海外安全対策情報(2013年 7 月~9 月) 1.社会・治安情勢 (1)当地では7月10日から1ヶ月間はラマダン(断食月)であり、ラマダンが明ける と同時にレバラン(断食明け大祭)となった。毎年、ラマダンからレバランの期間は、窃 盗・強盗等の金銭目的の犯罪が増加する時期であるが、本年については、小規模な事件・ 事故は発生したようであるが、当館への深刻な被害についての報告はなかった。 (2)7月1日、メダンの刑務所において大規模な暴動が発生し、収容者200人強が逃 走し、そのうち約100人は現在も逃走中であり、更にその中には4名のテロリストも含 まれていた(テロリスト3名は既に逮捕されており、残りの1名は北スマトラ州での警察 署を攻撃したテロ組織の中心的立場にある人物であり、現在も逃亡中) 。関連性は確かでは ないが、本件事件の発生後、各地の刑務所、拘置所で暴動や収容者の脱走事案が相次いで 発生した。 (3)9月以降,翌年の最低賃金引上げに関連した労働デモが活発化している。ジャカル タ中心部でもインドネシア労働組合総連合(KSPI)等による大規模デモが実施され、 主催者側発表でデモ参加者は3万人にものぼったとの情報もある。今後の賃上げプロセス で政労使で三者協議が進められ、協議結果次第では大きなデモが発生する可能性がある。 2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向 (1)一般的な事情 一般犯罪の傾向としては、強盗(パンク強盗、コンビニ強盗、ATM強盗、交通輸送機 関内強盗等) 、ひったくり、空き巣、スリ等の窃盗事件、殺人事件、誘拐事件、ソフトエア ガンを使用した器物損壊事案等が発生している。特に、強盗に関しては、拳銃を使用した 事案が発生している他、タクシー絡みの強盗事件も7月初旬以降複数件発生しており、警 察官を名乗る者がタクシーに接近し、乗客に対して恐喝を行うといった事案が発生してい る。その他、特に目立った事案として、インドネシア各地で市民や警官に対する発砲事件 が発生しており、本四半期中の発生件数は計20件にも及んだ(タンゲランにおける発砲 事件では、撃たれた警官は死亡) 。 (2)邦人被害事案・邦人がまきこまれた事故 ア、7月初旬、邦人が大使館前のプルマン・ホテル付近を歩行していたところ、数名に左 右から挟まれ、数万円相当のスマートフォンがひったくられる事案が発生した。 イ、7月13日、スンダ海峡において、ダイビングツアーの参加者を乗せた観光用小型船 が悪天候により沈没する海難事故が発生した。同小型船には、邦人6名、インドネシア人 及び第3国からの乗客、乗員を含めて計23人が乗船していたが、事故発生後、偶然付近 を通りかかった船に救助された。後日、インドネシア人の乗客1名の死亡が確認され、1 名が行方不明であるうものの、邦人の死亡者はなかった。 ウ、8月から9月にかけて、高速道路のサービスエリアにおいて、日本からの出張者等が 車上荒らしの被害にあい、鞄を盗まれた。手口は車の鍵をさす所のシリンダーを抜き取る といったものであった。 (3)大使館大型文化事業における犯罪 9月1日から8日にかけてジャカルタ日本祭りが開催された。例年、特に最終日に独立 記念塔(モナス)で開催されるクロージング・イベントを中心にスリ等の犯罪が複数件発 生しているが、本年については、特段大きな事件・事故もなく、会場内で発生したスリ及 びひったくりについては現地警察が現行犯逮捕するなど処理した。 (4)邦人以外の被害事案 8月26日、ガンビル地区のバンク・メガ・シャリアで5人組の犯人による強盗が発生し た。犯人グループは警備員の手足を縛り、犯行に及んだが、ATM機を開けられず、銀行 所有の車輌一台を盗んで立ち去った。犯人グループは同店舗内の現金保管場所を明かさな かった警備員に暴行をはたらいた。 3.テロ・爆弾事件及びその他安全を脅かしうる事件 (1)レバラン直前に、西ジャカルタの仏教施設で爆弾爆発事件が発生し、付近にいた3 名が軽傷を負った。 (2)レバラン前後に、南タンゲランで警察官がバイクに乗った男に射殺される事案が3 件発生し、更に、8月16日にも同種の事件が発生した。主犯格はまだ逮捕されておらず 動機は不明だが、イスラム過激派による犯行の可能性が指摘されている。 4.誘拐・人身売買事件発生状況 西ランプンにおいて、児童の人身売買を行った夫婦が現地警察に逮捕された。本事案では、 犯人夫婦は居住地を転々として行方をくらませていたが、取引の被害者(児童)本人の届 け出に基づき、警察が捜索を続けた結果、犯人夫婦が逮捕されるにいたった。 5.日系企業の安全に関わる諸問題 かかる問題は特段生じていない。
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