数学A資料−03 03.代表的な極限値 1.関数の極限 (1) x が a に近づくとき,f (x) の値が一定の値 α に近づくならば,この α を x → a のときの f (x) の極限値といい lim f (x) = α または f (x) → α (x → a) x→a と書く. (2) x が正の無限大 ∞ に近づくとき,f (x) の値が一定の値 α に近づくならば,この α を x → ∞ のときの f (x) の極限値といい lim f (x) = α または f (x) → α (x → ∞) x→∞ と書く. (3) x が負の無限大 −∞ に近づくとき,f (x) の値が一定の値 α に近づくならば,この α を x → −∞ のときの f (x) の極限値といい lim f (x) = α または f (x) → α (x → −∞) x→−∞ と書く. 2.公式 lim f (x) = α, lim g(x) = β ,k を定数とするとき,次の公式が成り立つ.ただし,2 は a,∞, x→2 x→2 −∞ のいずれかとする. (1) lim {f (x) ± g(x)} = α ± β (複号同順) (2) lim kf (x) = kα x→2 x→2 α f (x) = (β 6= 0) (3) lim {f (x)g(x)} = αβ (4) lim x→2 x→2 g(x) β ※はさみうちの定理 f (x) < = h(x) < = g(x) で lim f (x) = lim g(x) ならば, lim h(x) も存在し,すべての極限値は等 x→2 x→2 x→2 しい. 代表的な極限値 1 = 0 (α > 0) α x→∞ xµ ¶x 1 (3) lim 1 + =e x→±∞ x ex − 1 (5) lim =1 x→0 x (1) lim (2) lim x→±∞ 1 = 0 (n は自然数) xn 1 (4) lim (1 + x) x = e x→0 (6) lim x→0 µ sin x =1 x ¶n 1 ※ lim 1 + は存在する(証明は難しい)ので,この極限値を “e” で表す.この値は n→∞ n e = 2.718281828 · · · で,無理数であることが知られている.また,この e を底とする対数を自 然対数といい,loge x を単に log x と底 e を省略してかく習慣がある. 1 数学A資料−03 証明 (1),(2) は明らか. (3) ° 1 x → ∞ のとき,x > = 1 としてよい.このとき,n < = x < n + 1 を満たす自然数 n がただ 1 つ存在する(x → ∞ ⇐⇒ n → ∞ に注意). µ ¶n µ ¶x µ ¶x µ ¶x µ ¶n+1 ∗ ∗ ∗∗ ∗∗ 1 1 1 1 1 < < 1+ < 1+ < 1+ · · · (∗) = 1+ n+1 = 1+ n n+1 x n が成り立つが, µ 1+ ¶n µ ¶n+1 µ ¶ 1 1 1 = 1+ ÷ 1+ → e ÷ 1 = e (n → ∞) n+1 n+1 n+1 µ ¶n+1 µ ¶n µ ¶ 1 1 1 = 1+ × 1+ → e × 1 = e (n → ∞) 1+ n n n µ ¶x 1 なので,(∗) で x → ∞ (n → ∞) とすれば,はさみうちの定理より lim 1 + = e が成 x→∞ x り立つ. ※ (∗) はより詳しく µ 1 1+ n ¶n µ < 1 1+ x ¶x µ < 1 1+ n+1 ¶n+1 とできる. ° 2 x → −∞ のとき,x = −y とおけば y → ∞ で µ ¶−y µ ¶y µ ¶y−1 µ ¶ y 1 1 1 = 1+ = = 1+ × 1+ → e (y → ∞) −y y−1 y−1 y−1 ¶x µ 1 = e が成り立つ. なので, lim 1 + x→−∞ x 1 (4) ° 1 x ↓ 0 のとき,x = とおけば y → ∞ で y µ ¶y 1 1 (1 + x) x = 1 + → e (y → ∞) y 1 1+ x ¶x µ 1 なので,lim(1 + x) x = e が成り立つ. x↓0 ° 2 x ↑ 0 のとき,x = 1 とおけば y → −∞ で y µ ¶y 1 1 (1 + x) x = 1 + → e (y → −∞) y 1 なので,lim(1 + x) x = e が成り立つ. x↑0 1 以上 ° 1 ,° 2 より, lim (1 + x) x = e が成り立つ. x→0 ∗ n< =x x<n+1 ∗∗ 2 数学A資料−03 (5) ex − 1 = y とおくと,x → 0 ⇐⇒ y → 0 で 1 ex − 1 y 1 ∗ → = = = 1 (y → 0) 1 x log(1 + y) log e log(1 + y) y ex − 1 = 1 が成り立つ. x→0 x π としてよい.こ (6) ° 1 x ↓ 0 のとき,0 < x < 2 のとき,右図より なので, lim C △ OAB < 扇型 OAB < △ OAC 1 は明らか. 1 1 × 1 × sin x = sin x △ OAB = 2 2 x 1 扇型 OAB = π × = x 2π 2 1 1 △ OAC = × 1 × tan x = tan x 2 2 B x O なので △ OAB < 扇型 OAB ⇐⇒ 扇型 OAB < △ OAC ⇐⇒ 1 1 sin x < x 2 2 1 1 x < tan x 2 2 A ⇐⇒ ⇐⇒ sin x <1 x sin x cos x < x sin x より cos x < < 1 が成り立つ.x ↓ 0 のとき cos x → 1 なので,はさみうちの定理より x sin x lim = 1 が成り立つ. x↓0 x ° 2 x ↑ 0 のとき,x = −y とおけば y ↓ 0 で sin x sin(−y) sin y = = → 1 (y ↓ 0) x −y y sin x = 1 が成り立つ. x↑0 x sin x 以上 ° 1 ,° 2 より, lim = 1 が成り立つ. x→0 x なので,lim ∗ 対数関数 y = log x の連続性 3
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