提案書 環境・エネルギー(9)

提案書 環境・エネルギー(9)
(1)大学・学部学科・研究室名・氏名
九州大学・稲盛フロンティア研究センター・松本広重
(2)研究テーマ名(NEDO 助成技術 H20②)
ナノ粒子の界面イオン伝導を利用した安価でエネルギーロスの少ない水素発生技術
(3)研究テーマの技術・開発段階
・基礎研究段階
・応用研究段階 ・実用化研究段階
(4)技術概要
低炭素社会に向けたエネルギーの伝達媒体として水素が注目されています。太陽光や風力で得た電気
を水の電気分解によって水素に変換し、必要に応じて燃料電池によって電気に戻す仕組みが考えられ
ています(図1)
。本研究では、ナノ粒子の界面イオン伝導を利用した新しいタイプの電解質と、ナノ
金属粒子による高い触媒活性を利用して、安全で効率が高くしかも安価な水電解装置(図2)の実現
に取り組んでいます。具体的には、酸化チタンのナノ粒子からなり高いプロトン伝導性を持つナノチ
タニア電解質と高触媒活性金属ナノ粒子電極を組み合わせた高効率水電解装置の研究開発を行ってい
ます。従来の、腐食性が高いアルカリ水溶液や、コストが高い高分子電解質の課題を克服する技術で
す。
電気
エネルギー
水電解
風力発電
酸素
燃料電池
太陽電池
e-
水素
H2
・燃料電池自動車
・家庭用燃料電池
原子力
H2 O
↓
1
H2+ー
2 O2
水
水素
H+
ナノ
チタニア
電解質
2H++2e↓
H2
金属ナノ
粒子電極
【図の説明】水素を使ったエネルギー循環システム(左)と本研究で開発する水電解装置の模式図(右)
再生可能エネルギー(太陽・風力)や原子力からできる電気は水電解によって水素に変換することで、
貯蔵できるようになります。ナノチタニアやナノ金属電極を使うことで、エネルギーロスの少ない水
電解が可能になります。
(5)特徴・訴求点
従来のアルカリ水電解には、腐食性が高く処理の難しいアルカリ水溶液が使われます。高分子電解質
を使った電解装置は高コストが難点です。ここで開発する水電解装置は、
・ナノチタニア電解質を用いるのでアルカリ水は不要。
・安価に調製可能なナノチタニア電解質を用いるので、コスト的に有利。
・電解質、電極にナノ材料を使うことで高効率が狙える。
(6)現在注力している応用分野、将来探索してみたい分野<複数分野可>
・【現在】数百ワット級のポータブル水素発生器(数リットル毎分程度の水素製造能力)
・【将来】家庭用太陽電池や風車と組み合わせた本格的なエネルギーシステムへの組み込み
(7)実用化に向けた課題
・電解質や電極の高性能化と水中での安定性の確保について検討を行っています。また、これらの材
料と水電解にあったセルの構造について検討しています。
(8)企業に対する提案事項
・水素がエネルギー媒体とした再生可能エネルギーの利用には、電解技術が不可欠です。本研究では、
効率の高い水電解を追求します。つきましては、電解水素製造、水電解の高エネルギー効率化に興
味をお持ちの企業・組織などと、意見交換や技術相談、共同開発を希望します。
提案書 環境・エネルギー(10)
(1)大学・学部学科・研究室名・氏名
(財)電力中央研究所・エネルギー技術研究所・神田英輝
(2)研究テーマ名(NEDO 助成技術 H21)
バイオ燃料を微細藻類から常温・省エネルギーで高効率抽出する技術
(3)研究テーマの技術・開発段階
・基礎研究段階
・応用研究段階 ・実用化研究段階
(4)技術概要
微細藻類からバイオ燃料を作る技術が世界的に注目されています。従来研究は、微細藻類の品種改良
や遺伝子操作が中心で、微細藻類からバイオ燃料を取り出す方法は軽視されていました。微細藻類を
圧搾や遠心分離で濃縮しても水分が 80∼90%も残ります。このため、従来技術では、以下のような3
