第4章 学校における子どもの読書活動の推進

第4章
学校における子どもの読書活動の推進
1.「小松市ハートフルライブラリー子ども読書活動推進計画」における取組み,
成果,課題等
【取組み】
学校においては,前回の「小松市ハートフルライブラリー子ども読書活動推進計画」
で示された目標のもと,以下のことに取組んできた。
○
教職員・学校司書・図書ボランティアが協力して「朝の読書」「読み聞かせ」を中
心に読書の時間を確保した。さらに読書の楽しさや興味関心を高めるために「読書週
間」「ブックトーク」などを設定し,実践してきた。
○
「図書利用年間計画」を作成し,継続的・計画的な読書指導を進めてきた。
○
「マイブック学校図書館充実事業(平成13年度より実施)」を受けて図書の量的,質
的な整備・充実を図ってきた。
○
学校図書館及び資料の利用の仕方を子どもたちに習得させ,情報活用能力を高める
ために,「図書利用年間計画」に基づいて,学校司書の協力のもと各教科や総合的な
学習の時間を中心に調べ学習を行ってきた。
○
学校司書の全小中学校配置を進め,司書の専門性が生かされるよう研修の場を設け,
学校図書館の機能がさらに充実するよう努めてきた。
○
図書ボランティアの加入を促した。
○
「学校図書館ネットワーク化整備事業」により蔵書のデーターベース化及び市内学
校間のネットワーク化が完了した。
【成果】
○
継続的で多彩な読書指導が推進された。
例1:教職員・学校司書・図書ボランティアが協力して行ったもの
「読書まつり(フェスティバル)」「おすすめの本の紹介」「たてわり読書活動」
「集団読書」
「特設コーナー(例・平和・環境・福祉)」
「親子読書」等
例 2:図書ボランティアが行ったもの
「読み聞かせ」「クイズ」等
○
年間貸出冊数が増加した。
特に小学校6年生の伸びが著しい。
(H17年23冊→H21年43冊)
H17
H18
H19
H20
H21
小学校
35冊
40冊
49冊
54冊
55冊
中学校
13冊
15冊
13冊
14冊
15冊
一人あたり平均貸出数
○
学校図書館や学級文庫の配架が充実し,児童・生徒の多様な興味や関心に応えら
れるようになってきている。
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○
年度初めに学校司書と協力し,小中学校の全学級で学校図書館の利用の仕方につい
てオリエンテーションが実施されるようになった。
○
各校で作成した「図書利用年間計画」に基づいて各教科・総合的な学習の時間の調
べ学習を行い,学校図書館を有効に活用している。
○
学校司書が全小中学校に配置された。また,図書ボランティアも増加し,市内全小
学校と半数の中学校で活動している。
学校司書(全 35 校)
図書ボランティア
○
H17
H18
H19
H20
H21
23校
23校
29校
全校配置
全校配置
286人
276人
298人
300人
302人
データーベース化及びネットワーク化により,パソコンでの蔵書の管理と学校間や
市立図書館からの貸借が可能となった。
【課題】
●
小学校でついた読書習慣を中学校でもさらに継続して,主体的な読書習慣を育てる
必要がある。
● 「図書利用指導年間計画」を作成し,
系統的・継続的に指導していく。
●
図書の量的・質的な充実に伴い,児
童・生徒の発達段階に応じた選書や学
習情報センターの機能を果たすため
の十分な資料の整備を行っていかな
ければならない。
(バーコードによる図書の貸出)
2.子どもの読書活動の啓発と推進
①
読書指導(読書習慣)の確立
「読書センター」として,子どもの自由な読書活動の場を提供し,児童・生徒の読書
に親しむ態度を育成し,読書習慣を身につける指導を継続的に行っていくことが必要で
ある。
【平成 22 年度の現状】
・
市内全小中学校では「朝の読書」が定着している。
「自由読書」
,
「読み聞かせ」な
どが活発に行われている。
「集団読書」を実施している中学校もあり,多様な分野の
読み物に触れる機会となっている。
- 16 -
朝の読書
H17
H18~22
実施校数(全 35 校) 34校
・
全校実施
全校児童・生徒だけでなく保護者にも読書に親しんでもらえるよう,おすすめの
本やイベントの紹介,新刊情報などを「図書館だより」として発行している。
・
蔵書情報のデーターベース化に伴い,児童・生徒の読書傾向をつかむ事ができる
ようになっている。
・
児童・生徒の委員会活動による「読み聞かせ」や「読書まつり」などが定期的に
