3 現状と課題 (1) 家庭と食生活 近年、全国的に少子・高齢化や、産業

3
現状と課題
(1) 家庭と食生活
近年、全国的に少子・高齢化や、産業構造の変化に伴う都市部への人口流出が
進んでおり、本市においても、昭和40年代前半をピークに高齢化や過疎化に伴
う人口の減少が続いている一方で、世帯数が平成に入ってからピークを迎えるな
ど、「核家族化」・「単身世帯化」が進んでいます。
① 紋別市の人口及び世帯数、世帯当たり人員数
世 帯 数
人
口
1世帯当たり人口
昭和30年
7,068
37,388
5.3
昭和40年
9,691
40,389
4.2
昭和50年
10,134
32,825
3.2
昭和60年
11,231
32,163
2.9
平成7年
12,386
30,137
2.4
平成17年
11,670
26,632
2.3
平成22年
11,265
24,745
2.2
(国勢調査~各年10月1日)
食べることは、人間の生命機能を維持するための手段だけではなく、家庭での
コミュニケーションを活発にし、円満な家庭生活を創造するものです。
しかし、「核家族化」や「単身世帯化」、ライフスタイルや価値観の多様化な
ど、近年の社会経済情勢の変化などを反映し、夜型の生活をする人や忙しさに追
われる人が増えていくなかで、朝食を欠食する人が増加しているほか、子育ての
途中で共働きを選択する世帯も増えていることなどにより、家族全員が揃って食
事をする機会が減り、1人で食事をしたり、子どもたちだけで食事をする家庭が
増えています。
このような中、家庭での会話も減り、箸の持ち方をはじめ、「口を開いて食べ
ない」、「音を立てて食べない」などの基本的なマナーやしつけといった家庭教
育の機会が減少していくとともに、家庭でのコミュニケーション機能の低下が懸
念されています。
本市では、朝食を食べる子どもたちの38.4%が、1人、または子どもたち
だけで食事を摂っており、朝食を食べる子どもたちの21.7%が朝食時に会話
をしないと回答しています。また、児童のいる家庭で「家族一緒に食事を終える
こと」に気をつかっている家庭は、11.7%にとどまっています。
- 5 -
② 子どもたちは朝食を誰と食べているか
(2011市「食育に関する市民調査」)
③ 食事中に家族で会話をする割合
(2011市「食育に関する市民調査」)
また、昨今、輸入食料品が増加し、食料自給率が4割程度まで低下する一方、
家庭や産業界においても簡単に食品が廃棄されるなど、「もったいない」の精神が
失われています。
「いただきます」という言葉は、「いのち」をいただいて、自らの「いのち」を養っ
ているという考え方から生まれたものであると言われており、食料として動植物
の命をもらって調理し、それを食べる人間が生存できていることへの感謝を表す
言葉とされています。「食べ残しをしない」は、まさにこの考え方から生まれたマ
ナーであり、幼少から家庭で教育されることが望ましいのです。
「いただきます」や「ごちそうさま」などの食事のあいさつを、「よくする」「た
まにする」と回答した市民は、児童で90.3%、成人で75.8%となってお
り、普段気をつけているマナーとして「食べ残しをしない」と回答した市民は、
64.6%となっています。
さらに、「茶碗を持つ」や「食べ物を残さない」など、いずれの世代にも受け継が
れ、大切にされているマナーがある一方で、家庭でのコミュニケーションの維持
に関する「家族一緒に食事を終える」というマナーについては、高年齢層では比較
的浸透しているものの、児童の保護者など若年層ほど低い傾向です。
これらの現状から、できるだけ家族みんなで食べ、会話をすることで、家庭の
円満なコミュニケーションを図り、食のありがたさやマナーを伝えていくなど、
家庭での食育機能向上を図っていくことが課題となっています。
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④ 家庭で気をつけているマナー
