ガン、⾷道ガン、胃ガン、などの悪性疾患のほ か、急性すい炎や慢性すい炎、胆⽯症、⾷道胃静脈瘤などの良性疾患など、幅広く診療しています。消化器内科にはいろいろ な腹部症状を訴えて受診される患者さんが多いですが、最近は胃酸に関連した症状を主訴に来られる⽅が増えているようです ね。 胃酸関連疾患というのは、胃酸の出過ぎによって⾷道とか胃の運動が落ちたり、知覚的にも⾊んな症状が出てきたりする病気 です。例えば、「胃から上がってきた胃酸を吸い込んで喘息みたいな症状になる」とか「喉がいがらっぽくて、呼吸器科で診 てもらったりしたけど良くならない」なんていう⽅、このようなものは胃⾷道逆流症というのですが、最近は多いですね。あ と、「胸焼けがする」とか「⼝が酸っぱい」など、そういう症状で受診される⽅も⾮常に多くなっています。「みぞおちが痛 い」「もたれる」「もやもやする」などの何となく体調が悪いという定まったもののない⾃覚症状を「不定愁訴(ふていしゅ うそ)」と⾔うんですが、そういう⽅は胃酸関連疾患であることが⾮常に多いですね。 あと最近は、いわゆる「お酒飲み」で、胃が痛いと来られて、検査してみるとすい臓が悪かったりする⽅が多くなっているよ うに思います。すい臓は⾮常に⼤切な臓器である事をもっと皆様に理解してもらいたいと思っています。 ゆっくりと進⾏する慢性すい炎という病気 すい臓は最近かなり注⽬されています。そのすい臓の疾 病に慢性すい炎という、すい臓がゆっくりと壊れていく 病気があるんですが、これは緩やかに⻑く続き、よくわ からないうちに進⾏してしまうんです。最近は、「お腹 が痛い」「背中が痛い」と訴えられて診察に来られた⽅ を診察して、胃腸にはあまり問題がないという⽅でも、 すい臓をみてみたら慢性すい炎の始まりという⽅が確実 に増えてきています。特に、お酒飲みの⽅に多いです ね。 慢性すい炎は確実にすい臓を壊していきます。つまり、 早期の慢性すい炎を診断して、適切な医療の介⼊を⾏う という点が重要になってきます。慢性すい炎というのは すい臓ガンの危険因⼦と⾔われています。そういった意 味でも慢性すい炎の早期からの診療は、とても⼤事になってきます。早期慢性すい炎の診断をするには特殊な内視鏡(超⾳波 内視鏡)が必要になりますが、当院では平成22年4⽉に導⼊して、多くの患者さんに施⾏してきました。 今はどこの病院でも超⾳波検査が使われるようになってきて、最近はすい臓の「のう胞」という⽔の溜まった袋が⾒つかるこ とが多いんです。すい臓に⽔が溜まるのは、それがガンに関係しての場合や慢性すい炎などが原因のことが多いです。つまり それが、すい臓ガンの可能性がある以上、その⼤きさが5ミリだろうが10ミリだろうが、その⼤きさに関わらず、⾒つけたら 必ず精密検査する必要があります。そのことを⼗分にわかっている近隣の病院や開業されている先⽣から、僕たちの病院にす い臓の精密検査でご紹介いただく場合は多いですね。 すい臓を専⾨にしている医者にとっては、⾃覚症状がない患者さんからガンの⽅をいかに早く⾒つけて、助けるかが⼀つの⼤ きな課題です。 すい臓ガンはガンの中でも⾮常に複雑な病気 すい臓というのは体の奥にあって、尚且つ、症状が出にくいので、ガンがかなりの⼤きさにならないと発⾒しにくいんです ね。ガンの症状が出たときには、もうすい臓の外側や体のあちこちにガンが広がってしまっていて、なかなか太⼑打ちできな い状態になってしまっている場合も少なからずあります。すい臓の周りというのは⼤事な⾎管がいっぱい⾛っていて、ガンが それらの⾎管も巻き込んでしまうので、⼤きくなると外科的⼿術で取れなくなってしまうことも、すい臓ガンが症状出てから では遅いと⾔われるひとつの要因になっているかもしれないですね。