FTSE ペーパー 中国のグローバル・ベンチマーク 組み入れに備える 2014 年 6 月 要旨 • 中国は急速な勢いで自国市場を外国人投資家に開放しています。そのため中国 A 株 は、5 年以内に FTSE のグローバル・インデックスへの組み入れに適格となる可能性が高 まっています。このアクセス増加に対応するため、FTSE では FTSE グローバル R/QFII イ ンデックス・シリーズと呼ぶ新たなインデックス・シリーズを導入しています。この新インデック ス・シリーズは、市場参加者に様々な選択肢を与えることで、彼らが中国 A 株のグロー バル・ベンチマーク組み入れに備える手助けとなります。 • FTSE グローバル株式インデックス・シリーズに変更はありません。FTSE が 2013 年 9 月 に発表した定例市場分類によれば、中国 A 株はまだ FTSE の標準的なグローバル・ベ ンチマークに適格ではありません。組み入れるためには、市場アクセス度や投資枠の割り 当て、規制当局による監督および資本の本国送還などの分野で、FTSE の市場分類 プロセスを更に進める必要があります。 • FTSE は、市場参加者および中国当局との協議および連携を続け、これらの重要分野 における展開を監視し、進捗を測ります。A 株のステータスと適格性についての正式なレ ビューは、毎年 9 月に行われます。次回のレビューは 2014 年 9 月に予定されています。 • FTSE グローバル R/QFII インデックス・シリーズは、中国 A 株が FTSE の標準インデック スに加わることに市場参加者が備えるために創設されました。このシリーズは、市場参加 者に以下に掲げるベンチマークの選択肢を提供します。 ° 承認された投資枠合計(QFII/RQFII を含む)でウエイト付けされた中国 A 株を含む グローバル・ベンチマーク ° 投資枠の制限がないかのように、浮動株および外国人持株比率を調整した市場価 値でウエイト付けされた中国 A 株を含むグローバル・ベンチマーク ° 投資家自身の QFII/RQFII 投資枠割り当てに基づきカスタマイズしたインデックス • グローバル・ベンチマークに A 株を加えたくない市場参加者は、FTSE グローバル株式イ ンデックス・シリーズの使用を継続することができます。 • 当インデックス・シリーズは、市場参加者が中国本土市場にアクセスする代替手段 を反映する様々なベンチマークの選択肢を提供します。それは以下のようなお客様 のために創設されました。 ° 長期にわたり中国への投資を増やしたいお客様 ° 投資枠の制約を受けず、中国 A 株への投資配分を高めたいお客様 ° 自身の投資枠サイズに基づき中国 A 株への投資配分を増やしたいお客様 • 中国市場インデックスを開発してきた 13 年以上の経験を踏まえ、FTSE の中国 ベンチマークは、中国株式市場の先進的な指標および中国テーマの投資商品を 創出する際の当然の選択肢として、世界中の投資家および ETF 発行者から広く 認識されるようになりました。 FTSE エマージング・インデックスに占める中国のウエイト 中国(B 株、H 株、P チップ、レッドチップ) 21.96% 中国(B 株、H 株、P チップ、レッドチップ) 21.51% 中国 (A 株) 2.02% FTSE エマージング・インデックス 中国 A 株を QFII/RQFII 投資枠で調整後 中国(B 株、H 株、P チップ、レッドチップ) 18.75% 中国 A 株を浮動株および外国人 保有制限で調整後 中国(B 株、H 株、P チップ、レッドチップ) 16.26% 中国 中国 (A 株) 14.59% (A 株) 27.70% 完全時価総額加重された FTSE エマージ ング(含む中国 A 株) 算出されるインデックス 出所:FTSE グループ、2014 年 2 月 28 日現在のデータ 2 はじめに 中国は最近、自国市場を外国人投資家に開放する強い意向を示してきました。適格 外国機関投資家(QFII)/人民元適格外国機関投資家(RQFII)のライセンスおよび投 資枠の承認は、2011 年以来驚異的なペースで増えています。上海・香港ストック・コネ クト・プログラムが最近発表されました。中国規制当局および証券取引所が規制環境 および取引メカニズムを改善させようと多大な努力を行っている明白な証拠があります。 次のような質問をし始める投資家がますます増えています。中国はいつグローバル・ベン チマークに組み入れられるのですか?投資家は可能性のある組み入れに備えて何がで きますか?このペーパーは、中国をグローバル・ベンチマークに組み入れる工程表を示す もので、中国 A 株市場に関心のある市場参加者を対象にしています。セクション 1 およ び 2 は、中国 A 株市場の発展とそのグローバル化に向けた里程標を解説します。 FTSE 市場分類体系および中国の評価結果は、セクション 3 で論じられます。セクション 4 は、中国 A 株市場の難題に対する FTSE の解決策を示します。まとめはセクション 5 にあります。 1. 中国の発展と世界の投資家にとっての重要性 1970 年代後半の市場改革実施を受けて、中国は世界で最も高い経済成長を遂げて いる国の一つとなりました。中国は過去数十年間にわたり発展を遂げ、製造業で世界 最大、GDP で第 2 位の経済大国となりました。 1990 年代初めに上海と深圳に証券取引所を設立して以来、中国株式市場は著し い速度で発達してきました。最初の公開取引が始まった 1990 年 12 月 19 日には、 上海証券取引所に 8 社が上場されました。その後まもなく、深圳証券取引所が開か れました。現在、両取引所には 2,000 社以上が上場されており、時価総額は合わせ て 3.9 兆米ドルを上回ります。 この市場は中国を時価総額で世界第 2 位の株式市場にしています。中国が世界の株 式市場で果たす役割は、ますます重要となり、投資家の多大な関心を集めてきました。 3 図表 1:世界全体の中で見る中国株式の成長 上場企業数/時価総額合計 24,035 時価総額(10 億米ドル) 25,000 1,625 20,000 香港上場中国シェア クラス 755 15,000 3,949 216 513 上海および深圳 証券取引所 1,779 14,173 11,458 10,000 5,000 3,947 498 574 (788) (796) 1,476 (846) 2,426 1,868 (2,692) (3,096) 5,574 4,543 2,953 3,263 729 (2,446) (3,346) (2,860) (3,419) (1,505) 2,534 (2,012) (3,203) (5,602) (4,986) (5,008) 0 香港 (香港証券 取引所)* 英国 (ロンドン証券 取引所) 2003 年 12 月 日本 (日本取引所 グループ) 2008 年 12 月 中国 米国 (NYSE Euronext, NASDAQ OMX) 2013 年 12 月 出所:ロンドン証券取引所、HKEx, WFE, Wind, FTSE グループ、2013 年 12 月 31 日時点のデータ 中国株式市場は世界の株式投資市場全体のなかで重要な位置づけにありますが、 現在は投資枠制度による制約のため限られた数の外国人投資家だけが中国 A 株市 場にアクセス可能です。