⑤ 「いただきます」「ごちそうさま」など
食事のあいさつをしていますか
(2011市「食育に関する市民調査」)
(2011市「食育に関する市民調査」)
(2) 健康と食生活
健康な体を維持するためには、栄養バランスの良い食事、1日3食規則正しく
食べるなど、健全な食生活が基本です。特に朝から元気に活動するために、朝食
は重要な役割を果たすといわれています。
⑥ 朝食を毎日食べる人の割合(全国比較)
100
90
80
70
紋別市男性
60
紋別市女性
50
全国男性
54.1
全国女性
40
44.4
30
%
小学生
中学生
20代
30代
40代
50代
60代
70代上
全国(児童):平成19年度児童生徒の食事状況等調査
全国(成人):食育の現状と意識に関する全国調査(H22.12)
紋別市:2011市「食育に関する市民調査」
- 7 -
しかし、市民のうち20歳代の38.6%、30歳代の28.1%、40歳代
の17.8%が朝食を毎日、あるいは週に数日食べない状況であり、この傾向は、
20歳代から40歳代にかけて多く見られます。朝食を摂らない理由としては、
「食欲がない」や「時間がない」などであり、背景として、夜ふかしやおやつ、夜食
などの間食をする夜型の生活が影響していると考えられます。
この「朝食抜き」の習慣によって、疲労感などの体調不良や集中力の低下を招い
たり、昼食などでの過食のほか、各種生活習慣病発症との関連性も指摘されてい
ます。
⑦ 特定健診受診者のHbA1c※ の分布
分
類
数
腎不全発症率が4.2倍
9.0~
合併症のおそれ
値
人
数
割
合
4
0.4
7.0~8.9
24
2.5
糖尿病
6.5~6.9
16
1.7
糖尿病の疑いが強い
6.1~6.4
35
3.6
糖尿病の可能性が否定できない
5.5~6.0
252
26.1
5.2~5.4
297
30.8
5.5~5.2
337
34.9
正常高値
正常
※ HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)~糖尿病を診断する基準のひとつであ
り、検査値が6.1%以上になると糖尿病が疑われ、5.2%以上になると保健
指導の対象となる。
(平成22年 健康推進課調べ)
近年、紋別市内では、腎不全により人工透析を受ける市民が増加し、なかでも、
糖尿病が原因と推定されるものが急増しています。
糖尿病は、家族歴のほか、食習慣などの生活習慣も大きく関与していると言わ
れてますが、40歳以上の国民健康保険被保険者を対象として行われた平成22
年度の特定健康診査で、HbA1cの検査値が、将来糖尿病になる可能性が高い
として保健指導の対象となった市民が、全受診者の65.1%に上りました。
このほか、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)や最高血圧に
おいて、保健指導対象の検査値となった市民が、それぞれ全受診者の55.6%、
50.2%であり、様々な生活習慣病が身近なものであることがわかります。
また、肥満は、様々な生活習慣病の1つのリスクとして認識されていますが、
市民の体格は、児童・成人ともに、20歳代女性と70歳代以上男性を除き、総
- 8 -
じて全国レベルよりも高い肥満傾向であるといえます。なかでも、20歳代から
50歳代の男性の肥満率は、37.8%から43.3%とかなり高いレベルとな
っており、これらは、運動不足や高カロリー摂取が原因と推測されています。
一方で、若年女性の過度の「やせ」や痩身願望も、健康上問題となることがあり
ます。市民のうち、20歳代と40歳代の女性の「やせ」率が、それぞれ38.5
%と16.1%で、全国レベルを上回っており、20歳代女性の「やせ」率は特に
高い状況です。
さらに、男性では自分の体格を比較的正確に認識しているのに対し、女性につ
いては、「やせ」体型の女性のうち、42.6%の市民が「自分の体型は普通であ
る」と誤認し、「普通」体型の女性のうち、31.1%の市民が「自分の体型は肥満
