第5回 ドラッカー「マネジメント」研究会 No.02 発表資料 2008年9月16日 後藤 辰夫 ドラッカーの著述と日本の現状にみる「マーケティング」と「マネジメント」 1.「マーケティング」について 1)企業の目標の定義は1つ・・・ 「顧客を創造すること」 2)企業が持つ2つだけの基本的な機能 ・・・ 「マーケティング」と「イノベーション」 3)「マーケティングの理想は、販売を不要にすること」 ・・・ 「マーケティングと販売は逆」 顧客を理解し ↓ 製品とサービスを顧客に合わせ ↓ おのずから売れるようにする (cf. 『【エッセンシャル版】 マネジメント』 pp.16-17) <マーケティングの7つの目標> ①既存の製品 ②既存の製品の廃棄 ③既存の市場における新製品 ④新市場 ⑤流通チャネル ⑥アフターサービス ⑦信用供与 (cf. 『【エッセンシャル版】 マネジメント』 p.29) ・利益とは、未来の費用、事業を続けるための費用 「利益計画の作成は・・・極大化についてではなく必要額につ いての計画でなければならない。」 (cf. 『【エッセンシャル版】 マネジメント』 p.35) <cf. 「プッシュ戦略」と「プル戦略」> ・「プッシュ戦略」・・・セールス中心 ・「プル戦略」・・・広告、プロモーション中心 <cf. コトラーの考えるマーケティング> ①マーケットリサーチ ↓ ②セグメンテーション(区分) ↓ ③ターゲティング ↓ ④ポジショニング(自らの位置づけ) ↓ ⑤仕事(製品、サービスの仕様、宣伝、販売)の設計 ↓ (宣伝 販売) (cf. 『非営利組織の経営』 pp.83-94 第II部 第3章) <マーケティングミックス(4P)> ・Product(製品) 製品、サービス、品質、デザイン、ブランド 等 ・Price(価格) 価格、割引、支払条件、信用取引 等 ・Place(流通) チャネル、輸送、流通範囲、立地、品揃え、在庫 等 ・Promotion(プロモーション) 販売促進、広告、ダイレクトマーケティング 等 (ジェローム・マッカーシーが1961年に提唱) ◆マーケティング≠セールス(マーケティング≒営業)⇔近年の日本では「営業」と「セールス(販売)」が同義化してきている? ・・・販売経路の短縮、メーカー直販化傾向、しかし顧客を無視した販売ノルマ →若者の「営業」離れを加速化 2.「マネジメント」について ・組織の目標・・社会、コミュニティ、個人のニーズを満たす ・マネジメント・・・ それら組織の中核機関 <マネジメントの役割> ①自らの組織に特有の使命(目的)を果たす ②仕事を通じて働く人たちの目的を果たす。 (自己実現を図る手段) ③自らが社会に与える影響を処理するとともに、 社会の問題について貢献する + ④既に知られているものを陳腐化し、明日を創造する 「マネジメントが何をするかは、社会の関心事ではない。社会 が関心事を持つのは結果である」 (cf. 『【エッセンシャル版】マネジメント』 pp.9-10) <自己実現理論(マーズローの欲求段階説)> ①生理的欲求 ↓ ②安全の欲求 ↓ ③親和(所属愛)の欲求 ↓ ④自我(自尊)の欲求 ↓ ⑤自己実現の欲求 欲求には優先度があり、低次の欲求 が充足されると、より高次の欲求へと 段階的に移行するものとした。また、 最高次の自己実現欲求のみ、一度充 足したとしてもより強く充足させようと 志向し、行動するとした。 (アブラハム・マズロー (1962) ) ◆「自己実現」に向けて下位段階の欲求は十分に満たされてい るか? 『X理論・Y理論』 【X理論】 ①普通の人たちは生まれつき仕事がきらい ②たいていの人間は、強制、命令、処罰などを伴うことなく企 業目標達成のため十分な力を発揮することはない ③普通の人間は命令されることをより好み、責任を回避した がり、あまり野心を持たず、何よりも安全を求める ↓ 【Y理論】 ①仕事で心身を使ものは当たり前のことであり、遊びや休憩 の場合と変わりない ②外からの統制や威圧のみが企業目標達成に努力させる 手段ではない ③投入する努力の度は、目標達成に伴う報酬次第である ④普通の人間は安全が脅かされぬ限り責任を引き受けるば かりか進んで責任を取ろうとする ⑤企業内の問題を解決しようとする工夫を凝らす能力はた いていの人に備わっている ⑥現代の企業においては、日常、従業員の知的能力のほん の一部しか生かされていない 1960年に、D. McGregar (マグレガー)が提唱した経営理論。 X理論からY理論への変換によって、組織の雰囲気が変わ ることを指摘 ・人間は、自らが関与した目標であれば、自ら進んで責任を 果たそうとする ・企業目標は、個人の目標と統合されたときに能率的に達成 できる(統合の原則) ◆「Y理論」への変換が十分に進んでいない? (本来進むべき、知識労働者に後退傾向?)
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