pdfデータ - 全国飲食業生活衛生同業組合連合会

平成 24 年度生衛振興推進事業 調査研究〈ダイジェスト版〉
分煙時代に対応した
店づくりの
4つのポイント
分煙
全国飲食業生活衛生同業組合連合会
受動喫煙防止対策が 10 年間で 20%以上促進
●完全禁煙の飲食店が10倍に増加
●対応が難しい完全分煙
平成15年から10年間で 20%以上の店舗で何かしら
の分煙対策が進みました。完全禁煙の店舗は、1.3%(施
行前)から 12.8%(24年度)となり、10 倍程度の増
完全禁煙の店舗
0%
100%
1.3%
10 年間
12.8%
加が見られました。
不完全分煙または未対応とする店の中でも、「店内禁煙」
とはうたっていないが店内に灰皿を置いていないため、実
質的に店内が禁煙になっている店も見受けられます。客の
側から進んで店外で喫煙をするケースもあり、禁煙化の流
れは調査の数字以上に進んでいるものと考えられます。
食事のときは禁煙が主流に
●レストランは分煙対策が7割弱に
●酒を出す店も対策でグレード感
業態別の分煙対策では、レストラン 66.9%、麺類 46.8%な
どで進んでいます。不完全分煙、未対応の店でもランチタイムな
分煙対策
ど混み合う時間帯は禁煙にしている状況が見られ、食堂のような
大衆店でも 35.7%が対策を行っています。食事の時は喫煙者も
対策が進んでいる
レストラン 66.9%
食堂 35.7%
周囲に配慮してタバコを吸わない習慣を啓蒙しています。
一方、対策率が低いのはスナック 8.4%、バー 19.2%、居酒
屋 20.5%となっており、酒を出す店では、なかなか対応が難し
い現状となっています。居酒屋、バーでは完全禁煙、完全分煙に
対策が難しい
スナック 8.4%
バー 19.2%
踏み切っている店もあり、対策が進んでいる店、客の健康を考え
ている店として女性客を集めることに成功しています。
レストランのように店の格が考慮される業態、食堂、麺類店な
どのように回転率が高く滞在時間が短い業態は禁煙化が取り組み
やすく、酒を出し、滞在時間が長い業態は対策がとりにくいよう
です。ファミリー客をターゲットにしたレストランでは、対策に
よって子連れ客の獲得につながっています。
中小規模店では「禁煙」の店づくりが進む
完全禁煙率が最も高いのは、
「21 ∼ 50 坪」16.1%
となっています。「11 ∼ 20 坪」も13 .0%が完全
禁煙に踏み切っており、完全分煙にしてフロアを分
離するよりも、店内禁煙を選択してい店内禁煙ます。
喫煙者を閉め出すのではなく、屋外等に喫煙場所を
設置している店も多くあり、禁煙によって店のポリ
店内禁煙
禁煙によって店のポリシーを
客に伝える
シーを客に伝えることで、支持される傾向にあると
言えるでしょう。
1 タバコに対する意思表示が重要
分煙対策を行った理由として、時流であることの他、
「客
からの要望」が上げられています。また対策ができない
喫煙しない客
喫煙する客
理由にも「タバコが吸えないのか」と客から言われたこ
とが上げられています。喫煙しない客、喫煙する客、ど
ちらも来店するのは自明であり、店の姿勢が問われる時
代になったと言えるでしょう。
店の姿勢が問われる時代
日経レストランの調査では、喫煙者、非喫煙者ともに、
タバコが吸える店か、禁煙の店か、来店前、入店前にチェッ
クする客が6割になっている傾向が出ています。分煙対
店が客に選別される時代
策の有無によって、店が客に選別される時代になってい
ます。
店の入口に喫煙の可否を表示したり、インターネット
の店舗情報でPRするなど、情報提供することが大切で
店内禁煙
入口の表示
す。分煙対策を施設面で進めることは最も重要ですが、
店の入口に喫煙についての情報を表示することは、喫煙
者、非喫煙者ともに安心して入れる店づくりとなります。
選ばれる店になり、喫煙に対して意識を持った質の高い
顧客を集めることにつながります。
2 お客様に不快な思いをさせない
タバコを吸わない人への配慮
医薬品メーカーのファイザーが2012年に実施した調査に
よると、喫煙者の 83.5%が自分のタバコが周りの人に与える
影響を気にしており、85.6%の人が「周りに人がいるときは
タバコを控える」と回答しています。喫煙者の多くが受動喫煙
の影響を気にしており、周りに配慮して喫煙していることが示
されました。喫煙者の意識が変わり、どこでも好き勝手に喫煙
する状況ではなくなっていることが示されています。
また、タバコの煙で不快な思いをした場合、飲食店では 41.