である」と誤認するなど、痩身願望が比較的強くなっています。
⑧ 肥満率(全国との比較)
⑨「やせ」率(全国との比較)
全国(児童):平成22年度学校保健統計調査
全国(成人):平成20年度国民健康・栄養状況調査
紋別市(児童):平成23年市教育委員会調べ
紋別市(成人):2011市「食育に関する市民調査」
生活習慣病は、肉類を主体とした食生活の変化や、過食や偏食などの不健全な
食習慣、車社会の発達による運動不足など、生活習慣が原因となっている場合が
多くを占めています。
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食育に関する市民調査では、「家庭でよく作る料理」として、児童の保護者では、
カレーライス(244人)やハンバーグ(96人)、から揚げ(57人)が上位となっ
ており、成人が魚料理や野菜料理を好むのとは対照的に、脂質やカロリーが摂取
過多になりやすい傾向にあります。
また、食生活における問題点の一つとして、おやつや夜食など間食の時間と内
容に問題がある場合があります。40歳代以下の若年層では、中性脂肪として体
内に蓄積されやすいとされている夕食後から深夜の間食の頻度が、30歳代をピ
ークとして多い傾向にあり、さらに、摂取される間食の内容についても、スナッ
ク菓子やアイス類、ガム、アメ、チョコレート、清涼飲料水、洋菓子類が若年層
の間食の大部分を占めており、脂肪や糖分が過剰摂取の傾向になっています。
さらに、近年、乳幼児から清涼飲料水等を摂取する習慣が問題であると指摘さ
れていますが、保健センターで実施する乳幼児健診の際に行っているアンケート
においても、多数の乳幼児が、日ごろから清涼飲料水等を摂取している状況であ
ることが判りました。
⑩ 間食で主に摂取されているもの
80
76.4
70.4
70
60
59.3
65.3
62.2
49.0
50
44.7
スナック菓子
アイス類
ガム、アメ、チョコレート
清涼飲料水等
果物類
洋菓子
和菓子
40
30
20
10
0
%
児童
20代
30代
40代
50代
60代
70代上
(2011市「食育に関する市民調査」)
また、市民の口腔機能問題では、5歳児と7歳児の低年齢児童に虫歯の保有率
がとくに高く、全国レベルを上回っています。次いで、20歳代から40歳代に
も多く見受けられます。さらに、入れ歯のトラブルなど歯の喪失に関わる問題を
持つ市民が、50歳代から増え始め、70歳代以上では3割以上が口腔機能の問
題としてあげています。
- 10 -
これらの現状から、1日3食、とくに朝食をしっかり食べるなど、適切な食生
活をおくることや、バランスの良い食事を心がけること、適度な運動習慣を身に
つけるなど、生活習慣の見直しによって、生活習慣病を予防することが課題とな
っています。また、過度の肥満や痩せを防ぎ、適切な体型維持が大切で、特に、
妊産婦における「やせ」は、早産、多胎、喫煙と並んで未熟児などの低体重児の出
生に因果関係があると言われており、適切な体型維持がより必要となっています。
さらに、口腔機能では、食後の歯磨き習慣の定着などで虫歯を減らしていくと
ともに、いかにして生涯多くの歯を残していくかも課題となっています。
(3) 食と産業への理解
オホーツク海沿岸の中央に位置する本市は、江戸時代末期から交通の要衝とし
て栄え始め、豊富な天然資源や海岸線の特徴から、天然の良港として沿岸漁業が
発展してきました。
⑪ 漁種別漁獲高
漁
種
⑫ 漁業経営体数の推移
数 量 ( t)
金額(千円)
159
ホタテ貝
34,855
3,144,770
すけとうたら
16,687
815,741
さけ
5,202
1,634,371
いか
4,188
918,257
ほっけ
2,772
217,912
かれい
1,107
245,633
おおなご
1,087
45,429
たら
728
59,665
にしん
630
125,811
H5
ます
540
112,003
(平成22年市水産課調べ)