中国 A 株市場が徐々に開放されるなかで、投資家はそうした 制約の緩和がグローバル・ベンチマークに及ぼすと思われる潜在的な影響を理解するこ とが重要です。 FTSE は中国インデックスに関して主導的な立場にある国際的なインデックス提供者と して、今世紀の初め以降に見られるこの目覚ましい進化に一役買ってきました。その後、 中国の国内インデックスおよび国際インデックスを世界および国内の投資家に提供して きました。その旗艦中国インデックスである FTSE 中国 25 インデックスと FTSE 中国 A50 インデックスの 2 つは、中国国内市場にアクセスできる投資家とできない投資家に ツールを提供するように設計されました。2014 年 5 月 30 日現在、FTSE 中国 A50 イ ンデックスと FTSE 中国 25 インデックスに沿って運用する ETF およびファンドの運用資 産額は、それぞれ 113 億 3,000 万米ドルと 61 億米ドルです。 4 2. グローバル化に向けた里程標 中国 A 株の市場規模は十分ですが、中国 A 株をグローバル・ベンチマークに組み入れ る考えが生じたのは、つい最近のことです。その考えが生まれた要因は、株式市場の拡 大、規制緩和および外国人投資家による市場アクセス度の向上という中国における 3 つの重要な発展です。これら 3 つの発展を受けて、FTSE は中国 A 株のグローバル・ベ ンチマークへの組み入れを検討することとなりました。 2.1 中国の規制改革 1992 年に設立された中国証券監督管理委員会(CSRC)が、中国本土における証 券・先物市場を中央集権的に監督し、規制する責任を負っています。CSRC による指 針の下、上海および深圳の証券取引所を含む自主規制機関は、取引所のプラットフ ォームで行われる上場企業の証券取引を直接監督する責任を負います。 多くの規制改革が行われており、それらは中国 A 株市場の開放への前向きなステッ プと広くみなされています。CSRC は 2005 年に、政府および準政府機関が保有する 譲渡不能株式の排除を提案し、その結果、株式市場の流動性および全体の価格 決定メカニズムが改善しました。 同年、CSRC は証券会社および資産運用会社が顧客口座で保有するファンドの不 正問題に取り組みました。2008 年に完了した規制として、顧客資産の取り扱いに外 部のカストディアンを使用することが義務付けられ、証券会社および資産運用会社が 顧客の資金を直接扱うことは禁じられました。 上場会社のコーポレート・ガバナンスに関する基本原則および投資家の利益と権利の 保護を規定する、中国の上場企業に関するコーポレート・ガバナンス規範が、2001 年 に CSRC により発行されました。中華人民共和国国務院は 2013 年 12 月に、株式 市場をさらに改善し、少数株主の法的権利を保護するため、新たに 9 つの新法案を 提出しました。強化案には、情報開示の改善、報酬制度および投資家教育の強化 が含まれています。 5 CSRC は 2013 年 12 月に、新規上場の規制要件に関する追加指針も提出しました。 改革案は、投資家の保護、権利および利益の増強を狙いとしています。具体的には、 投資家が十分な情報に基づき投資判断を行うことができるように、発行体に平易な言 葉を用いて正確かつ完全な会社情報を提出することを求めています。その他の注目され る分野には、適正かつ合理的な価格設定の促進、発行体による価格つり上げの制限 および新規上場における投機的取引の禁止があります。CSRC は最近、上場企業の 買収を通じて市場から資金調達を行う非上場会社に適用される規制も強化しました。 いわゆる「裏口上場」改革の意義は、非上場会社が IPO の承認基準に相当する基準 を満たす必要があるということです。 これらすべての改革および規制変更は、中国 A 株市場の開放への前向きなステップを 表すものであり、中国国内市場への投資に関心のある国際市場の参加者から重要な 要素とみなされています。 2.2 中国 A 株市場のアクセス度 i) QFII/RQFII 制度 中華人民共和国(PRC)の現行規制の下で、外国人投資家は、適格外国機関 投資家(QFII)制度または人民元適格外国機関投資家(RQFII)制度を通じて中 国 A 株市場にアクセスすることができます。このステータスを得るには CSRC の承認 が必要ですが、投資枠は国家外貨管理局(SAFE)から与えられます。QFII 制度お よび RQFII 制度は、それぞれ 2002 年と 2011 年に創設されました。 両制度は創設以来、一連の修正が行われており、過去 3 年間に行われた修正が 特に重要です。2011 年 12 月末から 2014 年 3 月末にかけて、外国人投資家に 割り当てられた QFII および RQFII の投資枠は、それぞれ 300 億米ドルと 200 億人 民元(32 億米ドル)から 1,500 億米ドルと 4,800 億人民元(772 億米ドル)に増加 しています。1。 ロンドン、シンガポールおよびパリは、香港に加えて、RQFII 制度の下で中国の証券 に投資するために人民元の使用を認められたオフショア・センターとなりました。投資 枠の増加に加えて、CSRC は QFII と RQFII の両制度について適格性基準を緩和 しました。昨年、ライセンスを供与された QFII および RQFII の総数は 33 パーセント 増えて 322 件となり、認可された投資枠は 57 パーセント増加して 817 億米ドル (QFII:523 億米ドルおよび RQFII:294 億米ドル)となりました。2 1 出所:FTSE グループ、CSRC および SAFE、2014 年 3 月 31 日現在のデータ 2 出所:FTSE グループ、CSRC および SAFE、2014 年 2 月 28 日現在のデータ 6 QFII および RQFII の両制度における適格要件の緩和は、より多くの投資家 グループが適格となることを意味するものと期待されています。興味深いことに、 QFII および RQFII の投資枠は、図表 2 と 3 に示されるように、主に資産運 用会社、次いで商業銀行、証券会社、そして政府系投資ファンドに供与さ れています。 