第3次将来構想計画 - 枚方寝屋川消防組合

第3次将来構想計画
1 概要及び基本目標
⑴ 計画の概要
【計画の位置付け】
・本計画は、消防組織法第1条に規定する消防の任務を達成するための枚方・寝屋川
両市の消防力の在り方の指針となるものです。
・本計画は、本消防組合の総合的かつ計画的な消防行政運営の指針であり、本消防組
合の最上位計画と位置付けるものです。
【計画の構成及び期間】
・本計画は、基本目標、基本計画及び事業計画で構成し、その期間は、平成 23 年度
から平成 27 年度までの5ヵ年を計画期間とします。
⑵ 基本目標策定の視点
【枚方市及び寝屋川市の総合計画】
・枚方市の第4次総合計画の基本構想に基づき、第2期基本計画において「まちの安
心・安全を高める」、
「生命を支える医療体制を強化する」ことを重点施策として示
されています。寝屋川市では、第五次総合計画でめざすべきまちの姿として「魅力
と活力にあふれる元気都市
寝屋川」とし、それを実現する基本構想の一つに「安
全で安心できるまちづくり」を掲げています。
【基本的視点】
・市民生活の安全と安心の確保に向け、市民の目線に立ちながら、消防行政サービス
の向上をめざす計画とします。
・第2次将来構想計画及び消防経営戦略プランで達成できなかった課題をはじめ指
令機能を有する消防本部庁舎の整備、また消防の広域化等消防組合を取り巻く環
境に柔軟に対応できる計画とします。
・地域の防災力の強化を図ることができる計画とします。
・限られた人員で様々な災害に対応するため、柔軟な体制に向け整備を図り、今後
10 年間の職員の大量退職に伴う職員の人材育成を推進します。
・効率的で効果的な消防行政運営を念頭に置いた計画とします。
⑶ 本消防組合の消防行政の現状と課題
【各種災害の発生状況の検証】
・火災発生状況と課題 (住宅用火災警報器の設置促進、放火防止対策への取り組み)
・救急発生状況と課題(5分救急体制の確保、救急指導体制の強化)
・救助発生状況と課題(計画的な救助隊員の育成)
・通信指令状況と課題(火災・救急等の災害通報への体制の充実)
ⅲ
【機構と各種消防業務の検証】
・機構の状況と課題(機構のスリム化と職員数の適正化)
・勤務体制の状況と課題(2交替制勤務と3交替制勤務の比較検証)
・各種消防業務の状況と課題(消防本部と消防署の役割)
【消防力の検証】
・署所施設数の状況と課題 (5分消防、5分救急体制を確保するため、現状を維持)
・消防車両数の状況と課題(効率的で効果的な消防力の維持)
・職員数の状況と課題(消防職員数の適正化)
【本消防組合の人事の状況と課題】
・職員の大量退職に伴う安全管理対策の推進が急務であり、若手職員の人材育成が必
要です。
・地域の防災力の向上を図るとともに、管理職員の在り方の適正化に努めます。
・再任用職員の増加に伴う方針や制度の整備が必要です。
⑷ 基本目標と消防行政指標
基本目標1 消防防災体制の再構築
【基本方向】
・指令機能を有する消防本部庁舎の竣工と消防救急無線のデジタル化を実施します。
・被害を最小限に抑えていくため、引き続き「5分消防」体制を維持します。
・指揮体制を強化し、警防体制の充実を図ります。
・これまでの計画やマニュアルを検証し、広域防災体制を整備します。
・各地域の防災リーダーの育成を図りながら、地域の防災力の強化を図ります。
【消防行政指標】
・消防ポンプ車が出動してから現場に到着するまでの所要時間(目標値:5分)
・地域の防災リーダーの育成率(目標値:100%、各自主防災組織の育成者数/自主
防災組織数×2)
基本目標2
救急体制の充実整備
【基本方向】
・高い市民ニーズに迅速かつ適切に対応していくため、「5分救急」体制の確立をめ
