2013 年の国内 10 大経済ニュース

BTMU(China)経済週報
2014 年 1 月 3 日 第 186 期
2013 年の国内 10 大経済ニュース
トランザクションバンキング部
中国調査室
メイントピックス...................................................................................................................... 2
2013 年の国内 10 大経済ニュース ..........................................................................................................................2
人民元市場動向 『人民元は高値を更新。短期金利は反落。』 ....................................................... 5
人民元為替・資金市場 ........................................................................................................................................5
全国情報 ............................................................................................................................. 6
【マクロ経済】 .............................................................................................................................................................6
18 省・市、11 月のCPIが 3.0%を上回る..............................................................................................................6
中央農村工作会議、「食糧安全保障」の方針 ....................................................................................................6
養老保険基金、2023 年の赤字化を予測............................................................................................................6
【金融】.......................................................................................................................................................................7
11 月末時点で地場銀の資産総額は 145 兆元に ..............................................................................................7
【産業】.......................................................................................................................................................................7
【工業】一定規模以上工業企業、11 月の利益は前年比+9.7%と低下 ..............................................................7
【鉄鋼】中国鉄鋼工業協会、14 年の粗鋼生産量は 8 億トンに..........................................................................7
【不動産】北京・上海など 4 都市、12 月末時点の土地譲渡収入が前年比 1.5 倍増 ........................................7
