15-1 ごんぎつね(4年)

国語科学習指導案
1
単元名
登場人物の思いを紹介し合おう
(4年)
「ごんぎつね」
2 単元について
(1)単元の目標
◎ 場面の移り変わりに注意しながら、登場人物の性格や気持ちの変化について、叙述を基に想像し
て読むことができる。
(読むこと(1)ウ)
○
物語を読んで感じたことや考えたことを交流し合い、一人一人の感じ方に違いのあることに気付
くことができる。
(読むこと(1)オ)
(2)単元の評価規準
国語への関心・意欲・態度
・登場人物の思いに着目し
て読むことに関心をもち
叙述を基に考えたことを
友達と交流したり、読ん
だことを「心のとびら」
にまとめたりしようとし
ている。
読むこと
言語のついての知識・理解・技能
・登場人物の性格や気持ちの変 ・言葉には、考えたことや思っ
化について、会話や心情表現、
たことを表す働きがあること
行動に着目しながら叙述を基
に気付き、文や文章を読んで
に想像して読んでいる。
いる。
イ(ア)
(1)ウ
・物語を読んで想像した思いや
考えたことを交流し合い、一
人一人の感じ方に違いがある
ことに気付いている。(1)オ
(3)指導観と単元を貫く言語活動
本単元は、学習指導要領第3・4学年の目標(3)「目的に応じ、内容の中心をとらえたり段落相
互の関係を考えたりしながら読む能力を身に付けさせるとともに、幅広く読書しようとする態度を育
てる」ことを受け、内容「C 読むこと」「ウ 場面の移り変わりに注意しながら、登場人物の性格
や気持ちの変化、情景などについて、叙述を基に想像して読むこと」「オ 文章を読んで考えたこと
を発表し合い、一人一人の感じ方について違いのあることに気付くこと」をねらいとし、重点を置い
て指導していく。
単元を貫く言語活動として、本単元では、「登場人物が伝えたかった思いを『心のとびら』で紹介
し合おう」を位置付けた。登場人物が相手に届けられなかった思いを「心のとびら」にまとめていく
ことで、より主体的に文章を読み、その叙述から深く登場人物の心情を読み取っていくことができる
と考えたからである。全文掲示を活用しながら、叙述を基に複数の場面を関連付けて、登場人物が本
当に伝えたかった思いについて想像し、「心のとびら」カードにまとめていく。さらに、全文シート
への各自の書き込みを基に、想像した思いを友達と交流し合うことで、互いの共通点や相違点を見つ
けながら一人一人の読みを深めていけるようにしたい。
また、「ごんぎつね」と並行して、「泣いた赤おに」「おにたのぼうし」「かたあしだちょうのエル
フ」を読む活動を取り入れた。これらの本は、登場人物が他の人物に対し深い思いを抱いているが、
その思いが相手に届けられないままに結末を迎える点で共通している。そして、
「ごんぎつね」で「心
のとびら」を作成した後、その読みを適用しながら、並行読書3冊の中から自分が選んだ一冊につい
て読み取り、
「心のとびら」を作成し、発表会を行うこととした。この並行読書を取り入れることで、
教科書の文章だけでなく、より多くの本を叙述を基に深く読もうとする態度を育てたいと考えた。
3
研究主題との関連
本校では、「自分の考えをもち、生き生きと伝え合う子どもの育成~思考力・判断力・表現力をはぐ
くむ言語活動の工夫~」を研究課題として設定し、日々の授業の工夫を行っている。本単元では、研究
の方針(2)(3)の視点に重点をおき、授業を構想した。
(2)自分の経験や知識をもとにして、共通点や相違点を見つける力(比べる力)を高めるために
全体での話合いを取り入れ、互いの読みや考えを交流する場を設定する。その際、各自が想像した
思いを書き込んだワークシートや掲示資料を活用することで、友達との共通点や相違点に気付かせる
ようにしたい。また、登場人物の思いだけではなく、根拠となる叙述も含めて話し合うことで、思い
は同じだが根拠が違う、根拠が同じだが思いは違うことなどに気付かせながら、友達と交流する楽し
さを味わわせたい。
(3)自分の思いや考えを生き生きと分かりやすく伝える力(伝える力)を高めるために
互いに顔を見ながらそれぞれの思いを伝え合わせることできるように、形態を工夫する。みんなが
自分の考えを聞いてくれている、だから話したい、伝えたいという気持ちを高め、自分の思いを生き
生きと伝えられる児童を育てたいと考えている。一人一人の考えが大切にされ、児童を主役にした授
業展開を行っていきたい。
4
単元の指導計画および評価計画(総指導時数15時間)
時
ねらい
主な学習活動
☆並行読書
・登場人物が思いを伝 ・先行読書してきた3冊(「泣い
1
えられないままに終
たあかおに」「おにたのぼうし」
わっているというお
「かたあしだちょうのエルフ」)
話の共通点を確認す
と「ごんぎつね」の共通点を考
ることができる。
える。
・「登場人物が伝えた ・教師が書いた「1つの花」の「心
