03.8.1~03.10

新聞記事に見る環境問題
出
典 : 朝日、毎日、読売、日本経済(日経)、化学工業日報(化工日)、産業経済(産経)新聞。
夕刊は(夕)と記す。
[VOCS 汚染水
電気分解の新処理技術開発] 大林組は電気分解によって汚染水中のトリクロロ
エチレンなどの有機塩素化合物を無害化する新技術を開発した。「クロロカット」(商品名)として土
壌・地下水汚染浄化や、工場排水処理、廃棄物中間処理などをターゲットに VOCS 排水処理新手法と
して導入実施を提案していく。
[有害大気汚染物質対策
(化工日 03.8.1)
健康リスク低減へ指針値] 中央環境審議会は、有害大気汚染物質対策
に関する第七次答申を取りまとめ、先月 31 日に環境大臣に答申した。今回の答申では、環境中の有害
大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(指針値)を新たに導入することを
3
提言している。具体的には1m 当たりの年平均値でアクリロニトリルが 2μg 以下、塩化ビニルモニ
マーが同 10μg 以下、水銀が 0.4μg 以下、ニッケル化合物が 0.025μgNi 以下となっている。
(化工日 03.8.1)
[バイオエタノール燃料を本格普及へ]
環境省は、自動車や業務用ボイラー燃料としてのバイオ
エタノールの本格普及に向けた検討に着手した。今年 10 月をめどに利用拡大計画を取りまとめ、導入
のための技術的検証や普及のための具体的方策、追加的に取り組むべき関連施策などについて検討し
ていく。
(化工日 03.8.1)
[燃料電池使用の家庭用コージェネ] 東京ガスは 31 日、燃料電池を使った家庭用コージェネレー
ション(熱電併給)設備を、荏原グループ、松下電器産業とそれぞれ共同で開発すると発表した。標準
的な 4 人家族の年間光熱費を最大約 15%抑えられるという。2004 年度の販売を目指す。(日経 03.8.1)
[オゾン層破壊
回復の兆しなし]
環境省は、成層圏のオゾン層の状況やオゾン層破壊の原因で
あるフロン類の大気中濃度に関する 02 年度の監視結果報告書を公表し、オゾン量は減り続けていると
結論づけた。米航空宇宙局(NASA)などの研究グループが 7 月 29 日に、オゾン層破壊のペースがこの
数年で大きく鈍り、回復に向かい始めたかもしれないと発表したが、同省は「回復の兆しはまだ見ら
れない」としている。
(朝日・読売・日経・毎日・産経・化工日 03.8.1∼03.10.10)
かみ す
[茨城・神栖の井戸水汚染 第二次調査に着手] 茨城県神栖町で旧日本軍の毒ガス成分が原因と
みられる井戸水汚染問題で、環境省は 4 日、汚染源を特定するための二次調査に着手し、近くの空き
地などに調査範囲を拡大してレーダー探査を始めた。環境基準の 450 倍の有機ヒ素化合物が検出され
2
た井戸の周囲 10m の範囲を、2.5m ごとに深さ 15m まで掘削。その結果、調査範囲のそばに高濃度の
汚染源がある可能性が判明した。汚染源の深さが当初予測より深く、汚染範囲も広いことが分かった。
県は 8 月 29 日、環境基準の 8 倍にあたるヒ素が検出された神栖町立大野原小のプールの水による健康
被害はないと健康調査結果を発表。また、9 月 12 日、健康被害を受けた住民 60 人を対象に 5 月から
行っている毛髪検査で 31 人分が終了し、うち 25 人から有機ヒ素化合物が検出されたことを明らかに
した。また、9 月 26 日には、同町大野原の工業用地下水の井戸 2 本から水道水の水質基準の 6∼14.6
倍のヒ素が検出され、有機ヒ素化合物「ジフェニルアルシン酸」が確認されたと発表した。
(朝日・読売・産経・日経・毎日 03.8.1∼03.10.18)
[家庭用燃料電池
電力融通ネット構築] 燃料電池メーカーや建設会社など 27 社(松下電器産業、
三洋電機、大成建設、出光興産、丸紅など)は、家庭用の燃料電池を独自の送電線でつないで、余剰電