行われ,読書活動が充実してきている。
・
図書ボランティアが,児童・生徒の読
書習慣確立のための一役を担っている。
「読み聞かせ」や「おはなし会」の開催,
読書イベント「ハートフルライブラリー」
への参加などの活動が定着している。
・
「こまつ市民読書の日」を活用した取
組みが広がっている。
(図書ボランティアによる展示)
【目標】
・ 教職員・学校司書・図書ボランティアが協力し,「朝の読書」や「おはなし会」
などの多彩な読書活動を継続し,小学校から中学校へつながる取組みを推進する。
また,三者の協力により,子どもたちが集う温もりのある学校図書館を目指す。
・ 様々なジャンルの本に興味をもち楽しんで読書できるよう,教職員と学校司書が
連携し,学校図書館内の整備や指導に努める。
・ 蔵書のデーターベースを活用し,児童・生徒の個々の状況に応じた読書指導の推
進に努める。
・ 読書の時間の確保や読書の機会の充実にさらに努める。
・ 図書ボランティア同志の交流を深め,それぞれの活動について情報交換し,より
よい読書活動の啓発ができるようにしていく。
②
利用指導(調べ学習)の推進
「学習情報センター」として,学校図書館及び資料の利用の仕方を子ども達に習得さ
せ,子ども達の情報活用能力を高め,調べ学習を充実させるためには,計画的,系統的,
継続的な指導が必要である。
【平成 22 年度の現状】
・
各校で年度当初に学校図書館の利用の仕方や資料の探し方についてのオリエンテ
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ーションが実施されており,調べ学習のための基礎指導が継続して行われている。
・
「図書利用年間計画」を作成し,
どの単元でどんな資料を活用する
か明記し,学校司書と連携して調べ
学習を行っている。
・
市立図書館の図書館資料搬送サー
ビスや学校図書館ネットワークが
整備され,それらを活用し,調べ学
習に必要な図書資料を確保してい
る。
・
児童・生徒が意欲・興味・関心を
もって調べ学習に臨むことができ
(百科事典の使い方の学習)
るように,学習内容に関連したコー
ナーを設置している。
・
学習活動に利用指導を取り入れることで,子ども達は必要な情報を探して取捨選
択し,まとめていく力をつけつつある。
・
学校司書や図書館担当教諭の研修の場では,先進的な実践校の活動を紹介するな
ど,積極的な情報提供が行われている。
【目標】
・ 学校司書と更に連携を図り,学校全体で計画的・系統的な指導を推進する。
・ 実践校の実践事例を紹介するなど,積極的な情報提供に努める。
・ 各学校や市立図書館との図書資料の相互貸借を効果的に進め,「学習情報センタ
ー」としての機能の充実に努める。
・ 教職員は,利用指導の意義について理解を深め,学校図書館の活用・実践に関す
る情報交換や研究協議を行い,
「図書利用指導年間計画」を作成し,活用を推進する。
3.生涯学習につながる読書活動の啓発と推進
―「こまつ市民読書の日」における取組み―
小松市では,平成 21 年 4 月から毎月23日を「こまつ市民読書の日」と定めた。そ
れを受け,学校図書館では「こまつ市民読書の日」を浸透させる取組みが重要と考え,毎
月この日を中心に様々な取組みを実践している。
☆こまつ市民読書の日の取組みについて
平成 21 年度
毎月実施
15校
毎月ではないが実施
8校
未実施
12校
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平成 22 年度
29校
6校
0校
☆取組みの内容
平成22年度 貸出限度を増やす
取組み校数
14校
親子読書
15校
読み聞かせ
13校
その他
11校
図書だよりや広報によるお知らせだけでなく,学校司書のブックトークや,教職員や図
書ボランティアによる読み聞かせ,図書委員のおすすめ本の紹介などのほか,学校ぐるみ
で行う読書イベントや,家庭における家族読書の推進のための企画などを行っている。そ
の結果,子どもの読書の機会が増えてきている。
また,これらの取組みは普段読まないジャンルの本に接する機会や家庭における読書の
機会が増えることが期待され,生涯学習につながる読書活動のきっかけとなっている。
今後は各校の意見交換の場を設けるとともに,効果があった取組みや新しいアイデアを
取り入れながら,各関係機関等との連携・協力を図り,より一層の啓発と推進に努めてい
く。
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