あ あ

あい
係のものでは、102号条約と128号条約が
あ
基本的なものである。
【102号条約】
ILO
International Labor Organization
1952年の第35回総会で採択された「社
国際労働機関の略称。第1次世界大戦後、
会保障の最低基準に関する条約」をいう。
劣悪な労働条件が貿易競争を激化させ、
所得と医療に関する基本条約の1つ。9
ひいては戦争を引き起こすとの認識が一
部門の社会保障給付、すなわち、①医療
般化したことを背景に、1919年6月のベ
給付、②傷病給付、③失業給付、④老齢
ルサイユ条約により、
「条約の締結や勧
給付、⑤業務災害給付、⑥家族給付、⑦
告の採択を通じて、世界の労働者のため
に社会正義を推進し労働条件の改善を図
出産母性給付、⑧廃疾給付、および⑨遺
a 給付の義務、 ○
b給
族給付について、○
る」ことを目的として、国際連盟の設置
c 被保護対象者の範囲、 ○
d給
付事由、○
とともにその外局として創設された。本
e 資格期間、 ○
f 給付
付の形態と内容、○
部はジュネーブ。2001年11月現在の加盟
期間、のそれぞれに最低基準を定めてい
国は175カ国。第2次世界大戦後の1946
る。たとえば老齢年金給付については、
年に国際連合経済社会理事会と連携関係
「30年以上の保険料拠出期間をもつ65歳
の協定を結び、最初の国連専門機関とな
以上の有配偶者の男子の場合、その者の
っている。
従前所得または給付時における普通成年
その活動は、①国際立法活動、②調査
男子労働者賃金の40%」としている。本
研究活動、③発展途上国への技術協力活
条約を批准するにあたっては、9部門の
動、の3部門に分かれる。このうち国際
給付のうち、失業給付、老齢給付、業務
立法活動は、労働条件や社会保障に関す
災害給付、廃疾給付、遺族給付のいずれ
る条約や勧告を採択することによってそ
か1つを含む少なくとも3部門について、
の国際基準を設定する最も重要な活動で
義務を受諾することが必要とされている。
あり、活動範囲は労働条件の保護から組
わが国は、傷病給付、失業給付、老齢給
合活動や社会保障に関するものへと拡大
付および業務災害給付の4部門の義務を
してきている。総会、理事会、事務局の
受諾し、昭和51年2月に本条約を批准し
機関をもち、総会、理事会は各国とも政
府代表のほか使用者代表と労働者代表の
ている。
【128号条約】
三者によって構成され、各々平等の発言
1967年の第51回総会で採択された「老
権をもつ。総会の採択した条約(ILO条
齢・廃疾および遺族給付に関する条約」
約)や勧告は加盟国に送付され、加盟国
をいう。内容的には102号条約の各給付
はこれを実施または批准のため権限ある
の最低水準の引き上げを図ったものであ
機関に提出しなければならない。条約を
る。たとえば、老齢給付については上記
批准すれば、その国家を拘束することに
の40%が45%に引き上げられている。→
なる。
社会保障
ILOが採択した条約のうち社会保障関
ILO102号条約→ILO
3
あ
あい
ILO128号条約→ILO
客に自社の運用実績を開示するにあたり、
International Organization of
情報の受け手が正確な判断が行なえるよ
証券監督者国
う、運用会社の恣意性を排除した、公正
際機構。資本市場の急速な国際化、企業
かつ十分な情報開示の基準として規定さ
の外国資本市場での資金調達の著しい増
れたものがIPSである。
IOSCO
Securities Commissions
大に対応するため1988年に結成された。
あ
日本では日本証券アナリスト協会投資
米国証券取引委員会(SEC)
、日本の財
パフォーマンス基準(SAAJ−IPS)が
務省証券局など各国の証券市場規制当局
本基準に該当する。SAAJ−IPSは民間
がメンバーとなっており、①投資家保護、
が策定した自主規制であるため、運用会
②市場の公正性、透明性の向上、③制度
社にとってSAAJ−IPSに準拠するかど
上のリスク減少、という3つの目的を達
うかは任意であるが、現在では数多くの
成するため、証券監督者の証券行政に関
運用会社がこれに準拠したパフォーマン
する基準を設定している。
ス提示を行なっている状況にある。
IOSCOは、1987年以来国際会計基準委
運用会社のパフォーマンス開示に際し
員会(IASC)の諮問グループのメンバ
ての統一基準策定の動きは北米の