【鉄道】鉄道総公司、9 月末時点の負債額が 3 兆元超 .....................................................................................8
地方情報 ............................................................................................................................. 9
【北京】土地販売収入は 1,654 億元と史上最高.................................................................................................9
【上海】28 日より電子領収書の試行発行へ ........................................................................................................9
【深セン】来年には改革深化へ............................................................................................................................9
【広州】南沙で香港・マカオ地域に人民元資本項目の両替可能を試行へ .......................................................9
【青島】ハイテク製品の輸出入額は 2 割増加 .....................................................................................................9
【四川】IBM西南卓越データセンターが月末に運営開始へ ..............................................................................9
BTMUの中国調査レポート(2013 年 12 月) ........................................................................... 10
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BTMU(China)経済週報
2014 年 1 月 3 日 第 186 期
メイントピックス
2013 年の国内 10 大経済ニュース
12 月 23 日、国内有力経済紙の経済参考報が主催し、中国日報、中国証券報、上海証券報、第一財経日報
の新聞紙、メディア機関等 14 社 1 及びエコノミストが共同で、2013 年度の国内経済ニューストップ 10 を選出し
た。同 10 大ニュースは以下の通りである。①不動産抑制策の「国 5 条」公表、②中国鉄路総公司が正式にス
タート、③国務院が市場化に向け政府機能の転換を加速、④6 月に市場流動性の逼迫により人民元短期金
利が急騰、⑤人民銀が貸出金利の下限を撤廃、⑥光大証券の誤発注事件、⑦中国(上海)自由貿易試験区
の設立、⑧インターネット金融の急拡大、⑨三中全会の開催で改革・開放に向けた青写真が鮮明化、⑩工業
情報化部が 4G運営ライセンスを正式的に交付。
本稿では、同紙の報道内容を元に、経済 10 大ニュースの内容を簡単に纏め、この 1 年間の中国経済・社会を
回顧してみたい。
Ⅰ. 2013 年の国内 10 大経済ニュース
No.1 不動産抑制向け「国 5 条」が公表され、不動産抑制を継続方針
9
2 月 20 日、国務院は住宅売却益への課税強化などを柱とする不動産抑制策の「国 5 条」を発表し、不動
産抑制を継続する方針を示した。政策内容としては、①不動産価格の安定化に向け各地方政府の抑制
目標を制定、②投機を目的とした購入の抑制、③商品住宅および用地供給の増加、④低所得者向け住
宅の建設加速、⑤不動産市場の監督管理の強化、などが盛り込まれた。それを受け、北京、上海、深セ
ンなど地方政府は相次ぎ住宅売却益の 20%を課税することや、頭金比率の引上げなどの方針を公表し
た。しかしながら、その様な抑制策にも関わらず、年初以降の不動産価格の上昇傾向に歯止めが掛から
なかった上に、却って駆け込み売買を一段と膨らませる結果となった。
No.2 中国鉄道総公司を設立し、鉄道体制改革を始動
9