そこで当院では、すい臓だけに特化した膵検診(すいけ んしん)というのを去年から始めています。この検診で少しでも異常が⾒つかった場合には精密検査を受けて頂き、ガンの早 期診断ができないかと考えています。すい臓ガンは⾃覚症状がなく早期に発⾒しないと助からない事もあるため、当院で実施 している膵検診を多くの⽅に受けて頂きたいと思います。 『お酒=すい臓病』という認識も必要? 確かに『お酒=すい臓病』という認識はあまりないですね。すい臓が荒れている⼈に聞いてみると、結構お酒飲む⼈が多いで すよ。⼀般的には『お酒=肝臓』でしょうね。お酒による肝障害には2種類あって かなり急激に悪くなっていく⼈と、⻑い 時間をかけて緩やかに悪くなっていく⼈がいますが、すい臓病に関しても、⼀気に悪くなって極端にいうと命に関わってしま う急性すい炎と、ゆっくりと⻑い時間をかけて緩やかにすい臓がやられていく慢性すい炎の2種類あります。すい臓というの は、壊れていくともとに戻らないんですよ。早期だったら治るかもしれないという研究もされていますが、進⾏してしまった 慢性すい炎というのは治らないと考えられています。慢性すい炎がどんどん進⾏すると、すい臓の機能が落ちて糖尿病になっ たり、すい臓の⼤事な働きでもある⾷物の消化吸収ができなくなって下痢になったり栄養障害が起きたりします。お酒は確実 にすい臓を壊す可能性があります。だからお酒を飲む⼈は早いうちにすい臓のチェックを受けて、ちょっとでも異常があれ ば、お酒の量を減らすとか⽌めるとかそういうことをしていかないと、あとから取り返しがつかなくなります。慢性すい炎は ガン発⽣の危険性もはらんでいるということが⾔われている以上、やっぱり早いうちからお酒をコントロールするということ はすごく⼤事になります。 お酒を飲まない⽅のすい臓疾患の可能性は まったくお酒を飲まれない⼈は、慢性すい炎や急性すい炎になるリスクが減りますが、遺伝的なものとか様々な要因がありま すから、すい炎がまったく起こらないとは⾔えません。例えば、喫煙なども肺ガンだけじゃなくて、慢性すい炎や膵ガンの危 険因⼦でもあるんです。 ここまでお酒についての危険性を話しましたが、実はお酒⾃体は直接的な膵ガンの危険因⼦ではないんです。つまりどういう ことかと⾔うと、多量のお酒を毎⽇飲むと慢性すい炎になる可能性があり、そして慢性すい炎は膵ガンの危険因⼦になるとい うことで、三段論法的に多量の飲酒習慣は間接的ながらも膵ガンの発症にかかわる可能性があるということなんです。 ⼀般にアルコールを1⽇80g(ビール⼤瓶3本程度)以上を⻑期間にわたって摂ると慢性すい炎になりやすいと⾔われていま す。毎⽇飲む⼈は10年経つと慢性すい炎だけでなく、糖尿病やガンも出るかもしれません。だから、この飲酒量に⼼当たりの ある⽅は、せめて半分の量にしてほしいですね。それと⼥性の場合は、男性に⽐べて性差的にもすい臓が弱いと⾔われていま すから、男性と同じ量のお酒飲むと、おそらく半分の期間ですい臓が壊れていきます。最近よくコマーシャルでも⼥性がおい しそうにビール飲んでいますね。ああいうのはほんとは良くないなというのが僕たちの⾒解です。お酒を飲まれる⼥性は特に 気をつけてほしいですね。 最先端の診断法 「超⾳波内視鏡下穿刺⽣検法」 とは 内視鏡検査について 通常の内視鏡検査はある程度の苦痛を伴います。苦痛を軽減させ る内視鏡検査には、鎮静剤を使って眠らせてから⾏うという⽅法 があります。欧⽶では全例がこの⽅法です。だから欧⽶の医者に ⾔わせると「⽇本⼈ほど我慢強い⺠族はいない」と⾔うんです よ。実際、彼らは鎮静剤を使わないで内視鏡検査を⾏わないです ね。