ーとなっており、IASCの「財務諸表の
AIMR−IPPSに始まり、世界共通の基準
比較可能性」プロジェクトの起草委員会
とすべくグローバル投資パフォーマンス
に代表を送り、国際会計基準の制定にも
基準(GIPS)も策定されるに至っている。
積極的に関与している。さらに、1995年
SAAJ−IPSはGIPSの必須基準をすべて
にはIASCとの間で国際会計基準として
取り入れた規準となっており、SAAJ −
必要とされる統一基準項目(コア・スタ
IPSへの準拠は同時にGIPSへの準拠を意
ンダード)の設定作業について合意し、
味する。
なお、GIPSについては、統一的な
これにより包括的な国際会計基準の策定
国際共通基準とすることを目的として、
作業が急速に進められることになった。
投資パフォーマンス協議会(Invest-
なお、2001年4月にIASCは改組され、
ment Performance Council=IPC)と
国際会計基準審議会(IASB)が国際財
いう国際組織が設置され、基準の検討が
務報告基準(IFRS)を決定することに
継続されている。→コンポジット
なっている。
IRA→個人退職勘定制度
IPG→即時加入保証制度
IS法 Implimentation Shortfall method
IPS Investment Performance Standards
執行コストの計測方法の一種で、正式に
顧客が運用会社のパフォーマンスを評価
はインプリメンテーション・ショートホ
しようとする際に、パフォーマンス算出
ール法という。マーケットインパクト、
方法や時価評価基準が異なっていたり、
タイミングコストを計測する際、発注時
パフォーマンスが開示されるポートフォ
の株価を基準とする。VWAP法と比較
リオが運用会社の恣意により選別されて
して、精緻にコストの算出・把握を行な
いた場合には、正確な比較が困難になる。
うことができると考えられている。→
そこで、運用会社が顧客および見込み顧
VWAP法
4
あい
ISITC
Industry Standardization for
主とスウェーデン職員年金金庫(SPP)
Institutional Trade Communication
との団体年金保険契約またはブック・リ
1991年に米国で証券取引におけるSTP化
ザーブ方式(企業はSPPに拠出すべき保
を達成することを目的として設立された、
険料相当額を社内留保し、年金保証相互
証券関連の業態横断的な専門家による民
保険会社の支払い不能保険制度に加入)
間団体。その後、欧州、アジア太平洋地
域でも設立され、グローバルな組織に発
によりなされている。→協約年金、STP
(スウェーデン)
展してきた。1998年に日本でもISITCジ
REIT→不動産投資信託
ャパンが設立されている。→STP
ROE→株主資本利益率
ISSA修正勧告→証券決済制度の改革
RTGS→日銀ネット
ITP Industrins Tilläggs Pension(スウ
アクチュアリー
ェーデン) スウェーデンにおける協約
統計の知識・手法を用いて保険数理また
年金の1つ。経営者連盟(SAF)と職
は年金数理業務に従事する専門家の総称。
員労働組織の上部組織(PTK)との労
ローマ時代の元老院の記録作成に従事す
使協約に基づくホワイトカラーを対象と
る者を指した「actuarius」に由来する
した全国規模の制度。1960年に公的年金
といわれている。日本では社団法人日本
として従前からの国民基礎年金制度に所
アクチュアリー会の正会員を限定的に指
得比例の国民付加年金制度が導入された
す場合もある。生命保険会社、損害保険
際、従来の企業年金との調整が問題とな
会社、信託銀行、金融庁、厚生労働省、
り、企業年金を企業の枠組みを超えて全
総務省、共済組合、コンサルティング会
国的な制度として再編することになり、
社などにおいて、保険数理・年金数理・
創設されたものである。全国的労使協約
資産運用・コンサルティングなどの業務
の適用を受ける企業は、この協約年金の
に携わっている。アクチュアリーの担当
実施が義務付けられている。
する業務の重要性に鑑み、その起用と責
給付の主な種類は、老齢年金、障害年
actuary
数理、確率、
任に関する規制がいくつか存在する。
金、遺族年金で、老齢年金は加入期間30
また、昭和63年の厚生年金保険法の改
年で満額年金が65歳(55歳以上70歳以下