3 月 17 日、新規設立された「中国鉄路総公司」が正式的発足した。3 月 10 日に開かれた第 12 期全国人
民代表大会第 1 回会議では国務院機構改革案が可決され、鉄道部が解体され、新たに「国有鉄路局」と
「中国鉄路総公司」を設立することを決定した。鉄道部の鉄道発展政策・計画の策定などの行政機能を
交通運輸部に統合し、旅客運輸や鉄道建設などの事業、及び保有する資産・負債、人員の大半は総公
司が引き継ぐ。これにより、1949 年に発足した鉄道部は 64 年の歴史が終焉したと同時に、鉄道体制改革
に向けた重要な一歩を踏み出したと言える。
No.3 国務院が市場化に向けた政府機能の転換を加速
9
1
5 月 15 日、国務院は『国務院が一部行政審査許可項目の削減・委譲に関する決定』を公表し、行政審査
許可に関連する 117 項目を削減・委譲したことを公表した。年初に開催された第 12 期全国人民代表大会
第 1 回全体会議の記者会見で、李克強総理は、市場化に向けた政府機能の転換や、行政許認可制度
の改革方針を宣言し、それを皮切りに、行政審査認可項目の削減や地方政府への権限委譲の改革議
論が進められた。更に、10 月 27 日、国務院は企業の登録資本金の下限を撤廃し、登記場所などの制
限を緩和すると発表した。これにより、小規模企業を支援し、民間企業の発展に繋がることが期待されて
いる。
選出の参加機構14社は中国記者協会、中央人民広放送、科学技術日報、中国日報、中国青年報、中国証券報、上海証券報、
参考消息、第一財経日報、環球時報、中華工商時報、新浪、和迅及び経済参考報。エコノミストは中国経済体制改革研究会
の樊綱副会長、中国社会科学院学部の劉樹成委員。
2
BTMU(China)経済週報
2014 年 1 月 3 日 第 186 期
No.4 6 月に市場流動性が逼迫、人民元短期金利が一時急騰
9
6 月 20 日、中国の人民元短期金利が一時急騰し、SHIBOR 翌日物は 13.444%と史上最高水準を記録し
た。流動性逼迫の背景について、端午節連休前の季節要因による資金需要や、理財商品の償還向けの
資金需要等の逼迫と見られている。通常では人民銀は流動性を供給して短期的な金利上昇を抑えるが、
今回はそれを見送った。週明けの 24 日には上海株式市場で、銀行、証券、保険、不動産などの株式が
売られ、上海総合株価指数が年初比 13.5%の大幅続落を記録するなど、資金市場の混乱は資本市場
にも波及した。その後、翌日 25 日に人民銀行が流動性は不十分とは看做していないことや、一部の金融
機関に資金供給を行ったことを明らかにするなど、異例の声明を発表することで市場の落ち着きを取り戻
した。
No.5 貸出金利の下限が撤廃され、金利自由化向けの一歩
9
7 月 19 日、中国人民銀行は金融機関に対して、貸出金利を基準金利の 0.7 倍までとする下限を撤廃す
ると発表した。金利の全面自由化に向けた重要な一歩で、金融機関と顧客が協議によりレートを決定す
る余地を拡大し、中小企業の資金調達コストの低下につながると見られている。一方、人民銀は「預金金
利の自由化は金融市場への影響が大きく、さらに様々な環境を整えておく必要がある」として、預金金利
の上限規制は維持したが、今後段階的に金利の全面的な自由化を進める意向を明らかにした。
No.6 光大証券が誤発注事件、上海株が急騰
9
8 月 16 日の午前、上海証券取引所の株価総合指数は前日比 5%以上急騰した。その原因は、中国の大
手証券会社の「光大証券」による大量の誤発注だった。光大証券は自社売買部門の注文システムの設
計上の欠陥が誤発注の原因と主張し、人為的な操作ミスは否定した。誤発注の情報を受け、午後の市場
は落ち着きを取り戻し、総合指数が前日比 0.64%安の 2068.45 で引けた。中国証券監督管理委員会の
調査結果によると、光大証券は 16 日、累計で 234 億元の買い注文を出したが、うち 72 億 7,000 万元の
売買が成立した。8 月 30 日、同委員会は光大証券に対して 5.23 億元の罰金などを命じる処分を公表し
た。
No.7 中国(上海)自由貿易試験区を設立
9
9 月 29 日、中国(上海)自由貿易試験区(China (Shanghai) Pilot Free Trade Zone: FTZ)が国務院の
承認を経て、正式的に発足した。FTZ は上海市外高橋保税区、外高橋物流園区、洋山保税港区、上海
浦東空港綜合保税区の 4 地域で構成され、合計面積は 28 平方キロ。中国の内需主導型、市場型の経
済発展モデルに転換するためのパイロット地域という役割を担っており、今後の中国の発展を占う極めて
重要なプロジェクトと位置づけられている。投資の開放、貿易の便利化、金融制度緩和、国際水準の行
