医療英語通訳翻訳の視点から 千里金蘭大学人間社会学部准教授 日本英語医療通訳協会会長 水野 真木子 通訳・翻訳とは 「2ヶ国語に精通しており、良い辞書があっ たら出来る」 ↑ 大きな間違い 文化特有の世界観や発想方法に精通して おく必要がある。 日本語に引っ張られた英訳 「お風呂が沸きましたよ」 The bath water is boiling. (沸騰している) ↓ Your bath is ready. 「掃除をすると埃が立ちます」 If you clean the room, it will be dusty. ↓ If you vacuum, it will stir up dust. 「そちらからシーツを引っ張ってくださ い」 Please pull the sheet from you. ↓ Please pull the sheet towards you. 看護や介護の専門用語に困った例 「肩肘立ちからゆっくり体を起こしましょう」 「肩肘立ち」とはどんな動作? ↓ Please try to get up onto your elbow slowly. 「視力は1.0です」 Your visual acuity is 1.0. ↑ 間違い You have 20/20 vision. 「生理痛はありますか」 Do you have menstrual cramps? ↑ 「月経時の下腹部の痛み」 「・・・痛」はいつもpainとは限らない。 幼児言葉 相当する表現があるもの 「ぽんぽん」 「おんぶ」 tummy piggy back 一般語と区別がないもの 「まんま」 food 「おべべ」 clothes 「あーんする」 open one’s mouth 擬声語・擬態語 「胃がきりきりします」 I have a griping pain in the stomach. 「胃がしくしくします」 I have a gnawing pain in the stomach. 「手がひりひりします」 My hand smarts. 翻訳上の問題点 日本語からの直訳は文法的に正しくても、 意味をなさないか、不自然な英語表現に なる。 現場特有の状況とそれに相当する表現を 知らないと訳せない。 生活に密着した表現は、その文化での生 活体験がないと訳せない。
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