力を融通し合う方法を開発するため、企業連合を結成した。
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(朝日 03.8.2)
[生態系保護へ
移入種リスク評価手引]
海外から持ち込まれ国内の生態系を乱す移入種の規制
に向け、環境省は 13 日、移入種ごとの危険度(リスク)を評価するための手引を来年度に策定する方針
を決めた。規制では、移入種の繁殖力や在来種の捕食・駆逐の可能性、遺伝的な交雑の容易さなど危
険度を見極めた上で、全面的な輸入禁止、限定的な許可などの措置を取ることになる。
(毎日 03.8.2、読売(夕) 03.8.13)
[東芝
家庭用燃料電池開発を国内に集約] 東芝は米ユナイテッド・テクノロジーズ(UT)と共同
開発している燃料電池のうち、家庭用コージェネレーション(熱電併給)システムの開発を国内の合弁
会社に集約する。2005 年春の商品化を目指している。
(日経 03.8.3)
[米国で CO2 などの取引市場始動へ] 米国のシカゴ市や企業が参加し、北米初の常設炭素取引市
場「シカゴ気候取引市場(CCX)」が 10 月 10 日から取引を始めることになった。取引にはフォード、
デュポン、モトローラなどの大企業のほか、カナダやメキシコの企業約 15 社が参加。取引の対象とな
るのは、CO2 やメタン、代替フロンなど、京都議定書の対象と同じ 6 種類の温室効果ガス。
(毎日 03.8.3)
[排水中の環境ホルモン
生物処理法の実用にめど] 日立プラントは、排水中の内分泌かく乱化
学物質を効率よく生物処理する高機能担体を開発した。高分子ゲル状のペレットに、特殊分解菌を高
密度に担持させたもので、原水中のビスフェノール A(BPA)などを 98%以上除去できる。
(化工日 03.8.5)
[発電所でバイオマス実験] 電力卸会社の電源開発(J-POWER)は 4 日、商業用の石炭火力発電所
でバイオマス(生物資源)を燃料として活用する実証実験を今月下旬から始めると発表した。下水処理
場から排出される下水汚泥を乾燥後、使用済みの食用油と混合したものをバイオマス燃料として石炭
と混ぜて燃やす。バイオマス燃料の混合比率は石炭 100%に対し、平均 0.07%(最大1%)。
(産経 03.8.5、朝日 03.8.19)
もちむね ともえ
[静岡の工場 有毒ガス漏れる] 5 日、静岡市用宗 巴 町の製紙会社「巴川製紙所」でテフロンの
加熱中に有毒ガスのフッ化水素ガスが漏れ、同市は周辺住民に避難を呼びかけている。
(朝日(夕) 03.8.5)
[青森の水産加工会社
ガス漏れ 38 人中毒] 5 日、青森県八戸市市川町の水産加工会社「八戸協
和水産」で、工場内のガスが漏れて従業員ら 38 人が中毒症状をおこした。冷凍機の配管の一部に亀裂
が入っており、そこから冷凍用のフロンガスが漏れたとみられる。
[ごみ処理施設
排ガス CO 数値改ざん]
(日経 03.8.6)
静岡県湖西市のごみ焼却施設「市環境センター」の排
ガスに含まれる CO 濃度を、運転管理をしている荏原エンジニアリングサービス湖西管理事務所が、
改ざんしていたことが分かった。
[CO2 海洋処分
(朝日・読売(夕) 03.8.6、毎日 03.8.7)
共同研究で合意] 日米両政府は 7 日、ワシントンで気候変動問題について協議
し、地球温暖化防止につながる 11 分野の研究・技術開発の共同プロジェクトを進めることで合意した。
CO2 分離・貯留技術のほか、スーパーコンピューターを用いた気候変動の予測モデルの改良、超電導
を利用した損失の少ない送電技術の開発などに取り組む。
[容器包装リサイクル
(日経(夕) 03.8.6、03.8.8)
分別収集量 5%増に] 環境省は、2002 年度の容器包装リサイクルに基づ
く市町村の分別収集実績を取りまとめた。それによると、対象となる 10 品目合計の分別収集量は 242