ざします。
・市民への応急手当の普及活動を促進し、救命救急センターとの連携を強化します。
・消防機関と医療機関の連携を強化し、救急医療相談の電話窓口事業などを通じて予
防救急体制の整備に努めます。
【消防行政指標】
・救急車を呼んでから現場に到着するまでの所要時間(目標値5分)
・救急搬送した CPA(心肺停止状態)患者の救命率(目標値:国・大阪府の平均値を上
回る値)
ⅳ
基本目標3 火災予防・保安体制の整備
【基本方向】
・カラオケボックスや個室ビデオ店火災など、査察の強化を図り、違反是正の推進に
努めます。
・防火安全対策や災害時要援護者に配慮した対策を進め、建物火災から高齢者や障
がい者の安全を確保します。
・平成 24 年度からの保安3法に係る権限移譲を円滑に行うことができるよう人材育
成をはじめ、受け入れ体制の確立をめざします。
【消防行政指標】
・違反事項の是正率(目標値:100%)
・住宅用火災警報器の設置率(目標値:100%)
基本目標4 効率的な消防行政運営の推進
【基本方向】
・職員数の適正化を図るとともに、各種消防業務の点検、見直しを行いながら、効率
的な消防行政運営を進めます。
・再任用職員などの多様な任用形態を取り入れながら、計画的な職員採用に努め、職
員の技能・能力開発など人材育成に取り組みます。
・市民の意見やニーズを消防行政に反映していくため、消防広報・広聴体制を充実し
ます。
【消防行政指標】
・市民千人あたりの職員数(目標値:類似消防本部の平均値を下回る値)
・本消防組合ホームページへのアクセス率(目標値:今年値/前年値の 1.0 を上回る
値)
2 基本計画
【基本計画策定の視点】
・安全で安心して暮らせるまちの実現をめざし、4つの基本目標を達成していくため
に、14 の基本計画を定め、施策別に計画を進めます。
【基本計画及び施策の内容】
基本目標1
消防防災体制の再構築
⑴ 消防防災拠点の整備
・平成 26 年度までに新たな場所で指令機能を有する新消防本部庁舎を建設します。
・これまでの将来構想計画や消防経営戦略プランに掲げていた枚方消防署中宮出張
所の建て替えに向けた基本計画を策定します。
⑵ 警防・指揮体制の充実強化
・現在の警防部警防課に本部指揮支援・調査隊を創設し、指揮体制や安全管理体制
現場広報体制の充実強化を図ります。
ⅴ
・大規模災害や特殊災害、集団災害等が発生した場合、各消防署本署に「特別消防
隊」を配置し、有事の際の指揮支援機能を持たせます。
・災害現場の経験が浅い若手職員の警防技術や知識の向上、また部隊活動を標準化
するため、災害種別ごとの警防活動基準を整備し、消防業務の活動マニュアルを
作成します。
⑶
地域の防災力・災害予防の強化
・地域の防災力を高めるため、地域防災リーダー等を計画的に育成します。
・出張所各部に管理職員(
(仮称)管理司令)を計画的に配置し、地域の防災力、
職員の人事管理や人材育成等を強化し、分署機能についても検討します。
・減災対策として両市の危機管理担当部局と連携して、建物倒壊や家具転倒等の
防災対策を推進します。
⑷ 大規模災害・特殊災害対策の整備
・大規模災害や特殊災害等が発生した場合のより迅速かつ的確な情報伝達体制を
構築します。
・東北地方太平洋沖地震を教訓とした震災対策の見直しについて、東南海・南海
地震を想定して策定した地震災害消防計画及び震災対応マニュアル等の必要に
応じた追加、修正、また集団災害や特殊災害に係る各計画やマニュアルを再点
検します。
・大規模災害が発生した場合の広域防災体制の在り方について、防災関係機関と
協議し、整備します。
・本消防組合の施設や人員を活用した武力攻撃災害に対応できる国民保護体制を
整備します。
