算数科学習指導案 指導者 清水 早苗 1 日 時 平成24年11月21日(水) 第5校時 2 学 年 第5学年 3 場 所 第5学年教室 もとにして,三角形の面積は「どのように」 4 単元名 四角形と三角形の面積 したら求められるのかを説明します。 5 単元観・教材観 12名(男子6名 女子6名) 【授業のみどころ】 これまでに習った図形の面積の求め方を 【本単元のねらいと特徴】 本単元で扱う四角形と三角形の面積は,学習指導要領には次のように位置づけられている。 第5学年 B量と測定 (1) 図形の面積を計算によって求めることができるようにする。 ア 三角形,平行四辺形,ひし形及び台形の面積の求め方を考えること。 児童は,第4学年において,長方形,正方形の面積の求め方を中心に,面積の概念とその単位の 理解から面積公式を導き出している。また,平行四辺形や台形,ひし形の定義,性質,かき方など も学習し,対角線についても理解している。これらの既習事項を基にして,本単元では,平行四辺 形や台形,ひし形などの基本図形の面積の求め方や公式について学習する。 本単元は,平行四辺形の求積からの導入となっており,学習の基盤を平行四辺形において構成し ている。平行四辺形の面積は,等積変形により既習である長方形に帰着しやすいからである。平行 四辺形の面積の公式が確立したあとの,三角形,台形などの面積は,平行四辺形に変形するなどし て求めることができる。 本単元で大切にしたい考え方は,既習の図形の面積の求め方にどのような考えで帰着するのか。 そして,公式がどんな過程で導き出されたのかを筋道立てて多様に考えたり,表現したりすること である。 <単元の系統> 4年 ○垂直・平行と四角形 ○面積のはかり方と表し方 ・垂直・平行の定義,かき方 ・広さの表し方(㎠) ・台形,平行四辺形,ひし形の定義,性 ・長方形と正方形の面積 質,かき方 ・対角線の定義 ・大きな面積の単位(㎡)1a(アール) 1ha(ヘクタール) 1㎢=1000000㎡ 5年 ○四角形と三角形の面積 ○正多角形と円周の長さ ・平行四辺形の面積の求め方 ・正多角形の定義とかき方 ・三角形の面積の求め方 ・円周 ・台形の面積の求め方 ・直径,円周の図り方 ・ひし形の面積の求め方 ・円周率=円周÷直径 ・高さと面積の関係 ・方眼を利用した不定形の面積の求め方 6年 ○円の面積 ○およその面積 ・円の面積の求め方 ・およその面積の求め方 ・円の面積=半径×半径×円周率 6 ちえんしゅ 児童の実態 【レディネステストより】 ・面積が4㎠の図形を見つけることができるか。 :正答 9人/12人中 ・長方形や正方形の面積の公式を用いて,面積を求めることができるか。 :正答12人/12人中 ・複合図形の面積を,長方形の面積の公式を用いて求めることができるか。:正答10人/12人中 このことから,公式を使って面積を求めることは全員できるが,方眼紙のますを利用して面積を求 めることができない児童がいることが分かった。 L字型の複合図形の面積を求める問題では,既習の図形の面積に切ったり埋め立てたりして考える ことはできているものの,計算の段階で誤答が見られた。 7 研究主題に向けた指導の工夫 研究主題 「活用力を育てるための説明する活動の工夫」 ~「何が」「どのように」「なぜ」の視点から~ ○具体物を用いた活動 三角形の面積を求める場合も,平行四辺形の面積を求める学習を生かして,既習の面積を求めるこ とができる図形に帰着して考えさせる。三角形では,長方形への等積変形のほかに,平行四辺形の倍 積変形で面積を求める方法を取り上げていく。児童にとっては,等積変形よりも難しいと考えられる。 そこで,具体物や方眼紙などを用いた算数的活動の時間を十分にとるようにする。 ○「どのように」を説明する活動 等積変形や倍積変形の考えの重要性はもとより,その説明をするときには,図に補助線や記号を記 入させたり,算数の用語を用いたりして,明確かつ簡潔な他者を意識した説明をさせていきたい。