第 44 回ペーシング治療研究会 ―NAGOYA― プログラム抄録集 Dec. 11, 2010 テーマ Dr. Session 心室リードを極める ME. Session 患者満足度のために 第 44 回当番世話人 磯部文隆 愛知医科大学心臓血管外科 福田元敬 愛知医科大学循環器内科 主催 ぺーシング治療研究会 後援 日本不整脈学会 日本臨床工学技士会 第 44 回ペーシング治療研究会 ―NAGOYA― プログラム抄録集 日時:平成 22 年 12 月 11 日(土) 12:00~19:00 場所:愛知県産業労働センター ウインクあいち 9F 〒450︲0002 愛知県名古屋市中村区名駅 4 丁目 4︲38 Tel.(052)571︲6131 Fax.(052)571︲6132 目 次 会場のご案内 ………………………………………………… 2 発表要領 ……………………………………………………… 3 プログラム …………………………………………………… 4 Dr.Session A 会場(901 会議室) ………………………… 7 ME.Session B 会場(902 会議室) ………………………… 15 一般演題………………………………………………………… 23 ペーシング治療研究会協賛会社・展示企業一覧/広告 … 39 ― 1 ― 会場のご案内 愛知県産業労働センター 9F A 会場 901 ロビー WC B 会場 902 クローク PC 学会本部 参加受付 センター 世話人会 907 908 906 控室 905 EV 企業展示 903 控室 904 EV 第 44 回ペーシング治療研究会 世話人会 15:00~15:30 906 会議室 研究会 12:00~19:00 ●交通アクセス 企業展示 901・902 会議室 12:00~19:00 903 会議室 至大阪 松坂屋 大名古屋ビルヂング 桜通 ミッドランド スクエア 名鉄 近鉄 錦通 中村署 モード学園 広小路通 至東京 ※公共交通機関をご利用下さい。 ※名古屋駅(JR、名鉄、近鉄、地下鉄)よりお越しの際は、地下街からの連絡通路がございませんので、地上に上がってい ただき、ミッドランドスクエア脇を抜けて、愛知県産業労働センターの 1F よりお入り下さい。 ※名古屋駅より徒歩 3 分。 ※駐車場は、ユニモールや JR 高島屋等の近隣の有料駐車場をご利用下さい。割引等はございません。 ― 2 ― 発 表 要 領 ご発表者の先生方へ PC を使用したご発表のみとさせていただきます。一般演題は発表 10 分、質疑 5 分です。 ご発表データの受付は、USB フラッシュメモリまたは PC 持込みとさせていただきます。 ※バックアップ用の CD-R もご持参いただくことをお勧めいたします。 後日、ライフサイエンス社より、抄録提出のご案内がありますので、ご協力の程お願い申し上げます。 ページング治療研究会事務局においてスライドファイルを別に保存し、その内容を、研究会記録集 に転載利用させて頂くことがございます。 ご発表用データ作成上の留意点 ・USB メモリー又は CD-R でのデータ持込によるご発表 1.事務局として用意します PC は OS が Windows XP、プレゼンテーションソフトは Power Point です。 2.メディアを持ち込む場合は、Windows 版 Power Point2000/2003 又は 2007 で作成されたデータ のみといたします。 (Windows7 にて作成されたデータの場合は、PC 本体を持参下さい。 ) Machintosh の場合は、各自の PC を持ち込んでの発表をお願いします。 3.動画(movie file)がある場合には、各自の PC を持ち込んでの発表をお願いします。 4.音声出力は使用出来ませんので、ご了承下さい。 ・PC 持ち込みによるご発表 1.液晶プロジェクターとの接続は、PC 本体にミニ Dsub15 ピン外部出力コネクターが使えるもの に限ります。薄型 PC では特殊なコネクター形状になっているものもありますので、必ず付属 の変換アダプターを予めご確認の上ご用意をお願いします。 2.発表中又はその準備中にバッテリー切れになることがありますので、発表には付属の AC アダ プターをご用意下さい。 (100V) 3.発表中にスクリーンセーバーや省電力機能で電源が切れないように、設定のご確認をお願いし ます。 4.音声出力は使用出来ませんので、ご了承下さい。 ・データ及び PC の受付・その他 1.事務局で用意しますキーボード、マウスを使用し、発表者ご自身で操作して下さい。 2.データ保存する前に必ずウィルスのチェックを行って下さい。 3.各ご発表の 30 分前までに PC 受付にて、演題受付及び動作確認をして下さい(なるべく受付予 定時間よりも早めにお願いします) 。 ― 3 ― プ ロ グ ラ ム A 会場 901 12:00 ランチョンセミナー 12:00~12:50 心房細動に対するペーシング治療 座長:自治医科大学附属さいたま医療センター循環器科講師 須賀 幾 先生 演者:愛知医科大学循環器内科 准教授 水谷 登 先生 共催:日本ライフライン株式会社 12:55 開会の辞 Dr. Session A 会場 901 13:00 ME. Session B 会場 902 基礎編 心室リード留置の第 1 歩たる Blood access を 1)B lood-access 安全確実に行うための教育講演 を極める エコーガイド下から double target method まで 13:00~14:00 大和成和病院不整脈科部長 白石 隆吉 先生 シンポジウム 13:00~14:30 14:00 基礎編 14:30 2)解剖を極める 14:40 14:00~15:00 「遠隔モニタリングシステム(RMS)っていい もんなん? ~各メーカ RMS 使用経験と各施設の運用と 課題~」 座長:済生会熊本病院 堺 美郎 先生 演者:岡山大学病院 竹中 祐樹 先生 三重ハートセンター 辻井 正人 先生 名古屋第二赤十字病院 杉浦 裕之 先生 心室リード留置に必要な基礎的解剖学的知識を 見直す教育講演 日本医科大学多摩永山病院 循環器内科 井川 修 先生 15:00 一般演題 1 演題 1~4 14:40~15:40 15:40 15:50 16:00 「デバイス植込み患者の 24 時間対応への取り組み」 一般演題 2 16:50 16:55 17:00 17:45 18:00 18:30 演題 5~9 講演 1 15:40~16:55 15:50~16:50 一般演題 3 1)場所を極める 中隔か心尖部か 演題 10~15 演題 10 17:00~18:30 指定演題 中隔ペーシング 産業医科大学循環器内科 南口 仁 先生 講演 2 指定演題 心尖部ペーシング 愛知医科大学循環器内科 水野 智文 先生 17:00~18:00 座長:横浜市立脳血管医療センター 綿引 哲夫 先生 演者:カレスサッポロ 北光記念病院 高橋 亜希 先生 「心室自己優先機能 ~各社の良い所、悪い所~」 座長:一宮市立市民病院 新田 功児 先生 演者:桜橋渡辺病院 前川 正樹 先生 2)留置方法を極める どこにどの様な指標で留置するか 指定演題 九州厚生年金病院総合診療部 菊池 幹 先生 自治医大さいたま医療センター循環器科 菅原 養厚 先生 演題 15 フロアディスカッサー 横浜市立大学医学部循環器内科准教授 石川 利之 先生 産業医科大学医学部不整脈先端治療学講座教授 安部 治彦 先生 板橋中央総合病院不整脈・心不全科部長 中島 博 先生 愛知医科大学循環器内科准教授 水谷 登 先生 自治医科大学附属さいたま医療センター循環器科講師 須賀 幾 先生 大和成和病院不整脈科部長 白石 隆吉 先生 他 ― 4 ― Dr. Session A 会場 (901 会議室) ランチョンセミナー 12:00~12:50 心房細動に対するぺーシング治療 座長 自治医科大学附属さいたま医療センター循環器科 須賀 幾 演者 愛知医科大学循環器内科 水谷 登 共催 日本ライフライン株式会社 ― 7 ― 教育講演 1 13:00~14:00 座長 愛知医科大学心臓血管外科 磯部 文隆 愛知医科大学循環器内科 福田 元敬 心室リード留置の第 1 歩たる Blood access を安全確実に行うための教育講演 大和成和病院 不整脈科 白石 隆吉 ブラッドアクセスは単に静脈にアクセスできたというだけでは意味が無い。