政管理の実現等を目標としている。FTZ で実施された政策は、試行期間を経た後、中国全体に展開され
る予定。
No.8 インターネット金融の急拡大
9
10 月 9 日、電子商取引(EC)大手のアリババ・グループは、計 11 億 7,900 万元の金額で大手ファンドの
天弘基金の株式 51%を取得し、傘下に収めることで関係者と合意した。アリババと天弘基金は、これまで
に金融商品に投資サービスの「余額宝」で協力していたが、小口融資や担保業務に続く資産管理会社
買収で、アリババの金融サービスへのシフトがさらに鮮明になった。アリババの他、蘇寧易購が第三者決
済サービス「易付宝」(「余額宝」に類似)を開始、京東商城が第三者決済企業の「網銀在線」を買収する
など、EC 大手は相次ぎインターネット金融分野で事業拡大の動きを拡大している。
No.9 三中全会が開催され、改革・開放に向けた青写真が鮮明化
9
11 月 12 日、中国共産党第18期中央委員会第3回総会(三中全会)は、行政体制、税制改正、価格改革、
土地改革、経済市場化などを進める方針を決めて閉幕した。又、会議では習・李指導部の改革・開放に
向けた青写真となる「党中央の全面的な改革深化に向けての若干の重大問題に関する決定」(「決定」)
が採択された。15 日に正式に公表された「決定」内容には、国有企業の改革深化、金融自由化の促進、
3
BTMU(China)経済週報
2014 年 1 月 3 日 第 186 期
政府の経済への関与抑制、及び一人っ子政策の緩和など、幅広い分野に関する具体的な改革方針が
盛り込まれており、今後の中国経済の持続可能な発展および社会に大きく影響するものとなると見られ
る。
No.10 4G 運営ライセンスが交付され、中国の通信業に 4G 時代が到来
9
12 月 4 日、工業情報化部は第4世代(4G)移動通信システム「TD-LTE」の運営ライセンスを「中国移
動」、「中国電信」、「中国聯通」の国内通信大手 3 社に交付した。これにより、中国通信業は 4G 時代を迎
えようとしている。スマートホンが急速に普及している中国では、今後 4G スタートに向けて、通信インフラ
の整備に係る投資の加速や関連消費市場の拡大が予想されている。これによって、中国経済の内需拡
大や、経済構造の転換にもつながると期待されている。
Ⅱ. コメント
2013 年の中国経済成長率は、Q1 が 7.6%、Q2 が 7.5%とやや減速したものの、Q3 が 7.8%と持ち直し、Q4 が
7.7%となる予測が多く、通年では 7.6-7.7%と、目標値の 7.5%を上回る可能性が高いとみられている。一方、
過剰生産や地方債務の継続拡大、シャドーバンキングの潜在リスクなど課題も少なくない。このように高成長
から安定成長への移行を目指す中国経済は、2013 年にはハードランディングを回避しつつも、経済構造の
転換に向けて改革を本格化するステージとなった。10 大経済ニュースからみても、行政改革、金融改革、イン
ターネット革新など中長期の中国経済に重大な影響を及ぼす変革が中心となっている。11 月 9 日、国内外で
注目を浴びる第 18 期中央委員会第 3 回全会(三中全会)が北京で開催され、今後の改革策を決定する「改
革の全面的な深化に向けての若干の重大な問題に関する決定」を採決し、経済、政治、社会など幅広い分
野に関連する具体的改革方針を確定した。
2014 年の中国経済を展望すると、李克強総理は 7 月に「成長の下限は 7.5%、最低ラインは 7.0%」と明言した
のに続き、11 月に「雇用の安定には 7.2%の成長が必要」との見方を示し、当面では 7%程度の成長ペースを
維持する姿勢を明確にした。しかし 12 月 13 日に北京で閉幕した今後 1 年の経済運営方針を決定する中央
経済工作会議では、2014 年の成長
図表:国内外機構による 2014 年中国経済成長率の予測値
目標値を明確化することなく、「経済
会社・機構名
予測値
予測日時
成長を合理的なレンジで安定化す
中国社会科学院
7.5%前後
12月10日
る」と強調するにとどまった。又、会
国家情報センター
7.5%
12月2日
議では、2014 年の経済運営につい
JPモルガン・チェース
7.4%
11月17日
て、「穏中求進と改革革新」という政
シティバンク
7.3%
12月25日
策基調を決定し、経済や社会の安
ゴールドマン・サックス
7.8%
11月21日
定を保ちながら、全面的な改革を推
UBS
7.8%
11月29日
進する方針とした上、産業構造の調
モルガン・スタンレー
7.2%
12月5日
整や、地方債務リスクの防止などを