90 350 80 300 70 250 60 200 50 150 40 30 ライセンス数 投資枠(10 億米ドル) 図表 2:投資家タイプ別 QFII および RQFII 投資枠の過去実績 100 20 50 10 0 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 資産運用会社 商業銀行 証券会社 政府系投資ファンド 保険会社 年金基金 その他の投資家 ライセンス数(右軸) 出所:FTSE グループ、CSRC および SAFE、2014 年 2 月 28 日現在のデータ 図表 3:投資家タイプ別 QFII および RQFII 投資枠の内訳 3.2% 3.4% 2.0% 資産運用会社 12.7% 商業銀行 56.9% 12.3% 証券会社 政府系投資ファンド 9.5% 保険会社 年金基金 その他の投資家 出所:FTSE グループ、SAFE、2014 年 2 月 28 日現在のデータ 7 適格性基準の緩和は、投資範囲の拡大も伴ってきました。QFII および RQFII の適格 投資家は、今ではインデックス先物および銀行間市場で取引される債券にも投資する ことができます。QFII における外国人持株制限および RQFII における株式/債券の投 資比率などその他の制約も、より高い柔軟性を認めるように変更されてきました。2つの 制度に対する主な変更点は図表 4 および 5 にまとめられています。 図表 4:QFII 申請基準の緩和 2012 年 7 月以前 2012 年 7 月以降 適格投資家 事業要件 資本金/ 純資産 要件 運用資産 要件 事業要件 資本金/ 純資産 要件 運用資産 要件 資産運用会社、保険会社 およびその他の機関投資家 5 年の経験 N/A 50 億米ドル以上 2 年の経験 N/A 5 億米ドル以上 商業銀行 総資産が上位 100 位以内 N/A 100 億米ドル以 上 10 年の経 験 3 億米ドル以上の Tier 1 資本金 50 億米ドル以上 証券会社 30 年の経験 10 億米ドル以上 100 億米ドル以 の払込資本金 上 5 年の経験 5 億米ドル以上 純資産 50 億米ドル以上 出所:CSRC、SAFE 8 図表 5:QFII 制度および RQFII 制度の里程標 QFII 利用可能な投資枠 適格投資家 RQFII 投資範囲/制限 利用可能な投資枠 適格投資家 投資範囲/制限 2002 年 12 月 • QFII 制度を投資 枠 40 億米ドルで 創設 2005 年 7 月 • QFII 投資枠を 100 億米ドル に増加 2007 年 10 月 • QFII 投資枠を 300 億米ドルに 3 倍増 2011 年 12 月 • RQFII 制 度 を 200 億人民元 で創設 2002 年 4 月 • QFII 投資枠を 300 億米ドルか ら 800 億米ド ルに増加 2012 年 7 月 2012 年 12 月 • RQFII 投資枠に 500 億人民元を 追加 700 億人民元に • 適格投資家の 要件を緩和 • 株式インデックス先物お よび銀行間市場の債券 への投資を承認 • 中央銀行および政府 系投資ファンドの 10 億 米ドル投資枠制限を 撤廃 • RQFII 投資枠を 2,700 億人民 元に増加 2013 年 3 月 • RQFII を 香港金融 機関に許可 2013 年 7 月 • QFII 投資枠を 150 億米ドルに 増加 • ロンドンとシンガポー 2014 年 3 月 • パリに 800 億人民 ・RQFII によるインデックス 先物および債券商品の 取引を許可 • 債券 80%および株式 20%の配分制限を撤廃 ルに 800 人民元と 500 人民元の投資 枠を割当 元の投資枠を割当 出所:CSRC、SAFE 9 ii) 上海・香港ストック・コネクト試験的プログラム 外国人投資家は、まもなく上海・香港ストック・コネクト・プログラムを通じて中国 A 株市場へのアクセスが可能となります。連携内容は現在検討中で、2014 年 10 月 の実施が予想されています。連携は 2 つの要素で構成されています。一つ目の構 成要素は、香港の投資家に中国 A 株の売買を認める「ノースバウンド・トレーディ ング」です。二つ目の構成要素は、中国本土の投資家に香港上場株の売買を認 める「サウスバウンド・トレーディング」です。 当初のノースバウンド・トレーディングおよびサウスバウンド・トレーディングの取引枠サ イズは、それぞれ 3,000 億人民元(479 億米ドル)と 2,500 億人民元(399 億米ド ル)です。それぞれの日次正味取引枠制限は、130 億人民元(21 億米ドル)と 105 億人民元(17 億米ドル)です 3 。日次の取引枠制限に到達する場合、当初の取 引枠サイズを 20 日間程度で使い果たすことになります。取引枠は市場全体のレベ ルで適用され、QFII/RQFII 制度の会社または機関のレベルでの投資枠所有の概 念はなくなります。 香港証券取引所の広報担当者によれば、取引枠サイズは定期的に見直され、必 要に応じて増枠されます。現在の発表では、「ノースバウンド・トレーディング」に関す る適格性基準に触れていませんが、「サウスバウンド・トレーディング」は各投資口座 の資産価値が 50 万人民元以上であることが要求されます。適格性基準は、承認 プロセスを必要とする QFII/RQFII 制度と比較する場合に重要な違いです。その他 の重要な違いは、制度へのアクセスが機関投資家と個人投資家の両方に開かれて いることです。 制度のなかで売買できる証券には制約があります。上海および香港における特定の 現地市場インデックスを構成する銘柄のみが、A 株・H 株共通銘柄とともに売買可 能です。深圳上場企業は明確に含まれていません。 規制の違いへの対応、トレーディングと決済の規則および投資枠サイズの制限 に達した場合にどうなるかを巡るメカニズムなど、プロセスが実務上どのように働く のかについて、更に明確にされる必要があります。 3 出所:FTSE グループ、2014 年 4 月 30 日現在のデータ 10 3. 中国 A 株はグローバル・ベンチマークに組み入れ られるべきか? FTSE の市場分類プロセスは毎年 9 月に行われ、FTSE のグローバル・ベンチマークに 含まれるすべての国を先進国、第一新興国、第二新興国、フロンティアのいずれかに 分類します。独立した経験豊富な市場の実務家で構成される FTSE 市場分類委員 会は、各国を 21 の「市場評価(Quality of Markets)」基準および一人当たり GNI で 計測した経済的ステータスで評価します。この枠組みをベースに、委員会はその評価 結果をさらに議論するため FTSE ポリシー・グループに提示します。9 月の定例市場分 類の発表は、FTSE 内部のガバナンス委員会が市場分類委員会およびポリシー・グル ープの推奨を考慮して承認します。 分類を変更する可能性がある国は、FTSE ウォッチリストに加えられ、変更に関する投 資家への透明性を確保します。FTSE ウォッチリストが次に見直されるのは 2014 年 9 月です。 ある国が第二新興国のステータスを与えられるために満たさなければならない 9 つの市 場評価基準のうち、中国 A 株市場が満たしていない基準は、現在 3 つあります。