ピルに関するアンケート調査 調査概要 0 調査概要 ●調査テーマ 「ピルのうそとほんと」 低用量ピル・緊急避妊ピルの認知・イメージについて調査する。 比較対象として男性にも同調査を実施し、性差による認識の違いに ついても検討する。 ●調査手法 インターネットによる記入式アンケート調査 ●調査対象 20代および30代の女性400名・男性200名 ●調査実施時期 2012年11月15日(木)~17日(土) 低用量ピルの認知状況 Q.「低用量ピル」に関して、当てはまるものをお選びください。 男 性 女 性 76 19.0% 22 5.5% 20 10.0% 46 11.5% 92 46.0% 82 20.5% 174 43.5% 内容まで知っていて、現在使用している 内容まで知っているが、使用したことはない 知らない・聞いたことはない 88 44.0% (n=400) 内容まで知っていて、以前使用していた 名前は知っているが、使用したことはない (n=200) 内容まで知っている 名前だけは知っている ・認知率(「内容まで」および「名前は」知っている割合)は、女性が81.0%、男性は90.0%。 ・内容認知率(「内容まで知っている」の割合)は、女性が37.5%、男性が46.0%。 知らない 低用量ピルの使用目的 Q.あなたが「ピル(低用量ピル)」を使用した目的はなんですか? (複数回答可/服用経験のある女性への質問) 0 10 20 30 40 (%) 44.1 確実な避妊を行うため 17.6 自分(女性)の意思で避妊を行いたかったため 45.6 月経周期を安定させるため 38.2 月経痛を軽減するため 22.1 月経量を減らすため 33.8 月経日をコントロールするため 16.2 月経前のイライラなどの症状を改善するため ニキビ・肌荒れを治すため 5.9 卵巣がん、子宮内膜がんの予防のため 5.9 その他 50 2.9 (n=68) ・「ピル(低用量ピル)」の使用目的は「月経周期を安定させるため」45.6%、「確実な避妊を行うため」44.1%、 「月経痛を軽減するため」38.2%の回答が上位となった。 ・避妊効果だけではなく、月経に対する作用を期待して服用しているという回答も多くみられた。 低用量ピルを持っている知人・女性のイメージ Q.あなたの周囲でピル(低用量ピル)を持っている知人・女性がいると仮定した場合、 あなたはその友人にどのようなイメージを持ちますか?(複数回答/認知者への質問) 0 10 自分の体を大事にしている 20 13.3 30 40 18.5 39.5 37.2 避妊について真剣に考えている 11.4 遊んでいそう 10.5 夜の仕事をしていそう アスリートっぽい 28.9 16.7 4.0 2.2 体調管理に気をつけている 29.9 8.3 神経質 2.8 1.7 自己管理ができていなさそう 0.6 2.8 その他 50 (%) 0.6 3.7 35.8 35.6 特になにも思わない 女性(n=324) 男性(n=180) ・最も高いイメージは男女とも「避妊について真剣に考えている」イメージ。 ・次点が女性は「体調管理に気をつけている」「自分の体を大事にしている」に対し、男性は「遊んでいそう」 「夜の仕事をしていそう」があがっており、女性よりも同項目のスコアが高い。 ⇒男性の方が女性よりもネガティブなイメージを持っている。 低用量ピルに関する認知・イメージ Q.「ピル(低用量ピル)に関する情報」について、あなたの考えやイメージに 当てはまるものをお知らせください。(複数回答/認知者への質問) 0 20 40 月経痛が軽くなる 28.9 月経周期が安定する 29.4 服用すると太る 服用していることが 人に知られると恥ずかしい 性感染症が防げる 将来妊娠しづらくなる 11.7 100 (%) 38.0 72.8 22.5 34.3 13.9 18.2 15.0 23.8 15.0 22.8 35.0 婦人科に行かないと手に入らない 精子や卵子を殺すイメージ 80 68.8 35.0 月経量が少なくなる 肌がキレイになる 60 54.4 16.7 79.3 35.0 女性(n=324) 男性(n=180) ・最も高い認知・イメージ内容は男女とも「婦人科に行かないと手に入らない」で共通。 ・誤解として高く上がったのは、女性は「服用すると太る」、「将来妊娠しづらくなる」で、男性は「将来妊娠しなく なる」、「精子や卵子を殺すイメージ」。 ⇒男女ともピルに対する誤解はあるが女性よりも男性の方が誤解している内容、そのスコアも高い。