反対に、⽇本の場合は基本的には鎮静剤を使わないで⾏って います。普通の内視鏡は、鎮静をかけないで出来るんじゃないか というのが今の⽇本のコンセンサスになっています。つまり、患 者さんとの信頼関係をもとにして、10分から15分の検査の間 だけ我慢していただくというのが実情なんです。しかし、⻑時間 に渡る内視鏡検査の場合や内視鏡治療の場合などは、積極的に鎮 静をかけようとする病院が増えています。また、患者さんが鎮静 を望む場合も鎮静をして検査を⾏う事もあります。ただ、注意し なくてはならないことは、鎮静剤を使うことによる事故も起こり得る事の理解も必要です。鎮静によって⾎圧とか呼吸とか抑 制されて、重⼤な事故が発⽣する可能性もないわけではありません。ですから、私達は鎮静をかける際にはしっかりと点滴を して、⾎圧や⾎中酸素濃度のモニターをしながら内視鏡を⾏います。また、鎮静をかけた際には、⾞の運転や刃物の使⽤は控 えてもらうようにしています。 切らなくてもガン検査ができる _ 僕が去年にこの病院で診療を開始してから、その前の年まではこちらでは⾏っていな かった超⾳波内視鏡という検査を導⼊し、昨年は120⼈程の患者さんに対して⾏いま した。これは内視鏡の先端に超⾳波プローブ(探触⼦)というものがついているものな んです。単にお腹の上から超⾳波をあてても、すい臓に到達するまでには、⽪膚、脂 肪、筋⾁、胃、肝臓といった⾊んなものがあり、最後がすい臓ですからどうしても⾒え にくいんです。でも、胃や⼗⼆指腸の隣がすい臓なんで、胃カメラの先に超⾳波の⼩さ い器械がついている超⾳波内視鏡ですい臓を胃や⼗⼆指腸から⾒るとすごく良く⾒える んです。すい臓にもし腫瘍なんかがあったときに、胃や⼗⼆指腸から腫瘍を超⾳波で⾒ ながら針を刺して、細胞を取ってくることもできるんです。これが「超⾳波内視鏡下穿 刺⽣検法:EUS-FNA」です。それを使うことによって、すい臓ガンの診断能が⾶躍的 に上がりました。 _ 超⾳波内視鏡の⼀番の利点は_ 昔はCTなんかですい臓ガンと疑ったら、細胞を取らないで 外科の先⽣に「ガンだと思うから」と⾔って⼿術をしても らっていました。もしガンでなくても、「ガンでなくてよ かったね」ということで患者さんにも納得頂いていました。 また、切除できなさそうな腫瘍と診断した時には、画像診断 だけで抗がん剤を使ったりしていました。しかし、今はその ような時代ではありません。もし、すい臓にガンを疑うもの があれば、超⾳波内視鏡でそれをみながら針を刺して細胞を 取ってくればガン細胞の検査が確実にできるようになったん です。今はこうした検査の上でガンだった場合、切除もしく は抗がん剤治療をするといった流れになってきています。だ から⼤抵は、ガンを疑ったらまず針を刺して診断するように しています。むやみに切らなくて良くなったというのが内視 鏡の⼀番の利点ですね。 内視鏡検査や治療を実際に受けられた反応 超⾳波内視鏡は通常の内視鏡よりも若⼲太く、また、検査時間も30分ほどかかります。超⾳波内視鏡下穿刺⽣検の場合は1 時間近くになる事もあります。でも、これまで当院で超⾳波内視鏡をやった中で、正直、誰も苦しかったなんて⾔ってないで すよ。まず鎮静剤を投与して患者さんを眠らせます。そうすると、知らないうちに内視鏡が⼊って、終わって、抜いて。その 後に鎮静剤を中和するお薬を⼊れます。患者さんが⽬覚めた時にはもう終わっているという感じですね。だから患者さんが苦 痛を感じることというのはまずありませんね。これはすい臓の超⾳波内視鏡診断のプロセスだけじゃなく、例えば胃ガンの内 視鏡治療とか胆管結⽯を内視鏡で取るとかそういうときにも同様に、たとえ⾼齢の⽅であっても、患者さんに⼗分リスクを話 した上で、基本的には眠らせてやるようにしています。