それら は、i) 株式市場の規制枠組み、ii) 資本の移動性、および iii) 決済および清算です。さ らに、租税上の取扱いに関する懸念もあります。FTSE は市場分類プロセスのなかでこ れらの分野を観察し、評価しています。 11 図表 6:中国 A 株市場に関する FTSE 市場評価基準 基準 第二新興国 中国 A 株 2013 年 市場および規制環境 正式な株式市場規制当局が市場を積極的にモ x 制限あり ニタリング(SEC、FSA、SFC など) 資本投資または資本やインカムの本国送還に対す x 未達 る反対や適用される大幅な制限や罰則はない カストディおよび決済 決済-取引フェイルがほとんどない x パス カストディ-質の高いカストディ・サービスを確保でき x パス x T+0 x パス x パス x パス x パス る十分な競争 清算および決済-T+3、T+5(フロンティア) ディーリング環境 ブローカー-質の高いブローカー・サービスを確保で きる十分な競争 流動性-大規模なグローバル投資に対応できる 十分に広範な市場流動性 取引コスト-黙示的および明示的なコストは妥 当で競争力がある 透明性-市場の厚みに関する情報/可視性お よびタイムリーな取引報告プロセス 出所:FTSE グループ、2013 年 9 月現在 i. 株式市場の規制枠組み FTSE は、市場分類基準に従って、中国 A 株に関する株式市場の規制枠組みが 制限されていると見ています。CSRC が過去 20 年間にわたり実施してきた規制改 革にもかかわらず、より厳しい規制監督が必要な一定の分野がまだあります。上のセ クションで説明されたように、CSRC は証券市場に対する中央集権的な監督と規制 を行う責任を負う一方、証券取引所は取引所会員のトレーディング行動を前線で 監督します。証券取引所は CSRC の監督下に置かれています。CSRC が取引所に 対して行う監督の水準が、より市場に分かりやすくなれば有益でしょう。CSRC が証 券取引所に行う実地の監査や正式な検査プログラムなどの措置は、監督プロセスを 強化することになります。 12 ii. 資本の移動性 資本の移動性は、FTSE 市場分類体系のなかで重要な基準です。各国の資本お よびインカムの送金に対する反対、制限および罰則が評価されます。QFII および RQFII の両制度における著しい前進にもかかわらず、外国人投資家はまだ多くの制 約に従っています。QFII 制度によって課される条件は、固定(ロックアップ)期間およ び本国送還サイクルに関して依然として厳しいものです。RQFII 制度は、特にオープ ン・エンド・ファンドについては、相対的に高水準の資本の移動性を投資家に与えて います。しかし、承認プロセスに要する期間、承認が得られるかどうかに関する不確 実性および投資枠のサイズは、依然として外国人投資家が検討すべき要素です。 クローズ・エンド・ファンドについては、RQFII 制度のもとで資本の移動性はオープン・エ ンド・ファンドほど自由ではありません。 現在、承認プロセス、固定期間および資本の本国送還には制約があります。 • 承認プロセスは、QFII か RQFII のいずれの制度かによって 20 日から 60 日続く ことがあります。現在、すべての投資家タイプが認められるわけではありません。 • CSRC から QFII ライセンスの取得に成功した後、投資枠が承認されてから 6 ヶ 月以内に投資資本を投下しなければなりません。この期間内に送金されない投 資枠は、追加の承認が与えられなければ剥奪されます。 • QFII 制度の下で、投資家は、投資枠を完全に使った日または投資枠が承認さ れてから 6 ヶ月後のいずれか早い方から計測して、3 ヶ月から 1 年の間の固定期 間に従います。 • QFII 投資家に関してオープン・エンド・ファンドの本国送還期間は、現在は 1 週 間に設定されています。正味償還金額は、前年末時点の総投資額の 20 パー セントを超えることができません。その後の投資枠は、一般的に本国送還後に剥 奪されます。 • RQFII 制度の下で、クローズド・エンド・ファンドにおける資本の本国送還は、月 次で行われます。 • 与えられる投資枠サイズについて指針となる明確かつ透明性のある規則はあり ません。 図表 7 は、QFII 制度と RQFII 制度における要件をまとめています。 13 図表 7:QFII 制度および RQFII 制度のステータス 適格性 QFII RQFII 資産運用会社:2 年以上の経験。 1. 下記の香港子会社: 運用資産額 5 億米ドル以上 • 中国の資産運用会社 保険会社:2 年以上の経験。 • 中国の証券会社 運用資産額 5 億米ドル以上 • 中国の商業銀行 証券会社:5 年以上の経験。 • 中国の保険会社 純資産 5 億米ドル以上、運用資産額 50 億ドル以上 商業銀行:10 年以上の経験、 Tier 1 資本金 3 億米ドル以上、運用資産額 50 億米ドル 2. 香港に登録されているか、または事業の本拠地が香港にあ る金融機関 以上 その他の機関投資家(年金基金、財団、信託会社など): 2 年以上の経験。運用資産額 5 億米ドル以上 承認プロセス 最長 20 営業日(ステータスの承認) 最大 最長 60 営業日(ステータスの承認) 最大 20 営業日(投資枠の承認) 60 営業日(投資枠の承認) 投資期限 承認後 6 ヶ月 承認後 6 ヶ月 固定期間 年金基金、保険会社、慈善基金、大学基金、投資信託、 1 年(制約のないオープン・エンド・ファンドを除く) 政府系投資ファンドもしくは金融当局または オープン・エンド中国ファンド*:3 ヶ月 その他:1 年 資本の本国送還 オープン・エンド中国ファンド:毎週。 オープン・エンド・ファンド:日次 その他:月次 月次本国送還は前年末投資総額の 20%以下 その他:SAFE の承認を要する。月次本国送還は 前年末投資総額の 20%以下 持株比率 単一の QFII 認定機関につき 10%以下 単一の QFII 認定機関につき 10%以下 外国人投資家合計で 30%以下 外国人投資家合計で 30%以下 *オープン・エンド中国ファンド:資産の 70%以上を中国国内市場に投資する公募オープン・エンド・ファンド 出所:FTSE グループ、CSRC および SAFE、2014 年 3 月 31 日現在の情報 14 iii. 決済および清算 現在、中国 A 株市場が第二新興国のステータスを得る妨げとなっているその他の 懸念事項は、決済プロセスです。中国証券保管振替機関は 2001 年に設立され、 上海と深圳の証券取引所で取引される証券の清算および決済について責任を 負っています。現在、中央清算機関と証券会社/直接投資家との間における決 済サイクルは、証券については T+0(午後 6 時)、現金について T+1 であり、他の 市場で適用される従来の標準である T+2 または T+3 とは異なります。