万 9560t(前年度比 5%増)、再商品化量が 236 万 7721t(同 7%増)とともに増加した。
2
(化工日 03.8.7)
[中国の砂漠化
一層深刻に] 世界各地の環境調査を行っている民間の地球政策研究所(本部・ワ
シントン)は、中国の砂漠化が一層深刻さを増しており、「古い砂漠が広がるだけでなく、新たな砂漠
が形成されつつある」として、中国は砂漠との「戦争」状態にあると警告。とくに、緑を食べつくす
羊とヤギの数が多すぎると問題点を指摘した。
[モントリオール・プロセスレポート
(化工日 03.8.7)
森林経営の持続可能性] 政府は、モントリオール・プロ
セスで合意された持続可能な森林経営のための基準・指標を用いた「モントリオール・プロセス第一
回国別森林レポート(2003 年レポート)」を作成した。報告書は、基準1・生物多様性の保全(指標 9)、
基準 2・森林生態系の生産力の維持(同 5)、基準 3・森林生態系の健全性と活力の維持(同 3)、基準 4・
土壌および水資源の保全と活力の維持(同 8)、基準 5・地球的炭素循環への森林の寄与の維持(同 3)、
基準 6・社会の要望を満たす長期的・多面的な社会・経済的便益の維持および増進(同 19)、基準 7・
森林の保全と持続可能な経営のための法的、制度的および経済的枠組み(同 20) − からなる。
(化工日 03.8.7)
[産廃不法投棄
23%増え 369 件] 今年上半期に全国の警察が摘発した産業廃棄物の不法投棄事
件は計 369 件と、前年同期比で 23.4%増加したことが 7 日、警察庁のまとめで分かった。一般廃棄物
を含めた廃棄物全体は 1353 件(前年同期比 13.4%増)だった。
[青森・岩手の不法投棄産廃
(日経(夕) 03.8.7)
全量撤去の方針] 青森、岩手県境に国内最大規模の量の不法投棄
された産業廃棄物問題で、青森県の三村申吾知事は 6 日、産廃を基本的にすべて撤去する方針を決め
3
た。同県の調査では青森側の産廃と汚染土壌は推定約 67 万 m で、全量撤去に約 440 億円かかる。岩
3
手側の量は約 27 万 m 。特定産廃特措法に基づき国が最大 2 分の 1 まで補助するが、具体的な割合は
環境省が今月中にも定める基本方針で決まる。しかし、環境省は岩手県に対し、環境基準以下の廃棄
物撤去は公的補助の対象とせず、廃プラスチックなどは現地に残すよう求めていることが 10 月 20 日
までにわかった。全量撤去を目指す岩手県は「不法投棄の産廃はすべて撤去するのが当然」と指摘。
環境省はこのほど、環境基準以下の産廃であっても崩落や悪臭などが生じているなどの場合は、産廃
特別措置法の補助対象になりうるとの見解を示した。
(朝日・日経(夕) 03.8.7、日経 03.10.21、化工日 03.10.27)
[環境体験学習の専門指導者育成]
自然との触れあいやごみのリサイクル、地球温暖化対策など
を学ぶ体験学習を活発にするため、環境省と文部科学省は 7 日、学校教員らのコーチ役となる上級専
門指導者を育成する方針を決めた。
(朝日(夕) 03.8.7)
[特定農薬指定の薬効・安全性評価で指針案] 農林水産省と環境省は、特定農薬(特定防除資材)
指定のための評価に関する指針案をまとめた。この指針案は、農薬取締法改正により無登録農薬の製
造・使用が禁止されたことに対応し、農家段階で製造される安全な資材まで登録が必要になる過剰規
制を避けることを目的としたもの。内容は、薬効および安全性について客観的評価を行うためのガイ
ドラインと指定された資材の情報提供のあり方、表示方法からなっている。両省では、同指針案を 9
月 3 日までパブリックコメントの手続きにかける。
[ダイオキシン
(化工日 03.8.8)
97 年比で 9 割減る] 環境省は 7 日、全国のごみ焼却炉から 01 年 12 月∼02 年
11 月の1年間に排出されたダイオキシン類が計約 635g(推計)だったと発表した。内訳は一般廃棄物焼