136
130
93
H10
H15
H20
(平成22年市水産課調べ)
冬にオホーツク海沿岸に出現する流氷は、冬期間休漁にさせることで、資源の
枯渇を防ぐ役割があるほか、様々な動植物プランクトンを運び、豊かな漁場を形
成してきました。この沿岸では、ホタテをはじめ、すけとうたら、さけ、いか、
ほっけやカニなどが漁獲され、市水産課調べでは、平成23年の総漁獲量は、約
- 11 -
7万7千トン、金額にして約89億円にのぼりました。
また、近年ではホタテやさけなどのように、育てる漁業へと変化し、その努力
は着実な成果となっています。
しかし、全国的な一次産業衰退傾向と同様に、本市においては、昭和60年と
61年の200カイリ規制による大幅な減船により、漁業者が減少し、高齢化も
進行しています。
一方、豊かな水産資源を背景に、早くから水産加工業が発達し、ホタテの干し
貝柱(乾貝柱)やいずし、かまぼこなどの練製品は名産として知られ、そのほか、
全国に生鮮冷凍魚を送り出す食料の一大供給基地となっています。
また、農業においては、渚滑川の流域にある渚滑、上渚滑地区や藻別・小向・
沼の上地区などで、広大な土地を利用した、酪農畜産業を中心とした農業が展開
されていますが、紋別市では約1万2千頭の乳牛が飼育されており、生乳生産量
は、オホーツク管内でトップクラスとなっています。
2010年世界農林業センサスでは、当市の全耕地面積は約7千5百ヘクター
ルとなっており、そのうち96%に当たる約7千2百ヘクタールで、牧草やデン
トコーンなどの飼料用作物が生産されており、酪農や畜産に利用されています。
同様に市内には、145の販売農家があり、そのうち約9割の農家が酪農畜産
による経営を主としています。
近年では、乳価低迷の中、はまなす牛のブランド化に取り組むなど、生産者の
努力は続いています。
また、野菜や畑作では、ばれいしょ、かぼちゃ、キャベツ、トマト、だいこん、
ほうれんそう、きゅうりなどが小規模ながら作付けされており、市場を通じて市
内小売店にも出荷されています。
⑬ 経営耕地面積の用途別割合(全国、北海道、紋別市)
全国 3,631,585ha
北海道 1,068,251ha
紋別市 7,564ha
56.3%
20.8%
17.6%
48.5%
28.9%
96.2%
3.0%
17.9%
田
畑(普通畑)
畑(飼料、牧草)
樹園地他
8.1%
1.8%
0.8%
(2010年世界農林業センサス)
- 12 -
食育に関する市民調査では、紋別産生鮮食品を「週1度以上食べる」と回答した
市民が65.4%となっており、意外にも地場産品が食べられていることがわか
ります。特に高齢者層では、60歳以上の78.0%が「週1度以上食べる」と回
答しており、地場産品が比較的好まれて食べられています。その一方、若年層で
は、「週1度以上食べる」と回答した20歳代の市民が41.9%まで低下し、「ほ
とんど食べない」や「産地を確認しないのでわからない」という回答が25.6
%に達しました。
同様に、価格などにとらわれず、積極的に「紋別産」や「道産」を購入すると回答
した市民の割合も年齢に従って上昇する傾向にありますが、40歳代をピークに、
「価格が高くなければ購入する」と回答した市民も半数程度おり、「産地」に対する
意識が総体的に高くなっています。
さらに、児童の保護者(回答者平均年齢39.9歳)は、生鮮食品の産地確認頻
度が、同年代の成人の平均よりも高く、地場産品購入意欲もかなり高いことから、
子どものことを考えた「食品の安全」に最も敏感であると言えます。
⑭ 紋別産生鮮食品を食べる頻度
20代
16.4
25.5
16.4
9.1
16.4
16.4
週2~3回以上
4.5
30代
29.5
40代
14.8
33.3
27.3
15.8
13.6
25.4
4.4
9.6
10.2
週1回
11.4
月2~3回
2.1
50代
38.3
25.5
18.4
58.8
60代
18.1
10.6
5.0
16.9
6.2
3.6 0.9