このミスマッ チが事前の資金手当てを必要とし、ポートフォリオ・マネジャーがポートフォリオをリバ ランスする際に問題となります。 現在、空売りは認められず、A 株の同日売買は CSRC により 2001 年 12 月から 禁止されています。 iv. QFII/RQFII 制度における租税上の懸念 QFII および RQFII における税金の取り扱いは、外国人投資家に不透明です。QFII または RQFII が中国国内証券の売買から得るキャピタル・ゲインに課せられる税金 が準拠する規則は、まだ発表されていません。その結果、費用基準、源泉税および 相殺措置の決定、ならびに二重課税の取り扱いに関する重要な疑問が依然として 答えられていません。これまで中国租税当局からキャピタル・ゲインに対する税金は 徴収されていませんが、遡って課税される場合に備えて資金を預託してきた QFII も います。これらすべての不確実性の結果として、市場では、将来課税される可能性 に備えた準備金が利益の 0%から 10%までのレンジにあり、資産運用会社の間で多く の異なる慣行があります。 多くの RQFII ファンドは、最近、市場における一定の投資についてキャピタル・ゲイン 課税を免除する香港と中国との間で結ばれた租税条約を適用しています。これらの ファンドは、香港の税法上居住者でなければならず、二重課税を回避するために多 くの土地を保有する企業の A 株の売買から生じるキャピタル・ゲインについてのみ中 国の源泉税を適用しています。 v. 上海・香港ストック・コネクト・プログラムの実施問題 上海・香港ストック・コネクト・プログラムは、これまで中国が導入してきたその他の投 資枠制度と比べると、画期的な進展です 4 。このプログラムは承認プロセスを必要 とせず、機関投資家と個人投資家の両方に開かれています。 4 出所: http://www.hkex.com.hk/eng/market/sec_tradinfra/chinaconnect/chinaconnect.htm 15 投資枠制限は、個別ベースではなく市場全体のレベルで適用されます。この制度は 現在検討中であり、目標導入日は当初発表の 6 ヶ月後となる 2014 年 10 月です。 市場アクセスは改善されますが、市場参加者はまだトレーディング、決済および規制 について追加の説明を待っています。この制度で、投資家は上海証券取引所に上 場された一部の証券のみを売買することが認められます。深圳証券取引所に上場 された証券は、FTSE の中国インデックスでかなりのウエイトを占めますが、対象では ありません。ほとんどの投資家が二つの証券取引所を区別していないため、この点は 問題です。クロスボーダーの規制強化に関するより明確な指針が求められます。 FTSE は、制度の進展を注視し、その影響を市場分類プロセスの一貫で研究しま す。 2013 年 9 月に開かれた市場分類会議に基づき、中国 A 株は現在、FTSE の標準的 なグローバル・ベンチマークに組み入れられていません。しかし、FTSE では、現在の速度 で変化すれば、5 年以内に中国 A 株がグローバル・インデックスへの組み入れに適格と なる可能性が高まると認識しています。したがって、FTSE では、中国当局との連携を続 け、規制基準、資本の移動性および市場におけるトレーディングのメカニズムを含む市 場動向を注意深く観察します。 現在の中国 A 株市場の特異な環境を考慮して、FTSE では、中国に関する賢明な 道筋は、お客様にベンチマークの選択肢を提供することであると考えており、それについ て次のセクションで説明します。 4. 中国 A 株の難題に対する FTSE の解決策 FTSE の市場分類プロセスは、中国 A 株をグローバル・ベンチマークに組み入れるには 時期尚早であることを示唆しています。それにもかかわらず、FTSE では、市場参加者 が中国 A 株市場の開放に備えるための計画を立ててきました。 中国をいつ、どのようにしてグローバル・ベンチマークに組み入れるべきかと、いう疑問に関 する一つの可能な解決策は、固定された時間軸に基づき、事前に定められた中国 A 株の割合を決めることです。しかし、この方法は、市場にアクセスできる十分な投資枠を 持つ投資家と、持たない投資家という 2 つの異なる投資家区分があるという市場アクセ スに関する重要な事実を無視しています。万能の解決策は、どのように設計されようとも、 確実にいずれの投資区分にも重大な影響を及ぼすでしょう。 16 FTSE の見解では、中国 A 株市場に対する賢明な解決策は、次の 3 つの基準を満た す必要があります。 • それは、異なる区分の投資家により異なる中国 A 株へのアクセス方法に適合する必 要があります。 • それは、中国市場で動的に変化する環境を反映する必要があります。 • それは、透明性が高く、利用者が容易に理解できる必要があります。 投資枠制度は、2011 年以降、劇的に拡大してきました。しかし、現在の投資枠承認 リスト(図表 8)を注意深く調べるならば、話は異なります。 図表 8:QFII/RQFII 投資枠上位保有者 QFII RQFII 企業 投資枠(10 億米ドル) 企業 投資枠(人民元を米ドルに換算) Temasek Fullerton Alpha 1.5 CSOP Asset Management 5.7 Norges Bank 1.5 E Fund Management (Hong Kong) 4.0 Hong Kong Monetary Authority 1.5 China Asset Management (Hong Kong) 3.5 Kuwait Investment Authority 1.5 Harvest Global Investments 1.8 Government of Singapore Investment Corporation 1 Haitong International Securities Group 1.1 Abu Dhabi Investment Authority 1 Bosera Asset Management (International) 1.1 Bank Negara Malaysia 1 Guotai Junan International Holdings 0.7 Qatar Holding 1 Huaan Asset Management (Hong Kong) 0.6 . . . . . . 0.02 0.03 合計 QFII 投資枠= 52 億 3,000 万米ドル、合計 RQFII 投資枠 = 1,804 億人民元(294 億米ドル) 出所:FTSE グループ、SAFE、2014 年 2 月 28 日現在のデータ 現在、QFII および RQFII の投資枠を得ている組織は 300 以上あります。世界全体の アセット・オーナーおよび投資運用会社の総数を考慮すると、承認が下りていないか、投 資枠の申請を行っていないか、いずれかの理由で投資枠を持たない当事者の数はまだ かなりあります。