適切な方法でこれを行 わないとリードトラブルの原因となる。 鎖骨下領域における subcalvian crush について長年論じてきた。安全なブラッドアクセスというの は subcalvian crush を含む多くのリードトラブルを避ける方法であるといえる。 穿刺方法において非侵襲的なエコーガイド下静脈穿刺を開発して15年、1300症例以上の経験になる。 最近そのエコーガイド下静脈穿刺における新たな知見を得ることが出来た。合併症を起こさないた めの穿刺可能領域はこれまで考えていた範囲よりも狭いことが判明したのである。今回はその最新 の知見を含め、より実践的な方法をお話したいと思う。 ― 8 ― 白石 隆吉 (しらいし たかよし)41 歳(昭和 43 年 12 月 27 日生まれ) 【略 歴】 平成 6 年 3 月 愛媛大学医学部卒業 平成 6 年 4 月 愛媛大学医学部付属病院にて臨床研修 平成 7 年 7 月 天神会古賀病院循環器科勤務 平成 9 年~平成10年にかけ東京女子医大にてカテーテルアブレーションを中心とした不整脈治療の研修 を受ける 平成10年 4 月 福岡大学筑紫病院第一内科にて内科研修(平成12年 3 月まで 2 年間) 平成12年10月 米 国クリーブランドクリニックにおいて植え込み型除細動器に関する international scholarship program に参加 平成17年 1 月 米国ケンタッキー州立大学にて両心室ペーシング研修 平成17年10月 マレーシア国立循環器病センターにて両心室ペーシング研修(マレーシア現地病院に おいて 7 例の CRTD 手術経験) 平成20年 3 月 天神会新古賀病院退職 平成21年 4 月~現在 埼玉医科大学国際医療センター非常勤講師 平成21年 7 月~現在 大和成和病院 不整脈科部長 【所属学会】 日本内科学会、日本不整脈学会、日本心電学会、日本循環器学会 ― 9 ― 教育講演 2 14:00~15:00 座長 愛知医科大学心臓血管外科 磯部 文隆 愛知医科大学循環器内科 福田 元敬 心室リード留置に必要な基礎的解剖学的知識を見直す教育講演 日本医科大学多摩永山病院 内科・循環器内科 井川 修 ペーシング治療では、術中のペーシングリード挿入・留置ばかりでなく、術後評価においても、 心臓構造の正しい認識が必要であることは言うまでもない。心室中隔ペーシングが盛んに行われて いるとは言え、それぞれの医師により、それぞれの構造認識のもとに、それぞれのテクニックで手 術が行われ、それぞれの感覚で術後評価が行われていると言わざるを得ない。透視下にリード先端 がどの部位に位置しているか、その判断はきわめてむずかしく感覚的である。その心室中隔の位置 決めにあたっては、心電図上の QRS 波形を用いることも提唱されてはいるが、今一歩解剖学的な根 拠がほしいところである。本セッションでは、 「透視下に右室側心室中隔をどのようにイメージす ればよいか」、心室中隔ペーシング治療に必要な心室解剖に焦点をあてて新知見を含めて紹介する。 ― 10 ― 井川 修 【略 歴】 昭和51年 3 月31日 大阪府立大学工学部航空工学科卒業 昭和58年 3 月31日 鳥取大学医学部卒業 昭和62年 3 月31日 鳥取大学医学部大学院内科系卒業 平成 5 年 4 月 1 日 同第一内科助手 平成 9 年 4 月 1 日 同第一内科講師 平成11年12月 1 日~平成12年11月30日 米国ノースウェスタン大学留学(文部科学省在外研究員) 平成15年 4 月 1 日 同病態情報内科学・循環器内科助教授(現:准教授) 平成21年 4 月 1 日 同循環器内科科長・附属病院診療教授 平成22年10月 1 日 日本医科大学臨床教授 多摩永山病院内科・循環器内科 【専門分野】 臨床不整脈学 臨床心臓解剖学 ペースメーカ・植え込み型除細動器治療 臨床心臓電気生理学 【所属学会】 日本循環器学会 日本不整脈学会 日本解剖学会 日本心電学会 日本内科学会 【学会役員】 日本循環器学会代議員 日本不整脈学会評議員 臨床心臓電気生理研究会幹事 日本心電学会評議員 心筋生検研究会幹事 【認定資格】 日本循環器学会認定専門医 日本内科学会認定専門医 日本医師会認定産業医 ― 11 ― ME. Session B 会場 (902 会議室) シンポジウム 13:00~14:30 「遠隔モニタリングシステム(RMS)っていいもんなん? ~各メーカー RMS 使用経験と各施設の運用と課題~」 座長 済生会熊本病院 堺 美郎 シンポジスト 1 13:00~13:20 岡山大学病院における遠隔モニタリングシステム(RMS)の運用と課題 岡山大学病院 ○竹中 祐樹 2008 年より本邦に導入となった植込み型デバイス管理のツールである遠隔モニタリングシステム (RMS)は、その有用性から今後の植込み型デバイス管理のスタンダードツールになり得ると言え る。 当院では、2009 年 2 月に Biotronik 社の Home Monitoring に同システムでは国内初となる患者様 を登録して以降、Medtronic 社 CareLink システム、St. Jude Medical 社 Merlin.net システムを積極 的に導入している。現在では PM 71 名、ICD/CRT-D 109 名、合計 180 名の患者様が RMS を併用し たフォローアップとなっている。 更に、2010年4月からはデバイスセンターとして、約15施設85名の RMS データ解析を行うことで、 地域医療支援とデバイス患者様に対する医療の質の向上を図っている。 RMS の導入にあたり、当院では新たに予測される業務のピックアップと分担を行い、リモートモ ニタリングチームを立ち上げた。チーム編成は医師 5 名,看護師 7 名,臨床工学技士 4 名,専属臨床 工学技士 1 名となっている。RMS の導入からデータの解析をシステム化することにより、毎月 120 ~150 件のデータ解析を行っている。 今回、国内で導入可能な全ての RMS の使用経験を得たので、運用と問題点を報告する。また、デー タ解析に難渋したケースと、それにより明らかとなった各社 RMS の違いについて報告する。 ― 15 ― シンポジスト 2 13:20~13:40 BIOTRONIK 社製、遠隔モニタリングシステムの運用と使用経験 三重ハートセンター ○辻井 正人 【目的】 BIOTRONIK 社製、遠隔モニタリンクシステム(ホームモニタリング:以下 HM)は 2009 年 2 月 に専用中継器「カーディオメッセンジャ―」の薬事承認を取得し、日本で最も早く全国展開されて いる。