正により、厚生年金基金について、年金
の範囲で、繰り上げ・繰り下げ可)から
分野を専門とするアクチュアリーで厚生
支給される。給付水準は、公的年金とあ
労働大臣が定める資格要件を満たすもの
わせて従前所得の70%が目標とされ、企
として認められた年金数理人が年金財政
業年金からは一般に「従前所得×70%−
の健全性を確認することが義務付けられ
公的年金の給付水準(国民基礎年金
た。確定給付企業年金についても、厚生
15%+国民付加年金45%)
」が給付され
年金基金とほぼ同様の取り扱いとなって
る。支給中の年金額は消費者物価指数の
いる。→年金数理人、日本アクチュアリ
範囲内で毎年決定され、その源資は事業
ー会
主負担の特別保険料で賄われている。費
アクティビティー・フィー(AF) activity
用は全額事業主負担で、財政運営は事業
fee
年金信託・指定単独運用金銭信
5
あ
あく
託・特定金銭信託などの受託においては、
受託者は信託報酬を得ることでビジネス
資手法は、このことを前提としている。
アクティブ運用は、その超過収益の源
展開を行なっている。報酬体系としては、
泉から分類すると、以下の4つに大別さ
受託額に対して一定の割合で信託報酬を
れる。①マーケット・タイミングの選択、
計算する方法(保管報酬体系)が一般的
②個別銘柄の選択、③特定のセクターの
だが、特定金銭信託等の管理型商品にお
選択、④市場の変則性(アノマリー)の
いては、受託者のコストが事務管理コス
利用。
トに限定されるため、合理性の観点から、
アクティブ運用は、個別銘柄や特定の
当該ファンド内の取引1件ごとに請求す
セクターへの傾斜的配分を行なうことか
る移動手数料体系(アクティビティー・
ら、リスク負担型の運用となる。そのた
フィー)が一部で導入されている。現状
め、運用目的に応じたリスク・コントロ
では、ファンド内で行なわれる先物・オ
ールが必要である。また、リスク軽減の
プションなどのオフバランス取引(デリ
方策として、アクティブ運用とパッシプ
バティブ)に対して利用されている。
運用を組み合わせたアクティブ・パッシ
海外のカストディアンなどでは、保管
あ
ブ・ミックスといった投資戦略もある。
報酬体系とアクティビティー・フィー体
→パッシブ運用、アノマリー
系を組み合わせて報酬を得ているケース
アセット・アロケーション
が多い。
cation
アクティブ運用
active investment
投
asset allo-
資産運用を行なう場合に、投資
対象となる各資産(アセット・クラス)
資家の間には情報の収集能力や分析能力
の資産配分を決定することをいう。主な
に差があることを前提に、その違いを適
手法に、戦略的アセット・アロケーショ
切に利用することにより、市場平均の収
ン(Strategic Asset Allocation/Policy
益率を上回ることを目的とする投資戦略
Asset Allocation)
、戦術的アセット・アロ
あるいは運用スタイルをいう。これに対
ケーション(Tactical Asset Allocation)
し、機関化現象が進展すると、情報の伝
およびダイナミック・アセツト・アロケ
達・分析には大差がなくなり(効率化さ
ーション(Dynamic Asset Allocation)
れた市場)
、継続的に市場平均を上回る
がある。
ことは難しいと考え、分散されたポート
戦略的アセット・アロケーションは中
フォリオを保有することにより市場平均
長期にわたる資産配分の基準となる政策
並みの投資成果をねらう戦略があり、こ
アセット・ミックスを決めるもので、最
れをパッシブ運用という。
も重要で一般化している。戦術的アセッ
実際の市場を考えると、あらゆる情報
が瞬時に証券価格に織り込まれるほど完
ト・アロケーションは一定の投資尺度
(たとえば、イールド・スプレッドなど)
全に効率的とはいえず、情報の収集力・
に基づき適宜に資産比率を変える手法で、
分析力の違いから超過収益を得る機会が
より短期的なものである。
あると考えられる。テクニカル分析やフ
ダイナミック・アセット・アロケーシ
ァンダメンタル分析といった伝統的な投
ョンは資産価格の変化にあわせて組み入
6
あせ
れ比率を変化させていく手法で、その応
アニュイティ→年金
用例としては、資産価格の下落に応じて
アノマリー
組み入れ比率を下げるポートフォリオ・
リオ理論(MPT)の一部をなす効率的
インシュアランス(PI)がある。
