鼠径部にはお腹と外をつなぐ筒状の管(鼠径管)があり、男性では睾丸へ行く血管や精管(精子 を運ぶ管)が、女性では子宮を支える靱帯が通っています。年をとってきて筋膜が衰えてくると 鼠径管の入り口が緩んできます。お腹に力を入れた時などに筋膜が緩んで出来た入り口の隙間か ら腹膜が出てくるようになり、次第に袋状(ヘルニアのうといいます)に伸びて鼠径管内を通り 脱出します。いったんできた袋はなくならず、お腹に力を入れるとヘルニアのうの中に腸など、 お腹の中の組織が出てくるようになります。これを外鼠径ヘルニアといいます。腹壁には弱い場 所があり、年をとってきて筋肉が衰えてくるとここを直接、押し上げるようにして腹膜がそこか ら袋状に伸びて途中から鼠径管内に脱出します。これを内鼠径ヘルニアといいます。外観は外鼠 径ヘルニアと変わりません。鼠径部の下、大腿部の筋肉、筋膜が弱くなって膨らみが発生するヘ ルニアを大腿ヘルニアといいます。 ①鼠径ヘルニアは 2 種類あるが、高齢者に多いのは内鼠径ヘルニアである。 腹壁には弱い場所があり、歳をとってきて筋肉が衰えてくるとここを直接押し上げるよう にして腹膜がそこから袋状に伸びて途中から鼠径管内に脱出する。これが内鼠径ヘルニア である。 ②幼小児に多いのは外鼠径ヘルニアである。外鼠径ヘルニアの方が全体的に多い。 外鼠径ヘルニアは、外鼠径窩から内鼠径輪を出て外鼠径輪に出てくる。 処置としては、ヘルニア嚢を結紮し切り離した後、鼠径管後壁を新たに形成し再発を防ぐ。 小児の場合はヘルニア嚢の結紮だけでよい場合が多い。 ③大腿ヘルニアは、老婦人に多い。 大腿ヘルニアは、鼠径部の下、大腿部の筋肉、筋膜が弱くなってふくらみが発生する。 ④臍ヘルニアは、3 種類ある。 (1)「臍帯ヘルニア」は先天性奇形で、根治手術が必要である。 (2) 「小児臍ヘルニア」は臍帯脱落後腹圧によって伸び、ヘルニアになる。生後 6 ヶ月以 内に発生。虚弱児に多い。 (3)「副臍ヘルニア」は臍のすぐ上の筋膜に隙間ができ、ヘルニアを生じるもの。老婦人 に多い。 ⑤後壁瘢痕ヘルニアは腹部の手術瘢痕部の抵抗の弱いところから腹膜に被われて内臓が脱 出したものである。 ⑥横隔膜ヘルニアは、横隔膜の異常裂孔から腹腔の臓器胸腔内に入り込む状態で、食道裂 孔の場合が多い。 *脱出物の種類で、ヘルニア嚢をもち腹膜に包まれたものを真性という *包まれないものを仮性という。単純 X 線や造影法で診断できる。 *処置として、症状の軽いものは放置するが、自覚症状の強いもの、合併症のあるものは 回復整形し、裂孔を閉じる。 ⑦食道裂孔ヘルニアは、食道裂孔をヘルニア門として、胃の一部又は大部分が縦隔内に脱 出した状態をいい、女性に多い。逆流性食道炎を併発しやすい。 種類は3種類ある。 (1)滑脱型・・・噴門部・胃の一部が滑出・・逆流性食道炎 (2)傍食道型・・・噴門の位置は変わらず食堂裂孔より胃底部が脱出した型 (3)混合型・・上記の混合型
© Copyright 2024 Paperzz