つ工程の組み合わせで、微細藻類からバイオ燃料を取り出しています。
①微細藻類を高温で乾燥 →
②塩酸や粉砕で微細藻類の細胞壁を破壊
→
③ヘキサン・クロロホルム等の有毒な溶媒でバイオ燃料を抽出した後、溶媒を高温で蒸発・回収
この方法は工程が複雑で、多くのエネルギーを消費し、環境負荷が大きい問題があります。この問題
を解決するため、水と適度に混合し、沸点が−25℃の次世代クリーン燃料ジメチルエーテル(DME)
を溶剤に用いる方法を考案しました。基礎実験として、京都市の池で採取した天然の微細藻類(アオ
コ)が水分を 91%も含んだ状態から、アオコの乾燥重量の 40%の重量に相当する有機物(分子量 200
∼400)を取り出すことに成功しました。同じ藻を、従来の高温乾燥とヘキサン抽出を組み合わせた方
法で処理した場合、乾燥重量の 0.6%しか有機物を取り出すことが出来ず、DMEの抽出能力の高さが
示されました。
【図の説明】
液化DME
ⅳ
ⅰ藻と液化DMEを混合
DME ガス
ⅱ液化DMEで水と油を抽出
ⅰ
ⅱ
ⅲ95%の液化DMEを蒸発さ
ⅲ
せ、過飽和の水を分離・残り
の液化DMEに油を濃縮
DMEで水・油を抽出
藻
(水分90%) (水 8wt%, 油 完全混合 at 35°C)
図
藻
水
油
ⅳ常温で液化DMEを蒸発回
収し、再び液化して循環利用
DMEを抽剤として循環利用する藻からの油抽出方法の概念
(5)特徴・訴求点
・微細藻類の乾燥工程や、微細藻類の細胞壁を破壊する工程が省けます。
・加熱しないので、油抽出に必要なDME循環エネルギーが少なくて済みます。
・全工程が常温なので、60℃程度の外部廃熱を導入すれば、事実上エネルギーゼロで運転できます。
・DMEは無毒で温室効果も無く、過酸化物も作らず安全で、自然分解する等、環境面でも優れます。
(6)現在注力している応用分野、将来探索してみたい分野<複数分野可>
・【現在】微細藻類からのバイオ燃料源の抽出
・【将来】有用物質を合成する特殊な微細藻類への適用
(7)実用化に向けた課題
・試験管レベルの実験から、実用レベルへの装置のスケールアップ。事業化ニーズの発掘。
(8)企業に対する提案事項
・装置のスケールアップ・事業化可能性に関して、溶剤抽出技術・藻の大量培養技術を保有する、も
しくはDME抽出装置の技術開発・商品開発に関心や実績を有する企業・組織などとの共同研究を
提案します。
提案書 環境・エネルギー(11)
(1)大学・学部学科・研究室名・氏名
山口大学・産学公連携イノベーション推進機構・工学部・応用化学科・ゲノム生命機能工学研究室・
星田尚司
(2)研究テーマ名(NEDO 助成技術 H21)
商用エタノール(40℃以上)の低コスト生産プロセスを可能にする耐熱性酵母株の開発
(3)研究テーマの技術・開発段階
・基礎研究段階
・応用研究段階 ・実用化研究段階
(4)技術概要
世界のエネルギー需要は増え続けています。化石燃料は資源に限りがあり、再生可能なエネルギーへ
の転換が急がれています。エタノールは再生可能エネルギーの有力候補の一つとして挙げられていま
すが、今後のバイオマスエタノールの普及に向けては、化石燃料に比べて生産コストが高いことが大
きな課題となっています。そこで我々は、低コストエタノール生産プロセスに使用する耐熱性酵母株
(Kluyveromyces marxianusDMKU3-1042 株)の研究開発を行っています。この酵母は、既存の商用エタ
ノール生産酵母株では不可能な温度の 40℃でも高いエタノール発酵能力を持っています。高温発酵で
は糖化酵素活性増大、冷却エネルギー削減などの効果でコストと生産効率を大きく改善できることか