市場仮説や資本資産評価モデル(CAP
anomaly
現代ポートフォ
戦略的アセット・アロケーションにお
M)からは説明できないが、経験則ある
いては、2パラメーター・アプローチが
いは実証分析から認められる規則的な動
一般的である。すなわち、各資産の期待
きや事象のことで、市場の変則性ともい
収益率(リターン)と標準偏差(リスク)
う。具体的には、①小型株効果(スモー
という2つの変数から適正なポートフォ
ル・サイズ効果)
、②過剰反応効果(リ
リオの集合である効率的フロンティアを
ターン・リバーサル)、③低PER効果、
導き、これと投資家の効用関数の一致す
④配当利回り効果、⑤1月効果、などが
る点から最も適正な資産配分を決める、
あげられている。それぞれの変則性の内
という手続きがとられる。
容は、以下のとおり。
証券投資においては、銘柄選択の巧拙
①小型株効果=時価総額の小さい銘柄
よりもアセット・アロケーションの巧拙
のみのポートフォリオは、長期的には市
のほうが全体の収益率に与える影響が大
場の平均的収益率を上回る。
きいことから、その重要性が認識されて
きている。→シナリオ・アナリシス
アセット・ミックス
asset mix
リス
ク分散などの見地から、単一の資産では
なく複数の資産に分散投資する場合に、
②過剰反応効果=過去の一定期間に市
場より高い収益率をあげた銘柄はその後
収益率は低く、過去に低かった銘柄は逆
に市場より高い収益率を示す。
③低PER効果・④配当利回り効果=
その資産配分の比率を決定することをア
株価収益率(PER)が低いかあるいは
セット・アロケーションといい、決定さ
配当利回りが高いポートフォリオの収益
れた資産の組み合わせをアセット・ミッ
率は、市場平均を上回る。
クスという。
たとえば、株式、債券、現金という3
つの投資可能な資産(アセット・クラス)
⑤1月効果=月による株価の変動性を
検証すると、1月の収益率は他の月に比
べ高い。
がある場合に、100万円を、30万円は株
こうした変則性は、現代ポートフォリ
式に、50万円は債券に投資して、残り20
オ理論のよって立つ市場の効率性とは相
万円を現金とした場合、これは株式:債
容れないが、実際の運用においては、ア
券:現金=30:50:20というアセット・
クティブな運用戦略の一環として利用さ
ミックスを選んだことになる。
れている。→現代ポートフォリオ理論、
アセット・アロケーションが動態的な
変化を指すのに対し、アセット・ミック
CAPM
アービトラージ取引→裁定取引
スは静態的な断面を指す言葉である。→
アルファ(α)値
アセット・アロケーション
リスク考慮後の期待リターンと実際のリ
アトリビューション分析→要因分析
ターンの差のこと。市場全体の価格変動
alpha
ファンドの
7
あ
あず
によって説明できない不確実性を伴うリ
を上回る場合は、当該上回る部分は原則
ターンであることから、非システマティ
として転籍者に分配する必要があるが、
ック・リターンとも呼ばれる。アルファ
年金規定に明定すれば、退職時に転籍先
を式で表わすと、
会社の本来の給付金と併せて支給するこ
アルファ=超過リターン−ベータ×
ともできる。これを併せ給付という。
(市場収益率−リスクフリー・レート)
このような転籍のほかに、合併により
ここで、超過リターンは実際のファン
要留保額が責任準備金を上回る場合や、
ドのリターンからリスクフリー・レート
給付を減額した場合などにこの取り扱い
を引いたもの。ベータはファンドの市場
が行なわれることがある。
収益率(たとえばTOPIX)に対する反
い
応度を示すもの。ベータが1.0のときフ
ァンドと市場の収益率は同じ動きをする。
リスクフリー・レートは無リスク資産の
EBITDA
市場金利。
taxes, depreciation and amortization
earnings before interest,
なおアルファは、ファンドの運用の巧
税引前利益に支払利息、固定資産の減価
拙を表わす言葉として使われることがあ
償却費を加えたもの。国ごとの金利・税
るが、これは必ずしも正しくない。
金・会計基準の違いを最小限にした利益
預け替え(確定拠出年金)
switching
を示すものであるため、国際間での企業
確定拠出年金において、加入者等が運用
の収益力を比較する際に有用である。企
商品の変更を行なうこと。運用関連運営