当院は同年 2 月 13 日に最初のデータを受信してから、約 1 年 9 カ月間 HMS を使用している。 今回、HM の当院の運用方法と使用経験による利点、欠点について報告する。 【対象】 現在 HM を行っているのは、Lumax340 シリーズ DR-T 11 例、VR-T 2 例、HF-T 5 例。Lumax540 シリーズ DR-T 12 例、VR-T 52 例、HF-T 7 例。Evia DR 6 例 SR 1 例の計 49 名である。 【運用方法】 HM 開始までの運用) デバイス植込み患者に医師から HM の説明を行い、希望された場合、臨床工学技士に連絡が入 る。患者に、① PC にて PowerPoint で作成した、同意文書を組み入れた HM 詳細説明スライドを 用いて説明を行う。②同意が得られれば同意書に署名をいただき、HM 申込用紙に記入していただ く。③プログラマーを用いてデバイス本体の HM 機能を ON とする。次に、④ HMS 申し込み用紙を BIOTRONIK 社に FAX し中継器の発送を依頼する。⑤患者毎に担当コメディカルを決め HM サー ビスセンターに患者登録、およびメール設定を行う。 以上の件を終了後、電子カルテに記入する。 HM 開始からの運用) 数日後、患者宅に中継器が届き設置完了すれば、①翌日、病院 PC に初期メールが担当者あて(病 院内登録者すべてに担当者名義でメール配信される)に届く。②デバイス、患者データを確認し異 常がないか初期チェックを行いカルテに記入する。③患者に HM 開始の電話連絡を入れる。④以後、 毎朝(日、祝日除く)メール(異常時、定期的)を確認する。⑤メールが届けば内容を詳細解析し 担当医師に報告および電子カルテに記入する。 【使用経験による利点、欠点】 利点として、異常メール受信時に ICD 作動状況が確認できるため、不適切作動でないか、検出・ 治療の設定は適切かの判定ができる。また、無症候性心房細動などをいち早く発見・処置ができる。 毎日のデータをアクセスして確認できるため、不適切作動等により設定変更を行った場合の評価。 不整脈薬、β遮断剤等が有効かの評価。症状があり連絡してきた場合の来院の必要性の評価。潜在 性デバイス異常(感知不全、本体、リードトラブル)の早期発見。一人暮らしの生存確認ができる 等があげられる。欠点として、明らかな仕事量の増加。心電図記録時間が短い。中継器と離れてい た場合、イベント数回発生時、最新のデータしか残らない。いつの時点で送信されたがわからない などがあげられる。 ― 16 ― シンポジスト 3 13:40~14:00 当院における遠隔モニタリングシステム(RMS)の使用経験 名古屋第二赤十字病院 臨床工学科 ○杉浦 裕之、山田 悌士、薗田 誠、東 和美、江向光希子、新居 優貴、 相原 有理、水野 雄介、西尾 祐司、豊田 絵理、重野 高儀 名古屋第二赤十字病院 循環器内科 吉田 幸彦、立松 康、七里 守、平山 治雄 近年わが国でもデバイス植込み患者の遠隔モニタリングシステム(RMS)が可能となりました。こ れまでのデバイスチェックでは、不整脈イベントやリード不全などが生じても、症状が無ければ次 回のデバイスチェック時まで対応ができませんでした。そのため病状が悪化してから発見されるこ ともしばしばありました。RMS の導入は、無症候性イベントの早期発見の可能性があり、デバイス 植込み患者のきめ細やか術後管理が可能となり、病状の悪化を未然に防ぐ可能性がある点で、デバ イス植込み後の患者 follow に有用と考えています。 当院でも、2009 年 9 月より RMS を導入し現在メドトロニック社製「ケアリンク」 ・バイオトロニッ ク社製「ホームモニタリング」 ・セントジュードメディカル社製「マーリンドットネット」の 3 社の RMS を運用しています。内訳は、ケアリンク 20 例、ホームモニタリング 4 例、マーリンドットネッ ト 6 例です。 今回は、当院での RMS における臨床工学技士の係わりと運用方法、そのなかでもまだ 2010 年 7 月 より試験運用中であるセントジュードメディカル社製「マーリンドットネット」を用いた当院での 使用経験について、導入までの手順、ウェブ上での見やすさ・使いやすさ、スケジュール管理など 各社比較を交えながら報告します。 ディスカッション 14:00~14:30 ― 17 ― 講演 1 15:50~16:50 「デバイス植込み患者 24 時間対応への取り組み」 座長 横浜市立脳血管医療センター 綿引 哲夫 北光記念病院 ICD/ ペースメーカーセンター ○高橋亜希 北光記念病院 循環器内科 四倉 昭彦、吉田 泉、櫻井 正之 当院では 1999 年から ICD の植込み術が開始となり、植込み患者数は年々増加し、総植込み件数は、 ICD は 489 件、CRTD では 61 件に達し、現在の外来フォローアップ患者数は、ICD 260 名、CRTD では 36 名である。 ICD センターは 2001 年に植込み患者に対する、精神的な看護ケアを目的に独立部署として誕生した。 設立当初は医師、看護師各 1 名であったが、現在では医師 1 名と看護師 3 名、臨床工学技士 1 名とな り遠隔モニタリングシステムの導入やメーカー立会い規制に対しても対応できる体制となった。 ICD センターの看護介入は植込み前から患者の意思決定に介入し、植込み手術の説明、退院後の生 活を見据えたオリエンテーションを病棟看護師と共同して行っている。退院後は専門外来での生活 指導やデバイス点検など退院後も継続して介入する。中でも特徴は、専門看護師が 24 時間の電話対 応を行なっていることである。北海道には ICD 植込み認定施設は 20 施設あるが、12 施設が札幌に 存在し都市部に集中しており、当院でも 40 %が札幌市外の患者で、居住する地でフォローアップを 受ける事ができない患者も多い。ICD 植込み患者は、退院後も継続して「いつ作動するか」という 不安を抱えており、その不安を少しでも軽減すること、また作動してもすぐに受診できない環境に ある患者に対しても、適切なケアが提供できる事、退院後の生活の中で芽生える不安を早期に解決 することを目的に 24 時間の電話対応を行なっている。 電話応対の内容の多くは生活や不整脈症状に関する事である。ICD 作動については 15 %程度である が、作動患者の 52 %が夜間・休日に作動しており、24 時間いつでも患者の病状や生活背景を知る 専門看護師が看護介入できることは、患者の安心感に繋がると考えている。この事は当院での抑う つや就労率調査からも効果があると考えている。 今回は 24 時間対応への取り組みについて焦点を当て ICD センターの役割とその効果について報告 する。 ― 18 ― 講演 2 17:00~18:00 「心室自己優先機能 〜各社の良い所、悪い所〜」 座長 一宮市立市民病院 新田 功児 桜橋渡辺病院 ○前川 正樹 植込み式デュアルチャンバ型ペースメーカが臨床で使用されるようになって約半世紀が経過して いる。臨床経過が長期化するに従い AV delay は単なる固定値であったものから、患者の心機能や 心房内、心室内伝導時間などを勘案した至適な AV delay 値が設定されることとなった。特に反応 の顕著な患者においては AV delay 変更によって自覚症状が改善するなど QOL 向上に一定の効果を もたらした。