それと鎮静剤というのはいわゆる⿇酔とは違って、痛みをとるもので はないんです。⿇酔というのは感覚がなくなってしまうし、呼吸も⽌まってしまうんですね。鎮静は⿇酔のように⿇痺させる のではなく眠らせるんです。つまり、意識下鎮静といって、寝ていても呼びかけると⽬はとりあえず開くという程度にしてあ ります。完全にその間というのは、健忘状態になっています。実際には患者さんの中には、咳き込んだりとか暴れたりとかす る⼈もいるんです。でも、終わってみると何も覚えてないです。そうやって鎮静をかけることによって、苦痛を感じないで検 査・治療を受けられるとご理解いただければと思います。 患者さんの⼼の⽀えでありたい 消化器内科医になるきっかけは 18歳と20歳の時、⼗⼆指腸潰瘍で吐下⾎(※2)して救急⾞で運ばれることが起きました。結局その時には、出⾎のために危 篤状態になり、⾎圧も70ぐらいまで落ち、輸⾎も3⽇間で1リットルぐらい⼊れ、瀕死の状態でした。 そうした⾃分⾃⾝の体験が、その後の進む道の選択に⼤きく影響したのは間違いないですね。よく聞く美談のように、「僕の ⼗⼆指腸潰瘍を助けてくれた先⽣が良かったから消化器内科を⽬指した」「助けてもらったから医者になろうと思った」な ど、そういうのは僕にはありませんでした。でも医学を学びながら実際に⾃分の病気とつきあうことになって、消化器疾患に 興味が⾃然に湧いてきましたね。そんな⾵に⾃分の病気のことを振り返ってみたりしたことが、結局は消化器内科に進むきっ かけになりました。 すい臓・胆道疾患を専⾨に 僕がすい臓・胆道を専⾨にしたのは、消化器内科に進んでからある程度経ってからです。もともと、消化器全般への内視鏡診 療は幅広く⾏っておりました。そんな中で、すい臓や胆道への内視鏡診療にだんだん興味が湧いてきて今に⾄っています。内 視鏡を⽤いたすい臓や胆道疾患診療が僕の最も得意とするところです。現在では、外科的な病気を除いて、⾷道でも、胃で も、胆のうでも、すい臓でも、内視鏡を使って診療することが消化器内科のメインになってきています。内視鏡診療というの は、患者さんの⾝体にとって楽なんです。おなかを切らないで済むのであれば切らないに越したことはないのですから。内視 鏡による早期発⾒・早期治療ということの素晴らしさやおもしろさなど、そういうことを教育の中で体験して、⾃然な流れで この道に進んでいったんですね。 あるガン患者さんが残していった課題 ガンの患者さんに、本⼈の残された時間があとどのくらいあるかを聞かれても、 『あと何ヶ⽉』なんてことは、僕らある程度推測できていてもなかなか⾔えませ ん。もし、⾔ってしまって患者さんの意欲が下がってしまったり、患者さんが⾃ 暴⾃棄になってしまう可能性もあります。実際、張り詰めていた緊張感がふっと なくなって、⼀気に悪くなってしまったなんて⼈もいるんです。 あるガン患者さんの話ですが、「やらなきゃいけないことがあるから、残された 時間を正確に教えて欲しい。」と⾔われたんです。「役所の⼿続きをしなきゃい けないから、1⽇でもいいから外にちょっと出させて欲しい。」と話されるんで すね。その時は、具体的なことまで聞きませんでしたが、「ご家族に頼めないん ですか?」と提案してみたんです。それに対して「⾃分でなきゃダメなんだ。」 と話されたんです。⼈間って⾊んなもの抱えながら⽣きているじゃないですか。 理由はわかりませんでしたけど、ほんとにその⼈でなければできないことがきっ とあったんでしょうね。このことをご家族にも相談しましたが、ご家族はとても ⼼配して、外出には猛反対されました。