閲覧する

株式会社 DZHフィナンシャルリサーチ
東京都中央区明石町 8-1 聖路加タワー32 階
週間展望・回顧(豪ドル、南ア・ランド)
September 30, 2016
RBA はインフレ馬鹿ではない
◆ロウ新総裁、RBA はインフレ馬鹿ではないと発言
◆RBA 理事会は慎重な金融緩和策を継続へ
◆ZAR は米大統領選絡みで荒れることも
予想レンジ
豪ドル円 74.00-81.00 円
南ア・ランド円 6.80-7.80 円
10 月 3 日週の展望
ロウ豪準備銀行(RBA)新総裁が 22 日、議会の経済委員会に出席した。総裁に就任してから公式の
場で発言するのは初めて。全般的にハト派色が薄かったと受け止められたほか、RBA は 「inflation
nutters(インフレ馬鹿)」ではないという発言が目を引いたらしく、一部のメディアが大きく取り上
げた。世界的な物価低迷を考慮せずに 2%の物価目標にこだわり続ける中銀は、もしかしたらインフレ
馬鹿なのかもしれない。
ロウ総裁は豪州で採用されている 2-3%のインフレ目標は柔軟な目標であり、「RBA はインフレ馬鹿
ではない」と語った。年々のインフレ率の変動は避けられず、妥当であると認識していると述べ、2-3%
に固執している印象を与えなかった。景気浮揚のため現状の金融緩和策は適切であるとしているもの
の、追加利下げの可能性を強く匂わせなかった。主要国の悩みのタネである低インフレに関して、追
加利下げで物価安定の責務を達成できるかどうか定かではない。むやみな利下げのリスクにはスティ
ーブンス前総裁も言及しており、ロウ総裁も見解を共有しているようだ。
ロウ総裁は柔軟なインフレターゲットを採用していることを強調し、インフレ目標の修正議論に釘
を指した。現行の豪州のインフレ目標は他の主要国と比較して、高めのインフレ率が設定されており、
現状にそぐわないという見方があるが、物価を柔軟に見通していくことで現行のインフレ目標を維持
することが可能である言いたかったのだろう。ただ、高めのインフレ目標を維持することは、追加利
下げの必要性を意識させることから豪ドル安要因になる。ロウ総裁はできる限り豪ドル高の抑制を続
けるようだ。
これまでの金融緩和策に関しては、
「雇用環境や経済活動を支援し、持続可能な成長見通しを改善さ
せている」と述べた。RBA 理事会の声明文の内容がほぼそのまま示された。政策金利の引き下げによる
貯蓄者の収入減をかなり懸念しているとしたが、全体的には低金利政策に妥当性があると語った。
ロウ総裁の一連の発言に強いメッセージはないものの、慎重に金融緩和を続けるようだ。市場参加
者が抱く利下げありきの豪金融見通しとは温度差が感じられる。
南ア・ランド(ZAR)はドルを軸に荒れるかもしれない。11 月の米大統領選に向けて、トランプ氏が
勝利する可能性が高まるなら金融市場は大きく揺さぶられるだろう。トランプ氏のこれまでの破天荒
な発言から、トランプ・ショックが警戒されている。ただ、トランプ・ショックに最も神経質なのは、
株式市場やメキシコペソ、円であり、ZAR の変動は穏やかかもしれない。
9 月 26 日週の回顧
豪ドル/ドルは底堅かったが、このところのレンジ内を維持した。資源国通貨の一角としてわずか
な変動はあるものの、短期的な振れは大きくなっていない。対ドルで ZAR はしっかり。最近の ZAR 高・
ドル安の反動はあったが、ZAR の下値は限定的だった。(了)
本レポートはお客様への情報提供のみを目的として作成したもので、売買の勧誘を目的としたものではありません。実際に投資をなさる場合の最終ご判断は、お客様ご自身でご判断なさる
ようお願い致します。本レポートを原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については一切補償には応じません。 Copyright DZH Financial Research, Inc.