ま た,表現したものを読み取る側も,既習のどの図形の求め方をもとにしたのか,そのためにどのよう な方法を用いたかを意識させることを重視したい。 また,児童が考えた求積方法に名前をつけ, (切りとって移動する方式,2倍にする方法など) クラス全体で共有し学習を進めていきたい。 ○算数コーナーの充実と活用 算数コーナーには,前学年までに学習した既習事項と本単元で学習した内容を提示する。これらを 活用することにより,既習事項の確実な定着と自力解決の手立てとなるようにしていく。 8 人権的普遍的視点 <価値的・態度的側面> ・ペアトークでは,友達の考えをうなずきながら共感的に聴く。 <技能的側面> ・相手の方を向いて,だまって,目を見て,姿勢よく話を聴く。 9 単元の目標と評価規準 平行四辺形,三角形,台形,ひし形などの面積の求め方を理解し,公式をつくり出してそれら の面積を計算で求めることができるようにする。 ア 算数への イ 数学的な考え方 関心・意欲・態度 ① 平行四辺形,三角 ② 既習の面積の求め ウ 数量や図形に エ 数量や図形について ついての技能 の知識・理解 ③ 平行四辺形,三角 ④ 平行四辺形,三角 形,台形,ひし形な 方を基に,平行四辺 形,台形,ひし形な 形,台形,ひし形な どの面積について, 形,三角形,台形, どの面積を公式を どの計算による面 既習の面積の求め ひし形などの面積 用いて求めること 積の求め方を理解 方に帰着して考え の求め方を工夫し ができる。 する。 計算で求めること て考え,公式をつく ができる。 り出すことができ る。 10 指導計画「四角形と三角形の面積」(全14時間 本時4/14) 指導内容 関 考 技 知 え 心 方 能 識 【平行四辺形の面積の求め方】① ○平行四辺形の面積の求め方を考平行四辺形の面積の 求め方を考え,説明することができる。 ◎ 【平行四辺形の面積の求め方】② ○平行四辺形の面積の公式をつくり出し,それを適用 して面積を求めることができる。 ◎ ○ 【平行四辺形の面積の求め方】③ ○高さが平行四辺形の外にある場合でも,平行四辺形 の面積の公式を適用できることを理解する。 ○どんな形の平行四辺形でも,底辺の長さと高さが等 しければ,面積が等しくなることを理解する。 ◎ 評価規準 <評価方法> ・平行四辺形を長方形に変形すれば よいことに気づき平行四辺形の 面積の求め方を考えようとして いる。 (ア①)<行動観察> ・平行四辺形の面積の求め方を長方 形の求積方法に帰着して考え,筋 道立てて説明している。 (イ②)<ノート・発表> ・求積変形した長方形の縦と横の長 さに着目して,平行四辺形の面積 の公式を考え説明している。 (イ②)<ノート・発表> ・平行四辺形の面積の公式を用いて 面積を求めることができる。 (ウ③)<ノート・発表> ○ ・高さを表す垂線の足が平行四辺形 の外にある場合でも,内にある平 行四辺形に帰着して面積の公式 をああ適用することを考え,筋道 立てて説明している。 (イ②)<ノート・発表> ・どんな形の平行四辺形でも,底辺 の長さと高さが等しければ面積 は等しくなることを理解してい る。(エ④)<ノート・発表> 【三角形の面積の求め方】① ○三角形の面積の求め方を考え,説明することができ る。 ◎ ・三角形を面積の求め方が分かって いる図形に工夫して変形し,その 面積を求めようとしている。 (ア①)<行動観察・ノート> ・三角形の面積の求め方を,長方形 や平行四辺形の求積方法に帰着 して考え,筋道立てて説明してい る。(イ②)<ノート・発表> 【三角形の面積の求め方】② ○三角形の面積を求める公式をつくり出し,それを適 用して面積を求めることができる。 ◎ ○ ・倍積変形した平行四辺形の底辺の 長さと高さに着目して三角形の 面積の公式を考え説明している。 (イ②)<ノート・発表> ・三角形の面積の公式を用いて面積 を求めることができる。 (ウ③)<ノート・発表> 【三角形の面積の求め方】③ ○高さが三角形の外にある場合でも,三角形の面積の 公式を適用できることを理解する。 ○どんな形の三角形でも,底辺の長さと高さが等しけ れば,面積が等しくなることを理解する。 ◎ ○ ・高さを表す垂線の足が三角形の外 にある場合でも,内にある三角形 に帰着して面積の公式を適用す ることを考え,筋道立てて説明し ている。 (イ②)<ノート・発表> ・どんな形の三角形でも,底辺の長 さと高さが等しければ面積は等 しくなることを理解している。 (エ④)<ノート・発表> ○ ◎ 【いろいろな四角形の面積の求め方】① ○台形の面積の求め方を考え,説明することができる。 ・台形の面積の求め方が分かってい る図形に工夫して変形し,その面 積を求めようとしている。 (ア①)<行動観察> ・台形の面積の求め方を,既習の図 形の求積方法に帰着して考え,筋 道立てて説明している。 (イ②)<ノート・発表> 【いろいろな四角形の面積の求め方】② ○台形の面積を求める公式をつくり出し,それを適用 して面積を求めることができる。 ◎ ・倍積変形した平行四辺形の底辺の 長さと高さに着目して,台形の面 積の公式を考え,説明している。 (イ②)<ノート・発表> 【いろいろな四角形の面積の求め方】③ ○ひし形の面積の求め方を考えることができる。 ○ひし形の面積を求める公式をつくり出し,それを適 用して面積を求めることができる。 ◎ ○ ・ひし形の面積の求め方を,既習の 図形の求積方法に帰着して考え, 筋道立てて説明している。 (イ②)<ノート・発表> ・公式を用いて,ひし形の面積を求 めることができる。 (ウ③)<ノート・発表> 【まとめ】 ○算数的活動を通して学習内容の理解を深め,興味を 広げる。 ◎ ・方眼を用いると,複雑な形の面積 もおよそで求められることを理 解している。 (エ④)<ノート・発表> ◎ ・平行四辺形の底辺を固定し,高さ を変化させたときに,面積は高さ に比例することを理解している。 (エ④)<ノート・発表> 【高さと面積の関係】 ○平行四辺形の底辺の長さを一定にして高さを変えた ときの,面積と高さは比例の関係にあることを理解 する。 ◎ 【まとめ】 ○学習内容を適用して問題を解決する。 ・学習内容を適用して,問題を解決 することができる。 (ウ③)<ノート・発表> ◎ ・基本的な学習内容を身につけてい る。 エ④)<ノート・発表> ○学習内容の定着を確認し,理解を確実にする。 ○[発展]「おもしろ問題にチャレンジ」に取り組み,学習内容を基に面積の求め方について理解を深める。 11 本時の展開 (1) 本時の目標 三角形の面積の求め方を考え,説明することができる。 (2) 観点別評価規準 関 三角形を面積の求め方が分かっている図形に工夫して変形し,その面積を求めようと している。 【ア】 表 三角形の面積の求め方を,長方形や平行四辺形の求積方法に帰着して考え,筋道立て て説明している。 【イ】 (3) 準備物 方眼入り三角形の図 ・ 発表用ホワイトボード (4)学習の展開 学習活動 時 『教師の指示・発問』 間 C:予想される児童の反応 1 ☆指導上の留意事項 ★個に応じた支援 評価規準(評価方法) ・準備 課題をつかむ。 『三角形ABCの面積はどのように したら求められるでしょう。 』 ・方眼入り三角形の 図 ・問題の提示 2 めあてを確認する。 三角形ABCの面積はどのようにしたら求められるか考え,説明しよう。 3 見通しをたてる。 ☆算数コーナーで,これまで 『どのようにしたら三角形の面積を の学習を想起させる。 求めることができるだろう。』 C:三角形の形を変えればいい。 C:これまでに習った形に変えて考え てみたい。 4 自力解決をする。 ★方眼入りの図形を渡し,ど 『これまでに習った図形の面積の求 こを切ったら既習の形にで め方をもとにして,三角形の面積 きるかを操作によって確か を求めよう。 』 めさせる。 <どのように> ア ア はじめに,三角形の上の部分を切っ A て半分にします。 