その後、心臓再同期療法が普及しペースメーカが単なる徐脈治療デバイスではなく心 不全治療の強力なツールとして活用するに足りるものとなった。それに伴い、医療者の間では「心 室再同期療法の適応では無いが、徐脈ペーシング治療の対象となる患者」において心室ペーシング、 同時に AV delay をどのように扱うかが議論となり、 「安全に可能な限り」心室は自己心拍を「適 切に優先すべき」との研究結果がもたらされた。心室を「絶対に」ペーシングするべきで無いので あればシングルチャンバ型ペースメーカを用いて心房ペーシングのみを施行すれば良いわけである が、生命維持とリスクマネジメントの観点からも「心室ペーシングを担保する」という医療側の根 本的目的も存在する。しかし、デュアルチャンバ型で単に AV delay を過度に延長するだけでは自 己房室伝導が変化する多くの患者には対応が不十分である。そこで心室自己優先機能が開発される にいたった。このような背景から各社の心室自己優先機能はロジックがそれぞれ異なった部分があ る。もちろん、他のペースメーカの機能もメーカー独自の機能が存在するわけであるが、この心室 自己優先機能はペーシングシステムそのものを変動させる機能であるから、そのシステムの理解は 植込み前の機種選定、植込み時の設定、植込み後のフォローアップに対応する医師やコメディカル には非常に重要な知識となる。今回は各社の心室自己優先機能について概説し比較させていただく。 ― 19 ― 一般演題 一般演題 1 B 会場 902 会議室 14:40~15:40 座長 社会福祉法人京都社会事業財団京都桂病院 臨床工学科 井野 裕也 名古屋第二赤十字病院 循環器内科 吉田 幸彦 演題 1 遠隔モニタリングの初回送信への介入の有効性 1 榊原記念病院 看護部 榊原記念病院 循環器内科 ○前田 友未 1、畠山 明子 1、井上 完起 2、緑 梓 1、小林 明香 1、小原 厚子 1、 阿部 隼人 1、中本美佳子 1、角口亜希子 1、熊谷由美子 1、三浦稚郁子 1、山下 光美 2、 梅村 純 2 2 【はじめに】当院では年間約 300 例の PM、ICD、CRT-D 植込み手術が行なわれており、現在外来 で 1000 名を超える患者のフォローを行っている。本邦では 2008 年から遠隔モニタリングシステム (RMS)のパイロットが開始され、当院では RMS を 2009 年 8 月に導入し、2010 年 10 月までの間に 164 名が登録し 159 名(PM 8 名、ICD 124 名、CRT-D 27 名)の初回送信が終了しフォローアップが 開始されている。多くの患者の RMS を円滑に運用するため、またより良い患者サービスのために 多職種の協働が不可欠と考え、2010 年 7 月に植込みデバイスケアチーム(デバイスチーム)を立ち 上げた。 【目的】Medtronic 社 RMS 専用コールセンターの問い合わせのうち約 7 割が送信機設置及び初回送 信に関するものであり、RMS のスムーズな導入には初回送信への介入が重要と考えた。そこで、本 研究ではデバイスチームによる初回送信への介入の有効性を検討した。 【方法】現在、デバイスチームでは送信状況を WEB 上で毎日確認し、初回送信が見られた患者には その旨を電話連絡し、また送信機発送後 7 日間経過しても初回送信が見られなかった患者には電話 で設置、送信の状況を聴取し補足説明を行っている。2010 年 7 月までの 109 名(介入なし群)と、 それ以降の初回送信への介入を行った 50 名(介入あり群)の 2 群に分けて、初回送信までに要した 期間を調査し比較検討を行った。 【結果】送信機発送から初回送信までの期間は、介入なし群が 10.9 ± 13.2 日に対して介入あり群が 6.64 ± 6.38 日と有意(P=0.03)に期間の短縮が可能であった。 【考察】自宅に送信機が届き、実際に設置し初回送信を試みようとしても困難であるケースは少な くない。デバイスチームで個別に電話連絡し介入することで、初回送信までの期間が短縮しスムー ズなフォローアップの開始が可能となったと考える。今後は設置、送信が困難なケースの理由を明 確にし、患者に対してより解り易く安心して RMS を活用出来るような説明と介入を行っていくこ とが重要と思われた。 ― 23 ― 演題 2 遠隔モニタリングシステムにより早期発見されたペースメーカーリード断線の 2 例 静岡県立こども病院 ○濱本 奈央、芳本 潤、宮越 千智、戸田 孝子、鈴木 一孝、金 成海、 満下 紀恵、新居 正基、小野 安生 【はじめに】遠隔モニタリングシステム(ケアリンク)はイベントの早期発見、外来フォローの効 率化を目的としたシステムである。当施設では 2010 年夏より、ケアリンクを導入した。同システム を用いて、早期にリード断線を発見できた 2 例について報告する。 【症例 1】16 歳女性。完全型房室中隔欠損の診断で 1 歳 0ヶ月時に心内修復手術施行し、その後、3 度 房室ブロックのためペースメーカー埋め込み術(PMI)施行。2010 年 7 月 21 日の定期受診時にペー スメーカーは作動していたが、8 月 12 日のペースメーカー外来受診前のケアリンクのデータにて心 房リードの抵抗値 3997 Ωと上昇認めた。本人の自覚症状はなし。受診時の Xp では断線部位は不明 であったが、やはり心房リード抵抗値は 4332 Ωであり、リード部分断線と判断し、リード修復術を 施行した。現在 Medtronic 社による画像解析にて断線部位を確認している。 【症例 2】14 歳女性。多 脾症候群、右室型単心室、洞不全症候群にて 4 歳 11 カ月時に TCPC + PMI 施行。術後三尖弁逆流が 進行し、1 度房室ブロックも認め、8 歳 11 カ月時に三尖弁形成+心室リード埋め込み術を施行した。 2010 年 8 月にケアリンク導入。9 月 7 日、ケアリンク有効性の調査のため、試験的に 1 カ月ごとのデー タ送信を行っている中、心室リード抵抗値上昇を認めた。緊急で患者家族に連絡をとり、受診させ たところ、胸部 Xp でリード断線が確認され、リード修復術を施行した。受診時の自覚症状はなかっ た。 【まとめ】2 症例ともケアリンク導入により、自覚症状出現前にリード断線を発見することがで きた。ケアリンクは遠隔からペースメーカーチェックの情報を医療機関に送信することが可能であ る。当施設は遠方からの患者も多く、頻回のペースメーカチェックが困難であるため、ケアリンク を利用することにより、従来よりも頻回にデータが確認でき、不具合を早期に発見することが可能 となった。 ― 24 ― 演題 3 安全かつ確実な腋窩静脈穿刺法の検証 北海道社会保険病院 心臓血管センター 心臓内科 ○石丸 伸司、宮川 麻希、柿木 梨沙、田所 心仁、木谷 俊介、管家 鉄平、 西村 邦治、五十嵐 正、岡林 宏明、古谷 純吾、五十嵐康己 鎖骨下クラッシュ症候群を避けるために、デバイスの植込に際しては腋窩静脈穿刺法や橈側皮静脈 のカットダウン方が推奨されている。静脈造影下に腋窩静脈を穿刺する方法は、盲目的な手技より もより確実である。しかしながら、PA view では、X 線束と穿刺針が平行にならないため、穿刺針 の立体的な位置が不明確で、気胸のリスクが避けられない。穿刺する側と同側に 40-50 度透視を振 ることにより、より安全で確実な腋窩静脈へのアプローチが可能となる。