周りに人がいるときは
タバコを控える
85.6 %
2%の人が「次は利用しない」と回答しており、受動喫煙に厳
しい意見を持っています。タバコ臭い場所で食事をしても、お
いしくないと感じていることが表れています。
このように、分煙店であってもタバコを吸わない人への配慮
が重要で、不快な思いをさせないような接客や応対をすること
が大切です。
3 食事の時は「吸わない」がマナー
タバコを吸うと自分の舌の味覚が麻痺することは知られ
マナー違反
ており、同席している人の味覚にも影響を与えるので、食
事の時は喫煙を控えることがテーブルマナーとなっていま
す。料理の香りが、タバコの煙でだいなしになってしまい
ます。
特にフォーマルな会食では、喫煙は同席者に悪印象を与
えることになり、店内が喫煙可であっても、こうした状況
食事の時は喫煙を控える
を喫煙者も自覚し気配りしています。こうした喫煙者のた
めに、喫煙できる場所を別に用意しておくことが大切です。
喫煙者、禁煙者のどちらにも
受け入れられる店づくり
お店側として、「食事の時は、吸わないのがマナー」と
いう雰囲気づくりを行うことで、喫煙者、禁煙者のどちら
にも受け入れられる店づくりが大切です。
4 助成制度や相談支援を使って上手に対策
厚生労働省では一定の基準を満たした事業者に対して、
受動喫煙防止対策のための
喫煙室の設置
受動喫煙防止対策のための喫煙室の設置などに対して、
助成金制度を設けています。工事費や設備費に対して上
限200万円の助成が受けられます。
助成が適用されるかどうか、また店舗における有効な
工事費や設備費
上限
受動喫煙防止対策などについて、専門家に相談したい場
200 万円の助成金
合は、無料でアドバイスが受けられます。
●相談ダイヤル/ 050-3537-0777
●受付時間/平日 9:00 ∼ 17:00(12:00 ∼ 13:00 を除く)
●費用等/無料
●URL / http://www.jashcon.or.jp/contents/second-hand-smoke
(平成 25 年度事業受託者 : 一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会)
●厚生労働省の制度に関するページ
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/jigyousya/kitsuenboushi/#01
参考資料
アンケート集計結果(一部抜粋)
分煙
●業態別による分煙対策の状況
0
20
①レストラン
②食堂
16.4%
③喫茶店
18.3%
④居酒屋
⑤スナック
2.6%
1.1%
1.5%
13.2%
3.4%
60
80
19.8%
15.9%
1.9%
79.0%
0.6%
6.7%
0.5%
2.2%
89.4%
⑦中華店 8.1%
9.7%
23.4%
⑩専門店
19.2%
⑪その他
11.9% 4.4%
0.8%
70.0%
16.4%
13.9%
100%
32.2%
62.3%
1.7% 10.0%
⑥バー 5.6%
⑧麺類
40
33.9%
80.6%
82.3%
6.5%
8.2%
16.9%
13.7%
32.6%
51.9%
56.2%
45.2%
1.3%
2.7%
5.9%
完全禁煙 完全分煙 不完全分煙 未対応 無回答
参考資料
分煙
●形態(食事中心または酒類中心)別による分煙対策の状況
0
20
①食事中心
20.3%
5.7%
2.8%
60
80
18.9%
100%
53.5%
1.0%
8.7%
②酒類中心
③どちらとも言えない
40
1.6%
86.1%
2.4%
7.7%
18.5%
1.4%
67.6%
2.4%
完全禁煙 完全分煙 不完全分煙 未対応 無回答
●店舗面積別による分煙対策の状況
0
①10 坪以下
②11 ∼ 20 坪
20
40
3.8%
7.7%
4.8%
13.0%
1.0%
11.5%
16.1%
4.8%
④51 ∼ 100 坪
13.2%
7.8%
100%
2.9%
2.0%
72.6%
16.8%
61.6%
44.8%
⑥151 ∼ 200 坪 7.4% 7.4%
0.6%
43.4%
34.9%
⑤101 ∼ 150 坪 10.3%
11.1%
80
80.9%
③21 ∼ 50 坪
⑦その他
60
0.8%
34.5%
33.3%
10.3%
48.1%
44.4%
27.8%
3.7%
16.7%
完全禁煙 完全分煙 不完全分煙 未対応 無回答
●分煙対策別による売上げと客数への影響
0
20
40
60
完全禁煙
13.5%
23.8%
57.1%
完全分煙
15.4%
17.9%
66.7%
80
100%
5.6%
①客数 or 売上増えた
②客数 or 売上減った
不完全分煙 1.3%
9.9%
未対応 1.1%
10.3%
無回答
14.3%
③プラスマイナス両方
80.8%
7.9%
80.9%
7.6%
85.7%
④その他
アンケート集計結果(一部抜粋)
分煙
●分煙対策別による厚労省助成制度の認知度
0
20
完全禁煙
40
24.1%
完全分煙
60
80
48.2%
39.0%
100%
27.7%
46.3%
①詳しく知っている
14.6%
②詳しく知らない
③全く知らない
不完全分煙
11.7%
63.1%
未対応 9.2%
55.2%
37.5%
無回答
25.1%
35.6%
31.3%
31.3%
●分煙対策別による助成制度の利用度
0
20
完全禁煙
2.3%
完全分煙
12.2%
不完全分煙 1.8%
40
80
70.5%
45.6%
100%
27.3%
39.0%
未対応 1.2%
無回答 10.0%
60
②利用予定ない
48.8%
③利用検討している
52.6%
76.0%
①利用している
22.9%
40.0%
50.0%
●地域ブロック別にみる分煙対応状況
ブロック 対応率合計 全面禁煙率 完全分煙率 不完全分煙率
北海道・東北
29.3%
8.6%
5.2%
15.5%
17.3%
関東・甲信越
30.5%
9.9%
3.3%
東海・北陸
28.9%
12.6%
4.9%
11.4%
15.0%
近畿
36.4%
16.4%
5.0%
中国・四国
27.5%
2.9%
4.3%
20.3%
15.4%
3.0%
20.0%
九州
38.4%
分煙時代に対応した
店づくりの
4つのポイント
分煙
全国飲食業生活衛生同業組合連合会
〒105-0004 東京都港区新橋 6-8-2 全国生衛会館