・耐震性防火水槽の設置を促進するため、構成両市関係課と協議します。
⑸
消防通信体制の整備
・平成 26 年度までに消防本部庁舎整備と消防救急無線のデジタル化整備と併せて
消防情報システムを更新します。
・無線による情報伝達の正確性・効率性を図り、経費を抑制するため 400 ㎒帯署
活動系携帯無線機を計画的に整備します。
基本目標2 救急体制の充実整備
⑴ 救急医療体制の充実強化
・高規格救急自動車未配備の3出張所に配備し、全署所での「5分救急」体制をめ
ざします。
・寝屋川消防署秦出張所を救急専用ステーションとして開設し、救急業務だけを
行います。
・試行的に実施しているドクターを救急車に同乗させ救命活動を行う取組みの実
施結果を検証しながら、
「ドクターカーシステム」など救命救急センターとの連
ⅵ
携方法について検討します。
・傷病者の搬送及び医療機関の受入れを迅速かつ適切に実施していくため、
「北河
内地域救急搬送基準」を作成します。
・
「救急医療情報キット」について、枚方・寝屋川両市の関係課と調整し、運用に
ついて検討します。
・平成 21 年度に策定した「新型インフルエンザのための業務継続計画」に基づき、
感染防止用消耗品等の計画的整備と備蓄品の品質管理を行います。
⑵
予防救急体制の整備
・平成 22 年4月から参画している「救急安心センターおおさか」の普及に努め、
救命率の向上や救急車の適正利用の促進を図ります。
・引き続き、市民への応急手当の普及啓発活動を推進します。
・高齢者社会福祉施設等の事業者及び従業員等関係者の応急救護能力の向上を図
ります。
基本目標3 火災予防・保安体制の整備
⑴ 査察・違反処理体制の推進
・査察・違反是正業務を効率的かつ効果的に推進するため、様々な取組みを通じ
て違反・是正指導の強化に努めます。
・優良な防火対象物については、自主保安体制を構築させ、人命危険・火災危険
性の高い防火対象物への違反是正指導体制を強化します。
⑵ 防火安全対策の推進
・平成 23 年5月末日までに設置が義務付けられている住宅用火災警報器の対象全
戸への設置に向けた取り組みを進めます。
・枚方・寝屋川両市の関係課とともに放火防止対策を実施します。
・防火委員会の運営や幼少年消防クラブ・婦人防火クラブの指導方法の見直しな
どについて検討し、予防業務体制を整備します。
⑶ 保安体制の充実整備
・平成 24 年度からの保安3法の権限移譲に伴い、危険物許認可事務と併せて消防
本部で一括して処理する組織体制を構築します。
基本目標4
効率的な消防行政運営の推進
⑴ 組織機構・体制の再構築
・柔軟で幅広い人材育成のため、署警備課の交替制勤務部門の係制度を廃止し、
担当制を導入し、弾力的で柔軟な組織体制を構築します。
・現在の情報管理室を廃止し、指令管制課へ再編します。
・保安3法及び危険物許認可事務を受け持つ保安対策課及び予防部を新設します。
・目標職員数は 645 人以内とし、平成 24 年度からの4ヵ年期間で職員数定員適正
化計画を策定し、職員を計画的に採用します。
ⅶ
・再任用専属の部署を構築し、地域の防災力や市民サービスの向上を図ります。
⑵ 職員の人材育成と資質の向上
・人事計画の見直しと整合を図りながら、職員の幹部昇任試験制度等の見直しに
ついて検討します。
・災害現場から帰署所後の隊員へのチェックやチームミーティング等を実施する
など、惨事ストレスへの体制を整備します。
・平成 22 年度に新たに制度化した総合評価制度をさらに推進し、頑張った職員が
報われる制度の確立をめざします。
⑶ 計画的な行財政運営の推進
・消防本部と消防署の予算の在り方を検証しながら、予算の効率的、効果的な適
正管理を推進します。
⑷ 消防広報体制の充実整備
