第80号

記 録 す る 会 通 信 第 80号
2011.9.9
連絡先:代表
赤羽=72-3115
副代表 高木=70-1011
発行:戦時下の二宮を記録する会
HP http://www.scn-net.ne.jp/~akabane/index.htm
つぶやき
◇8月、記録する会は、二人の仲間を喪いま
した(合掌)
稲波 淑子さん (80歳 )。
会発足以来のメンバーで、会の会計を預か
って戴きました。二宮育ちで地元に顔が広く
沢山の情報を会に寄せてくれました 。その上 、
地図を読むことが趣味で 、『ひとしずく1号』
に「 1940年・二宮大火の被災図 」、
『 3号 』
に「谷津地区の戦中・戦後の対比地図」を載
せています。
(8月21日平塚市民病院にて永眠)
荒川 家澄さん (92歳)
「二宮・大磯9条の会」を呼びかけた、お
一人。 昭和16年に甲府に入隊。北支山東
省を警備する独立歩兵110大隊に転じ、討
伐作戦に出動し戦火をを浴びた。暗号手を命
じられ旅団司令部に勤務した。
本土防衛部隊に転じるため列車で移動中、
北鮮で下車、ソ連参戦を外国放送で聞く。
15日大隊長から戦争終結を告げられ、21
日自主武装解除。師団参謀の会話から、シベ
リア行きと察知し 、単独脱走し 、服装を変え 、
食糧をもって徒歩で38度線を越えて京城に
達し朝鮮軍司令部に出頭した。釜山港にて内
地への船便の無いことをしり 、機帆船を盗み 、
同行20名と博多に上陸した。
機敏な状況判断で自主的に行動し、生還し
た 4 年 間 の 軍 隊 生 活 で あ っ た 。『 ひ と し ず く
2号』に荒川さんの手記の一部を掲載させて
戴いた。 (8月28日ご自宅にて永眠)
◇新しい態勢で、東日本大震災と福島原発事
故の復興を図って欲しい。
決戦投票で逆転勝利した野田佳彦代表を支
える 、党( 幹事長・政調会長など )と政府( 大
臣・副大臣・政務官等)と、衆参両議会の委
員長なども決まった。新鮮な顔ぶれもあり、
総じて若返りの印象である。
世論(支持率)も上昇した。鍵は、このメ
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副代表 藤田(兼・事務局担当)
=080-5192-9774
ンバーで何を変えるのか、いつ実現出来るの
かにあると考える。
(赤羽)
◇代表民主主義から創発する民主主義へ
▽ 時たまテレビで放映された議会中継で見る
野党の質問ぶりを見て、代議制民主主義の危
機を感じていた。8月22日の朝日新聞社説
「 な ぜ 続 く 短 命 政 権 」、 同 日 の 座 標 軸 「 二 院
制と選挙制度」で、共に「劣化極まる政治・
選挙制度の抜本改革」を唱えていた。
また9月3日のオピニオンは、MIT大学
のメディアラボ所長伊藤穣一氏へのインタビ
ューを掲載。彼は新しい政治のあり方「創発
民主主義」を提唱している。果たしてそれは
夢か、革命か、と……
- 創発とは -
アリは一匹一匹に高い知性は無いが、群れ
としては複雑な共同作業(巣をつくり、ゴミ
捨て場や仲間の墓地もつくる)をする。個々
の単純な動きが相互に作用し、ボトムアップ
で思いがけない高度な秩序が生まれる。そう
いう現象を創発と呼びます。例えば、都市計
画でもトップダウンよりも、住民の相互作用
から生み出された街並みの方がうまく行く。
これも創発です。そういう現象が政治にも生
じてきます。
- 米国に 『討論型世論調査』 という試みが
ある。無作為に抽出した普通の人々を一ヶ所
に集め、税制・年金とかの問題を数日間議論
して貰う。すると一人一人のレベルを超えた
深い意見が出る様になり、全体としての判断
も、より適切な方向に変化して行く。これも
「 創発的な相互作用 」です。
「そのようなプロセスが、インターネット
の普及で発生し易くなってきた。人々はネッ
トを通じ、必要な情報を独自に集め、思考を
深め、お互いの間で質の高い議論を自己組織
的に交わしている。人々はだんだんに賢くな
っている」
「従来の代表民主主義は、国民が代理人とし
ての政治家を選挙し、彼らに政策決定を委ね
ます 。人々が自分で判断し発信出来るならば 、
政治家に何かを決めて貰う必要は無くなる」
「草の根から、現場から、直接民主主義に近
い 政 治 秩 序 が 生 ま れ る 。 そ れ が 夢 で す 」「 現
代世界は国際関係も経済関係も、複雑化し変
化も激しい。政治家たちが全部を理解し、正
しい判断を下すとは、とても思えない」
「今回の原発事故のように、世の中で起き