業価値EV(Enterprise Value=負債+
管理機関がリスク特性などの異なる3つ
株式時価総額)をEBITDAで割った
以上の運用商品を加入者等に提示するが、
EV/EBITDA 倍率もよく用いられる。
運用対象変更の指図を少なくとも3カ月
EPS→1株当たり利益
に1回行なえる機会を設けることが求め
ERISA Employee Retirement Income
られ、この場合、変更の指図は記録関連
Security Act(米国) 従業員退職所得
運営管理機関に対して行なうこととなる。
保障法、通称エリサ(法)
。従業員給付
この変更は、掛金の拠出がある者(加入
制度(企業年金制度と従業員福祉制度)
者)のみならず、60歳に達した者や国民
の設計と運営を規制する連邦法。受給権
年金基金連合会に申し出て拠出をしない
の保護を最大の目的として、1974年に制
者(運用指図者)であっても可能である。
定された。
あ
→運用指図者(確定拠出年金)
エリサ法以前には、私的年金制度を規
洗い替え一括管理方式→一括管理方式
制する法律として、内国歳入法(1942年)
併せ給付 pay put up on regular retire-
と連邦福祉および年金制度開示法(1958
適格退職年金契約を締結
年)があったが、前者は数理上の健全性
している関係会社間で転籍があった場合
を維持するための義務を何ら課しておら
に、転籍元会社の契約における要留保額
ず、後者は制度管理者および制度関係者
が転籍先会社の契約における責任準備金
の不正行為から従業員の権利を保全する
ment benefit
8
いー
という法制定の目的を実質的に果たせな
かった。
第5節 内国歳入庁
副題B.退職制度に関するその他の内
このため、企業年金の普及拡大に伴い、
企業倒産や年金制度の運営の失敗による
無年金者や恣意的な受給権賦与規定によ
国歳入法の改正
第3編.司法権、管理、施行:合同年金
タスクフォース等
り、長期間勤続しても年金を受給できな
副題A.司法権、管理および施行
い者がしばしば発生するという状態が起
副題B.合同年金タスクフォース:調
こり、大きな社会問題となった。
このような状況を背景として、本法が
制定された。具体的内容として、受給権
の保護のため、加入資格の引き下げ、受
給権賦与の早期化、情報の開示、最低積
査
第1節 合同年金タスクフォース
第2節 その他の調査
副題C.アクチュアリーの登録
第4編.制度終了保険
立基準の設定、受託者責任の明確化と強
副題A.年金給付保証公社
化、制度終了保険などが導入され、同時
副題B.適用範囲
に企業年金やケオ・プランの適用を受け
副題C.制度の終了
ていない者にも税制上の優遇措置を提供
副題D.事業主債務
するため、個人退職勘定制度が導入され
副題E.1954年内国歳入法の改正:施
た。構成と主な内容は以下のとおり。
【構成】
あ
行日
【主な内容】
第1編.従業員の受給権の保護
①適用範囲=適用範囲を拡大し不当差別
副題A.一般条項
(高給従業員に有利な取り扱い)を防ぐ
副題B.規制条項
趣旨から、次の要件をすベて満たさなけ
第1節 報告と開示
第2節 加入および受給権賦与
第3節 積立
第4節 受託者責任
第2編.退職制度に関する内国歳入法の
改正
副題A.加入、受給権賦与、積立、管
理等
第1節 加入、受給権賦与および積
立
第2節 適格退職制度に関するその
他の規定 ればならない。
a 不当差別禁止適用要件(次の3つ
○
の基準のいずれか1つを満たすこと)
イ 割合基準…非高給従業員の70%
○
以上を対象としていること。
ロ 比率基準…非高給従業員の適用
○
割合が、高給従業員の適用割合の
70%以上であること。
ハ 平均給付割合基準(次のいずれ
○
i 従業員階層を
も満たすこと)… ○
差別なく対象としていること(
「階
ii 非高給従業員の平均
層基準」)。 ○
第3節 登録および情報
給付割合(加入者の報酬に対する事
第4節 退職制度の適格性に関する
業主負担の給付あるいは掛金の平均
公的判定
比率)が高給従業員の平均給付割合
9
いー
の70%以上であること。
c 分数ルール:通常退職年齢まで勤
○
b 最低加入者数要件
○
務したと仮定した場合の予測給付額を
制度の加入者は50人以上であること。
実際の加入年数により比例配分した額
50人未満の場合は全従業員の40%以上
を下回らないこと。
を対象としていること。
⑤支払い形態=少なくとも1年以上の婚
