1 07 - Deutsch-Japanischer

DEUTSCH-JAPANISCHER WIRTSCHAFTSKREIS
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季刊誌
07
2007 年
DJW ニュース
テーマ 1 「ザクセン州・日系企業の誘致を目指して」
企業の海外進出の際に重要なのが場所選びとなり、候補
となる地域の経済的特性、産業もしくは社会的インフラ
などの立地条件を考慮する必要があります。その一方
で、各地方政府は候補地としての魅力を積極的にアピー
ルし、出来るだけ多くの企業を国内外から地元へ呼び寄
せるべく誘致活動を展開しています。ドイツでは、各地
域に設けられた経済振興公社がこの役割を担っており、
今回はその中からザクセン州を取り上げ、その活動や州
の経済的魅力についてご紹介します。
ザクセン州は、ドイツでは最東端、欧州全体では中央
に位置し、その人口は約 440 万人を数えます。豊かな自
然に恵まれた土地柄はエルベ川やエルツ山地、渓谷と奇
岩が訪れる人を魅了するザクセンスイスなどに代表され
ています。ゼンパー・オーパー(州立歌劇場)をはじめ、
数多くの芸術・文化施設を抱え、バロック式の景観が美
しいドレスデン、ドイツで二番目に古い大学と国際見本
市の伝統を有するライプツィヒ、高級磁器の都マイセン
は日本人にとって御馴染みの名所ではないでしょうか。
歴史と伝統の上に培われたザクセンは、現在もその活力
に衰えを見せず、更なる発展を続けています。州政府は
東西ドイツ統一以降、経済力強化に努め、2006 年の GDP
は 887 億ユーロ(約 14 兆円)、4%というドイツ全州で
トップの経済成長率を記録しています。州の主要産業に
は自動車製造とその下請け、マイクロエレクトロニクス
/IT、機械産業が挙げられ、BMW、ポルシェ、フォルクス
ワーゲン、AMD、凸版印刷、KBA Werk や Starrag Heckert などがザクセン州各地で事業を展開しています。
テーマ 2 「ゲーテ・インスティトゥート
デュッセルドルフ校」
ドイツ語が学べる語学学校、ゲーテ・インスティトゥー
トは、現在ドイツ国内の主要都市に13校あります。その
中の一校、デュッセルドルフ校は、多くの日系企業が
1960年代から70年代にデュッセルドルフに進出し、独日
協会、日本国総領事館、日本人学校、日本商工会議所な
どの日本関連施設がデュッセルドルフに設立されたのに
伴い、1984年に発足しました。
当校は、それ以来これら日本関連の各施設と良好な関係
を築いており、今や日本人がゲーテ・インスティトゥー
トのドイツ語学習者の約10%を占めています。その事実
をふまえ、当校はデュッセルドルフ在住の日本人の皆様
への感謝の印として、ライン川沿いで2001年より毎年開
催されているイベント「日本デー」に協賛しています。
ゲーテ・インスティトゥートでは、短期集中で学習され
たい方にも、夜間コースでじっくり時間をかけたい方に
も様々なドイツ語コースが提供されています。昨年より
終日ドイツ語を学習できる体制が整い、世界各国からの
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日独産業協力推進委員会
さらに州は現在、将来的に発展が見込まれる分野、特にバイ
オ/ナノテクノロジーや太陽光発電分野での企業誘致活動を
強化しており、既に国内外から多くの関連企業がザクセンに
進出しています。数々の企業がザクセン州に拠点を置く背景
には、企業活動にとって有利な土壌があります。実際にザク
センを拠点として選択した企業はその理由として特に、自社
が属する産業がこの地で盛んであり、他企業との連携・協力
が図り易い環境、建設許可申請などの行政手続きにおける、
経済振興公社の積極的な協力などの他に、欧州の中心に位置
するという土地柄、西東欧市場へのアクセスが容易であると
いうザクセンならではの利点を挙げています。
また、ライプツィヒ、ドレスデン、ケムニッツ、フラウンホ
ーファーといった地域には産業クラスターが形成されてお
り、大学・各種研究機関と企業が共同で最先端技術の研究開
発に挑んでいるという整備された環境もザクセンの得意とす
る産業の成長を加速させる要因となっています。
90 年代後半から日系企業の進出も本格化し、主に半導体メ
ーカーや自動車、電子機器関連の分野を中心に現在その数
は、100%出資の現地法人、ドイツもしくは他国企業との合
弁会社、営業所を合わせて計 23 企業に上ります。この州へ
の投資を考えている日本企業に対して、JETRO ドレスデン
事務所では貿易相談を受け付けており、ザクセン州経済振興
公社は、当座の事務所貸出し、立地場所の決定の際の助言、
産業動向や市場分析、パートナー企業の紹介、財政補助取得
支援といった形で市場参入のフルサポートを行っています。
この公社のウェブサイトでは日本語版も提供されていますの
で、詳しくは www.business-in-saxony.jp をご覧下さい。
生徒が、午前中は授業、午後はハインリッヒ・ハイネ大学で
教育学部のドイツ人学生の指導を受けたり、メディオテーク
(視聴覚学習室)で自習しています。ここでは教科書、雑誌、
PC自習ソフトウェア等の5500もの教材を自由に利用でき、
ノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州にあるこの種
の施設としては最大の規模を誇ります。更にコース参加者に
はデュッセルドルフおよびNRW州に親しんでいただこうと
週に数回、文化プログラムが企画されています。
