所蔵40作品を展示、玉川宣夫さんの作品も

所蔵40作品を展示、玉川宣夫さんの作品も
大山治郎コレクション美術館併設、六朝館
燕三条店オープン
(株)曙産業が運営するギャラリー喫茶として、昭和55年の
開業以来、燕市役所燕庁舎の職員などからも長く愛されてきた、
新潟県燕市白山町2、六朝館の2号店、「六朝館燕三条店」が、
7月31日午前10時、燕市井土巻2地内にオープンした。
喫茶店の隣には、本格的な美術館「大山治郎コレクション美術
館」を併設。美術品の収集家としてだけではなく、地域の美術振
興にも注力していることでも知られる同社会長の大山治郎さんの所蔵する作品を40点ほど展示
している。
大山さんは40年前から美術品を収集。当時は「20
年後、画家がどのように成長するのか」をテーマに、当
時の気鋭作家の作品を集め、彼らの活躍とともに、作品
の価値は上昇。大山さんの審美眼や美術に対する先見性
が証明される形となった。これまでに弥彦の丘美術館で
四度、企画展を開き、合わせて1万人以上を動員してい
る。
「最初はあまり乗り気ではなかった」と話す大山さん
はオープンについて、「美術館建設は遠慮していたが、
常務たちが、『やはり、大勢の人から見てもらうことも大切だ』ということで造ってくれた。こ
の地域は高速道路のインターチェンジや新幹線駅のあ
る交通の要所。最高の場所。また、私は須頃郷開発機構
の理事を長年やってきたので、この地域に何100億円
という投資がされてきた経緯も知っている。現在、この
地域には大型店が多く、喫茶店というものがないように
思う。やはり、市民の憩う場所があるべきではないか。
500円持って1、2時間休める場所が必要だと思った」
とし、「やはり、中央で活躍する現役作家の感性に触れ
ていただくのが、ものづくりの現場にも必要ではないか
と思う。文化のない産業は永続しない。こういったもの
は特定の人が所蔵するのではなく大勢の市民に定着することが燕の産業の発展に重要だろう。道
具は作家の感性によって作られる。その感性にとって、基盤としての文化は不可欠だ」と語った。
また、作品は数カ月おきに入れ替えをし、「現代作家の作品も積極的に展示していきたい」と
大山さん。「みなさんが触れたことのない作家を出していきたい。最近は具象と心象を織り交ぜ
るデザインが絵画の主流になっている。ニューヨークの近代美術で支持されたものが日本にも流
れてきている。そういった新しい傾向のものも見ていただきたい。私自身、現在の若手作家の作
品を集めているが、彼らが20年後、どういった評価を受けることになるか、残念ながら私は知
ることができない。だから、後世に対する物の見方を遺言のように残していきたい」。
なお、同美術館には、このほど人間国宝に認定されることになった燕市花見、玉川宣夫さんの作
品も展示されている。報道後に、玉川さんと親交のある大山さんが直接連絡し、譲渡された作品
で、大山さんは、「すばらしいとしか言いようがない。私は一市民として、(玉川さんの)100
分の1でも地域に貢献できればいいと思っている」と話していた。
また、根強いファンのいる白山町の本店については、
「もちろん続けていく。夜に大勢で会合するようなとき
はあちらの方がいい。こっちは小グループで会話したり、
絵の愛好家が『匂いのする場所』として楽しんでもらえ
たりすればいい。みなさんに足を運んでいただければう
れしい」。
喫茶メニューについては、ドリンクは燕店を踏襲した
ものになっているが、料理についてはランチ需要を想定
して、ランチプレートを前面に押し出していく。またドリンクの中では、カプチーノ(450円)
とエスプレッソ(400円)に力を入れている。
また、同店はフリースポットを設置しており、今月中には使用可能になるとのこと。
営業時間は午前10時から午後10時まで。定休日は毎週木曜日。
問い合わせは同店(TEL0256・66・3388)へ。