アリとキリギリス ある夏の日、一匹のキリギリスが葉っぱの上に寝転んで

アリとキリギリス
原作
: イソップ
アレンジ : ヤマチャピ
ある夏の日、一匹のキリギリスが葉っぱの上に寝転んで、歌を歌っていました。
ギーチョン、ギーチョン
そこをアリが通りかかりました。重そうな荷物をたくさん背負っています。
キリギリスが言いました。
アリさん、大変そうだね。何をしているんだい?
アリは立ち止まると、汗をぬぐって答えました。
冬に備えて、食べ物を集めているんだよ。
アハハ、冬だって? ばからしい。そんな先のことを考えて、どうする
んだい。食べ物はどこにでもあるじゃないか。こんな暑い日は寝転がっ
て、歌でも歌っていればいいじゃないか。
キリギリスはそう言うと、ギーチョン、ギーチョンと歌い続けました。
夏が過ぎ、秋も深まってきました。キリギリスは落ち葉の上を跳びはねながら、
相変わらず陽気に歌を歌っています。
ギーチョン、ギーチョン
そこをアリが通りかかりました。いつものように重そうな荷物を背負っています。
キリギリスさん、大丈夫ですか。もうすぐ冬がやって来ますよ。雪も降
りますよ。
キリギリスはフンと鼻を鳴らして、
何を言っているんだい。こんなにいい天気なんだぜ。遊ばなきゃ、損じ
ゃないか。
そう言うと、ブーンとどこかへ飛んでいきました。
秋が過ぎ、寒い寒い冬がやって来ました。
アリはどうしているでしょう。暖かい家の中で幸せそうに暮らしています。夏の
間に蓄えておいた食べ物があるので、飢える心配もありません。
では、夏の間遊んでばかりいたキリギリスはどうなったでしょうか。キリギリス
は寒い冬を過ごす家がありません。夏の間遊んでいたので食べ物の蓄えもありませ
ん。
キリギリスがどうなってしまったか、皆さんはおわかりですね。