当校の小グループ制の集中講座、ドイツ語インテンシブトレ
ーニングでは、各生徒の学習の重点によりグループを選択で
きます。会話/音韻トレーニングは日本人に好評です。
日系企業からドイツに派遣された皆様には、企業内授業を含
む個人レッスンおよび1週間集中コース「ドイツ語コンパク
トコース」により異文化間学習を体験していただけます。
当校の詳細についてはwww.goethe.de/duesseldorfをご覧い
ただくか、所長のシュミット氏([email protected])
まで直接お問合せ下さい。
ワーキングホリデー・渡航者と雇用主のメリット(その 2)
前回は、ワーキングホリデービザによりドイツで働くこ
とを実現させた日本人女性のお話をご紹介いたしまし
た。
ワーキングホリデー制度とは、二国間の協定の基づき、
より良い国際相互理解の目的で設立されたものであり、
日本からドイツへの一方的な流れに限ったものではあり
ません。日本でも、多くのドイツ人の若者がこの制度を
利用して日本へ渡っています。
今回は、このビザにて来日する外国人の雇用を考える日
本の企業にとって参考になるであろう、日本で働いたド
イツ人の体験談をお届けいたします。
体験者のドイツ人男性に伺いますと、特に苦労した点
は、就職先を探す段階にあったそうです。彼の場合、入
国前に思うように確保できなかった就職先の心配を胸に
抱えながら日本での生活を始めざるを得ませんでした。
特に事前に行ったインターネットによる検索では、募集
要項で求められている人材が英語を母国語とする人々に
限られていたり、大抵の勤務地も東京近辺に偏っていた
ことなどから、滞在予定先の大阪で本当に仕事が見つか
るのかどうか、見当もつかなかったそうです。
最終的には入国後、滞在先で外国人向けの求人フリーペ
ーパーを活用したことにより、無事に「日本で働く」ことを
経験するに至りました。
また、仕事先の確保に追われる一方で、渡航後間もなく始ま
る様々な公的登録手続きを通して「自分は旅行者ではない」
という自覚が芽生え、観光旅行とは一味異なる日本滞在を味
わうことが出来たそうです。現地での生活、就労は、彼に多
くの日本人と知り合う機会を与えただけでなく、日本人とコ
ミュニケーションを図る上で貴重な教訓をもたらしたそうで
す。
このように、日本とドイツ両国の架け橋となって活躍するこ
とを希望する若者たちを支援する制度は、在独日系企業や日
本との関わりを持つ企業にの側とっても、雇用機会の提供と
いうメリットを備えています。企業は、この制度を利用して
渡独する若者に、インターンシップやアルバイトとして就労
・実習の機会を提供することで、計 90 日という期間限定の
条件付きながらも、候補者はその間の労働許可を備えている
ため、正規社員を雇用する場合より柔軟な条件での雇用が可
能です。ワーキングホリデービザを利用してドイツ、日本へ
赴く若者を雇用対象とすることにより、新しい人材の開発、
それに伴う日独経済交流のさらなる活性化の可能性が潜んで
いると言えるでしょう。
DJW の新しいサービスのご案内
DJW ポッドキャスト
DJW スタッフの出演したテレビやラジオ番組などにおけるイ
ンタビューを中心とした音源がポッドキャスティングで常時
ご覧、あるいはお聞きいただけます。詳しくは以下のリンク
www.djw.de/podcasts/Web-Site/DJW-Podcasts/DJWPodcasts.html をご覧下さい。
日独イベント情報
「出雲神楽・民謡安来節 ゾーリンゲン公演」
島根県安来市と雲南市の出雲神楽団が昨年デュッセルド
ルフとジークブルクにて来独公演を行い、ドイツ人の観
客の間で大好評を博しましたが、今年もまた出雲神楽団
が、宴会芸のどじょうすくいで有名な民謡安来節と再来
独し、ドイツのパートナーとして歯車太鼓を率いて公演
を行います。
神楽(かぐら)とは神道の神事において神に奉納するた
めに奏される歌舞で、神社の祭礼などで見ることができ
ます。神楽の起源はとても古く、古事記または日本書紀
にまでさかのぼるといわれています。
今回のゾーリンゲン公演は、島根県安来市の、同じ「昔
から鉄を名産品とする町」として今後経済協力をしてい
こうとの思いを込めて実現されます。
日本人の皆様も、この機会に是非とも日本文化に触れる
機会の少ないドイツ人のお知り合い、お友達とお誘い併
発行: 日独産業協力推進委員会(DJW)
編集: 西田真奈、林康子
発行責任者: DJW, Stockumer Kirchstraße 61,
40474 Düsseldorf, Germany
Tel./ Fax: +49(0)211-4560-8385 / -8511
せの上、神楽や安来節などの伝統文化をご鑑賞下さい。
日時:5 月 23 日(水)午後 7 時開演予定
会場:ゾーリンゲン国立劇場大ホール、Staatstheater Solingen Großer Saal Konrad-Adenauer-Straße 71 42651
Solingen 主催:DJW、DJG、安来市
その他:お席に限りがございますので、当日券も少量ご用意
しておりますが、お早めに前売り券 10 ユーロ(予定)をお求
め下さい。前売り券はゾーリンゲンの各市役所分室
(Bürgerbüro)で、あるいは DJW がオンラインで販売する予定
です。
開演前には、ゾーリンゲンと安来市の企業代表を集めたビジ
ネスセミナーが予定されている他、会場前のホールで島根県
の特産品などを試食、お買い求めいただけるブースをご用意
しております。
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日独産業協力推進委員会