かった思いを『心の
のとびら」を見て、単元の言語
とびら』でしょうか
活動を知り、学習の見通しを立
いし合おう。」とい
てる。
う学習の見通しをも
登場人物が伝えたかった思い
つことができる。
を「心のとびら」でしょうかい
し合おう。
2
3
4
5
6
・物語の場面設定やご
んの住んでいるとこ
ろ、暮らしについて
考えることができ
る。
・「ごんぎつね」の場面設定を知
り、「心のとびら」にごんのプ
ロフィールをまとめる。
(ごんのプロフィール)
・年齢 ・住んでいる所
・家族 ・趣味
・自分が選んだ物語に
ついて、物語の場面
設定や登場人物の住
んでいるところ、暮
らしについて考える
ことができる。
☆自分が選んだ物語について、場
面設定を知り、「心のとびら」
のプロフィールにまとめる。
(登場人物のプロフィール)
・年齢 ・住んでいる所
・家族 ・趣味 ・特徴など
評価規準
【読】先行読書してきた3冊
と「ごんぎつね」の共通
点を考えている。
【関】「 登場人 物が伝え たか
った思いを『心のとびら』
でしょうかいし合おう。」
という学習を理解し、意
欲をもっている。
【読】物語の場面設定やごん
の暮らしについて理解し
ている。
・ごんに起こった出来
事についてまとめる
ことができる。
【読】物語の場面設定や登場
人物の暮らしについて理
解している。
【関】同じ物語を選んだ友達
と交流し合いながら、プ
ロフィールをまとめよう
としている。
・ごんに起こった出来事を確認し、 【読】ごんに起こった出来事
その出来事に○○事件と名前を
を読み取りまとめている。
付け、付箋に書いてまとめる。
・自分が選んだ物語に
ついて、登場人物に
起こった出来事をま
とめることができ
る。
☆自分が選んだ物語について、登
場人物に起こった出来事につい
て確認し、その出来事に○○事
件と名前を付け、付箋に書いて
まとめる。
【読】選んだ物語について、
登場人物に起こった出来
事を読み取りまとめてい
る。
・叙述を基に、いたず
らをするごんの思い
を想像することがで
きる。
・「いたずらをするごん」の行動
を確認する。
・ごんの思いを根拠を明らかにし
て付箋に書いたり話し合ったり
する。
・「心のとびら」のパーツにごん
の思いを書き加える。
【読】いたずらをするごんの
気持ちを叙述に即して読
み取ったり、説明したり
している。
【読】ごんの気持ちを想像し
て発表し合い、共通点と
相違点を考えながら話し
合うとともに、一人一人
の感じ方の違いに気付い
ている。
7
8
9
(
10
・「兵十のおっかあのそう式を見
たごん」の行動を確認する。
・ごんの思いを根拠を明らかにし
て付箋に書いたり話し合ったり
する。
・「心のとびら」のパーツにごん
の思いを書き加える。
・叙述を基に、つぐな
いをするごんの思い
を想像することがで
きる。
・「つぐないをするごん」の行動
を確認する。
・ごんの思いを根拠を明らかにし
て付箋に書いたり話し合ったり
する。
・「心のとびら」のパーツにごん
の思いを書き加える。
・叙述を基に、兵十と
加介の話を聞いたご
んの思いを想像する
ことができる。
・
「兵十と加助の話を聞いたごん」
の行動を確認する。
・ごんの思いを根拠を明らかにし
て付箋に書いたり話し合ったり
する。
・「心のとびら」のパーツにごん
の思いを書き加える。
・叙述を基に、兵十に
打たれたごんの思い
を想像することがで
きる。
・「兵十に打たれたごん」の行動
を確認する。
・ごんの思いを根拠を明らかにし
て付箋に書いたり話し合ったり
する。
・「心のとびら」のパーツにごん
の思いを書き加える。
・これまで想像した思
いを基に、ごんの性
格について考え、
「心
のとびら」にまとめ
ることができる。
・これまでの学習で想像してきた
ごんが伝えたかった思いを振り
返り、ごんの性格について話し
合う。
・「心のとびら」にごんの性格に
ついて考えたことをまとめる。
☆自分が選んだ物語について、登
場人物の行動を確認する。
☆登場人物の思いを根拠を明らか
にして付箋に書いたり話し合っ
たりする。
☆「心のとびら」のパーツに登場
人物の思いを書き加える。
)
本
時
・叙述を基に、兵十の
おっかあのそう式を
見たごんの思いを想
像することができ
る。
11
12
・
13
・叙述を基に、登場人
物の思いを想像する
ことができる。
【読】ごんの後悔している気
持ちを叙述に即して読み
取ったり、説明したりし
ている。
【読】ごんの気持ちを想像し
て発表し合い、共通点と
相違点を考えながら話し
合うとともに、一人一人
の感じ方の違いに気付い
ている。
【読】つぐないをするごんの
気持ちを叙述に即して読
み取ったり、説明したり
している。
【読】ごんの気持ちを想像し
て発表し合い、共通点と
相違点を考えながら話し
合うとともに、一人一人
の感じ方の違いに気付い