実際に投資枠を持つこれら 300 の組織の中で、投資枠サイズは 2,000 万米ドルから 57 億米ドルまで幅があります。この単純な分析から得られる重要な結論 は、各投資家が中国の配分について異なる疑問を抱えていることです。これは、いかな る賢明な中国の解決策でも見過ごすことができない重要かつ特有な側面です。 同時に、CSRC が外国人投資家に市場アクセスを与えるペースが上昇していることは 明白です。中国 A 株に対する優れた解決策は、この点を考慮する必要があります。 17 アセット・オーナーの視点に立つと、問われるべき一つの明白な疑問は、市場アクセスが より容易になる場合に、グローバル・ベンチマークに占める中国 A 株の配分割合がどの ように変わるかです。優れた解決策は、環境に適応できると同時に、投資家に分かりや すいものです。それは、投資家が潜在的な変化を理解し、予測することを可能にします。 分析は、万能の解決策が現在のプロセスで中国 A 株に当てはまらないことを明らか に示します。次のセクションでは、中国 A 株市場の難題に対して FTSE が提案する インデックスの解決策を示します。 4.1 FTSE 中国 A インデックス FTSE の解決案で最初のステップは、中国 A 株市場に相応しいベンチマークを作ること です。ベンチマークは、以下の特性を持つように設計されています。 1) 外国人投資家の市場アクセス度を反映すること。 2) 中国 A 株市場が第二新興国に分類されるような場合に、FTSE のグローバル株式 インデックス・シリーズで使われる中国 A 株インデックスであること。 3) 外国人投資家のために広範な中国 A 株市場を代表するものであること。 FTSE は、これらの目的を満たすために FTSE 中国 A インデックスを導入しています。 このインデックスには以下の特徴があります。 • FTSE グローバル株式インデックス・シリーズの手法に基づいて構築されます。 • 中国は単一の主体(A 株+ H 株 + レッドチップ + B 株 + P チップ)として検討されま す。 • 検討プロセスの一貫で選別される中国 A 株は、いずれ中国が第二新興国に分 類された時に、FTSE GEIS の構成銘柄になります。 • インデックス構成銘柄のウエイトは、FTSE GEIS における中国 A 株の配分割合に関 係なく同じです。 図表 9 は、FTSE 中国 A インデックスの特徴を示しています。FTSE 中国 A インデックス は、大型株および中型株の企業で構成され、FTSE 中国 A オール・キャップ・インデック スは、大型株、中型株および小型株の企業で構成されます。FTSE グローバル株式イン デックス・シリーズと同じように、FTSE 中国 A オール・キャップ・インデックスは、適格ユニバ ースの 98%を捕捉することを目指しています。 18 図表 9:FTSE 中国 A インデックスの特徴 FTSE 中国 A インデックス ICB 業種 石油・ガス FTSE 中国 A オール・キャップ・インデックス インデックス・ウエイト(%) 構成銘柄数 10 インデックス・ウエイト(%) 構成銘柄数 3.33 18 2.86 素材 100 11.74 248 12.73 資本財 132 19.38 373 22.00 消費財 79 15.10 229 15.81 ヘルスケア 41 6.70 92 7.20 消費者サービス 36 4.99 101 5.68 1 0.60 3 0.56 通信サービス 公益 25 3.77 金融 73 30.87 テクノロジー 合計 52 3.72 130 24.93 24 3.50 74 4.52 521 100 1320 100 出所:FTSE グループ、2013 年 12 月 31 日現在のデータ 4.2 配分決定 FTSE の解決案で二番目のステップは、グローバル・ベンチマークに占める中国 A 株のウ エイトを決めることです。この重要な配分の問題を決めるため、FTSE では中国 A 株市 場の特異な環境を考慮する枠組みを考案しました。配分決定を困難な作業とする重 大な要因が 2 つあります。一つは、市場アクセスが投資家によって異なること、そして二 つ目は、中国 A 株市場が急速に進化していることです。 FTSE による中国 A 株インデックスの解決策は、ベンチマークに関する 4 つの選択肢 で構成され、お客様にこれら 2 つの要因を適切にバランスさせる柔軟性を提供します。 4 つの選択肢は次のとおりです。 1) 2) 3) 4) 投資枠合計に基づく配分 投資枠の制限がない場合の配分 カスタマイズした配分 既存の FTSE GEIS 次のセクションで、これら 4 つの選択肢に基づく詳細なメカニズムを説明します。 i. QFII/RQFII 投資枠合計に基づく中国 A 株の配分割合 この方法による旗艦インデックスは、FTSE オール・ワールド R/QFII インデックスおよ び FTSE オール・キャップ R/QFII インデックスです。中国 A 株が FTSE のグローバ ル・ベンチマークに占める配分割合は、 19 外国人投資家に認められた QFII および RQFII の投資枠合計と同じです。配分割 合は、承認された投資枠の変化に応じて調整されます。中国 A 株の配分割合が 外国人投資家のアクセス度に沿ったものであることを確保するメカニズムが組み込ま れています。この解決策の重要な別の利点は、市場参加者が承認された投資枠 の情報に基づき中国 A 株の配分割合を予測できることです。この方法は、現在入 手可能な投資枠制度(すなわち QFII および RQFII)ばかりでなく、上海・香港スト ック・コネクト・プログラムなど、市場アクセスを高める将来の制度における投資枠も 対象とします。 投資枠で調整されたシリーズは、以下のお客様に適合します。 • 中国 A 株をその全市場ウエイトで組み入れたくないお客様 • 長期にわたり中国への投資を増やしたいお客様 • 中国 A 株への配分に透明性があり、機械的なアプローチを求めるお客様 図表 10 に、この解決策を例示しています。 図表 10:利用可能な QFII/RQFII 投資枠合計に基づく中国 A 株の配分 配分 = QFII + RQFII 投資枠(毎 四半期更新) 現在の GEIS 大型株 大型株 中型株 中型株 小型株 小型株 先進国 第一 新興国 第二 新興国 FTSE オール・ワールド・インデックス FTSE グローバル小型株インデックス 先進国 第一 新興国 第二 新興国 QFII 中国 A FTSE 中国 A インデックス FTSE 中国 A 小型株インデックス FTSE オール・ワールド R/QFII インデックス FTSE グローバル小型株 R/QFII インデックス 20 この配分方法の基づけば、中国 A の構成銘柄は、FTSE エマージング R/QFII インデッ クスで 2.02 パーセントのウエイトがあり、それは FTSE オール・ワールド R/QFII インデック スのウエイトで 0.17 パーセントに相当します。