ソーラーカーレース鈴鹿2012を終えて ソーラーカー同好会会長 森弘 惇一(機械工学科3年) 私たちソーラーカー同好会は、毎年、三重 した。結果、今回の車体は全体で昨年のもの 県の鈴鹿サーキットで行われるソーラーカー より約50kgの軽量化に成功しました。 の4時間耐久レースに向けて車体を製作して 大会は8月3、4日に開催されました。3 います。私たちはその中でも ENJOY 2クラ 日に車検とフリー走行(予選)、4日に4時 スという高校、大学、企業、一般のチームが 間の決勝レースが行われました。車検では、 エントリーするクラスに出場しています。学 車体の安全性に関する検査が行われ、私たち 生主体でソーラーカー製作の 「設計」 「製作」 のチームは問題なく通過しました。午後か 「評価」「改良」 といった一連の作業を通すこ らフリー走行・予選が行われ、ENJOYクラ とにより、ものづくりの楽しさを発見すると スのコースレコードまで1秒と迫る4分31秒 ともに、基礎学力の向上や応用力、主体性、 321で、全39チーム中1位で予選を終え、決 創造力、協調性といった社会人基礎力を習得 勝は、夢のポールポジションからのスタート することを目的としています。さらに、毎年 となりました。決勝レースでは序盤ペースを 秋に開催されるエコフェアや宇部まつりなど 掴めず、なかなか安定した走行ができません の地域行事に積極的に参加し、ソーラーカー でした。スタートから30分ほどでタイムは安 を展示し、じかに見たり、触れたりしてもら 定しましたが、序盤の混戦で電力を無駄に消 い、ソーラーカーを通して地域住民と交流す 費してしまい、そのためにペースを落とさざ ることや、工学部の魅力を発信することを目 るを得ませんでした。消費した電力を回復さ 的として活動しています。 せるために、コース上の日光があたっている 去年の大会では、駆動系に深刻なトラブル ラインを選びながら走行を続けました。1時 が発生し、レース中に走行不能になるアクシ 間半が経過したあたりでドライバーチェンジ デントに見舞われ、悔いが残る結果となりま のためにピットインをし、そのときに車体に した。その反省から今年はボディ形状を一 不具合がないかの確認も行いました。第2ド 新、またシャーシにも手を加え、全く新しい ライバーに変わった後も予想していたタイム 車「VERRYNA SFIDA」 を 製 作 し ま し た。 は中々出すことができませんでしたが、消費 ボディに関しては材質を変更し、昨年度比約 電力を抑えるエコランを継続し、平均タイム 30%の軽量化に成功しました。形状も今まで 7分30秒∼8分で走行しました。レース中盤 の翼断面型から紡錘形へ変更し、空気抵抗の から終盤にかけては、ドライバーとピットク 低減を図りました。シャーシに関しては軽量 ルーとの間で連絡が取りづらい時間帯もあり 化と、バッテリー位置変更により最適な重量 ましたが、走行には特に問題なく周回を重ね バランスを得ることができました。電気系統 ました。20周を越えたあたりから速度が落 に関しては、制御装置の最適化により太陽パ ち、坂を上るのが困難になったので、コース ネルからの電力変換効率の向上、バッテリー の脇にマシンを止め充電し、十分に電力をた 配列の見直しを行い、最高速を意識した軽量 めてから走行を再開しました。4時間が経過 かつ出力を重視したセッティングに変更しま した時点まで何とか走行を続け、完走を果た - 30 学生会員だより すことができました。結果としては28周を記 年の反省点を精査、改善し、来年のレースに 録し、私たちのチームの歴代最高記録に並び 生かしていきたいと思います。 ました。 最後に、常盤工業会より、車体の製作費 予選は軽量化やバッテリー配列の見直しな として241,000円を支援していただきました。 どが実を結び、最高の結果を得ることができ 多額のご支援をいただき同好会一同大変感謝 ましたが、その間に走行データを取っておく しております。この場をお借りして、厚くお べきだったと思います。フリー走行中のデー 礼申しあげます。来年の大会に向けて、私た タを決勝に生かせていれば、もう少しよい結 ちは、早くも動き出しています。来年の山口 果が出せたのではないかと感じています。今 大学ソーラーカー同好会にご期待ください。 - 31
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