この方法では術者が静脈 造影下に第一(または第二)肋骨前縁と腋窩静脈の交差する部位をねらって穿刺針を進めることが 可能で、X 線と平行に針を進めることによって気胸のリスクを避けることが可能となる。この方法 ではリード追加術においても、既存のリードに損傷を与えるリスクはほとんどない。また、血管を 確保してからポケットを作成するため、ポケット作成後に血管が確保できずポケットを使用できな いといったことがない。 われわれはこの 3 年間で、PPM1、15 例 )、CRT-P(4 例) 、ICD1、9 例) 、CRT-D1、3 例)の合計 151 例の新規デバイス植込または新規リード挿入を行ったが、上記方法を用いてアプローチし、気 胸の発症は 1 例のみで、穿刺に伴う他の重篤な合併症は特に認めなかった。気胸の一例に関しても 同手技に不慣れな術者によるものであった。既存の報告と比較し、安全で確実な方法であると考え、 手技について詳細に報告する。 ― 25 ― 演題 4 ペースメーカー植え込み後に頚静脈怒張をきたした 1 例 1 板橋中央総合病院 循環器科 2 板橋中央総合病院 心不全不整脈科 ○中島 真 1、中島 博 2、沼田 也 1、神林 道 1、坂元 博 1、長間 大樹 1、 鳥居 翔 1、本田 充喜 1、八反尚一郎 1、佐久間儀広 1、副島 洋行 1、太田 洋 1、 田村 勤 1 症例は 54 歳女性。平成 22 年 10 月に完全房室ブロックに対し DDD ペースメーカー植え込み術を行っ た。心房および心室リードは左橈側皮静脈 cut down 法にて挿入し、術中および術後 1 週間までの入 院経過では頚部に異常は認めなかったが、退院後 3 日目(植え込み後 10 日目)に突然左頚静脈の怒 張が出現した。左外頚静脈が著明に怒張していたが左上肢には腫脹は無かった。左鎖骨下静脈の狭 窄・閉塞を疑い静脈造影を施行した。しかし、左鎖骨下静脈には狭窄・閉塞を認めず血流も良好で あった。一方、外頚静脈造影では鎖骨下静脈に順行性に流入していたが、血流速は低下し鎖骨近傍 で屈曲を認めた。以上の所見から考えると、リード挿入による直接的影響は否定的であり、リード 挿入が左鎖骨下静脈の走行変位をきたし外頚静脈に屈曲を生じさせたことが原因となり、外頚静脈 怒張をきたした可能性が示唆された。興味ある症例と思われ報告する。 ― 26 ― 一般演題 2 A 会場 901 会議室 15:40~16:55 座長 横浜市立大学医学部循環器内科 石川 利之 自治医科大学附属さいたま医療センター循環器科 須賀 幾 演題 5 T 波のオーバーセンシングによる不適切作働を心室間ディレイ(V-V delay)調整 により回避しえた両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の一例 1 東京大学医学部附属病院 医療機器管理部 東京大学医学部附属病院 循環器内科 ○長谷川菜美 1、横田 順 1、宮崎 進 1、村澤 孝秀 1、久保 仁 1、玉井 久義 1、 2 杉山 裕章 2、小島 敏弥 2、鈴木 健樹 2、藤生 克仁 2、今井 靖 2、西村 敬史 2、 永井 良三 2 症例は 82 歳男性。2009 年 10 月、完全左脚ブロック、左心機能低下を伴う慢性心不全および非持続 性心室頻拍に対し CRT-D 植込み術が施行された(St. Jude Medical 社、Promote RF) 。術中リード 留置や除細動閾値テストは問題なく、術後合併症も認めず退院となり、外来フォローされていた。 術後約7ヶ月目の2010年5月、T 波のオーバーセンシングによる不適切ショック作働を認めた。当初、 センシング機構などの変更で対処するも回避不能であった。除細動リード留置部位の変更、デバイ スの交換、さらにセンシングリード追加などが検討されたが、左鎖骨下静脈閉塞もあり、年齢や手 術侵襲、再手術の合併症も考慮して VV delay 調節による対応を検討することとした。 VV delay 変更に際しては心内心電図記録とともに心エコーおよびインピーダンス式心拍出量計に よるモニタリング下に行い、左室先行 70ms にて T 波の平低化を認め、心拍出量低下も最小限であっ た。以後 5ヶ月間の経過観察で不適切作働の再発、心不全憎悪に伴う入院のいずれも認めていない。 今回の症例は、ハイリスクな CRT-D 例における T 波のオーバーセンシングへの対処法を考える上 で示唆的であり、文献的考察も交えて報告する。 ― 27 ― 演題 6 T 波の oversensing により、有効なペーシングが行われなかった CRTD の 1 例 1 筑波メディカルセンター循環器内科 2 筑波大学附属病院循環器内科 ○針村 佳江 1、戸田 直 1、高畑 信子 1、春成 智彦 1、橘 賢廣 1、星 智也 1、 仁科 秀崇 1、文蔵 優子 1、平沼 ゆり 1、野口 祐一 1、青沼 和隆 2 70 代女性、うっ血性心不全で入院。拡張型心筋症と中等度の大動脈弁閉鎖不全症を基礎心疾患と して認めた。入院時の心電図で完全左脚ブロックを呈しており、また心エコー所見上、左室駆出 率 30 %と著明な左室収縮能の低下を認めた。十分な薬物治療にもかかわらず NYHA Ⅲ度の心不 全症状が残存したため CRTD 適応と判断し、左前胸部に CRTD 植え込みを施行した(Medtronic Consulta CRT-D)。植え込み後 1 週間のデバイスチェックでは、心室ペーシング率は 97 %で、計 測値に大きな問題は認めなかった。植え込み後 3ヶ月のデバイスチェックでは心室ペーシング率は 89 %で、心電図で確認したところ、ペーシング波形と自己波形の二段脈となっていた。心内心電 図を確認すると、心室ペーシング直後の T 波の oversensing が生じており、その結果次の心房波が 不応期に入ってしまい心室ペーシングが行われないという現象が繰り返し認められた。有効な両室 ペーシングが行われなかったため、心不全コントロールは増悪した。心内電位の心室波の波高が 十分大きいことを確認した後に、心室の感度を鈍く設定したところ、oversensing は消失し、正常 な CRT の作動が行われた。術直後には特に問題なく、植え込み後 3 か月経過したところで T 波の oversensing が生じ、有効なペーシングが行われなくなった CRTD 症例を経験したため、報告する。 ― 28 ― 演題 7 鎖骨下静脈閉塞症例に対し同側から側副血行路を介して経静脈アプローチにて ショックリードを追加し得た一例 日本心臓血圧研究振興会 榊原記念病院 循環器内科 ○前川 裕子、井上 完起、山下 光美、谷崎 剛平、梅村 純 症例は 35 歳男性。Brugada 症候群の診断で二次予防目的に平成 19 年 3 月 9 日に他院にて植込み型除 細動器(ICD 本体:Medtronic, MARQUIS VR、ショックリード:Medtronic, SPRINT FIDELIS) 植込みを施行された。これまで心室細動による ICD 適切作動は 5 回認めていたが、不適切作動は無 く経過していた。平成 22 年 7 月 13 日 20 時に ICD のアラート音を自覚し、その約 13 時間後に意識下 でショック治療が 6 回作動したため他院を救急受診した。ICD のチェックしたところショックリー ド断線による ICD 不適切作動と診断され、ショックリード追加目的に当院へ紹介転院となった。同 年 7 月 16 日にショックリード追加、ICD 本体交換術を施行した。