②加入資格=勤続1年以上かつ年齢21歳
姻期間を有する既婚従業員に支給する終
以上の者には加入資格を与えること。た
身年金は、当該者がその配偶者の同意を
だし、完全かつ即時に受給権を付与する
得て他の選択をしない限り「適格連生遺
場合には、2年の勤続を要件とすること
族年金(夫婦のいずれかが死亡した場合、
ができる。
遺族となった配偶者には二人がともに生
③受給権の賦与=次のいずれかの要件を
存している期間中に支給される給付額の
満たすこと。
a 5年基準:勤続5年で100%(勤続
○
1/2以上の額を支給する連生年金)
」を
5年未満では賦与する必要はない)
。
場合は配偶者に従前額の50%を支給する
b 3∼7年基準:勤続3年で20%、
○
が、本人生存中は配偶者が死亡しても従
4年で40%、5年で60%、6年で80%、
前と同額を支給するエリサ法の最低要件
7年以上で100%。
より有利な制度が多い)
。
c 多数事業主制度下での団体交渉従
○
⑥最低積立
a 標準掛金に加え、未積立債務を一
○
あ
業員:勤続10年で100%。
なお、以上の要件は、事業主掛金に基
づく給付に関するもので、従業員掛金に
支給すること(現状は、本人が死亡した
定年数以内で償却するための掛金を拠
出すること。
基づく給付は即時に100%を賦与。
b 未積立債務の償却年数はその発生
○
④発生給付額(受給権賦与済で制度から
要因別に次の年数以内とすること。
脱退する加入者に与えなければならない
イ 初期未積立債務…30年
○
最低給付額)=次の3つの基準のいずれ
ロ 制度変更…30年
○
かを満たすこと。
a 3%ルール:各加入者の発生給付
○
ハ 数理上損益…5年(単独事業主
○
制度)
、15年(多数事業主制度)
額は、最低加入年齢から65歳または通
ニ 基礎率変更…10年(単独事業主
○
常退職年齢のいずれか低い年齢まで勤
制度)
、30年(多数事業主制度)
務した場合に支払われるであろう給付
額の3%に、加入者の加入年数を乗じ
⑦受託者責任
a 年金制度の運営・管理あるいはそ
○
て得られる額(33年以降は100%)を
の資産の管理・運用に関して一任され
下回らないこと。
た権限を行使する者および手数料やそ
b 1331/3%ルール:すべての加入
○
の他の報酬を得て投資アドバイスを行
者のどの勤務年についても、給付発生
なう者は制度の受託者(fiduciary)と
率はその前年の発生率の1/3を超え
定める。
て増加させないこと。
b 受託者は、制度の加入者と受給者
○
10
いー
の利益のためにのみ制度に関する義務
b 運営主体として独立採算の政府機
○
を果たすほか、次の行動基準に従って
関である年金給付保証公社(PBGC)
義務を遂行すること。
を設置する。
イ 加入者および受給者に対する給
○
c 商務省、労働省および財務省の各
○
付の支払いおよび制度の管理に要す
長官で構成される委員会が同公社の一
る適切な費用の支払以外に年金資産
般政策を決定する。
や収入を使用しないこと。
d すべての適格な確定給付型制度を
○
ロ 受託者は、同様の性質と目的を
○
適用対象とする(確定拠出型制度、政
有する事業を遂行するにあたり、同
府・教会の制度、トップ・ハットプラ
等の資格において行為し、かつ当該
ンは適用対象外)
。
事項に精通している思慮ある者が、
e 制度終了(単独事業主制度)また
○
当面している状況下において行使す
は支払不能(多数事業主制度)を保険
るであろう注意、技量、思慮ならび
事故とする。
に勤勉さをもってその任務を履行す
なお管轄については、労働省は報告、
ること(プルーデントマン・ルール)
。
開示、受託者責任について、財務省は
ハ 分散投資をしないことが明らか
○
加入、受給権賦与、積み立てについて、
に慎重である場合を除き、リスクを
それぞれ第1管轄権を有している。ただ
最小にするために投資の分散を図る
し労働省は、加入者の権利に実質的に関
こと。
係する事項あるいは措置についてはすべ
ニ 利害関係人(制度の受託者、事
○
てに関与する資格を与えられている。→
業主、従業員)は制度との間で資産
制度終了保険、個人退職勘定制度
の売買、移転、金銭の受け取り、便
ETF exchange traded fund 株価指数
益の供与等を行なわないこと(禁止
連動型投資信託受益証券のこと。東証平
取引)
。
均株価(TOPIX)やS&P500といった株