・両市広報紙やホームページだけではなく、地域に密着した各署所を基点とした
広報体制について検討します。
・あらゆる機会を通じて、アンケート調査を実施するなど、広聴体制を確立し、
市民の声を消防行政に反映する取組みを進めます。
3 今後の消防体制と健全な財政基盤の確立
⑴ 今後の消防体制
警防要員は、現行の体制を維持した上で、特に市民ニーズが高い救急サービスを充
実していくため、柔軟な組織体制の構築をめざします。また、災害現場の指揮体制や
安全管理を強化するとともに、保安 3 法の権限移譲に係る体制は機構の再編により、
職員を増員することなく予防行政の強化を図ります。
⑵ 職員数定員適正化計画(職員採用計画を含む。)
【職員の年齢構成の現状】
職員総数の 4 割以上を占める 50 歳以上の職員が毎年大量に退職していく中で、計
画的に職員を採用し、職員の年齢構成の平準化を図っていくことが必要です。
【今後の職員数(消防力)の推移】
今後の職員数については、本計画の各課題に取り組んだ後の消防体制で示す 645
人以内と定め、目標達成日は平成 26 年 10 月1日とします。
【職員採用計画】
本計画期間中の必要な消防力を確保するため、平成 24 年度から平成 27 年度まで
の4年間にわたり、毎年 26 人の新規職員を計画的に採用します。
(採用計画の作成に係る基本的な考え方)
① 後年度の年齢構成の平準化に配慮しながら、定年退職に伴う職員の不足数を
計画的に採用します。
② 勧奨退職等の普通退職に伴う不足数については、再任用職員や臨時職員など
ⅷ
多様な雇用形態を取り入れながら補うものとします。ただし、消防力の確保に
支障が生じるような不足数が発生した場合は、当該職員採用計画の見直しにつ
いて構成両市と協議します。
③ 財政の健全化を図るため、多様な雇用形態を取り入れながら、職員数の抑制
に努めます。また、新規採用については、退職半期制に合わせて2期制(4月採
用と 10 月採用)を行い、総人件費の削減に努めます。
【今後の課題】
職員定数については、平成4年の改正以来「772 人以内」であり、現行の職員数と
乖離しているため、定数条例の見直しが必要です。また、消防学校に入校期間中の
新規採用職員は消防行政運営の戦力外となるため、条項の中で新規採用職員数に対
する考え方の整理が必要です。
再任用職員の採用基準を整理するとともに、定員については今後の職員定数と整
合を図りながら、別途管理が必要です。また、国家公務員の定年延長の今後の動向
にも注視していくことが必要です。
⑶ 計画期間中の財政の見直し(財政収支計画)
【財政収支計画の作成に係る基本的な考え方】
① 職員数定員適正化計画で示す今後の職員数に基づき、歳出における人件費を算
定します。なお、平成 24 年度以降の人件費については、平成 23 年度予算額にお
ける平均人件費を基に推計するとともに、職員の定年半期制や大量退職に伴う新
陳代謝による人件費の減少効果を反映します。
② 歳出のうち投資的経費については、本計画期間中に予定している消防本部庁舎
整備、消防情報システムの更新及び消防救急無線のデジタル化整備等に係る事業
費を考慮して推計します。
③ 歳入計画における構成両市負担金按分比率については、両市の人口等の増減を
勘案しながら、過去5ヵ年の平均値から算出し、推計します。
⑷ 第3次将来構想計画の進行管理
本計画の進行管理は、施策評価を基に行い、総合的点検・評価の方法はPDCAサ
イクルにより実施し、必要に応じて「第3次将来構想計画策定委員会」において本計
画を見直します。なお、本計画の策定及び各事業計画の取り組み状況については、本
消防組合ホームページなどを活用してより広く公表します。
ⅸ