次に,その三角形を右下と左下にく っつけます。 B すると,長方形になります。 最後に,縦が2㎝横が7㎝なので 2×7=14で14㎠になります。 イ はじめに,三角形の上の部分を切 ります。 次に、これを右下に移動します。 すると,平行四辺形になります。 最後に,底辺が7㎝で高さが2㎝ なので7×2=14で14㎠になり ます。 イ C 5 ねりあげ ウ ○ねりあげ前のペアトークをする。 『自分の考えをとなりの友達に伝え ましょう。 』 C:図を使って説明していたから分 かりやすいよ。 C:ここがよく分からないのでもう 1度説明してみて。 はじめにAを通る直線をひい て2つの三角形にわけます。 次に,2つの三角形と同じ三 6 考えを発表し,ねりあう。 『どのようにして求めたのかを 角形を図のようにくっつけま す。すると長方形になります。 図,式,言葉を使って説明しまし 最後に,長方形の面積の半分 ょう。 』 が三角形の面積になっている 『友達の考えのよいところや,説明 ので,7×4÷2=14で1 の仕方のよいところを発表しまし 4㎠ になります。 ○三角形の面積の ょう。 』 エ 求め方を,長方形や C:図を指し示しながら説明してい 平行四辺形の求積 たのでわかりやすい。 方法に帰着して考 C:矢印や図への書き込みが え,筋道立てて説明 あってわかりやすい。 している。 (イ②) <ノート・発表> 『友達の発表の考え方の同じところ を見つけよう。 』 C:アとイは切って移動している。 はじめに,三角形ABCと同 じ三角形をさかさまにして図 のように合わせます。すると C:ウとエは埋め立てて2倍にしてい 平行四辺形になります。 る。 次に,底辺が7㎝で高さが4 C:アとウは長方形にして考えている ㎝の平行四辺形の面積は7× C:イとエは平行四辺形にして考えて 4=28です。 いる。 最後に,三角形の面積は平行 四辺形の面積の半分になって 『みんなが考えた方法に名前をつけ よう。 』 いるので28÷2=14 で 答えは14㎠になります。 C:長方形にして考える方法 C:平行四辺形にして考える方法 ☆三角形の面積も,既習の図 形の求積に帰着して多様な方 法で求められることに気づか せる。 7 適用問題を解く。 『次の三角の面積の求め方を説明し よう。4つの方法のどの方法を使 ってもかまいません。』 ○確かめのペアトークをする。 『どのように考えたのか,となりの友 達に説明しましょう。 』 C:平行四辺形にして考えました。 C:長方形にして考えました。 <どのように> はじめに,三角形ABCと同 じ三角形をさかさまにして図 のように合わせます。すると 8 学習のまとめをする。 三角形の面積は,長方形や平行 四辺形に変形して考えると求め ることができる。 9 本時の学習を振り返り感想をす る。 平行四辺形になります。 ・三角形の面積の求 次に,底辺が8㎝で高さが2 め方を,長方形や平 ㎝の平行四辺形の面積は8× 行四辺形の求積方 2=16です。 法に帰着して考え, 最後に,三角形の面積は平行 筋道立てて説明し 四辺形の面積の半分になって ている。 (イ②) いるので16÷2=8で答え <ノート・発表> は8㎠になります。 ☆ノートに自分の言葉でまと めさせる。 ☆分かったことや,友達の考 えや説明の仕方でなるほど と思ったことを書かせる。 12 板書計画 四角形と三角形の面積 (めあて)三角形ABCの面積はどのようにしたら求められるか考え,説明しよう。 (適用問題) (見通し) ・三角形の形を変えて考える。 ・今までならった形に変えて 考える。 (考え方) A (共通点) ・アとウは長方形に変形 B C ・イとエは平行四辺形に変形 →どちらも変形して考えている ・アとイは切って移動して考えている ・ウとエは埋め立てて2倍にして考えている (まとめ)三角形の面積は,長方形や平行四辺 形に変形して求めることができる。
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