出所:公開報道を元に中国調査室作成
主要任務として取り組む方針も示し
た。
かかる中、三中全会で確定された改革方針の初年度となる 2014 年は、政府にとって大胆な改革を進めなが
らも経済・社会の安定も維持するという、微妙なバランスの上での難しい舵取りが試される 1 年となろう。
三菱東京 UFJ 銀行(中国)トランザクションバンキング部中国調査室 胡柳
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BTMU(China)経済週報
2014 年 1 月 3 日 第 186 期
人民元市場動向
『人民元は高値を更新。短期金利は反落。』
【図 1】人民元中間値とドルインデックス
人民元為替・資金市場
先週の人民元は週末にかけて上昇、日中取引は 6.06
台へ入った。短期金利は落ち着きを取り戻し低下した。
每天 QCNY=CFXS, Q=USD
2013-9-9 - 2014-1-6 (PEK)
价格
价格
6.17
82
6.16
週初 23 日の基準値が 6.1161 に設定されて始まった先
週の人民元は、欧米中心に海外市場がクリスマス休暇入
りし、対主要通貨での米ドルの動きも限定的となったこと
もあり、その後も基準値はほぼ横這いの水準に設定され
た。
81.5
6.15
日中取引では、週初 23 日に 6.0702 の元高値を付け、
10 日及び 17 日に付けた従来の元最高値 6.0703 を僅か
1 ポイント乍ら更新したものの、その後は、日中取引も基
準値同様に動意に乏しい展開となり、引き続き 6.07 台前
半での膠着状態を継続していた。
78.5
大方の市場がクリスマス休暇明けとなった 27 日、基準
値が前日比 100 ポイント超の大幅元高水準となる 6.1050
に設定された。11 日に付けた基準値としての最高値
6.1100 を約 2 週間振りに更新、基準値としては初の 6.10
台となった。基準値の大幅元高シフトに連れて、同日の
日中取引も元高が進行、約 3 週間に亘り膠着していた
6.07 台前半をついに突破、6.0670 まで元の高値を更新
し、そのまま高値圏で越週した。
尚、本稿執筆時点で 2013 年度の人民元取引は終了
しているが、31 日の基準値は 6.0969 まで更に元の高値
を伸ばしている。丁度 1 年前 2012 年 12 月 31 日の基準
値が 6.2855 であったことから、2013 年の基準値の年間上
昇率は、まるで測ったかのように丁度 3.0%での着地と
なった。一方、日中取引も年末にかけ元高が進行、31 日
には 6.05 台前半まで上昇、終値は 6.0539 となり、こちら
の年間上昇率は 2.8%となっている。
資金市場では、短期金利が低下した。週初は先々週
までの高止まり傾向が見られたが、24 日の定例公開市場
操作で人民銀行がリバースレポにより 290 億元の資金供
給を実施したことや、年末の法人税還付による資金が市
中銀行に還流したこと等から、落ち着きを取り戻しつつあ
る。
(環球金融市場部市場営業グループ)
6.14
81
6.13
80.5
6.12
6.11
80
6.1
79.5
6.09
79
6.08
6.07
6.06
.123
.1234
09
16 23
30
14
2013 九 月
21
28
04
2013 十 月
18
25
02
2013 十 一 月
09
16
23
30 06
2013 十 二 月
— 人民元ドル中間値(右側) — ドル index 時間線(左側)
(出所)ロイター
【表 1】為替市場変動幅:一週間の変動幅
日付
12/23
12/24
12/25
12/26
12/27
USDCNY 基準値
6.1161
6.1145
6.1160
6.1156
6.1050
USDCNY 始値
6.0710
6.0710
6.0715
6.0715
6.0710
USDCNY 高値
6.0716
6.0721
6.0718
6.0789
6.0736
USDCNY 安値
6.0702
6.0708
6.0708
6.0711
6.0670
USDCNY 終値
6.0702
6.0714
6.0714
6.0746
6.0686
USD index1
80.575
80.447
80.447
80.447
80.484
(注)1. 前日の NYK 終値
【図 2】O/N Shibor と 7 日間債券レポ利回り
每天 QCN7DRP=CFXS, QSHICNYOND=
2013-9-9 - 2014-1-3 (GMT)
价格
CNY
9
8.5
8
7.5
7
6.5
6
5.5
5
4.5
4
3.5
3
.1234
16
08
13 九 月
16
01
