推薦の ことば この度, 医療 ジ ャー ナル社 か ら藤 田次郎教授 ( 琉球大 学 医学部 第- 内科)が編 集 した 「 肺 炎 の画像 診 断 と最新 の診 療」とい う教科書 か上梓 された。 筆者 は書評 を依頼 され た関係 で, ゲ ラ刷 りの段 階か らその全 ての章 に 日を通 す こと とな った。読 み終 わ るの に実 に約 1カ月 を要 した。 そ して全編 を飾 るその内容 の豊 富 さ と力強 さに圧倒 された。 この本 の執筆 を担 当 して い る方 々の顔 ぶれ の凄 さにまず驚 か され た。 日本 の一流所 の肺感 染症研 究 者名 が並 べ られ, それ ぞれの長年 の研 究成果 とその臨床応用 が余す所 な く臨床家 に分 か りやす く解 説 され, しか も最 先端 の知識 が鎮 め られていたか らであ る。 0歳前後 の比較 的若 い大学 附属病 院の内科教授 で あ る。 その新進気鋭 の彼 編者 の藤 田教授 は まだ 5 が肺 感染症研 究 に携 わ る, これ ら分 野 の異 な る臨床 家達 と早 くも多 くの面識 を持 ち, それ ぞれ の得 意分野 を既 に熟知 して い る とい うこ とで あ る。そ してそれ は,藤 田教授 が多 くの論 文 に 目を通 し,日 本 において どの研 究者 か肺感染症 に関 して どの様 な見解 を披 露 して い るか を知 り尽 くし, かつ,彼 らとす で に交流 して い ることを伺 わせ るか らで あ る。 この本 の執筆者 の多 くは呼吸器科 医 であ るが, 放射線専 門家や病理学者な どが数多 く含 まれて いる。藤 田教授 の人脈 の広 さを伺 い知 る一端で もある。 さて,この教 科書 の内容 であ るか,多 くの執筆者 が異 口同音 に記述 して い ることで あ るか,画像 は あ くまで も実物 ではな く,単 な る影 であ り,肺感染症 は病原微生物 と宿主 との関係 で生 まれ る病態 で あ って,肺 の画像 のみか らその病気 を推定 す るとい うことは,到底不 可能 で あ る とい うことで あ る。 肺感染症 の病原微生物 は, その多 くは径気道 的 に肺 組織 に達 し,何 れか の機 序 に よ り病 態 を作 り 出す。 したが って,肺感染症 とい う病態 を知 るには肺 の局所解剖 を熟知 し,病 院微生物 の詳細 を知 る ことを要 求 され る。 それ に加 え て, その病原微生物 が侵入 す る宿主 の もつ免疫状 態 を基礎 知識 と し て理解 す るこ とで あ る。そのために こそ,肺感染症 の理解 のための専 門家 が呼吸器 臨床 医,放射線 科 医,楠埋 医,免疫学者 な どの広 い分野 に及 ぶ ので あ る。 なかで も,剖検肺 の伸展 固定肺 か ら出発 してその肉眼的観察,薄 切片 の画像,顕微鏡 的病理像 な ど を詳細 に記述 して今 日の CTや HRCT開発 の先駆 け とな った伊藤春海教授 の病 態解 明 の仕方 は実 に 圧巻 で あ る。概 して各執 筆者 の それ ぞれの肺感染症 に関す る研究成果 は どれ も艦 目すべ き ものであ り, この教科書 に 目を通 す だ けで肺感染症 の大部分 が分 か る仕組 み に出来上 が って い る と感 じるの は,私一 人 だ けで はない と思 う。 願 わ くば, この教 科書 の中 に免疫学者 による感染 防御機構 の解説 と種 々の画像診 断法 の利点 と欠 点,適用法 な どの纏 めが あれ ば臨床 家達 に と って よ り分 か りやす く, よ り役 に立 つ もの にな った と 思う。 しか し, この一冊 に 目を通 せ ば肺感 染症 の大部 分 が理解 で きるので, 医療従事者 全 ての人 々に推 薦 で き る良書 で あ る。 2 00 8年 3月 群星 沖縄 臨床研修 セ ンター長 宮城征四郎
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