首都圏の鉄道業における若年女性喫煙率の最近 5 年間の変化

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首都圏の鉄道業における若年女性喫煙率の最近 5 年間の変化
谷澤
有美、神奈川 芳行、内山 寛子、湯口
JR東日本健康推進センター
【背景】 近年の健康意識の高まりを踏まえて、
職場や公共施設、公共交通機関等での分煙化が普
及し、また、未成年者の喫煙対策としてタスポの
導入や、たばこの値上げなど、喫煙に関する社会
的な環境が大きく変化し、わが国の喫煙率は年々
減少し続けている。その一方で、若年女性の喫煙
率の上昇が指摘されており、妊娠への影響など健
康被害が心配されている。当社では、雇用機会均
等法の改正を受けて、女性の深夜勤務が可能とな
ったことから、1999 年度以降、積極的に女性社員
の採用を進めており、若年女性が増加している。
今回、首都圏某エリアの若年女性の喫煙状況を調
査したので報告する。
【方法】 2007 年度から 2011 年度までの 5 年間
の定期健診を受検した、某エリアに勤務する 34
歳以下の女性社員(駅員等や乗務員)を対象とし
た。調査内容は、健診時の自記式問診票の内、喫
煙に関する部分を集計した。具体的には、喫煙状
況に関する4つの選択肢の中から、
「毎日吸う」、
「たまに吸う」と回答した 2 群を「喫煙群」、「吸
ったことがない」、「止めた」と回答した 2 群を
「非喫煙群」とし、喫煙率を調査した。また、喫
煙本数や喫煙期間を調べ、喫煙期間から喫煙開始
恭利
年齢を推計した。
【結果】 5 年間で計 271 名、延べ 637 名(平均
年齢 25.1 歳)から回答を得た。回答した 271 名の
内、喫煙経験無しは 216 名、喫煙経験有りは 55
名であった。喫煙経験有りの 55 名の内訳は、喫
煙中 26 名、既に禁煙していた者 12 名、新たに禁
煙した者 13 名、禁煙と喫煙を繰り返した者 4 名
であった。調査期間中に新たに喫煙した者はいな
かった。喫煙本数(回答 25 名)は平均 11.6 本、
喫煙期間(回答 17 名)は平均 4.7 年であった。推
計した喫煙開始年齢(回答 18 名)は平均 20.3 歳
であった。年度毎の喫煙率を表1に示す。2009 年
度から 2010 年度にかけて喫煙率の低下を認めた。
駅員等に比べ乗務員の喫煙率はほぼ 2 倍であった。
【考察】 2010 年度の喫煙率は、前年の約 60%に
低下し、2011 年度もほぼ同じ程度で維持されてい
た。その理由として、2009 年の 4 月・9 月に駅構
内及び車両内の全面禁煙を行い受動喫煙対策や
分煙化を進めたことや、たばこの値上げが社員の
喫煙状況に影響したものと推察される。今後、職
務間で喫煙率の差が生じている理由や男性の傾
向についても調査したい。
表1. 過去5年間の若年女性の喫煙率の推移
年度
のべ人数(人)
喫
吸ったことがない
煙
やめた
状
毎日すう
況
たまにすう
喫煙率(%)
駅員等(人)
非喫煙群
喫煙群
2007
2008
2009
2010
2011
121
126
112
148
130
93
95
89
123
110
8
10
7
12
9
19
15
12
9
7
1
6
4
4
4
16.5
16.7
14.3
8.8
8.5
86
105
90
120
104
職
平均年齢(歳)
24.9
24.8
25.6
25.3
25.4
務
喫煙率(%)
12.8
14.3
12.4
7.5
7.7
別
乗務員(人)
35
21
22
28
26
平均年齢(歳)
23.7
25.1
24.4
24.8
25.5
喫煙率(%)
25.7
31.6
22.7
14.3
11.5