国別構成割合は図表 11 に示されます。 図表 11:FTSE エマージング・インデックスおよび FTSE オール・ワールド R/QFII インデックス の国別構成割合 FTSE エマージング・インデックス(%) 国 FTSE エマージング R/QFII インデックス(%) 中国(A) - 2.02 中国 21.96 21.51 台湾 14.04 13.75 ブラジル 12.51 12.26 南アフリカ 9.75 9.55 インド 9.50 9.30 ロシア 6.33 6.20 メキシコ 5.33 5.22 その他 20.59 20.17 FTSE オール・ワールド・インデックス(%) 国 中国(A) FTSE オール・ワールド R/QFII インデックス(%) - 0.17 中国 1.87 1.87 米国 48.40 48.31 日本 8.03 8.02 英国 8.03 8.02 フランス 3.67 3.66 ドイツ 3.49 3.48 スイス 3.46 3.46 その他 23.05 23.01 出所:FTSE グループ、2014 年 2 月 28 日現在のデータ ii. 投資枠の制約がない場合の中国 A 株の配分 QFII および RQFII の制度が投資家の投資枠サイズに制限を課す可能性はありま すが、すべての投資家がそうした制限に従うわけではありません。投資枠に制限が ない場合に中国がグローバル・ベンチマークに及ぼす潜在的な影響を見たいと考え る市場参加者もいるでしょう。したがって、この市場参加者グループに適切なベン チマークの解決策は、いかなる投資枠制限によっても影響されるべきではありませ ん。 FTSE による解決策の一部として、投資枠がない場合のインデックスも開発していま す。この選択肢における中国 A 株の配分割合は、浮動株および外国人持株制限 で調整して計算されます。 21 投資枠を除いて調整されたシリーズは、以下のお客様に適合します。 • 投資枠の制約を受けないお客様 • 中国 A 株市場への投資を増やしたいお客様 • 中国 A 株市場がグローバル・インデックスのなかで予想される規模を見たいと考 えるお客様 図表 12 は、FTSE 中国 A 非 R/QFII インデックスを既存の FTSE グローバル株式 インデックス・シリーズに加えた場合の効果を示しています。中国 A 株を FTSE のグ ローバル・インデックスに組み入れることに制約がない場合、FTSE エマージング・イ ンデックスおよび FTSE オール・ワールド・インデックスにおける中国 A 株構成銘柄の 割合は、それぞれ 14.59 パーセントと 1.43 パーセントとなります。これらのインデック スの国別構成割合は図表 13 に示されています。 図表 12:投資枠の制約がない場合の中国 A 株の配分 配分 = 中国 A 株正味時価総額 現在の GEIS 大型株 大型株 中型株 中型株 小型株 小型株 先進国 第一 新興国 第二 新興国 先進国 第二 新興国 QFII 中国 A FTSE 中国 A 非 R/QFII インデックス FTSE オール・ワールド・インデックス FTSE グローバル小型株インデックス 22 第一 新興国 FTSE 中国 A 小型株非 R/QFII インデックス + FTSE オール・ワールド非 R/QFII インデックス + FTSE グローバル小型株非 R/QFII インデックス 図表 13:FTSE エマージング・インデックスおよび FTSE オール・ワールド非 R/QFII インデックスの国別構成割合 FTSE エマージング・インデックス(%) 国 FTSE エマージング非 R/QFII インデックス(%) 中国(A) - 14.59 中国 21.96 18.75 台湾 14.04 11.99 ブラジル 12.51 10.69 南アフリカ 9.75 8.33 インド 9.50 8.11 ロシア 6.33 5.41 メキシコ 5.33 4.55 その他 20.59 17.58 国 FTSE オール・ワールド・インデックス (%) 中国 (A) FTSE オール・ワールド非 R/QFII インデックス (%) - 1.43 中国 1.87 1.84 米国 48.40 47.70 日本 8.03 7.92 英国 8.03 7.92 フランス 3.67 3.62 ドイツ 3.49 3.44 スイス その他 3.46 3.41 23.05 22.71 出所:FTSE グループ、2014 年 2 月 28 日現在のデータ iii. カスタマイズした中国 A 株の配分 FTSE の中国 A 株に関する解決策の魅力ある特徴は、それが個別利用者の好み に合わせてインデックスをカスタマイズする選択肢を与えていることです。QFII/RQFII 投資枠の金額およびファンドの規模は、市場参加者によって大きくことなる可能性 があるため、カスタム・インデックスは異なるニーズによって加工する適切な解決策で す。カスタマイズする選択肢は、インデックスの利用者が投資枠サイズまたは投資見 通しに基づき、地域/グローバル・ベンチマークにおける中国 A 株の配分割合につ いて自身で決めることを可能にします。さらに、カスタマイズする選択肢は、長期的な 投資枠の増加を考慮して配分割合を調整するメカニズムを組み込むことも可能で す。 23 カスタマイズされたインデックスの解決策は、以下のお客様に適合します。 • 特定の投資枠サイズに基づく中国 A 株の配分割合としたいお客様 • 投資枠の増加に応じて中国 A 株のウエイトを増加させたいお客様 • 具体的な投資見通しに基づき配分を選択したいお客様 図表 14 に、この解決策を例示しています。 図表 14:カスタマイズした中国 A 株の配分 カスタマイズした配分 既存の GEIS 大型株 大型株 中型株 中型株 小型株 小型株 先進国 第一 新興国 第二 新興国 先進国 第一 新興国 第二 新興国 QFII 中国 A FTSE 中国 A カスタム・インデックス FTSE オール・ワールド・インデックス FTSE 中国 A 小型株カスタム・インデックス FTSE グローバル小型株インデックス + FTSE オール・ワールド R/QFII カスタム・インデックス + FTSE グローバル小型株 R/QFII カスタム・インデックス iv. 既存の FTSE グローバル株式インデックス・シリーズの利用 前のセクションで取り上げましたように、現在は限られた機関投資家のみが中国 A 株市場に投資するために QFII および RQFII のライセンスならびに投資枠を取得して います。申請が承認待ちの機関投資家および QFII 制度の適格性要件を満たして いない機関投資家は、この市場へのアクセスがありません。これらの機関投資家が自 己のポートフォリオに中国 A 株を組み入れることはできないため、彼らに適する国際 ベンチマークは中国 A 株を除いたものでなければなりません。