13 十 月
18
02
13 十 一 月
16
02
13 十 二 月
— 7 日間債券レポ利回り — Over Night Shibor 金利
(出所)ロイター
【表 2】金利市場変動幅:一週間の変動幅(%)
12/23
12/24
12/25
12/26
12/27
1 日間レポ 1
日付
5.2507
4.2068
4.0378
3.9498
3.3931
7 日間レポ 1
8.9372
6.4424
5.5759
5.3337
5.1005
O/N Shibor
4.5150
4.1450
4.0500
4.0010
3.5130
3 ヶ月 Shibor
5.5160
5.5174
5.5220
5.5380
5.5465
(注)1. 加重平均レポ利回り
5
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BTMU(China)経済週報
2014 年 1 月 3 日 第 186 期
全国情報
【マクロ経済】
18 省・市、11 月の CPI が 3.0%を上回る
12 月 27 日まで時点、全国 31 省・市の 11 月の消費者物価指数(CPI)が出揃った。統計によると、31 省・市で、
18 省・市の CPI は全国水準(+3.0%)を上回っており、うち、チベット(+4.2%)がトップ、次いで海南(+4.1%)と
天津(+3.9%)が 2 位と 3 位。最低が遼寧省。又、海南、湖南、広西の CPI は上半期対比で急上昇した(下
図)。
31省・市の11月のCPI伸び率(前年比)
6.0%
11月のCPI伸び率
1-6月のCPI伸び率
5.0%
4.0%
3.0%
2.0%
1.0%
遼寧
上海
貴州
重慶
青海
山東
安徽
広東
湖北
黒龍江
(出所)12月27日 中国経済網
江蘇
吉林
浙江
広西
河北
河南
江西
寧夏
陜西
北京
雲南
四川
甘粛
新彊
内蒙古
山西
福建
天津
湖南
海南
全国
チベット
0.0%
(12 月 27 日 中国経済網)
中央農村工作会議、「食糧安全保障」の方針
中央農村工作会議が 24 日に北京で閉幕し、食糧の安全保障、農業の現代化促進及び食品安全などが来年
の方針として明確になった。食糧の安全保障について、国産品を主力とする国家穀物安全戦略を維持する
他、全国の 18 億ムー耕地面積を厳守する方針を強調した。又、会議では、都市化を着実に推進し、2020 年
までに、出稼ぎ労働者 1 億人の戸籍を解決する目標を掲げている。
(12 月 24 日 中国中央テレビ)
養老保険基金、2023 年の赤字化を予測
中国社会科学院は 25 日に『中国国家資産負債表(2013)』というレポートを公表し、人口高齢化の加速化に
伴って、企業従業員の養老保険基金(日本の年金に相当)は 2023 年に赤字となる予測を明らかにした。又、
赤字額への財政補填額は 2050 年に同期財政支出総額の 34.9%に、GDP の 8.5%に相当する規模に膨らむ
試算となった。養老保険基金の財政不足の対策として、科学院は定年退職年齢の引上げが最も効果的であ
る他、国有資産株式の譲渡を挙げている。
(12 月 25 日付「21 世紀経済報道」)
6
BTMU(China)経済週報
2014 年 1 月 3 日 第 186 期
【金融】
11 月末時点で地場銀の資産総額は 145 兆元に
銀監会が 25 日に公表したデータによると、11 月末時点、中国銀行業における金融機構の資産総額は前年
同期比+14.4%の 145.3 兆元で、前月比では 1.6 兆元の増加。内訳では、大型商業銀が前年比+9.2%の 61.4
兆元(銀行業全体に占める割合は 42.3%)、株式制商業銀が同+19.1%の 26.6 兆元(同割合:18.3%)、都市
商業銀が同+24.6%の 14.4 兆元(同割合:9.9%)、その他の金融機構が同+16.1%の 42.8 兆元(同割合:
29.5%)。銀行業の資産増加の背景について、銀行が年末審査の対応で預金を大量に獲得する他、最近の
外貨ポジションの増加もその一因と見られている。ちなみに、人民銀の公表データによると、11 月末時点の外
貨ポジション残高は 28 兆 3,575 億元に上り、うち、11 月の新規外貨ポジションが 3,979 億元と 4 ヶ月連続の
増加となった。
(12 月 26 日付「第一財経日報」)
【産業】
【工業】一定規模以上工業企業、11 月の利益は前年比+9.7%と低下
統計局の発表によれば、一定規模以上の工業企業(国有企業または年商 500 万元以上の非国有企業)の 11
月の利益は 7,074 億 8,000 万元で前年同期比 9.7%増となったが、伸び率は 10 月より 5.4 ポイント低下した。
