会員企業ご訪問 明石プラスチック工業株式会社(兵庫支部) 【vol.29】 今回は、兵庫県明石市に本社のある明石プラスチック工業株式会社(正会員・ 兵庫支部)を訪問し、代表取締役 会長 神谷 光郎 様 を訪ねました。 ◎会社の概要 ―御社の概要について教えてください。 当社は、1959年9月に創業者である私が、今でいう脱サラをして兵庫県 神谷 光郎 会長 明石市相生町で創業し、創業の翌年、1960年に金型生産を開始、1964年より現所在地で ある同市魚住町金ヶ崎へ移転し、熱硬化性樹脂の圧縮成形、射出成形、熱可塑性樹脂の射出成形 と加工法別に工場を展開。中でも95年3月には主力の熱硬化性樹脂成形の専用工場を従来の平 屋建てから2階建て(延べ床面積約1,000平方㍍)へ建替えております。 創業の翌年の金型生産の開始以来、より精度の高い金型・製品作りを目指し、金型部門に積極 的に設備投資を続けた結果、NCジグ研削盤、NC成形研削盤、NC平面研削盤などに続いてワイヤ カット、型彫り両タイプの放電加工機を揃え、3次元測定装置、歯形・歯スジ検査装置、歯車カ ミ合い試験装置といった測定機器類も最新のものを充実しております。 自社で金型から製作し、高精度という付加価値を付けて行く事 で、年々厳しくなる値下げ要求に耐え、業界全体の流れが熱硬化 性樹脂から熱可塑性にシフトしていく中で、現在も熱硬化性樹脂 工 場 全 景 の成形をメインに製造を進めております。 また、当社では生産方式の工夫をした結果、夜間は不良率が高く、また圧縮成形は設備コスト も安いため、コストをかけて夜間操業するよりも、成形機と金型を倍に増やして昼作ったほうが 効率的であることからスポット物を除けば8時間操業が原則です。 ◎製造・販売している商品について −御社の事業について教えてください。 当社では、超精密高精度金型の技術を生かして熱硬化性のプーリー・ 歯車、自動車の電装部品、カメラ部品、バーコード用レン ズなどを製造しております。 主力である熱硬化性樹脂のプーリーは従来使われてい た小型、超小型のものだけでなく、300Φ、250Φ、 製造している製品 200Φの大型の樹脂プーリーを開発に成功し、平成13年7月に東洋機械金属株式会社の最新電 動サーボ射出成形機に採用されました。 これは、従来電動サーボ成形機の動力伝達は、アルミや鉄製のプーリーとタイミングベルトが 使われてきましたが、軽量化による省エネ効果や騒音の軽減を狙って樹脂プーリーの開発を進め てきたもので、当初は、樹脂製のプーリーということで中々受 け入れられませんでしたが、15秒サイクル、24時間の連続 ショットなら通常の基礎判定基準を3倍も上回る3,000万シ ョットに耐える厳しい実機テストの結果が、騒音の低さと共に 評価を頂き、1,000万ショットの時点で本採用が決まりました。 大型のプーリーについては、まだまだアルミや鉄製のものが 主流であり、当社の樹脂製プーリーへの転換により、低コスト 新開発の大型樹脂プーリー 化、低騒音、軽量化が図れることから今後はこの技術を活かして、他の産業機械への搭載も期待 しております。 ◎事業の方針について ―事業の方針についてお聞かせください。 私の創業の想いとして「他社がまねできない樹脂加工製品の生産」 。そして「働きやすい環境の 会社」という事がありました。 「他社がまねできない・・・」については、創業の翌年、昭和35年に金型製作を開始した事 で具体化し、 「働きやすい・・・」については、工場の操業を8時間操業とすることなど、着実に 前進していると思います。 また、人材育成にも力を入れており、メーカーのスクーリング、外部の講座に積極的に派遣、 また、熱硬化性の材料は特に原料の状態によって成形条件はまったく異なることから、原料への 知識が非常に重要であることから、94年から社内に熱硬化性樹脂に関する技術講座を設置、専 門の材料屋に見せても解けないぐらい高水準の講座を、延べ10回、20時間の研修を行ってお ります。 ◎協会への要望等について −協会に対して何か要望等がございましたらお話しください。 率直に言えば協会への要望はありません。極めて厳しい現在の状況において生き残る為の努力は 自分しかありません。 協会は企業が生き残る為の情報源として豊富なネットワークを最大限活用、発揮して情報を提供 する義務があると思います。我々企業はその中から必要な情報をピックアップし、自分の努力で活 用すべきではないでしょうか?決して他力本願を期待すべきではないと思いますが・・・ ◎ありがとうございました 取材:事務局 高 村 ・ 山 守
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