却施設からの排出量が 370g、産業廃棄物焼却施設からが 265g。これは、前年比 53%の削減で、97 年
の排出量に比べて 9 割減少し、昨年度末が期限の国の削減計画(97 年比 92%削減)が達成される見通し
となった。
(毎日・化工日 03.8.8)
3
[ヒートアイランド現象
都心部の温度上昇顕著] 環境省は、ヒートアイランド現象による環境
影響に関する調査報告書をまとめた。同報告によると、この 100 年間に周辺都市(横浜、熊谷、宇都宮、
銚子)に比べて、東京都心部(大手町)の温度が 2 倍の勢いで上昇していることが判明した。また、シュ
ミレーションシステムを用いた対策効果の検討では、問題と地区特性に応じた対策の必要性と対策地
区における集中的な取り組みが、非対策地区に気温低下の波及効果をもたらすことが分かった。
「ヒー
トアイランド現象」の対策を検討している国土交通省は、東京都心部で緑地化を進めた場合、平均気
温が 0.3℃低くなるという試算結果をまとめた。
[燃料電池向け
(朝日・日経 03.8.8、化工日 03.8.11、読売 03.8.14)
低価格の水素分離膜開発] 金属素材メーカーの福田金属箔粉工業は東北大学金
属材料研究所所長の井上明久教授と共同で、燃料電池向け水素分離膜を開発した。開発したのはニッ
ケルとニオブ、ジルコニウムを主成分とした合金を溶かした後、急冷して作った金属ガラスの薄膜。
幅 5cm、厚さ 30∼40μm に加工し、コストを 10 分の1以下に引き下げた。
[化学物質
動植物への影響調査]
(日経 03.8.8)
環境省は来年度から、化学物質が動植物に与える影響の調査
に乗り出すことを決めた。動植物への影響が予想される約 50 の化学物質を選び、ミジンコやメダカ、
藻類を使って毒性を詳細に調査する。
[パソコンリサイクル
(読売 03.8.9)
東日本で実施] NTT 東日本は 8 日、同社子会社を通じて、パソコンのリ
サイクルやデータ消去などを東日本全域で実施する方針を固めた。具体的には、NTT 東が各都道県ご
とに設置しているサービス子会社が、顧客の不要パソコンの回収を行うほか、パソコン内に残ってい
るデータ消去の申し込みを受ける。
[バラスト水の環境汚染
初の実態調査]
(産経 03.8.9)
貨物船を安定させるために積み込む海水(バラスト水)
に含まれる生物による環境汚染が世界規模で深刻化している問題で、環境省は 9 日までに、汚染源と
なる有害プランクトンなどの国内での生息状況について来年度から初の実態調査に乗り出す方針を固
めた。
「バラスト水規制条約」が、来年 2 月にも国際海事機関(IMO)で採択される見通しとなったのを
受けた措置。
[有機スズ化合物
(日経(夕) 03.8.9)
脊椎動物にも環境ホルモン作用] 有機スズ化合物「トリブチルスズ」(TBT)
に、メスのヒラメをオス化する環境ホルモン作用のあることが、九州大学大学院の大嶋雄治助教授(水
産生物環境学)らの研究でわかった。TBT は微量でメスの巻き貝をオス化するが、脊椎動物で同様の
働きが確認されたのは初めて。同助教授らは、ホルモンの操作でメスしか発生しないようにしたヒラ
メの稚魚を使い、エサにそれぞれ 0.1μg/g、1μg/g の TBT を混ぜて飼育。その結果、0.1μg の群では
26%、1μg の群では 31%で、卵巣の代わりに精巣が形成されていた。また、同助教授らが 01 年∼02
年にかけ、西日本の小規模な港湾 20 カ所の海底の泥を分析したところ、19 地点で TBT が検出された。
濃度は最大で泥1g 中 20μg に達した。また、有機スズ化合物の一部が、食物連鎖により魚介類の体
内で数十倍に濃縮されていることが水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所の池田久美子研究員
らの調査で分かった。
(朝日(夕) 03.8.9、朝日 03.8.31)