ることは、既成の理屈やモデルでは想定も説
明も出来ないことが多い。その事態に機敏に
適切に対応することは、いまの中央集中的な
政治には出来ない」
「 複雑化する世界の中で唯一生き残る方法は 、
意思決定の権限を分散して行くことです。 現
場 主 義 で す 」「 企 業 を 見 て い て も 、 イ ノ ベ ー
ションとか新しいものは、殆ど現場の端っこ
から来る。問題解決の知恵や情報・アイデア
は思わぬところにある 。それをうまく集めて 、
形にしていけば、政治家には出来ないような
結果をだせる。ネットとかソーシャルメデイ
ァは、その過程をサポートする強力な道具で
す」 - そう なると政治家は、もういらなく
なってしまう。政治家は指導者というより、
進行役とか世話役、管理人といった役割にな
るのでは 」「そういう存在は必要でしょう」
-「 構想を最初に提唱したのは 2003 年です 。
当時はブログを念頭に置き考えていた。人々
間の議論を深める点では役に立った」
「ただ議論だけでは世の中は変わらない。
皆が実際に動く必要がある。人間と人間がつ
ながって共に行動を起こさなければならない 」
そういう面で、フェイスブックやツイターが
今回中東各地で大きな役割を果たしたことは
重要です。中東で起きていることは、創発民
主主義の重要な実験台になっていると思う」
「ソーシャルメディアが若者たちに与えたの
は 勇 気 で す 」「 僕 も 日 本 の 政 治 家 や 官 僚 と 交
流し意見交換してきたが、彼らは不透明な貸
し借りや利害関係に絡め取られ弱みやしがら
みの中で生きている。だから思い切ってバッ
ト を 振 れ な い 」「 政 治 の た め の 政 治 、 権 力 を
手にする為のゲームに99%の頭を使ってる 」
「 こういう政治のやり方では 、何党に限らず 、
日本を変えるのは不可能に近いのでは」
○ネット界先端を行く伊藤さん、アイデア間
の競走が大切、伝統的な仕組みとのハイブリ
ットの結実を楽しみにしているという。
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本の紹介
◎『日本人はなぜ戦争へと向かったのか』
NHK取材班編著:NHK出版……この本は 、
2011 年が、太平洋戦争に突入した年から数え
て70年になるので、 NHKスペシャル とし
て1月9日・16日、2月27日、3月6日
に放映した番組の素材を、上・下2巻の書物
に改編したものです……“はじめに”の一部
を引いて、この課題に取り組んだ意図をお伝
え し ま す 。【 N H K で は 毎 年 数 多 く の 戦 争 に
関する番組を放送しています。信じがたい数
の人々が犠牲になった沖縄戦や本土空襲、そ
して原爆。凄まじい戦場での惨劇。アジア各
地に進軍して民衆を蹂躙した侵略の側面…】
それらの災禍の記憶の風化も激しく、こう
した歴史の継承はより重要度を増しています
とみ
が、最近頓に強く聞かれるようになった声が
ありました。それは、あのような無謀な戦争
になぜ突入したのか、という問いかけです。
この問いは東京裁判のメインテーマでもあ
って、これまでに多くの研究者やジャーナリ
ストが挑んできた、とてつもなく大きな問題
意識です。然し乍ら私たちは、過去の風化が
すすむなかで、答えが出せる筈がないにして
も、多くの方、とりわけ若い世代の人たちに
この問題意識共有してもらい、考えるきっか
けになるような番組を目指すことにしました 。
それが2011年の年頭から放送すること
になった『日本人はなぜ戦争へと向かったの
か』というシリーズです。
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放送に先立ち、番組取材班とNHK放送文
化 研 究 所 は 世 論 調 査 を 実 施 し ま し た 。「 日 本
がアメリカと戦争した理由について」…知ら
ないと答える人が半数以上でした。
「日本が真珠湾攻撃をして太平洋戦争が始ま
った日を知っているか」=[12月8日と答
えた人は全体の28 .4% 」に留まりました 。
ア メ リ カ で は 、「 リ メ ン バ ー ・ パ ー ル ハ ー
バー」は今でも使われる言葉ですし、中国で
は満州事変が起きた9月18日を記憶に刻も
うという動きが強いことも考え合わせると、
今後日米間、日中間で認識ギャップが更に進
むことも予想されます。
中でも下巻4章「“ 非決定”が導いた戦争」
は、新しい視点です。一読をお勧めします。
【編集発行責任 赤羽興三郎】