また男性 は女性に比べ、避妊以外の作用に対するイメージは乏しい。 低用量ピルの情報提示 次にあげるピルに関する情報をお読み下さい。 低用量ピルは、避妊を目的として女性が1日に1回、服用する製剤です。婦人科で処方してもら います。 ピルを飲み忘れなどなく理想的に服用した場合、コンドームよりを使用するよりも妊娠する確 率は低いです(妊娠率は低用量OC:0.3%、コンドームが2~15%)。 月経周期が整う、月経痛や月経量が減る、肌がきれいになるなどの避妊以外のメリットもあり、 このような作用を期待して服用している女性も少なくありません。 日本での服用率はまだ数%であるものの年々増加しており、ヨーロッパなどでは約20%の女 性が服用しています。 服用を中止すると、卵巣は排卵の準備に向かいます。また、ピルは不妊治療にも使用される製 剤であり、不妊の原因にはなりません。 現在は、ホルモン量が少なく体への負担が少ない低用量ピル(OC)が主に使用されており、服 用による体重の変化もほとんどみられません。 ピルで性感染症を防ぐことはできないので、性感染症予防にはコンドームを併用することが大 切です。 情報提示後の低用量ピルの評価(女性) Q.この情報を読んで、あなたの「ピル(低用量ピル)に対する意識は変わりましたか?(ピルを認知していた女性への質問) 3 0.9% 【低用量ピルに関する意識変化の有無】 114 35.2% ⇒正しいピルの情報を知ることにより、1/3の女性の ピルに対する意識が良く変化した。 207 63.9% 良くなった ・35.2%が「良くなった」と回答。 (n=324) 変わらない 悪くなった Q.今後、あなたはピル(低用量ピル)を使ってみたいと思いますか?(ピルを服用した経験のない女性への質問) 78 23.5% 33 16 9.9%4.8% 55 16.6% 150 45.2% 是非使ってみたい 使いたくない 使ってみたい 絶対に使いたくない 【低用量ピルの使用意向】 (n=332) どちらともいえない ・使用意向あり(「是非使ってみたい」+「使って みたい」) は21.4% 、使用意向なし(「使いたくない」 +「絶対に使いたくない」)は33.4%であった。 ⇒正しい情報を知ってもらい、意識が好転しても、 非使用意向の方が高い。 パートナーが低用量ピルを服用すること許容度(男性) Q.もし、あなたのパートナー(妻や彼女)がピル(低用量ピル)を服用するとしたら、あなたはどう思いますか? 情報提供前 (%) 0 10 20 30 40 (%) 0 10 8.3 30 40 50 60 50.0 どちらとも言えない ピルを飲むことを許せない 20 43.0 ピルを飲むことを許せる 53.9 どちらとも言えない ピルを知らない 60 37.8 ピルを飲むことを許せる ピルを飲むことを許せない 50 情報提供後 7.0 20.0 (n=200) (n=180) 【情報提供前(すでにピルを認知していた男性への質問)】 ・「どちらともいえない」が最も高く53.9%。「ピルを飲むことを許せる」は37.8%で、「ピルを飲むことを許せな い」8.3%を大幅に上回っている。 【情報提供後(男性全員への質問)】 ・「どちらともいえない」が最も高く50%。「ピルを飲むことを許せる」は43%で、「ピルを飲むことを許せない」 7%を大幅に上回っている。 ⇒情報提示後は「どちらともいえない」、「ピルを飲むことを許せない」は減少し、 「ピルを飲むことを許せ る」のみが5.2ポイント増えた結果となった。 低用量ピルに関する情報の意外性 Q.ピル(低用量ピル)に関する情報を読んで、あなたが「意外だ」と感じたものはなんですか?(複数回答) 0 10 20 30 30.0 避妊効果がコンドームよりも高いこと 40 (%) 37.5 40.8 41.0 避妊以外の多くのメリットがあること 体重には影響を与えないこと 25.5 13.5 8.3 6.5 性感染症が防げないこと 22.0 22.5 不妊の原因にはならないこと 10.8 11.0 海外ではピル(低用量ピル)が普及していること その他 50 1.3 1.0 25.0 26.5 意外だった点は特にない 女性(n=400) 男性(n=200) ・最も意外な情報だったのは「避妊以外の多くのメリットがあること」が男女共通であり、ついで「避妊効果が コンドームより高いこと」 。 ・さらに「体重には影響を与えないこと」「不妊の原因にはならないこと」についても男女とも意外と感じている。 低用量ピルの情報入手経路 Q.