ジェネラリスト・ウィメンズヘルス・シリーズ①『月経と性感染症~産婦人科につなぐ境界線はどこか~』 月経の異常 ②薬物療法 ・腰痛・頭痛に鎮痛剤(NSAIDs) ・むくみに利尿剤(アルダクトン®) ・中等度以上のうつ状態(SSRI) ・身体症状の改善(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合 薬(低用量ピル)) 月経は「面倒なもの」と思っている女性は少なくないが、不順になったり すると不安になることも多い。どの時点で医療機関へ受診するべきか わからずに悩んでいる女性も多いため、プライマリケア医としては積極 的に月経のトラブルに関わっていく姿勢が大切である。 正常な月経 専門医へ紹介するタイミング 初経 10~15 歳(日本は平均 12 歳)、閉経 45~55 歳 月経周期 25~38 日 月経日数 3~7 日 原発性無月経、挙児希望のある PCOS、高プロラクチン血症、内服 でコントロール困難な月経困難症 <★の数> ★★★ ベーシック 各論 ★★ ステップアップ 原発性無月経★ 二次性徴はあるが 16 歳になっても初経がない、または、二次性徴 がなく 14 歳になっても初経がないこと。 (※原則、専門医へコンサルト) 続発性無月経★★ これまであった月経が 3 か月以上停止したもの。 視床下部性無月経 ストレス、運動やダイエットによる体重減少から起こる。 鑑別として以下も忘れないようにする 高プロラクチン血症 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS) 早期卵巣機能不全(POF) 月経過多★★ 出血量が一周期で 150ml 以上と定義されているが、量ることは困 難であり臨床上は役に立たない。利用可能な指標としては鉄欠乏 性貧血の有無である。 月経過少(過少月経?) 過長月経 過短月経 月経困難症★★★ 月経期間中に月経に随伴して起こる病的状態。下腹部痛、腰痛、 腹部膨満感、嘔気、頭痛、疲労・脱力感、食思不振、いらいら、下痢、 および憂うつの順に多くみられる。 検査 内診、経腟超音波、細菌培養、クラミジア抗原検査などで異 常がなければ月経困難症と診断 治療 ①鎮痛薬(NSAIDs など) ②低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(低用量ピル ③漢方(当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸、桃核承気 湯、当帰建中湯など) ④鎮痙薬(ブスコパン®) ★ アドバンスド(産婦人科専門医レベル <資料集> 続発性無月経 メドロキシプロゲステ プロべラ® ロン 結合型エストロゲン プレマリン® 多嚢胞性卵巣(PCOS) クエン酸クロミフェン クロミッド® 月経過多 エストロゲン・プロゲスチ 低用量ピル ン配合薬 levonorgestrel releasing ミレーナ® intrauterine system (LNG-IUS) トラネキサム酸 トランサミン® 月経困難症 NSAIDs イブプロフェン ロキソプロフェン 低用量ピル 従来の自費の OC ドロスピレノン・エチニル エストラジオール 漢方 当帰芍薬散 加味逍遥散 桂枝茯苓丸 その他 ブチルスコパラミン 10mg×5 日 = 582 円 1.25mg × 21 日 = 530 円 100mg/日=226 円 2000-3000 円/月 5-10 万円/5 年 2000mg(日本の最高用 量)=88 円/日 ブルフェン® ロキソニン® 200mg=10.3 円 60mg=20.3 円 ヤーズ® 2000-3000 円/月 6092 円/月 (×保険での負担) 126.6 円/日 65.4 円/日 68.4 円/日 ブスコパン® 月経前症候群(PMS)★★★ 月経前3~10 日間の黄体期に続く精神的あるいは身体的症状で月 経発来とともに減弱あるいは消失するもの。いらいら、のぼせ、下 腹部膨満感、下腹部痛、腰痛、頭重感、怒りっぽくなる、頭痛、乳房 痛、落ち着きがない、憂うつの順に多い。 治療 ①カウンセリング・生活指導 月経前症候群(PMS) 腰痛・頭痛 むくみ 中等度以上のうつ状態 身体症状の改善 NSAIDs 利尿剤 SSRI 低用量ピル アルダクトン® 井上裕美他監修 病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科 第 2 版 メディックメディア刊 p20,24
© Copyright 2024 Paperzz