70代上
保護者
64.6
24.2
14.3
24.0
24.6
年数回
10.8
ほとんど食べない
5.8
4.3
15.7
7.1
産地を確認しないの
でわからない
(2011市「食育に関する市民調査」)
⑮ 「紋別産」「道産」を購入しているか
20代
21.8
30代
22.7
40代
50代
45.5
48.9
28.4
保護者
26.7
17.2
48.9
41.9
37.9
積極的に買っている
28.4
54.3
35.3
60代
70代上
32.7
41.3
42.4
57.8
15.8
価格が高くなければ
買っている
産地は気にしていな
い
16.8
19.6
15.5
(2011市「食育に関する市民調査」)
- 13 -
⑯ 生鮮食品の産地を確認するか
20代
30代
26.4
41.5
24.7
40代
50代
60代
22.6
50.6
46.2
13.5
34.2
48.2
45.1
保護者
45.3
11.2
13.7
35.0
51.9
70代上
9.4
10.9
33.7
9.9
30.5
15.0
37.7
いつも確認している
時々確認している
6.0
5.8
4.4
あまり確認しない
全く確認しない
9.4
3.0
14.0
(2011市「食育に関する市民調査」)
これらの現状から、漁業体験や酪農体験、収穫体験、加工施設見学、直売等の
地産地消などの経験を通じて、これら生産過程や流通過程を知ることで、紋別の
自然の恵みを知り、その恵みに対する感謝の気持ちを育み、「食」と産業への理解
を深めていくことが重要です。特に若年層ほど紋別産生鮮食品になじみがないこ
とから、若年層と子どもたちの産業への理解が必要です。市民のこれら体験や見
学に対する関心については、若年層ほど関心があり、児童の保護者に関心がある
取組みとして農業体験が34.2%、食品加工施設の見学が27.6%、漁業体
験については18.7%が関心があると回答していることから、課題解決に向け
た手がかりとなります。
⑰ 食育に関する取組みの関心がある項目(年代別・複数回答)
保護者
総体
20代
30代
40代
50代
60代
70上
栄養バランス
64.2% 55.6% 65.5% 48.4% 54.6% 56.4% 65.1% 51.4%
生活習慣病のこと
38.6% 52.5% 58.6% 42.9% 47.9% 64.4% 59.3% 47.0%
農業体験
34.2% 18.5% 32.8% 28.6% 23.5% 18.1% 14.3% 13.4%
親子料理教室
33.2%
料理の基本
32.0% 29.1% 62.1% 36.3% 41.2% 28.9% 24.9% 17.8%
食品加工施設見学
27.6% 17.4% 20.7% 33.0% 22.7% 16.1% 18.5%
食品安全のこと
25.0% 26.9% 24.1% 19.8% 26.9% 29.5% 30.2% 26.1%
マナー教室
24.3% 13.8% 37.9% 23.1% 17.6% 13.4%
8.5%
7.5%
伝統料理講習
12.1% 11.5% 22.4% 17.6% 14.3% 13.4% 12.7%
3.6%
漁業体験
18.7% 11.0% 25.9% 15.4% 18.5%
5.5%
9.0% 31.0% 18.7% 16.8%
4.0%
8.1%
5.3%
9.5%
2.8%
9.1%
(2011市「食育に関する市民調査」)
- 14 -
(4) 世代と食文化
本市は、自然に恵まれ、漁業や酪農産業、食品加工業などの生産現場が身近に
あり、私たちは、新鮮な海産物、農産物、加工品を様々な調理方法で味わってき
ました。
生産される食料の保存方法、調理方法にも工夫があり、家庭の味などとして、
いずしや三平汁などが数多く伝えられてきましたが、近年、家庭で調理する機会
が減少し、代わって弁当店やコンビニエンスストア、スーパーマーケットなどか
ら、弁当や惣菜のいわゆる「中食(なかしょく)」を購入し利用する家庭が増加して