1-11 月の利益は 5 兆 3,338 億元で前年同期比 13.2%増となり、そのうち、メイン業務利益は 5 兆 3,700 億元
で同 4.4%増に止まった。
企業所有形態別でみると、国有企業の利益は前年同期比 8.4%増の 1 兆 3,780 億元、集団企業は 716 億元
でほぼ横ばい、株式企業は同 11.7%増の 3 兆 1,250 億元で、外資(香港、マカオ、台湾を含む)企業は同
15.7%増の 1 兆 2,417 億元で、私営企業は同 16.3%増の 1 兆 7,401 億元となった。
メイン業務収入については、国有企業は前年同期比 6.3%増、集団企業は同 5%増、株式企業は同 12.5%
増、外資(香港、マカオ、台湾を含む)企業は同 8.9%増、私営企業は同 15.2%増となった。11 月末現在、規
模以上工業企業の売掛債権は 9 兆 8,306 億元、前年同期比 12.8%増となった。又、完成品在庫は 3 兆 2,975
億元、同 6.6%の増加となった。
(12 月 27 日 国家統計局ウェブサイト)
【鉄鋼】中国鉄鋼工業協会、14 年の粗鋼生産量は 8 億トンに
中国鉄鋼工業協会の張長富副会長が 22 日に「2014 年中国鉄鋼市場を展望する年会」で、2014 年の粗鋼生
産量は前年比 2%~3%増の 8 億トン前後となる見通しを明らかにした。一方、生産過剰に伴う鉄鋼価格の低
迷を受け、鉄鋼企業の利益は低水準になった。1-11 月の鉄鋼企業の利益総額は 161.8 億元となったが、1 ト
ン当り鉄鋼の利益額は 28 元に止まっている。
鉄鋼業の生産過剰化に対して、政府はエネルギー消耗・汚染物排出基準の引き上げや、電力・水道水価格
の差別化などを通じて一部の老朽生産設備の淘汰を加速する措置を取ることを、工業情報化部産業政策司
の苗長興副司長は表明した。
(12 月 23 日付「第一財経日報」)
【不動産】北京・上海など 4 都市、12 月末時点の土地譲渡収入が前年比 1.5 倍増
今年の土地譲渡は活発となり、特に北京、上海、広州、深センの4大都市で土地譲渡収入と面積はともに史
上最を記録した。中原不動産の統計によれば、今年 12 月 24 日までの北京、上海、広州、深センの4大都市
の土地譲渡収入は合計で 5,014 億元となり、前年(2,005 億元)対比約 1.5 倍拡大した。
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BTMU(China)経済週報
2014 年 1 月 3 日 第 186 期
CRIC 研究センターの楊辰アナリストは、①不動産デベロッパーの戦略調整(第 1 線、2 線都市へ集中)、②資
金調達環境の改善、③販売好調によるキャッシュフローの充足、の 3 点を理由として挙げている。張大偉アナ
リストは、土地財政に依存している地方政府は住宅価格の上昇に乗じて、より多くの土地を譲渡しようとし、土
地譲渡金の水準を吊り上げ、これがまた住宅価格の上昇に繋がる悪循環を形成していると指摘した。
(12 月 25 日付「経済参考報」)
【鉄道】鉄道総公司、9 月末時点の負債額が 3 兆元超
経済参考報の報道によると、9 月 30 日まで時点、中国鉄道総公司(中国語:中国鉄路総公司)の資産総額は
4 兆 8,400 億元となり、内、負債総額は 3 兆 600 万億元。1-9 月の新規負債額が 2,716 億元。同時に、負債率
が 62.6%に急上昇した(2004 年が 26.6%、2007 年が 42.4%)。「鉄道建設の資金調達が主に銀行の貸出や社
債発行に頼っているが、負債の増加は鉄道建設の投資増加に繋がっている」と、業界の専門家は指摘してい
る。
『鉄道の第 12 次5カ年計画の発展計画』では、2015 年までに、全国における鉄道運営距離を 12 万キロにす
る目標が掲げているが、統計によると、2013 年末時点の運営距離は 10.23 万キロとなる見込。残る 1.77 万キロ
を建設するには、2014 年と 2015 年で毎年(8,850 キロ)約 1 兆元の資金が必要。それに対して、同発展計画
では、2014-2015 年の 2 年間で僅か 8,000 億元前後の資金しか計画していない。
(12 月 23 日付「経済参考報」)
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BTMU(China)経済週報
2014 年 1 月 3 日 第 186 期
地方情報
【北京】土地販売収入は 1,654 億元と史上最高
【上海】28 日より電子領収書の試行発行へ
中原地産の観測データによると、年初から 11 月末