あなたは「ピル(低用量ピル)」の情報をどこから入手しましたか?(複数回答) 0 10 医療・看護婦・保健婦など医療従事者 20 家族(親、兄弟、姉妹など) 30.9 16.7 0.9 10.6 3.1 1.7 35.5 インターネットサイト ソーシャルメディア(twitter,facebookなど) 41.1 1.2 2.8 22.5 テレビ 5.6 新聞 雑誌 5.6 32.8 8.9 12.8 学校の性教育 その他 50(%) 40 33.3 8.9 友人・知人 パートナー(夫、恋人など) 30 16.4 20.0 0.9 2.8 女性(n=324) 男性(n=180) ・最も高い入手経路は男女ともに「インターネットサイト」。 ・次点が女性は「医療従事者」「友人・知人」であるのに対し、男性は「テレビ」「学校の性教育」が あがっている。 ⇒女性は専門家やユーザーから情報を収集する傾向が高い。 緊急避妊ピル認知度 Q.「緊急避妊ピル」をご存知ですか? 男 性 女 性 15 3.8% 33 16.5% 91 22.8% 187 46.8% 38 19.0% 129 64.5% 107 26.8% (n=400) 内容まで知っていて、使用した事がある 内容まで知っているが、使用した事はない 名前は知っているが、使用した事はない 知らない (n=200) 内容まで知っている 名前は聞いたことがある ・認知率(「内容まで」または「名前は」知っている割合)は、女性53.4%、男性は35.5%。 ・内容認知率(「内容まで知っている」割合)は、女性が26.4%に対し、男性が16.5%。 ⇒女性の約半数、男性の3分の2手緊急避妊ピルについての認識が全くない。 ・緊急避妊薬の服用経験のある女性は3.8%。 知らない 緊急避妊ピルについての情報提示 次にあげるピルに関する情報をお読み下さい。 緊急避妊ピルは、妊娠の可能性がある性交後、72時間以内に服用することで妊娠を防ぐ 製剤です。 性犯罪被害を受けた場合や避妊なし、避妊に失敗した性交後に服用されます。 以前は緊急避妊ピルとして日本で承認された製剤はなく、中用量ピルを代用することで 緊急避妊が行われていましたが、吐き気や嘔吐などの副作用が多い、 服用した後12時間後にもう一度服用しなくてはならない等の問題点がありました。 昨年、日本で初めて緊急避妊ピルとして承認された製剤が発売となりました。 この承認された緊急避妊ピルは、代用薬と比べ、効果の高さ、副作用(吐き気、嘔吐)の少 なさ、服用回数が1回でよい、などのメリットがあります。 緊急避妊ピルは、婦人科にて処方してもらうことができます。なお、保険適応外のため価格 は施設によって異なります。 緊急避妊ピルに関する情報提供後の意識調査 Q.上記の情報は、あなたにとって有意義でしたか? 32 16.0% 82 20.5% 【「緊急避妊ピル」情報の有意義度合い】 170 42.5% 92 46.0% ・男女とも「はい」との回答が一番多く、約半数が 緊急避妊ピルの情報を有用と考えた。 76 38.0% 148 37.0% (n=200) (n=400) はい どちらともいえない いいえ Q.緊急避妊ピルを使用したい状況に、直面したことはありますか? 男 性 女 性 【「緊急避妊ピルを使用したい状況」に直面した 経験の有無】 11 5.5% 49 12.3% ある ない 351 87.8% 189 94.5% (n=400) (n=200) ・女性では、「ある」が12.3%で、1割強は緊急避 妊ピルを使いたい状況に直面したことが判明= 潜在的なリスクが存在する。 ・男性は、「ある」が5.5%と、緊急避妊ピルを使 いたい状況に直面した経験に対する認識は乏 しい。 本調査のまとめ ■女性の低用量ピルの認知率は81%、そのうち、内容認知率は37.5%で あった。 ■「認知している」内容についても、服用すると太る、将来妊娠しなくなる、 精子や卵子を殺すイメージ、などの正しくない認識が少なくない。 ■特に男性では、低用量ピルの避妊以外の作用についての認知は低く、 男女共40%以上が「避妊以外も多くの作用がある」ことを意外と感じた。 ■EC(緊急避妊ピル)においては、ターゲットとなる女性の半数弱(46.6%) が認知していない。また、未内容理解率は73.6%で、3/4の人がどんなも のなのかも知らない状況にある。 ■ECの使用場面経験率は12.3%ある中で使用経験率は3.8%であり、潜在 的なECのニーズが存在すると考えられる。
© Copyright 2024 Paperzz