そうしたこともあり最期まで僕が外出許 可をしないまま、その⼈は結局病院から出ることなく、その時から1ヶ⽉後に亡 くなってしまいました。ほんとにそれで良かったんだろうかと、ある意味悩むと ころです。⼈の命ってなんだろうなって思いますね。⼈が亡くなる前になると、みんな本⼈を⼼配するあまり、無理をさせな いようにしてしまいます。しかし、その⼈の⼈⽣だし、その⼈に悔いが残らないように最期の時間を有意義に過ごさせなけれ ばという考えだってあります。個⼈の命、そして時間はその⼈のもの。患者さんの希望を許可しなかった僕は、正しかったの かどうか、いまだにわからないというのが正直なところです。 患者さんにとって、医師の存在とは 有り体なことなんですけど、「⼼の⽀え」でしょうか。僕しか持ってない医療技術なんてありませんし、⽇本中どこに⾏って も多分、同じような医療技術というのは提供してもらえるはずです。しかし、患者さんから信頼を受けて、1対1で向き合っ たとき、その患者さんの信頼に応えを返せるのは僕しかいない、その患者さんの全部を知った上でケアできるのは僕しかいな いと思いながら、いつも診ています。その患者さんにとっての⼤きな⼼の⽀えになること、それが僕の医師としての存在かな と思います。 会津から世界へ!最新の医療を発信 2013年の会津医療センター開院予定に向けての⽬標は 福島県⽴医⼤会津医療センター消化器内科としての⼀番の⽬標は、『会津から世界へ』ということなんです。私は⼩・中学 校、そして⾼校と会津若松で育ちました。⼩学校の頃から、歴史上での会津若松の悲劇を学んできた、というか教え込まれて きた僕だからこそ、「会津から世界へ」という思いは⼈⼀倍強いのかもしれませんね。世界を⾒ないと、医療というのはどん どん遅れていくんです。⽇本の現状だけに満⾜してしまうとそこで⽌まってしまいます。だから世界の最新の医療をどんどん 取り⼊れて、そして、ここ会津で⾏ったものを世界へ発信する、つまり、世界を⾒据えて医療をやっていくことが、会津の地 域の⼈への還元にもつながっていくと思うんです。今、世界では医療がこういうレベルということを、絶えず⾃分たちも勉強 し、患者さんにも教えながら、新しいものを提供する医療機関にしたいというのが⼤きな⽬標ですね。 地域の⽅々へのメッセージ 『診療・教育・研究』というのが⼤学病院の⼤きな3つの柱です。今の県⽴会津総合病院は地域に根ざした⼀般病院として、 基本的には診療がメインですが、今後は⼤学病院である以上、診療だけでなく、教育・研究にも同様に⼒を⼊れていかねばな りません。世界を⾒据えるところには、若い研修医も集まってきます。そうすると教育もしっかりと機能するし、研究が⾼度 になれば、それをやりたいという若い先⽣がさらに集まってきます。⼈が集まるようになると、地域が活性化します。そうし たことが結果的として地域に対しての⼤きな還元や貢献になると信じています。新しい医療をどんどん会津から⼀緒に発信し ていきましょう。『あそこに⾏けば世界と同じ最新の医療を受けられる』-そんな病院を患者さんと共に作り上げていきたい と思っています。 ※連載・医療⼈では、語り⼿の⼈柄を感じてもらうために、話し⾔葉を使った談話体にしております。 ⽤語説明 ※1: 超⾳波内視鏡下穿刺⽣検法 ちょうおんぱ ないしきょう かせんし せいけんほう 読んでいた場所に戻る 通常の内視鏡では採取の困難な消化管粘膜下腫瘍や消化管の病変を超⾳波でリアルタイムに観察しながら⽣検針で穿刺(せん し)して組織や細胞を採取する⽅法。 ※2: 吐下⾎ とげけつ 読んでいた場所に戻る 吐⾎は上部消化管から出⾎した場合、⾎液が⼝から排出される。下⾎は上部消化管だけでなくそれ以下の⼩腸や⼤腸などから 出⾎し、⾎液が肛⾨より排出される。 ----------------------------------------------------- ⽒名:⼊澤篤志 ⽒ (いりさわあつし) 医学博⼠ 出⾝:福島県会津若松市 略歴: 獨協医科⼤学医学部卒業 福島県⽴医科⼤学医学部内科学第⼆講座⼊局 研修医 福島県⽴医科⼤学医学部内科学第⼆講座 副⼿ 福島県⽴医科⼤学医学部内科学第⼆講座 助⼿ フロリダ⼤学超⾳波内視鏡センターVisiting faculty 福島県⽴医科⼤学医学部内科学第⼆講座 助⼿ 福島県⽴医科⼤学医学部内科学第⼆講座 講師 福島県⽴医科⼤学医学部内科学第⼆講座 准教授 福島県⽴医科⼤学附属病院教授 低侵襲先端治療科部⻑ 福島県⽴医科⼤学会津医療センター準備室(消化器内科) 教授 / 福島県⽴会津総合病院 院⻑補佐 専⾨分野:消化器内視鏡学、消化器病学 所属学会等: ⽇本内科学会、⽇本消化器内視鏡学会、⽶国消化器内視鏡学会、⽇本消化器病学会、⽇本膵臓学会、⽇本消化管学会、⽇本胆 道学会、⽇本⾨脈圧亢進症学会、⽇本超⾳波医学会、福島医学会厚⽣労働省難治性膵疾患研究班、World journal of Gastroenterology.(Contributing Associate Editors-in-Chief)、Visible Human Journal of Endoscopy(Editorial Board)、 World Journal of Gastrointestinal Endoscopy(Editorial Board)、Journal of Gastroenterology and Hepatology Research(Editorial Board) 資格等: ⽇本内科学会認定医・指導医・東北⽀部評議員、⽇本消化器内視鏡学会専⾨医・指導医・評議員、⽶国消化器内視鏡学会国際 会員、⽇本消化器病学会専⾨医・指導医・評議員、⽇本膵臓学会評議員、⽇本消化管学会認定医・評議員、⽇本⾨脈圧亢進症 学会評議員、厚⽣労働省難治性膵疾患研究班研究協⼒者、FNA-club JAPAN代表世話⼈、福島県治療内視鏡研究会代表世話 ⼈、福島県超⾳波内視鏡研究会代表世話⼈、⽇本消化器画像診断研究会世話⼈、超⾳波内視鏡下治療研究会(消化器内視鏡学 会附置研究会)世話⼈ 受賞歴: 福島医学会 学術奨励賞 受賞 福島医学振興会 研究助成 受賞 内視鏡医学振興財団 研究助成B 受賞 福島県⽴医科⼤学プロジェクト研究 研究助成 受賞 ⽇本学術振興会 科学研究費補助⾦ 基盤研究A 受賞 福島県⽴病院研究助成 受賞 メッセージ 消化器内科の中でも、膵臓・胆道疾患(膵炎、膵がん、胆管結⽯、胆道がんなど)、上部消化管疾患(粘膜下腫瘍、⾷道・胃が ん、胃⾷道逆流症、胃⼗⼆指腸潰瘍など)、⾨脈圧亢進症関連疾患(⾷道胃静脈癌など)、等を幅広く診療しております。 特に膵臓・胆道疾患は得意分野で、内視鏡を⽤いた低侵襲(体に負担をかけない)検査や治療を積極的に⾏っています。また、 超⾳波内視鏡(内視鏡先端に超⾳波装置が付いている検査機器)を⽤いた、膵がんや消化管粘膜下腫瘍の診断に⼤きな効果を発 揮する新しい検査⽅法「超⾳波内視鏡下穿刺⽣検」も⾏っており、これまで多くの診療実績を持っています。 上記疾患でお悩みの際にはぜひ当院を受診されてください。 福島県⽴会津総合病院 会津若松市城前10-75 TEL:0242-27-2151 FAX:0242-29-7264 URL:福島県⽴会津総合病院ホームページ 地図データ ©2012 ZENRIN -
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