[低公害車普及のための補助拡充] 環境省は 9 日、排ガス中の有害物質が少ない天然ガス自動車
などの低公害車普及のため、自治体向けの補助制度を 2004 年度から拡充する方針を決めた。地域での
集中的な導入を進めるため、自治体が認定した民間事業者にも補助対象を広げることなどが柱。
(日経 03.8.10)
4
[燃焼時、溶融塩で CO2 を完全回収] 横浜国立大学工学部の朝倉祝治教授、島野哲院生らは、石
炭やプラスチック、バイオマスなどの燃焼時に発生する CO2 を 100%回収する溶融塩によるレドック
ス燃焼システムの開発に成功した。CO2 の高純度回収ということだけなく、有用な廃棄物処理法にも
なると考えられ、実用化が期待される。
[ライオン
(化工日 03.8.11)
PRTR 対象物質の排出量を半減] ライオンは、2002 年度に PRTR 法対象物質の排出
量を半減させた。排ガス処理装置の機能向上など製造管理の徹底により、大気への排出量を前年度比
51%削減したもの。公共水域への排出量も 73%減らした。また、洗剤の生産工程効率化などによりエ
ネルギー使用量を 1990 年度比 16%削減。廃棄物の最終埋め立て処分量を 41%削減して、国内の 6 工
場すべてでゼロエミッションを達成させ、環境対応の取り組みを着実に前進させている。
(化工日 03.8.11)
[硫酸ピッチ
不法投棄増加] 有害物質「硫酸ピッチ」の不法投棄が各地で増加している問題で、
環境、総務、警察、資源エネルギーの 4 省庁が連絡会議を設置することを決めた。不正軽油の密造実
態の把握から、不法投棄の監視、取り締まりの強化まで、合同で対策に乗り出す。8 月には担当者が
初会合を開き、被害状況や対応について意見を交換。不正軽油撲滅にもつながる硫酸ピッチ対策につ
いて、情報の共有化など協力態勢の強化を模索している。
(毎日 03.8.11、日経(夕) 03.9.13)
[遺棄化学兵器はイペリットガス] 中国東北部のチチハル市で今月 4 日に建設現場から掘り出さ
れた旧日本軍のイペリット(マスタードガス)により住民ら 43 人が負傷・入院した事故で、21 日夜、
初の死者が出た。こうした兵器は中国本土で 70 万発に及ぶとされ、3 年前にスタートした日中共同の
発掘・回収作業でも、回収率はまだ1割に満たない。条約上の期限の 07 年までに処理を終えるのは難
しい情勢。地元の市当局は日本政府に補償を要求している。日中両国政府は 10 月 19 日、日本側が遺
棄兵器の処理費用として 3 億円を支払うことで最終合意した。日本政府はこの 3 億円を被害者らへの
「補償」とは位置付けていないため、正式な補償を求めて中国内で不満がくすぶりそうだ。
「中国人戦
争被害者の要求を支える会」のホットラインは、電話 03-5396-6067、FAX03-5396-6068。
(朝日・読売・毎日・日経・産経 03.8.12∼03.10.20)
[環境負荷ゼロ車開発へ] 環境省は 05 年度までに「ゼロエミッション車ビジョン」を策定する方
針を決めた。この実現には「材料」
「製造法」
「排ガス」の 3 段階のハードルを超えなければならない。
自動車の材料には、六価クロム、水銀、鉛などの有害物質を使わずにリサイクルに適した材料だけで
車を製造することを検討する。排ガス対策では燃料電池車の本格的な開発を目指す。 (毎日 03.8.12)
[岩手県
産廃業者格付け]
産業廃棄物不法投棄問題を抱える岩手県は、全国で初めて産廃業者
を格付けする制度を 05 年度をめどに導入する方針を固めた。県が指定した第三者機関が産廃業者を点
数で評価し、その結果を公表して優良な産廃業者の育成を図る。
[燃料電池の実用化]
(毎日 03.8.12)
三洋電機はノートパソコンや携帯電話の電源に使う小型燃料電池を開発し
て外販する。また、NEC や東芝は小型燃料電池を自社のパソコンに搭載して製品化する計画。リチウ
ムイオン電池で世界最大手の三洋電機が、同電池に代わる電源として燃料電池を外販することで、燃
