間々田中学校 校舎 〈目次〉 学校経営参画を実現する 「事務部経営計画

間々田中学校 校舎
〈目次〉
◆学校経営参画を実現する
「事務部経営計画」
◆間々田中 事務部のスタンス
◆間々田中 学校事務経営計画
◆事務部 評価報告
ジャガマイタ祭り
ジャガマイタくん
「学校経営参画を実現する事務部経営計画」
小山市立間々田中学校 事務長 谷藤朝雄
はじめに
自民党が参議院選挙で大勝し、アベノミクスによる次元を超えた景気対策と2020年オリンピッ
ク東京招致の追い風の中で、日本経済にも明かりが見えつつあると言われています。一方、東日本大
震災の爪痕は未だ癒えず、原発事故の終息も先が見えません。TPPの外圧、消費税増税、また、世
界経済の回復は、相変わらず力強さに欠け、日本の景気動向も不透明の状況が続いています。
さて、教育現場に目を向けると、60年ぶりに教育基本法が改正され、「生涯学習型社会」の構築
を目指した教育改革が実効あるものとして、例えば「コミュニティスクール」など目に見える形で導
入されてきました。地方分権と教育の規制緩和の流れから、従来の画一的な公教育の在り方を改め、
特色ある学校づくりや、学校の自主性・自律性の拡大、あるいは創意と工夫をもった、校長のリーダ
ーシップと経営手腕が問われています。いま学校は「21世紀を担う子どもたちの豊かな育みのため」
確固たる見通しと戦略をもった学校経営が求められています。この様な変革の時代にあって、私達学
校事務職員も前例踏襲にとらわれることなく、校長を支える基幹職員として学校経営に積極的に参画
しなければなりません。
なぜ、事務部経営計画が必要か?
事務部経営計画は、すでに全国各地で取り組まれています。各職能団体から研究発表や実践例の報
告も多く、何ら新しい課題ではありません。ずいぶん昔の話になりますが、私が採用された当時、栃
木県において学校事務職員の研修と言えば「職務内容の明確化・確立」が主要なテーマでした。やが
て「事務職員の標準的職務内容」が県教育委員会から示されるに至り、私達の関心事は、職の質の向
上を目指す上からも、次第に「学校経営への参画」へと移ってきました。その学校経営参画への有効
な手法の一つが経営サイクル(マネジメントサイクル)を踏まえた「事務部経営計画」だったわけで
す。学校事務職員が「読み、書き、ソロバン」いわゆる給与・旅費・福利厚生等の作業事務で完結す
るものと考えるとするならば、アウトソーシングでも十分に対応でき、やがて職としては淘汰される
運命を背負うでしょう。
「事務職員」の頭に「学校」と言う冠がついていることに注目してください。
私達は学校教育の使命である、子どもの「生きる力」を育むという基本理念の実現を目指す現場にお
ける唯一の行政職員です。そして教育活動が円滑に実施されるため、ノンティーチングスタッフとし
て一般社会の目線に立った適正でメリハリのある予算の執行、施設設備の充実(危機管理)、教材備
品等の整備を担う学校事務の活性化をアピールしていかなければなりません。事務部経営計画は、こ
れまで学校教育活動の中で「縁の下の力持ち」等と例えられ、見えづらく曖昧だった学校事務を文書
化した「学校事務職員ビジョン」であり「子どもたちのために何をめざし、具体的に何をやるか?の
マニュフェスト」なのです。また経営計画を学校内外に発信することにより、透明性のある開かれた
学校事務や教職員との同僚性、協働体制が期待され、学校事務職員のアイデンティティー形成にも繋
がります。それから、事務部経営計画の必要性を多くの学校事務職員が認識していながら、現場での
定着率は必ずしも高くないとのデーターが報告されています。私達は日々職務上の様々な問題を抱え
ています。問題とは一般的に「目標と現状のギャップ」であり、それを埋める有効なツールとして事
務部経営計画を捉えてみてはどうでしょう。特に経験の浅い若い学校事務職員にとっては、強い味方
(武器)になるはずです。本校においては、教育計画の中に「事務部経営計画」が綴られて、私の机
上に置いています。日々多忙な中にあって、仕事への迷いやブレを感じた時にも「原点」に立ち返る
ことにより軌道修正ができる効果も見逃せません。
事務部経営計画の作成に当たって
ここで具体的な「事務部経営計画」の実際について私案を述べてみたいと思います。はじめに多く
の学校事務職員が単数配置の現状の中にあって、個人(職種)としての事務部経営計画か、組織とし
て取り組む事務部経営計画かが問題になります。「特色ある学校づくり」を目指す校長の学校経営計
画や経営戦略が十人十色であると同様に、事務部経営計画も各学校の実情に応じたオリジナルな色合
があって然りとも思いますが、マネジメントサイクル(P・D・C・A)の中で、事務部経営計画に
は事務部評価が伴います。ここで一般企業において試みられてきた「成果主義」についてふれてみた
いと思います。私の友人に、いち早く「成果主義」を取り入れた日本を代表する某大企業の部長がい
ます。その会社では、
「個人の成果主義」の限界と壁に気付き、
「部署」や「グループ」での評価へと
見直すことによって業績が回復し社員の士気が高まったそうです。年功序列、終身雇用の中で高度成