既存の FTSE オール・ ワールド・インデックスおよび FTSE グローバル・オール・キャップ・インデックスの 2 つは、 中国 A 株を含まないため、彼らの現在のニーズに適しています。 24 これらの投資家が将来いずれかの段階で十分な QFII/RQFII 投資枠を取得する か、それらの投資家が中国国内市場にアクセスできるように中国が市場を更に開 放するならば、彼らは中国 A 株への配分がある FTSE の他の解決策への切り替 えを検討することができます。 要約すると、FTSE のお客様は、中国 A 株市場へアクセスするよう設計された投資商 品を設定する構成要素として、R/QFII 中国 A インデックスを使用することができます。 グローバル・ベンチマークは、中国 A 株市場に対するお客様自身のアクセス度に基づき 選択することができます。 5. まとめ 中国 A 株市場は、過去 20 年間でいくつかの重要な変化を経験してきました。これらの 変化には、証券法や取引不能株に対する規制改革、QFII/RQFII 制度の導入および 最近の上海・香港ストック・コネクト・プログラムなどがあります。2 年前まで、多くの投資 家は中国をグローバル・ベンチマークに組み入れるという考えを検討したことがありません でした。1991 年以降に 2,000 社以上が上場され、時価総額が約 3.9 兆米ドルに達す るなか、投資家が中国で進行する変化に対する注目を高めている理由は納得できます。 中国は最近、自国市場を外国人投資家に開放する強い意向を示してきました。 QFII/RQFII のライセンスおよび投資枠の承認は、2011 年以来驚異的なペースで増え ています。上海・香港ストック・コネクト・プログラムが最近発表されました。中国規制当 局および証券取引所が規制環境およびトレーディング・メカニズムを改善させようと多大 な努力を行っている明白な証拠があります。中国がいつグローバル・ベンチマークに組み 入れられるのかと問い始める投資家がますます増えています。 ある国をグローバル・ベンチマークに組み入れるべきかどうかを決めるために、FTSE では FTSE 市場分類体系を通じた客観的かつ一貫した市場分類のアプローチを採用して います。2013 年 9 月に行われた直近のレビューでは、中国 A 株市場が満たしていな い基準が 3 つあり、その結果として中国 A 株は第二新興国のステータスに引き上げら れる可能性のあるウォッチリストに残されました。 FTSE では、現在の速度で変化すれば、5 年以内に中国 A 株がグローバル・インデック スへの組み入れに適格となる可能性が高まると認識しています。 25 それは市場アクセス度および投資枠の配分、規制監督ならびに資本の本国送還な どの分野における改善次第です。FTSE は、市場参加者および中国当局との協議お よび連携を続け、これらの重要分野における展開を監視し、進捗を測ります。 その間に、既存の投資枠制度を通じてこのエキサイティングな市場へのアクセスを得る投 資家がますます増えています。FTSE グローバル R/QFII インデックス・シリーズは、市場 参加者にベンチマークの選択肢を提供するように開発されています。インデックス利用者 には、異なる投資枠または市場見通しに基づき中国 A 株に関する自身の配分割合を 選ぶ選択肢を提供しています。インデックス利用者は、1) 承認された投資枠合計でウエ イト付けされた中国 A 株を含むグローバル・ベンチマーク、2) 投資枠の制限が存在しな いかのように浮動株および外国人持株比率を調整した市場価値でウエイト付けされた 中国 A 株を含むグローバル・ベンチマーク、または 3) 投資家自身の QFII/RQFII 割り当 てに基づきカスタマイズしたインデックスのいずれかを採用することができます。グローバル・ ベンチマークに A 株を加えたくない市場参加者は、引き続き FTSE グローバル株式イン デックス・シリーズを使用することができます。中国のように特殊な市場については、FTSE にとりお客様のニーズを理解することが重要です。新しく提供するインデックスは、今後の 中国市場で生じる変化にお客様が備える手助けとなります。 26 For further information, please contact Beijing Dubai Hong Kong London Milan Mumbai +86 (10) 8587 7722 +971 4 319 9901 +852 2164 3333 +44 (0) 20 7866 1810 +39 02 3604 6953 +91 22 6649 4180 New York Paris San Francisco Shanghai Sydney Tokyo +1 888 747 FTSE (3873) +33 (0)1 53 76 82 89 +1 888 747 FTSE (3873) +86 21 6058 9131 +61 (2) 9293 2864 +81 (3) 3581 2811 お問い合わせ 東京オフィス 荻野 Tel: (03) 3581 2811 “FTSE®” is a trade mark of the London Stock Exchange Group companies and is used by FTSE International Limited (“FTSE”) under licence.All information is provided for information purposes only.Every effort is made to ensure that all information given in this publication is accurate, but no responsibility or liability can be accepted by FTSE or its licensors for any errors or for any loss from use of this publication.Neither FTSE nor any of its licensors makes any claim, prediction, warranty or representation whatsoever, expressly or impliedly, either as to the results to be obtained from the use of the FTSE indices or the fitness or suitability of the FTSE indices for any particular purpose to which they might be put.FTSE does not provide investment 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