ている。
【読】兵十と加助の話を聞い
たごんの気持ちを叙述に
即して読み取ったり、説
明したりしている。
【読】ごんの気持ちを想像し
て発表し合い、共通点と
相違点を考えながら話し
合うとともに、一人一人
の感じ方の違いに気付い
ている。
【読】ごんの気持ちを叙述に
即して読み取ったり、説
明したりしている。
【読】ごんの気持ちを想像し
て発表し合い、共通点と
相違点を考えながら話し
合うとともに、一人一人
の感じ方の違いに気付い
ている。
【読】複数の叙述を関連付け
ながらごんの性格につい
てとらえている。
【読】登場人物の思いを読み
取っている。
【読】登場人物の思いを叙述
に即して説明している。
【読】登場人物の気持ちを想
像して発表し合い、共通
点と相違点を考えながら
話し合うとともに、一人
一人の感じ方の違いに気
付いている。
14
15
・これまで想像した思
いを基に、登場人物
の性格について考
え、「心のとびら」
にまとめることがで
きる。
・登場人物が伝えたか
った思いについて
「心のとびら」で紹
介し合うことができ
る。
並行読書教材
☆これまでの学習で想像してきた
登場人物が伝えたかった思いを
振り返り、性格について話し合
う。
☆「心のとびら」に登場人物の性
格について考えたことをまとめ
る。
☆「心のとびら」で、自分が選ん
だ物語の登場人物が伝えたかっ
た思いを紹介し合い、単元の学
習を振り返る。
【読】複数の叙述を関連付け
ながら登場人物の性格に
ついてとらえている。
【読】登場人物が伝えたかっ
た思いを紹介し合い、一
人一人の感じ方には違い
があることに気付いてい
る。
「泣いたあかおに」 浜田廣介
「おにたのぼうし」 あまんきみこ
「かたあしだちょうのエルフ」 小野木学
5 本時の指導
(1)題材名 「ごんぎつね」(本時の指導 10/15)
(2)ねらい
・ ごんの気持ちを行動や会話に着目して想像を広げて読むことができる。(読む)
・ ごんの気持ちを想像して発表し合い、共通点と相違点を考えながら話し合うとともに、一人
一人の感じ方の違いに気付くことができる。(読む)
(3)展開(別紙)
(3)
展開
学
習
活
動
1
前時までの学習を振り返り、本時の
課題を確認する。
兵十に打たれたごんが伝えたかった
思いを想像し、話し合おう。
2 ごんが伝えたかった思いを想像し、
付箋に書く。
3
ごんが伝えたかった思いについて、
話し合う。
時
掲示資
料
5
・
ワーク
シート
20
→・やっと自分だと気が付いてもらえ
て、安心した。よかった。
・ずっとうなぎのつぐないがしたか
ったんだ。うなぎを取ってしまっ
て、本当にごめんね。
・もうこれでつぐないはできなくな
ってしまうね。残念だよ。
・また兵十を一人ぼっちにしてしま
うね。ごめんよ。
・せっかくここまでつぐないをして
きたのに、打たれてしまうなんて、
悲しいな。
5
本時の振り返りをする。
資料
・ これまで想像してきたごんが伝えたかった
思いを振り返り、ごんの気持ちの変化を確
認する。
・
(ぐったりと目をつぶったまま、うなず
きました。)
ごんの思いを「心のとびら」にまと
める。
◇評価
5
〈予想される児童の反応〉
4
教師の指導・支援
ごんの思いが表れている叙述にサイドラ
インを引き、想像した思いを付箋に書いて
貼らせる。
・ サイドラインを引いた文章、想像した思
い、その理由について説明しながら話し合
うように伝える。
・ 互いに顔を見ながら話合いができるよう
に、形態を変える。
・ 自分と友達の共通点、相違点などに着目
しながら話し合わせる。
・ 「自分とは違う考えを知りたい」「自分の
考えたことについて友達の意見を知りたい」
など目的をもって話合いができるように助
言する。
・ 必要に応じて近くの人と話し合ったり机
に戻って考えを整理したりしながら、自分
の考えを深められるようにする。
掲示資
料
ワーク
シート
◇
ごんが最後に兵十に伝えたかった思い
について叙述を基に考えたり、友達の意
見を聞いて考えを深めたりすることがで
きる。
【読む能力】(観察・発表・ワークシート
A 十分に満足できる状況
叙述をもとに、他の場面とも関連付
けながら、ごんの兵十に対する思いを
想像し、話し合うことで、さらに考え
を深めている。
B おおむね満足できる状況
叙述をもとに、打たれた時のごんの
気持ちを想像している。
(支援が必要な児童の手立て)
・ 友達との話合いの中で、気が付いた
ことや考えたことをもとに、ごんの思
いを想像させる。
10
5
・
友達との交流で新たに考えたことや思っ
たとを付け足しながら、まとめるように助
言する。
・ 本時の課題について一人一人が振り返り
をする。
・ 次時では、これまで想像してきた思いを
基にごんの性格を想像し、「心のとびら」に
まとめ完成させることを伝える。
「心の
とびら」