長を成し遂げてきた日本の風土には、どうも欧米型成果主義は馴染まないらしいのです。「賢者は歴
史に学び、愚者は経験に学ぶ」と言います。学校事務も組織の人・物・金・情報を効果的に機能させ
ながら、教務部や学習指導部等との同僚性と協働体制の中で遂行されるとするなら、事務部経営計画
も個人より組織として捉えるべきだと考えます。
一般に「事務部経計画」の構成要素としては次の表のような要素があげられます。
事務部経営計画の構成要素
○○学校事務部経営計画
前
文
基本目標
事務部基本目標
学校教育目標
経営目標
具体策
基本目標
基本方針
達成目標
具体的活動
経営方針
事務部評価
上記の図は、平成20年度の「栃木県公立小中学校事務職員研究協議会」第2分科会で足利市立小
中学校事務職員研究協議会より提案されたものですが、事務部経営サイクルの全体像をイメージする
うえで大変分り易い構図になっています。これはあくまでもサンプルであり、全ての構成要素が満た
されなければ、
「事務部経営計画」が作成できないわけではありませんし、決められた形式があるわ
けでもありません。近隣の先輩事務職員や学校長のアドバイスを仰ぎながら、自校の特色を生かした
オリジナル溢れた自分色の経営計画を作るべきです。私は山歩きを趣味としていますが、山頂へ到る
道はひとつではないのです。
次に事務部経営計画を実施する上でのマネジメントサイクル(P・D・C・A)の留意点について
ですが、特に初年度については、Plan(計画)の前にResearch(調査)が必要です。
〈Research〉
(調査)
自校の抱える様々な課題を見出し、現状を十分に把握しましょう。例えば、企業が新しい事業を試
みる場合、必ず周到な市場調査をするものです。民間で培われた発想や手法を学校経営(事務部経営)
に導入するセンスは、学校を良く変えていく意味でますます大切になっていきます。
〈Plan〉(計画)
教育目標を事務部として具体化していくわけですから、自校の目指す方向性や教育活動との関連性
が最も重要です。ただ校務分掌上は主に2系統(教務・事務)に大別されながら、学校経営計画や方
針の中に事務部に関わる項目が見出せない学校が何と多いことでしょう。そもそも予算を抜きにした
学校経営があろうはずはありません。民間的発想であれば考え難いことです。皆さんの学校はどうで
しょう?計画の段階で事務部経営計画と学校教育目標(経営計画)や学校経営方針との摺り合わせをし、
実行性のある経営計画を構築することが必要です。
〈Do〉(実行)
計画に基づき、同僚性や協働体制の中で継続的な実践が求められます。ただ、実行の過程で環境や
時代の変化に臨機応変に対応する柔軟性(フットワーク)も重要です。学校の目的は児童生徒の教育
ですが、最近では地域コミュニティの役割を担うなど多機能化しています。また学校支援地域本部事
業に代表されるように、地域社会で学校を支援する施策やシステムも導入されました。学校事務職員
には、予算や法的な面はもとより、情報・渉外・調整等から学校経営への参画が期待されます。
〈Check〉(評価)
私は、事務部経営の心臓は「評価」だと考えます。教育3法の改正により、学校評価の実施・公表・
届出が義務付けられました。事務部経営計画の評価も学校評価の一部として行われるべきです。私達
はこれまで評価されることに馴れてはいませんでした。実際、評価されることに抵抗を感じる人や消
極的な人も多いでしょう。しかし評価とは、個人の優劣をつけることではなく、自校の現状や問題点
を組織として認識し、学校を改善しステップアップするために実施するものです。評価自体は目的で
なく手段であることを全職員が共通認識しなければなりません。また評価には客観性や透明性が求め
られます。基本的には内部評価(教職員)を数値化し、自己評価と比較しながら、フィードバックさ
れなければなりません。共同実施をやっている地区では、同じ評価項目について複数校で実施、評価
結果を比較するのも興味深い取り組みでしょう。ただし評価数値が一人歩きすることは避けなければ
なりません。
Action(改善)
客観性のある評価と適正な分析がなされれば、見直しの方策は自ずと見えてきます。改善の手法と
してSWOT分析やKJ法なども効果的と考えられます。
おわりに
これまで事務部経営計画の作成や評価についての私案を述べてきました。学校経営とはそれを構成
する多くの部門経営の集合体であるとするなら、事務部経営計画は、学校事務職員が学校経営に主体
的・積極的に参画するための第一歩なのです。オバマ大統領就任時の言葉に「今、私達に求められて
いるのは、新たな責任の時代!」
「Change!」
「We Can Do!」との名言がありますが、全
く学校現場にも通じることです。小さな改善の積み上げのない学校に、大きな学校改革などできるは
ずはありません。事務部経営計画は、学校事務の職としての「夢」や「ミッション(使命)」を文字
として発信することであり、自校における学校事務グランドデザインを描くことなのです。
本日の実践事例発表が、皆さんに事務部経営計画を見つめ直していただく機会になれば幸いです。