ホ 事業主の有価証券および不動産
○
価指数に連動するように運用される投資
への投資は年金資産の10%を超えな
信託である。証券取引所に上場され、通
いこと。
常の上場株式と同様に、取引時間中に市
ヘ 制度の諸規定に従って行動する
○
場で自由に取引することが可能である。
こと。
日本国内においても2001年7月から東京
⑧登録アクチュアリー=法に基づく数理
証券取引所などで本格的な取引が始まっ
報告書は、
「登録アクチュアリー」の署
ている。
名を受けたものであること。
従来からあるインデックス連動型投資
⑨制度終了保険
a 制度の資産の積立状況にかかわら
○
信託が基準価格で取引されるのと異なり
ず一定限度内で受給権の賦与された給
が可能であることや、株式と同様どの証
付の支払いを最終的に保証するために
券会社においても売買が可能といった点
制度終了保険制度を設ける。
がメリットとなっている。
立会時間中にいつでも市場価格での取引
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あ
いー
EVA
あ
economic value added
経済付
きている。
加価値の略称。スターン・スチュワート
イミュニゼーション戦略
社の登録商標で、投下資本を元手として
strategy
どれだけ真の経済的利益を生み出せたか
ンと資産サイドのデュアレーションを一
を測る経営指標である。
致させて運用する手法をイミュニゼーシ
immunization
負債サイドのデュアレーショ
EVA=NOPAT(税引後事業利益)−
ョン戦略と呼ぶ。金利上昇時には債券は
資本コスト額(株主資本コスト額*
値下がりするがクーポン再投資レートは
と税引後負債コスト額の合計)
上昇し、金利低下時には債券は値上がり
*:株主資本コスト額=(リスクフリ
するが再投資レートは低下する。このよ
ー・レート+β値×株式のリスクプ
うな関係を利用し、ポートフォリオの評
レミアム)×自己資本
価損益・売却損益とクーポンの再投資収
株主が元本保証・確定利付きの国債で
入の増減を相殺させることにより、金利
はなく倒産や株価下落のリスクのある株
変動リスクを回避し、目標とする利回り
式に投資するのは、リスクに相応した投
を確定させるというもの。主に、高金利
資収益を期待しているからであるが、
期に、資産運用を一定期間高利回りに固
EVAはそのような株主が期待する収益
定させたい場合に有効とされる。
を考慮したうえで、企業がどれだけ多く
イールド・カーブ
の収益をあげられたかを示す指標である。
残存期間(満期までの年数)とその利回
yield curve
債券の
EVAはもともと投資指標ではなく経
りの関係を表わした曲線をいう。全体の
営指標であり、経営者や株主の経営判断
利回りの水準および短期債と長期債の利
の参考に使われている。従来は企業の投
回りの関係などが読み取れる。ある一定
資の尺度としてはROI(投資収益率)等
時点で市場に存在するさまざまな残存期
が用いられてきたが、同指標は客観的な
間をもつ債券の利回りを、債券ごとに縦
ハードルをもたないうえ、その比率を増
軸に利回り、横軸に残存期間をとったグ
加させるために必要以上に投下資本を縮
ラフ上にプロットし、それらを線で結ん
小させてしまう等の弊害があった。
で描く。1つの債券の利回りの時系列推
EVAでは、資本コストを上回る利益金
移を描いた利回り推移曲線と違い、一時
額という客観的なハードルが示されるう
点の金融市場の状況を知ることができる。
え、同指標により非効率と判断される事
債券の利回りは一般的には、残存期間
業を見直すことができるなど、企業が全
が長くなればなるほど高くなり、イール
体としての最適な意思決定を行なううえ
ドカーブは右上がりとなる。しかし、現
で有用な指標と考えられている。
在の短期金利は高いが、将来金利が低下
EVAは80年代以降、コカ・コーラを
すると予想される場合は、右下がりにな
はじめとした米国大手企業の間で導入が
る。右上がりのときを順イールド、右下
進められてきたが、近年、日本において
がりのときを逆イールドという。
もいくつかの企業において同指標を利用
イールド・スプレッド
した経営判断が行なわれるようになって
利回りの格差のことであるが、比較する
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yield spread