学習予定日 月 日 学習日 月 日 2・1 ISO規格の特徴と構成 (1) ISO9000ファミリーで要求している品質保証とは何か 「品質保証」ということを考えるとき、ISO9000ファミリーで要求している 考え方と従来の日本の考え方には差があります。 〈ISOと従来の日本の品質保証の違い〉 >ISOの品質保証(ISO9000:2000 3.2.11 品質保証より) 品質要求事項が満たされるという確信を与えることに焦点を合わせた品 質マネジメントの一部。 >従来の日本(JIS)の品質保証(JIS Z 8101 品質管理用語 G7 品質保証より) 消費者の要求する品質が十分に満たされていることを保証するために、生 産者が行う体系的活動。 日本の製品の品質レベルは、世界でトップレベルにあると考えている企業が 大半でしょう。日本のQC活動は確かに世界でも有名です。日本の品質に関す る取り組みは、顧客の要望を反映させながらも、企業が主体的に品質レベルを 決め、製品を作りあげて市場に供給してきました。 しかし、これらの取り組み方は各企業独自のものであり、外部の人間(顧客) から見ると、その企業の品質レベルに対する信頼は、はなはだ不明確であると いえるでしょう。つまり、どのような品質マネジメントシステムがその企業で つくられており、その実施状態がどのレベルにあるのかがわからないというこ とです。 しかも、それぞれの部門の業務マニュアルも、あるにはあっても現実にそれ がどのくらい守られているかはわかりません。個人の機転が重要視され、ルー ルが無視されていることもあります。 一方、このような仕事のやり方を欧米側から見ると、 「良いものが作られてい くという、品質を保証できる裏付けが見えない」ということになります。 20 C 2007 JMAM ○ 日本の品質保証は企業側の発想であり、欧米の品質保証は顧客側からの発想 であるともいわれますが、ISO9000ファミリーでは、顧客側の発想でしくみ が考えられています。すなわち、供給する製品が、 (品質マネジメントシステム) 要求事項を満たしているという信頼感を、顧客に客観的に与えられることが要 求されているのです。 (2) 品質を保証する2つの形(内部での品質の保証と外部による品質 の保証) 品質の保証のしかたは、 「内部での品質の保証」と「外部による品質の保証」 の2つが考えられます。 〈内部での品質の保証と外部による品質の保証〉 >内 部 で の 品 質 の 保 証:組織内において、信頼感を与えること。 >外部による品質の保証:顧客との契約または組織の独自の要望で、顧客 に対して信頼感を与えること。 1)内部での品質の保証 ISO9000ファミリーの規格では、品質マネジメントシステムの維持を継続 させるために、社内における内部監査を要求しています。この内部監査によっ て、自社の品質マネジメントシステムの実施レベルを判断し、必要があれば改 善を要求しています。 2)外部による品質の保証 外部による品質の保証というのは、顧客または第三者の機関によって行われ るものです。 顧客によって行われるということは、顧客と組織が契約を結んだときに、そ の契約のなかで顧客が審査をするという取り決めがされた場合に実施されます。 この場合の実際の審査は、顧客自身が行うこともあれば、顧客が依頼した第三 者の外部の審査登録機関が行う場合もあります。 組織の独自の要望によるものは、組織がいろいろな国々や顧客と取引を希望 し、その際に公認の審査登録機関の認証がほしいときに行われます。 21 C 2007 JMAM ○ (3) ISO9000ファミリーの規格の構成 ここで、ISO9000ファミリーのそれぞれの規格の構成について見ておきま しょう(前出の図表1−1参照) 。 各規格の位置づけは、「ISO9000 品質マネジメントシステム−基本及び用 語」の序文によると、つぎのようになっています。 〈各規格の位置づけ〉 >ISO9000(品質マネジメントシステム−基本及び用語) 品質マネジメントシステムの基本を説明し、また品質マネジメントシス テムの用語を規定している。 >ISO9001(品質マネジメントシステム−要求事項) 組織が顧客要求事項と適用される規制要求事項を満たした製品を提供す る能力をもつことを実証することが必要な場合と、顧客満足の向上を目指 す場合の、品質マネジメントシステムに関する要求事項を規定している。 >ISO9004(品質マネジメントシステム−パフォーマンス改善の指針) 品質マネジメントシステムの有効性と効率の双方を考慮した指針を提供 している。 この規格の目的は、組織のパフォーマンスの改善と、顧客やその他の利 害関係者の満足である。 >ISO19011(品質及び/又は環境マネジメントシステム監査の指針) 品質マネジメントシステムと環境マネジメントシステムの監査の手引を 提供している。 これらを総称して、ISO9000では、 “ISO9000ファミリー規格” と呼んで います。 なお、ISO19011「監査のための指針」という規格は、従来の環境マネジメ ントシステム監査に関する規格と品質マネジメントシステム監査に関する規格 を統合したものです。2000年12月に各規格が発行された後も統合作業が続けら れ、2002年10月に発行されました。 22 C 2007 JMAM ○ (4) 文書化が要求される ISO9000ファミリーは、その企業の品質マネジメントシステムの計画の妥 当性(規格の要求事項に適合しているかどうか)と、その品質マネジメントシ ステムの実施の妥当性(計画された品質マネジメントシステムがそのとおりに 実行されているかどうか)を、だれが見てもわかるように証明できなければな りません。 たとえば、現場の作業者が、決められたとおりの作業をしているかどうかは、 その作業に関する標準書と実際の作業を見比べてみなければわかりません。この ように、仕事の手順、役割、やり方が書かれたものがなければ、内部でのチェッ ク(内部監査)もできませんし、外部のチェック(外部審査)もできません。 この書かれたものが、文書といわれるものです。品質マネジメントシステム の文書化されたものは、「品質マニュアル」→「手順書」→「標準書」→「記録 類」といわれる形態で表されます。 どんな内容のものを文書化しておかなければならないかについては、ISO 9001の要求事項の解説で触れますが、要求事項の内容を満たしたものを作成し、 しかもこれをきちんと維持し続けなければなりません。 だれが見ても明快に証明する方法としては、この文書化という方法が一番良 いという考え方ですので、これに従うしかないと割り切るべきでしょう。 〈文書化の必要性〉 >品質マネジメントシステムの保証 ・計画した品質マネジメントシステムが、規格の要求事項に適合してい るか。 ・その品質マネジメントシステムは、どんな運用がされているか。 U 内部監査:それを内部で確かめる 外部審査:それを外部で保証してもらう U 品質マネジメントシステムを文書化したものが必要 23 C 2007 JMAM ○
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