既存と同側の左側より腋窩静脈 を胸郭外穿刺しワイヤー挿入したが鎖骨下静脈が閉塞しておりワイヤーも通過不能な状態であっ た。鎖骨下静脈は外頚静脈分岐部まで閉塞していたが、閉塞部の手前より発達した側副血行路があ り外頚静脈へ合流していたためその側副血行路を介してリード追加を試みた。しかしワイヤーは通 過するものの側副血行路の屈曲が強く通常のシースではリード挿入困難であったため、150cm ラジ フォーカスワイヤーを挿入し冠動脈造影用 JR カテーテルを側副血行路、外頚静脈、無名静脈、上 下大静脈へと挿入し、JR カテーテルを介してラジフォーカスワイヤーをスティフワイヤーに交換 した。スティフワイヤーのサポート下に 8Fr ロングシースを挿入し、新たなショックリード(SJM, DURATA)を右室心尖部に留置し得た。続いて新規本体(Medtronic, Secura VR)にショックリー ドを接続し手技を終了した。術後の経過は良好で術後 7 日目に退院した。鎖骨下静脈の完全閉塞に より静脈形成術も不可能なショックリード断線症例に対し、同側からの経静脈アプローチにより ショックリードを追加し得た症例を経験したので報告する。 ― 29 ― 演題 8 嚥下性失神に対するペーシング治療 1 東京大学大学院医学系研究科 循環器内科学 東京大学医学部附属病院 医療機器管理部 ○杉山 裕章 1、今井 靖 1、藤生 克仁 1、横田 順 2、長谷川菜美 2、宮崎 進 2、 2 村澤 孝秀 2、小島 敏弥 1、鈴木 健樹 1、永井 良三 1 嚥下性失神は稀な状況失神の一つであり、ペーシング治療が時に有効である。今回、我々が経験し た 2 症例を提示し、嚥下性失神の診断、ペースメーカー適応や問題点などにつき文献的知見と併せ て報告する。【症例 1】32 歳男性。既往症なし。友人と飲酒時に痙攣を伴う失神発作を生じ近医受診。 その後の精査で頭蓋内疾患や器質的心疾患は認めなかったが、ホルター心電図にて夕食時、最大 2.5 秒の洞停止を指摘された。その後、約 3ヶ月間に計 3 回の失神発作を生じ、精査目的にて当院紹介。 心臓電気生理検査(EPS)では洞機能および房室伝導能は正常であったが、水分摂取時に一致して 洞停止および房室ブロックを認め、最大 2.8 秒の RR 間隔の延長、血圧低下を生じた。硫酸アトロピ ン静注により同現象は消失した。嚥下性失神を疑い、この時点でペースメーカー植込みが考慮され た。しかし、最大 R-R 間隔延長が著明ではなく、失神との関係も明確ではないため、植込み型ルー プ心電計(ILR)にて失神時の RR 間隔の同定、薬物療法の効果判定を行う方針とした。 【症例 2】70 歳男性。陳旧性心筋梗塞。高血圧で加療中。夕食時およびコーヒー摂取中に意識消失を 認め、精査目的にて当院紹介。ホルター心電図にて最大 2.6 秒の洞停止、心エコーにて下後壁の壁 運動低下を認めたが、head-up tilt 試験は異常なく、冠動脈造影検査では右冠動脈ステント留置部に 50 %狭窄を認めるのみであった。EPS では洞機能・房室伝導障害ともに認めず、心室性不整脈も誘 発不能であった。嚥下時には最大 2.1 秒の洞停止および左脚ブロックを生じたがめまいや失神、血 圧低下は認めなかった。著明な RR 間隔延長でなく、失神との関係も不明確なため、ILR 植込み予 定としたが、入院経過中、早朝ベッド上で飲水した際、前失神に一致して約 7.5 秒の洞停止が記録 された。嚥下性失神と診断し、rate-drop response(RDR)機能付きペースメーカー植込み術を行っ た。術後、頻回の RDR 作動イベントを認めるものの失神再発なく経過している。 ― 30 ― 演題 9 DDIR mode により反復性非リエントリー性室房同期(Repetitive non-reentrant VA synchrony: RNRVAS)が観察された洞不全症候群患者の一例 1 産業医科大学 循環器内科 2 産業医科大学医学部 不整脈先端治療学 ○河野 律子 1、安部 治彦 1,2、南口 仁 1、荻ノ沢泰司 1、尾辻 豊 1 【背景】洞不全症候群患者では、心室ペーシングを極力避けるため DDIR モードと長い AV delay に 設定することがある。RNRVAS(Repetitive non-reentrant VA synchrony)現象は過去に DDD モー ドでの発生の報告があるが、今回 DDIR モードでの発生を経験したので報告する。 【症例】66 歳、男性。発作性心房細動を伴う洞不全症候群のためペースメーカ植込み後であった。 設定は、DDIR, LRL 60 ppm, MSR 120 ppm, AV delay 300 ms, PVARP 275 ms, PVAB 140 ms であっ た。心房・心室ともにセンシング波高値、ペーシング閾値に異常は認めなかった。安静時に室房伝 導は認められなかった。AT/AF detection にて Atrial High Rate Episode として記録された心内心 電図記録では、階段昇降時に心拍応答機能によって、80 ppm まで心房ペーシングレートが上昇し、 心室ペーシング後に室房伝導が認められた。室房伝導による P 波は、PVARP 内で不応期内センシ ングされ、その 200 ms 後に心房ペーシングが行われているものの心房不応期のため無効ペーシン グとなり、その後 300 ms の AV delay で心室ペーシングが入っていた。 【考察】DDIR mode による RNRVAS 発生の報告はこれまでにない。不要な心室ペーシングを避け るために DDI mode の設定にしたが、心拍応答機能を利用したことで、安静時に室房伝導を認めな い症例であったが心室ペーシング時に室房伝導が発生し、RNRVAS が出現する結果となった。心 拍応答機能を利用する際には、長い AV delay に設定することで、RNRVAS が発症することが明ら かとなった。 ― 31 ― 一般演題 3 A 会場 901 会議室 17:00~18:30 座長 産業医科大学医学部不整脈先端治療学講座 安倍 治彦 板橋中央総合病院不整脈・心不全科 中島 博 演題 10 右室流出路ペーシングは中位中隔、心尖部ペーシングに比し左室壁運動の同期性 に優れている―同一患者における speckle tracking 法を用いた解析― 北海道循環器病院 循環器科 ○平山 康高、堀田 大介、山崎 香子、柏木 雄介、佐々 保基、儀間 充、菊池健次郎 [背景] 永久ペースメーカー植え込み時における右室心尖部(RVA)ペーシングの功罪が議論され、変わっ て右室中隔(RVS)ペーシングの有用性について数多くの報告が見られるが、中でも右室中位中 隔(RVMS)ペーシングと右室流出路(RVOT)ペーシング時における心機能の比較についての報 告は少ない。過去に我々は房室ブロック患者においてペーシング QRS 幅の違いに関わらず、RVOT ペーシングは RVMS ペーシング時に比し有意に心拍出量が増加することを報告した。 [目的] 今回我々は、異なるペーシング部位における左室壁運動の同期性の違いについて speckle tracking 法を用いて比較検討した。 [方法] 対象は徐脈性不整脈のため心臓電気生理学的検査を施行した 21 名、同一患者に対し一時的に RVOT、RVMS、RVA ペーシングを順次行い、12 誘導心電図からペーシング QRS 幅を測定後に経 胸壁心エコー検査を施行、speckle tracking 法を用いて 3 断面を各 6 分割し計 18 分割とした上で、最 早期 peak strain から最終期 peak strain までの時相差を求め、各ペーシング時における左室壁運動 の同期性の違いを定量化した。 [結果] ペーシング QRS 幅は RVMS ペーシング時で有意に短縮した(p < 0.005, respectively) 。18 分割した 左室心筋の収縮の時相差は RVA ペーシングに比し RVOT ペーシング時で有意に短縮し(p=0.0035)、 また RVMS ペーシングに比し RVOT ペーシング時で有意に短縮した(p=0.0204) 。一方 RVA ペー シングと RVMS ペーシング時では有意差を認めなかった。 [結語] 症例数の少ない中での検討であるが、RVOT ペーシングは RVA ペーシングや RVMS ペーシングに 比し左室壁運動の同期性に優れており、右室ペーシング時の心拍出量増加に寄与していることが示 唆された。 ― 32 ― 指定演題 演題 11 中隔ペーシングと心尖部ペーシングどちらが有効か?上室性不整脈の検出に影響 を与える Far-field R-wave(FFRW)oversensing の観点から心室ペーシング部位を 考える 産業医科大学循環器内科 ○南口 仁、安部 治彦、河野 律子、荻ノ沢泰司、尾辻 豊 (背景)多くの大規模臨床試験の結果から、右室心尖部ペーシングは房室同期にかかわらず心機能 低下をもたらすことが報告されている。不必要な心室ペーシングを回避することは重要であるが、 房室ブロック症例では心室ペーシングが必要不可欠である。一方、より正確な上室性不整脈の検出 を行うためには、鋭敏な心房感度設定と短い PVAB 設定が必要であるが、上室性不整脈の誤認識を ひきおこす Far-field R-wave(FFRW)が検出された場合には、心房感度設定を鈍くする、もしく は PVAB を延長させるといった調節を余儀なくされる。心室中隔ペーシング時における FFRW に ついての検討はこれまでなされていない。 (目的)心室ペーシング部位が FFRW に及ぼす影響を検討する。 (方法)Dual-chamber DDD ペースメーカ植え込み患者 74 例(平均年齢 76 + 11 歳、男性 33 例)を 対象とした。心房リードは全例右心耳に留置されている。心室リードは 36 例が右室心尖部に、38 例 が右室中隔に留置されている。心房感度設定を 0.1mV、PVAB 設定を最短 60ms とした際の FFRW の出現頻度、心室ペーシングの興奮スパイクから心房リードにて FFRW が認識されるまでの時間を 比較検討した。 (結果)FFRW の出現頻度は、右室心尖部ペーシングで 29 例(81 %) 、右室中隔ペーシングで 34 例 (89 %)であり、有意差は認めなかった。また心室ペーシングから FFRW が認識されるまでの時間 はそれぞれ右室心尖部ペーシングで 111 ± 12ms、右室中隔ペーシングで 112 ± 10ms であり有意差 を認めなかった。 (結語)上室性不整脈の検出に影響を与える FFRW oversensing の観点からは、右室ペーシング部 位の相違によって FFRW の出現頻度及び心室ペーシングスパイクからの記録時間に影響を与えな いと考えられるため、心尖部ペーシングと比較して不利益とならない。 南口 仁 【略 歴】 H15年 大阪大学医学部卒業。そのまま大阪大学医学部附属病院臨床研修医として勤務 H16年 6 月 関西労災病院循環器科勤務 H21年 4 月 大阪大学医学部循環器内科勤務 H22年 4 月~ 産業医科大学循環器内科勤務 ― 33 ― 指定演題 演題 12 右室心尖部ペーシングによる慢性期心機能低下(頻度と予測因子に関する検討) 愛知医科大学循環器内科 ○水野 智文、鈴木 靖司、加藤 勲、福田 祥子、桜井慎一郎、福田 元敬、水谷 登 (背景)右室心尖部(RVA)はアプローチが容易であり、長期にわたって安全かつ安定したペーシ ングが可能な部位であり、これまで多用されてきた。近年大規模臨床試験を含む多くの研究で長期 の RVA ペーシングによって左室心機能が低下するリスクがあることが報告されているが、その頻 度は 25~50 %と報告により開きが大きく、われわれの臨床現場において実際に心不全を発症する患 者の頻度を考えると 25 %は過大評価に思われる。また、現実には右室心尖部ペーシングでも心機能 低下を生じない患者の方が多い事は事実であり、ではどのような患者に RVA 以外のペーシング部 位を選択すべきか十分な検討がなされていない。今回長期 RVA ペーシング患者で慢性期のイベン ト、心機能低下の頻度を調査し、予測因子を検討した。 (方法)1999 年 1 月 1 日から 2004 年 12 月 31 日までの間に当院でペースメーカー植え込みを行った連 続 144 症例のうちテレメトリーの記録から心室ペーシング率が 80 %以上の 108 例を対象とした。カ ルテ記録及び電話インタヴューで全例のイベントが調査できた。慢性期の心機能の指標として生存 している患者は新たに心エコー検査を行い、また死亡している患者では最新の心エコー検査の結果 をカルテより調査した。左室内同期不全の指標として Septal-to-posteriol motion delay(SPWMD) を M-mode エコーより算出した。 (結果)植え込み時の年齢は 72.9 ± 12.0 歳だった。平均 6.6 ± 3.0 年のフォローアップ期間中に 44 例 (40.7 %)が死亡した。22 例(20.4 %)が心血管死だった。20 例(18.5 %)の患者に心不全入院を認 めたが、そのうち慢性期に左室駆出率が 50 %以下に低下していたのは 11 例だった。無症候性の症 例も含めると 17 例(慢性期に EF が評価出来た症例の 22.1 %)に左室機能の低下を認めた。多変量 解析を行うと慢性期の左心機能低下は心血管死の唯一の予測因子であった(95 % CI 1.06-1.11, p < 0.05)。慢性期に左室機能の低下した症例では慢性期の SPWMD が延長しており(171.5 vs 47.3, p < 0.0001) 、ベースラインでの虚血性心疾患の頻度が高く(29.4 % vs 9.9 % , p < 0.03) 、先天性心疾患 患者の頻度が高かった(11.8 % vs 0 % , p=0.001) 。SPWMD の延長がいつ生じるのかを知るために ペースメーカー植え込み後亜急性期(0.96 ± 1.31 年)の記録が得られた 44 例で解析を行うと慢性期 の SPWMD と亜急性期の SPWMD には非常に強い直線的な正の相関を認め(R=0.922, p < 0.0001)、 亜急性期にすでに左室同期不全が生じていることが示唆された。多変量解析を行うと亜急性期の SPWMD は慢性期の心機能低下の唯一の予測因子であった(95 % CI 0.982-0.995, p < 0.01) 。 (結論)RVA ペーシング後左室機能の低下を認める症例は従来の報告よりは少ないものの 20 %強は 存在すると考えられる。また心機能低下例では心血管死のリスクが増加することが示唆された。植 え込み直後の SPWMD は慢性期心機能低下の有用な予測因子である。今後の方法論として術中にエ コーを用いて SPWMD を測定し、適切なペーシング部位を判断する事は検討に値するかもしれない。 