います。また、家庭での手作り弁当などのおかずや、家庭での「もう一品」の場合
などで、冷凍技術等の発展により、食味のレベルが向上したインスタント食品も
よく利用されるようになりました。
⑱ 子どもとの調理体験の有無
⑲ 認知している紋別産生鮮食品及び好きな
(年1回程度以上)
紋別産生鮮食品の品目(自由回答)
76.9
64.0
男
64.4
69.6
57.6
計
72.0
72.2
女
5
歳
49.2
44.6
7
歳
9
歳
11
歳
13
歳
15
歳
(2011市「食育に関する市民調査」)
※「知っている品目」は、ホタテとさけを除く
(2011 市「食育に関する市民調査」)
市民調査では、冷凍食品や即席めんなどのインスタント食品を月数回以上の頻
度で利用する市民は73.6%で、コロッケや天ぷらなどの惣菜では66.7%、
コンビニエンスストアや弁当専門店の弁当では49.8%、外食で48.1%と
なっており、家庭で「外食」「中食」を利用する機会が増え、それらが若年層を中心
- 15 -
とした市民に広く浸透しています。
年に1回以上の頻度で、親子が一緒に調理を行うと回答した児童の保護者は、
64.0%で、男児よりも女児の方がよく調理を行っています。また、年齢は9
歳をピークとして徐々に低下しています。
地元にどのような食材があり、どのように食べられているかなど、「郷土の味」
を知ることは、食文化の伝承につながるだけでなく、郷土愛を育むうえでも大切
なことです。
しかし、外食や中食の浸透や、スーパーマーケット、コンビニエンスストアの
利用の増加などにより、児童の保護者ら若年層の市民をはじめ、多くの市民が、
地場産生鮮食品について、旬のものに対する意識が低下し、食材に対するなじみ
が少なくなっています。
市民調査では、認知している紋別産生鮮食品数について、一般的に食育への関
心度が高い児童の保護者の回答が、成人調査の回答を上回っていますが、1人当
たりの回答が平均2~3品目であり、紋別産品の認知度は決して高いとは言えま
せん。また、認知品目数では、児童の保護者が回答した児童調査が上回りました
が、好きな品目数では、成人調査が上回っており、児童の保護者は「紋別産品を
知っているものの、食べることに馴染みはない」ことがわかります。
これらの現状から、家庭で調理をする機会を増やし、本来家庭で行われるべき
食育の機能が果たされることによって、「家庭の味」や「郷土料理」など、食習慣や
地域の食文化が失われるのを防ぐことが課題となっています。また、紋別市民の
食生活においては、塩分や脂質の摂取過多が指摘されており、生活習慣病予防に
配慮した食習慣や地域の食文化の伝承も求められています。
さらに、児童の保護者らと同様に、子どもたちについても、紋別産生鮮食品に
対してなじみが薄くなっているものと推測されていることから、基本的な調理技
術ととともに、基礎的な食材の知識を普及することも重要となっています。
(5) 食育への関心
市民の食育に対する理解と関心は、おおむね世代を超えて高いものとなってい
ます。食育に関心を持つ市民の割合は、「関心がある」と「まあまあ関心がある」を
合わせて、77.8%に達しており、全国の70.5%(「大いに関心がある」と「ど
ちらかと言えば関心がある」の合計)を上回っています。特に、男性の関心度は、
全国の59.3%に対し、72.0%と大きく上回っています。
食育への関心が、健康や教育などへの関心につながっていることから、食育の
- 16 -
関心度を向上させることは大切であり、幅広く市民に浸透させ、「食育」を市民運
動とすることが課題となりますが、8割以上の市民に「食育」という用語が広く認
知されていることからも、「食育」を市民運動とすることが可能です。
⑳ 食育の認知度(左)と関心度(右)
全国:食育の現状と意識に関する全国調査(H22.12)
紋別市:2011市「食育に関する市民調査」
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