ら、高温エタノール発酵の利点を最大限に活用するため、さらに高温でエタノールを効率的に生産で
きる株を育種することで、さらに効率のよいバイオマスエネルギー生産プロセスを構築できると考え
ています。
3.0
K. marxianus DMKU3-1042
S. cerevisiae NCYC3233
E tha nol % (v/v)
2.5
2.0
さらに効率よく
1.5
45°C
1.0
0.5
0.0
0
2
4
6
8
10
12
Time (h)
高温でのエタノール発酵生産はコスト削減の効果が高い
45℃の発酵能力を高めることで高温発酵のメリットをさらに
大きくすることが可能。S. cerevisaie NCYC3233 株はブラジ
ルの商用エタノール生産株
(5)特徴・訴求点
・商用プロセスで 40℃以上のエタノール生産を実現している例はありません。
・45℃の発酵プロセスは 32∼35℃に比べ年産 3 万 kL 規模のプラントあたり 3000 万円以上コスト削減。
・既存の Saccharomyces cerevisiae に比べ遺伝子発現能力が 5∼20 倍高く大変有用です。
(6)現在注力している応用分野、将来探索してみたい分野<複数分野可>
・【現在】廃糖蜜やデンプンなどバイオマスからの 45℃でのエタノール生産
・【将来】セルロース系バイオマスからのエタノール生産
エタノール生産と一体型の有用タンパク質生産
(7)実用化に向けた課題
・育種株を含め K. marxianus のバイオマス由来発酵原料に対する長期的な耐性・安定性の解析。
(8)企業に対する提案事項
・バイオエタノール生産だけでなくバイオマスを利用した有用酵素生産のための発現系の開発などの
共同開発を希望しています。提案先イメージ:組換え体でのタンパク質生産に関する技術開発・商
品開発に関心もしくは実績を有する企業・組織など。
提案書 環境・エネルギー(12)
(1)大学・学部学科・研究室名・氏名
名古屋大学・大学院生命農学研究科・応用分子生命科学専攻・松見紀佳
(2)研究テーマ名(NEDO 助成技術 H21)
難燃性の有機・無機ハイブリッド型イオンゲル電解質の新しい設計技術
(3)研究テーマの技術・開発段階
・基礎研究段階
・応用研究段階 ・実用化研究段階
(4)技術概要
リチウムイオン二次電池の安全性の向上に配慮
(A)
した、高分子化イオン液体などの難燃性高分子と
無機成分とのナノコンポジットからなる新たな有
機・無機ハイブリッド型電解質を、ゾル―ゲル法
をはじめとする幾つかの手法により調整する新し
い技術です。これまで有機高分子材料のホウ素化
(B)
は難燃性を向上させることは幾つかの系で実証さ
れていますが、有機成分と無機成分の双方が難燃
性である系を構築することにより、安全面で大き
な進展が期待されます。
有機成分や無機成分に導入するホウ素原子のア
ニオントラップ能力や塩解離を促進する能力を活
かして、イオン伝導特性をはじめとする諸物性の更なる向上を図ります。in-situ 重合法やルイス酸―
塩基相互作用を利用したゾル―ゲル法をはじめ、多糖とホウ酸、ホウ酸エステルとの反応を利用した
手法などで各種ホウ素系有機・無機ハイブリッド型電解質を作製し、イオン伝導度のみならず直流電
流や電極との界面抵抗、難燃性など、電池用の電解質として向上が望まれる諸特性を総合的に評価し
ます。
【図の説明】(A) 多糖とホウ素との相互作用を利用した新しい有機・無機ハイブリッド型イオンゲル
の例 (B) ケイホウ酸ガラスを利用した有機・無機ハイブリッド型イオンゲルの例
(5)特徴・訴求点
・ホウ素の導入により、有機成分と無機成分の双方に難燃性を付与した電解質であること。