水野 智文 【略 歴】 平成 6 年 3 月 名古屋大学医学部医学科卒業 平成 6 年 5 月 公立陶生病院勤務 平成10年 名城病院循環器内科勤務 平成12年 名古屋大学循環器内科帰局 平成16年 4 月 小牧市民病院循環器内科勤務 平成19年 4 月 愛知医科大学循環器内科勤務 平成17.9.30 医学博士学位取得 内科認定医、循環器専門医 ― 34 ― 指定演題 演題 13 心臓ペースメーカリードの留置方法 九州厚生年金病院総合診療部 ○菊池 幹 心臓ペースメーカリード留置の際には、合併症の発生を防ぎつついかに目的の部位に留置できるか が重要と考えられるが、どこにどの様な指標・手技で留置するかを念頭に、一般的な植え込み手技 を供覧しながら検討していきたい。 リード留置を行う際には、スタイレットの形状・操作が重要であり、リード留置部位によりスタイ レット形状の工夫が必要である。またリードを進める際には、静脈内の部位によりスタイレットの リード内での位置を調節する必要がある。右室心尖部は留置が容易であり、安定性や良好なペーシ ング閾値のため従来は好まれていたが、近年は右室中隔への留置が広く行われるようになってきた。 右室中隔にリードを留置する際の手技中の確認方法としては、左前斜位での透視像および心電図の 波形で行っている。また、術後には胸部正面・側面 X 線写真を行って最終確認している。スクリュー インリードを用いることにより留置できる場所は広がるが、構造上リードがいく場所は限られてお り、今後のデバイスの進化によりさらなる可能性が広がることを期待する。 【略 歴】 1996年 3 月31日 産業医科大学医学部卒業 1996年 6 月 1 日―1997年 5 月31日 産業医科大学病院研修医 1997年 6 月 1 日―1999年 5 月31日 門司労災病院 内科(循環器) 1999年 6 月 1 日―2000年 3 月31日 九州厚生年金病院内科 2000年 4 月 1 日―2005年 3 月31日 産業医科大学大学院 2002年 9 月 1 日―2004年 8 月31日 Johns Hopkins University School of Medicine Division of Cardiology Research fellow 2005年 4 月 1 日― 九州厚生年金病院総合診療部(救急部)―現在に至る ― 35 ― 指定演題 演題 14 留置方法を極める どこにどの様な指標で留置するか 自治医大さいたま医療センター循環器科 ○菅原 養厚 当センターでの昨年 2009 年 1 月から 12 月までの pacemaker 新規植え込みは 80 例であり、基礎心 疾患の内訳は房室ブロック 48.7 % 洞不全症候群 45.0 % 徐脈性心房細動 6.3 %である。多くの症例 で心室リードの心室中隔への留置を試みているが実際には、心内波高の高低、ペーシング閾値な どを参考に最終的に決定している。スクリューリード SJM 社 Thendril シリーズか BIOTRONIK 社 Setrox を使用し留置時には透視画面を参照しながら、肺動脈まで一旦リードをあげてから引いてく る Retrogade loop 法か、三尖弁輪を超えてから、直接ねらう Direct push 法にて留置を試みている。 使用する stylet に関しては Hary Mond 医師の開発したスタイレットが近年使用可能ではあるが、そ のままのカーブでは日本人の右心室のサイズにあいづらく、また delivery も困難な印象があるた め、当センターでは通常の付属スタイレットを用いて後方へのカーブ(posterior angulation)をつ けその都度、症例に適合させて使用している。screw in する前に透視画面(主に PA view と LAO view)での位置と心内波高を確認し、更にペーシング時の心電図波形にも着目して、心室中隔方 向に留置されているかどうか確認している。リード固定に関しては、電極先端の心内心電図をモニ ターしながら、unipolar 電位にて ST 上昇が得られていない場合は固定が不十分な可能性も考慮し ている。さらに心内波高値、ペーシング閾値が不十分な場合には、各症例ごとに心室ペーシングが 心機能に与える影響の程度を考慮して、即座に右室心尖部に心室リードの留置位置を変更し手技時 間の過度の延長防ぐようよう工夫して手術を行っている。 【略 歴】 1988年 自治医科大学卒業 同年 山形県立中央病院内科 1993年 飯豊(いいで)町国保中央診療所 1995年 川西町立病院 1997年 自治医科大学大宮医療センター、現さいたま医療センター循環器科 2007年 同、病棟医長 ― 36 ― 演題 15 高出力で傍 His 束ペーシングが可能であった右室中隔ペーシングの一例 1 昭和大学藤が丘病院循環器内科 2 昭和大学藤が丘リハビリテーション病院循環器内科 ○下島 桐 1、東 祐圭 1、久野 越史 1、池田 尚子 1、田辺 彩夏 1、山谷 清香 1、 前田 敦雄 1、森 敬善 1、若月 大輔 1、江波戸美緒 1、鈴木 洋 1 症例は 55 歳、男性。糖尿病、高血圧、慢性腎不全の既往あり。平成 22 年 9 月 54 歳時、脳梗塞発症。 このとき持続性心房細動を指摘され抗凝固療法開始された。その後下腿浮腫出現し、平成 22 年 4 月 うっ血性心不全の精査加療のために当院に転院した。来院時心拍数 60bpm の心房細動、心エコーで LAD59mm、LAVI61ml/m2、LVEF57 %であった。Holter 心電図で総心拍 72000 拍 / 日、2.0 秒以上 の pause は 2870 回、MAX R-R 間隔は 3.4 秒であった。平成 22 年 6 月電気的除細動を施行し直後は洞 調律に復したが、再度心房細動になった。 徐脈性心房細動に対し、平成 22 年 9 月 VVI ペースメーカー植え込み術施行。右室中隔にリード留置、 スクリュー前、ペーシング QRS 幅は 180ms であった。スクリュー後のペーシング QRS は 140ms の narrow QRS になり、スクリューすることで傍 His 束ペーシングが可能になったと考えられた。ペー シング閾値は narrow QRS が 1.75V/0.4ms、wide QRS が 1.0V/0.4ms であった。傍 His ペーシングの 閾値は、右室心筋のペーシング閾値よりも高い状態であった。 植え込み後ペースメーカーの設定でオートキャプチャーを設定しておいたが、ペーシング出力が下 がり wide QRS での右室ペーシングになったため、3.0V/0.4ms の固定出力に設定しなおした。 ペーシング出力の差で、傍 His 束ペーシングが可能であった右室中隔ペーシングの一例を経験した ので報告する。 ― 37 ― ペーシング治療研究会協賛会社一覧 セント・ジュード・メディカル株式会社 大日本住友製薬株式会社 日本メドトロニック株式会社 日本ライフライン株式会社 バイエル薬品株式会社 ファイザー株式会社 フクダ電子株式会社 ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社 五十音順 平成 22 年 12 月 3 日現在 ペーシング治療研究会展示企業一覧 セント・ジュード・メディカル株式会社 日本メドトロニック株式会社 日本ライフライン株式会社 フクダ電子中部販売株式会社 五十音順 ― 39 ―
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