式 辞 - 兵庫県立教育研修所

平成28年度入学式
式
辞
山桜とコブシの花が神河の山々を彩り、校庭の桜も満開となった今日のこの佳き日に、神河町
教育長澤田博行様を始めご来賓の皆様方のご臨席を賜り、兵庫県立神崎高等学校第42回入学式
が斯くも盛大に挙行できますことを、心から感謝申し上げます。
只今、入学を許可した79名の新入生の皆さん、ご入学本当におめでとうございます。今皆さ
んは、入学の喜びと共に高校生活への希望と将来への夢に胸を大きく膨らませていることと思い
ますが、皆さんのこれまでの成長の陰には、ご家族の支えや、小中学校時代の先生方、今までに
皆さんが出会ってきた数多くの方々の励ましがあったということを決して忘れてはなりません。
皆さんの人生の節目である今日のこの場に於いて、改めて「感謝する」ということ、
「ありがとう」
という気持ちが大事であることを、しっかりと噛みしめていただきたいと思います。
ここで、皆さんのご入学に際し、高校生として持つべき心構えについて、幾つかお話をしたい
と思います。
第一に、本校の校訓「自主・創造・勤勉」をしっかりと胸に刻んでください。
「自主」とは、
「自
ら進んで行動する人になろう。
」ということです。また、自分の行動には責任を持つということも
大事です。
「創造」とは、
「体験を通して新たな自分を発見し、生きる力を身につけよう。」という
ことです。そして、
「勤勉」とは、
「何事に対してもこつこつと真面目に取り組み、知識や技術の
習得に励んで、社会に貢献できる人になろう。」ということです。
「自主・創造・勤勉」、
「自主・
創造・勤勉」…この校訓が教えてくれることが、皆さんの人生において如何に大事なことである
かということは、今はまだわからずとも、皆さんの後々の人生において、じわりじわりと染み込
むように効いてくる、いわば魔法のような言葉となってくる、と信じています。
第二に、ふるさとに学び、ふるさとに貢献できる人になってください。皆さんがこれから三年
間学ぶ、この神崎高校のある神河の地は、緑鮮やかなる山なみや市川の清き流れに恵まれた実に
自然豊かな地域です。さらに、私たちが子供のころに読んだ「播磨国風土記」に登場する、クス
ッと笑える神話、オオナムチとスクナヒコネのいわゆる「神様の我慢比べ」の話が、ここ神崎と
深い関わりがあるということは大きな驚きですし、古代の福本遺跡や、江戸時代の北播磨の政治
の中心地がここにあったということも、大いに誇りとすべきことです。このような環境の中で、
三年間学べることを大いなる喜びとしてください。そして、いつの日にか、ふるさとに恩返しを
したいと思う人になってください。
第三に、
「勉強」と「部活」に全力で取り組んでください。高等学校の教育内容には様々な側面
がありますが、そのエッセンス、つまり要点は何かと問われれば、それは間違いなく「勉強」と
「部活」です。本校では、すべての教職員が「きめ細やかな生徒指導・学習指導・進路指導」を
教育活動の「命」として生徒の成長を支援し、学びの喜びを共に見つけるべく日々努力を重ねて
います。また、小規模校とは思えないほどの数の部活動の充実ぶりには目を見張るものがあり、
本校は今後とも「勉強と部活が思いっきりできる学校づくり」を力強く推進していきます。皆さ
んにとっても、たった一度きりの高校生活。最近ではネットやゲームなどに多くの時間を費やし
てしまっている人が多いのですが、それで本当にいいんだろうかという疑問を常に心の中に持ち
続け、
「このままではあかん。自分がせなあかんのは勉強と部活や!」と、横道にそれようとする
自分自身を「修正し、教育する力」を是非身につけてください。
第四に、一日の始まりを大事にし、
「元気なあいさつと朝ごはん」を心がけてください。これは、
ご家庭へのお願いでもあるのですが、
「おはよう!」という朝の元気なあいさつが交わされている
おうちが今どれだけあるでしょうか。そして、朝食を取らずに登校し、ボーっとした状態で授業
を受けている高校生がかなりいることが、数多くの調査で報告されています。朝の元気なあいさ
つができるようになれば、家族の信頼関係を取り戻すことができ、子供は心が安定してしっかり
と勉強や部活に取り組むことができます。
また、朝食をしっかり取ることで子供は元気に登校し、
授業もしっかりと受け、自然と学力が向上します。
「元気なあいさつ・朝ごはん」を心がけ、学校
に着いたら、友達や先生方と大きな声で「おはよう!」と元気なあいさつを交わしてください。
これからの時代どんな力が必要でしょうか。それはしっかりとした人間関係を築くことであり、
元気なあいさつこそがその鍵となるのです。
最後になりましたが、各ご家庭の皆様方に対しまして、本日のお子様のご入学を心よりお祝い
申し上げます。言うまでもないことではありますが、子供が大きく成長するためには、学校と親
がしっかりとした信頼関係を持ち、堅固なスクラムを組んで事に当たるということが肝要です。
家庭での子育ても、学校での生徒指導や学習指導も、実際には一筋縄ではいかないことも多くあ
ります。しっかりとした方針と根気がなくてはなりません。私は、先週末の休暇を活用して神河
町内をかなり山奥まで車で廻ってみたのですが、今度一年生が宿泊訓練を行う旧越智谷第二小学
校近くの大畑で、ある一本の古びた標柱に出逢いました。そこには、まさに家庭教育の真髄が書
かれてあったのです。
「子育ては 親と子供の 根くらべ」、
「子育ては 親と子供の 根くらべ」
。
何とわかりやすく、しかし含蓄のある言葉ではないでしょうか。しかも、昨今の私たちが忘れか
けていた大事なことを教えてくれています。私は、ふらっと訪ねた山奥で、思いもかけず大変な
宝物に出逢った、とそのような気持ちになりました。私たち教師も、この言葉をしっかりと肝に
銘じ、日々の教育活動に邁進していきたいと思います。
さあ、新入生の皆さん、本校は「ディスカバリーハイスクール神崎」です。ディスカバリーと
は「発見すること」です。
「自分は将来こうなりたい。」という「想い」を持ち続け、日々努力を
重ねていきましょう。私たちも「夢を発見し、夢の実現ができる学校づくり」をさらに進めてい
きます。そうすれば、校歌の中に詠われている「飛翔の翼」
、つまり大空へ飛び立ち羽ばたくこと
のできる翼を、ここ神崎の神様は皆さんに与えて下さるでしょう。
皆さんの可能性に大いなる期待を寄せて、式辞といたします。
平成28年4月8日
兵庫県立神崎高等学校長 原 田 尚 昭