・ケイホウ酸ガラスの利用により、電池の諸特性の向上に有用なホウ素を特に安定な形で導入するこ
とが可能。
・多糖とホウ素の相互作用を利用した新しいタイプの有機・無機ハイブリッド型電解質の設計。
・400oCまでの熱安定性、10-3 Scm-1台のイオン伝導性の発現を目指す。
(6)現在注力している応用分野、将来探索してみたい分野<複数分野可>
・【現在】リチウムイオン2次電池
・【将来】燃料電池、エレクトロクロミック素子など
(7)実用化に向けた課題
・材料の熱安定性の向上 ・コストの低減
(8)企業に対する提案事項
上記実用化に向けた課題に関し、意見交換や共同開発、委託研究を提案します。
提案書 環境・エネルギー(13)
(1)大学・学部学科・研究室名・氏名
東京農工大学大学院・工学府機械システム工学専攻・岩本研究室・岩本薫
(2)研究テーマ名(NEDO 助成技術 H21)
脈動性を用いた再層流化による高効率な管内流体・気体輸送技術(動力削減効果 50%以上)
(3)研究テーマの技術・開発段階
・基礎研究段階
・応用研究段階 ・実用化研究段階
(4)技術概要
21世紀における持続可能な社会の構築のためには、有限であるエネルギーをより一層有効利用する
ことが肝要です。そこで我々は、地域冷暖房における冷媒輸送や、石油・天然ガスのパイプライン輸
送などの管路内の流体輸送において、エネルギー消費量のほとんどを占めている乱流摩擦抵抗による
エネルギー損失を抑制し、省エネルギーに寄与する基礎技術を開発しました。具体的には、血流の脈
動に手掛かりを得て世界で初めて発見した「流れを脈動させ再層流化することによる乱流摩擦抵抗の
低減技術」を室内実験で実証し、最大約58%の動力削減効果を確認しています。
R
0
25
d= 20
Flow direction
Pump
Pressure tap
950
l=2000
Test section
Flow meter
50
R2
50
流 量 [m / s ]
0.3 0
Unit: mm
室内実験装置の概略図
0.2 8
0.2 6
0.2 4
0.2 2
0.2 0
流量増加
0.1 8
0.1 6
0
100
20 0
3 00
400
50 0
時 間 [s ]
【図の説明】ポンプ、曲がり部、段差などがある室内実験装置(左図)で本技術を適用すると、同じ
駆動力でより多くの流体を輸送することができます(右図)
。言い換えますと、同流量を得るための駆
動力を削減することができます。
(5)特徴・訴求点
・管路におけるほぼすべての流体輸送に応用が可能であり、幅広い応用分野が期待されます。
・流体を駆動するポンプを変更するのみで、輸送動力が削減し、また断熱効果を向上させることがで
きます。
・従来の界面活性剤などを添加する方法に比べて、天然ガス・水素・CO2 などの気体輸送にも適用が可
能であり、配管と直結された熱交換器への悪影響もありません。
(6)現在注力している応用分野、将来探索してみたい分野
・
【現在】地域冷暖房での冷媒輸送、天然ガス・石油のパイプライン輸送、ガス・水道などのライフラ
イン輸送、温水などの排熱パイプライン輸送
・
【将来】CO2の分離回収後の地中貯留のためのパイプライン輸送、水素輸送・供給のためのパイプ
ライン網
(7)実用化に向けた課題
・曲がり管や分岐管といった継ぎ手類の影響、流量センサへ与える影響の調査
・長距離輸送システムに適した輸送方法の検討
(8)企業に対する提案事項
・管路における流体輸送に関する意見交換や技術相談、共同開発を提案します。提案先イメージ:地
域冷暖房やパイプライン技術を保有する/長距離の流体輸送の技術開発・商品開発に関心もしくは
実績を有する(あるいは知見を有する)企業・組織など。