時点まで、北京市における土地販売の成約総額は
1,654 億元と史上最高水準を更新した。この前の最
高は 2010 年の 1,642 億元であった。うち、11 月単
月の成約額は 407 億元と前月比+381%と大きく伸
びた。同社市場研究部の張大偉総監は、今年通年
の土地販売収入は 1,800 億元に達すると予測した。
上海市商務委員会が明らかにしたところによる
と、12 月 28 日より市内で電子領収書の発行を試
行する。第一陣の対象企業は電子商取引大手
の「1号店」、「易迅網」、「京東」、「東方購物」4
社。まずは一般消費者向けに電子領収書を発
行するが、今後企業に対しても発行できるように
する。同委員会によると、1-9 月同市の電子商取
引総額は前年比+25.6%の 7,080 億元。
(12 月 27 日付「京華時報」)
(12 月 24 日付「東方早報」)
【深セン】来年には改革深化へ
【広州】南沙で香港・マカオ地域に人民元資本
項目の両替可能を試行へ
深セン市委 5 期第 18 回全会が 26 日開催され、
2013 年通年の事業を纏めた上で、来年の経済活
動について重点事業を明確化した。会議では、
2013 年度の同市の GDP 伸び率は 10%以上で、1
人当たり GDP は 2 万米㌦超、税収総額は 1,500 億
元以上、輸出入総額は 5,000 億米㌦以上、に達す
ると予想されている。2014 年の重点事業には、改革
を全面的に深化することや、都市化の促進及び政
府行政の効率化、などが盛り込まれた。
『広州市南沙新区条例(草案)』は24日に広州
市人民代表大会常務委員会会議で第一回目の
審議が行なわれた。同草案の内容には、南沙で
香港・マカオ地域に対して「リスクがコントロール
可能の前提下、人民元資本項目の両替可能
や、金利の自由化などを試行する」、との内容が
追加された。
(12 月 27 日付「深セン商報」)
(12 月 25 日付「広州日報」)
【青島】ハイテク製品の輸出入額は 2 割増加
【四川】IBM 西南卓越クラウドデータセンターが
月末に運営開始へ
青島市商務局によると、1~11 月のハイテク製品の
輸出入額、輸出額、輸入額はそれぞれ 54.97 億米
ドル(前年比+21.2%)、24.01 億米ドル(同+0.3%)、
27.96 億米ドル(同+47.4%)と好調。製品別で見る
と、コンピュータ・通信技術、コンピュータ集積技
術、生命科学技術がハイテク製品輸出総額のそれ
ぞれ 76.1%、8.7%、7.7%を占めた。輸出エリア別
への輸出額で見ると、アメリカ、日本、韓国は▲18.
6%、▲13.5%、▲12.1%となったが、新興市場のア
セアン、南アジアは+23.7%、+35.2%となった。
21 日に四川省仁寿県で開催された「西南網貿
港プロジェクト(PJ)」記者会見によると、「IBM 西
南卓越クラウドデータセンターPJ」が今月末に運
営開始する。「西南網貿港 PJ」は 8 月に仁寿県
で契約され、クラウドデータセンター、電子商取
引等を一体化する戦略的産業計画。うち、「IBM
西南卓越クラウドデータセンターPJ」の投資額は
5.3 億元。運営開始後、2015 年までに関連産業
の生産高 12 億元を生み出すことが見込まれる。
(12 月 23 日付「青島日報」)
(12 月 21 日 四川在線)
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BTMU(China)経済週報
2014 年 1 月 3 日 第 186 期
BTMU の中国調査レポート(2013 年 12 月)
„
BTMU 中国月報 第 95 号
http://www.bk.mufg.jp/report/chi200401/113120101.pdf
国際業務部
„
海外駐在情報 China Economic TOPICS No. 52
「2020 年に向けた中国の改革深化に関する政策方針
~共産党第18期三中全会での「決定」について~」
https://reports.btmuc.com/fileroot_bj/FILE/jpreport_chinese/131203_01.pdf
経済調査室(香港)
„
経済レポート
経済見通し(2013 年 11 月号)
http://www.bk.mufg.jp/report/ecolook2013/index.htm
経済調査室
„
経済レビュー
経済マンスリー(2013 年 12 月)
http://www.bk.mufg.jp/report/ecomon2013/index.htm
経済調査室
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