料電池搭載機器のすそ野が広がりそうだ。だが、燃料電池搭載製品は自動車で1億円以上、家庭用コ
ージェネは 1,500∼3,000 万円の製造コストがかかる。
[プラスチック
古米から量産]
(日経 03.8.12、日経 03.8.19)
植物が原料で、廃棄しても土の中で分解される「生分解性プラ
スチック」の本格生産を支援する国の新事業が 04 年度から始まる。原料には、政府が大量に抱え、処
5
分に困っている古米を使う一石二鳥の試み。
[EU
(朝日 03.8.13)
代替フロン 25%削減] 欧州連合(EU)の欧州委員会は 12 日、代替フロンについて、2010 年
までに排出量を 4 分の1減らす対策をまとめ、EU 共通の規制として加盟国に提案した。欧州委によ
ると、EU のフロン系ガス排出量は 95 年時点で 6500 万 t(CO2 換算)で、放置すれば 2010 年までに 9800
万 t ヘと約 5 割増える。新規制により、同年の排出量を 2300 万 t 程度少なくする方針。
(日経・毎日(夕) 03.8.13、産経 03.8.14)
[環境教育
全国 9 拠点] 自然体験などを通じて子供や市民が環境について学ぶ「環境教育」の
情報拠点が、来年度から全国 9 か所に NPO の協力のもとに新設されることが 13 日に決まった。まず、
名古屋、大阪、広島の 3 か所の環境省の地方環境対策調査官事務所に設置し、順次増やす。
(読売(夕) 03.8.13)
[燃料電池車
馬力、ガソリン車並に] 米ゼネラル・モーターズ(GM)は 11 日、燃料電池車など
駆動力に電気を用いる自動車向けに馬力をガソリン車並みに高める新技術を開発したことを明らかに
した。燃料電池車は馬力不足が課題だったが、この技術により実用化に向けて一歩前進する。
(日経(夕) 03.8.13)
[新型ごみリサイクル発電所が爆発] 14 日午前 3 時 10 分ごろ、三重県多度町ごみ固形燃料(RDF)
発電所の固形燃料貯蔵タンクで爆発があり、作業をしていた従業員4人がけがをした。また、19 日午
後 2 時 15 分ごろ爆発、貯蔵槽の屋根(直径約 15m、重さ約 10t)が吹き飛んだ。この事故で消防士 2 人
が死亡、作業員1人が負傷した。ごみの焼却熱を利用する廃棄物発電は、循環型社会を担う新エネル
ギーの一つとの期待を集める一方、同種の施設でトラブルも相次いでいる。環境省は 25 日、ごみ発電
施設の RDF 爆発事故を受け、再発防止のための、RDF の製造、保管や利用の方法に関する検討会を
設置することとなった。
「環境先進県」を掲げる三重県は RDF 発電を積極導入したが、昨年 12 月操業
開始直後からトラブル続きだった。同月 23 日には早くも、貯蔵槽内の RDF 約 2000t が異常発熱、蒸
し焼き状態に。県企業庁は、成形が不良で崩れやすい RDF の発酵・発熱が原因と判断。総務省消防庁
は 9 月 12 日、国内に 200 か所ある RDF 関係施設のうち、4 分の1強の 53 施設は何らかの事故経験が
あることを明らかにした。
[低公害バス
(朝日・読売・毎日・日経・産経 03.8.14∼03.10.25)
国立公園へ導入] 環境省は来年度から、国立公園内のマイカーの乗り入れ規制区
域を対象に、天然ガス車やハイブリッド車など低公害バスの導入を支援する。高価な低公害車の車両
の購入費用の最大 2 分の 1 を補助することを検討している。
[企業向けに環境ガイド]
(朝日 03.8.14)
環境省は、企業・団体向けに、従業員や職員への環境教育ガイドブッ
クを作成することを決めた。10 月施行の「環境教育推進法」は、企業などに従業員への環境教育や環
境情報の提供を求めている。しかし、企業側には従業員にどう教育するのかノウハウがないため、同
省が環境問題の学び方、環境保全活動の具体例などを示し、各企業をサポートすることになった。
(毎日 03.8.14)
[海の CO2 吸収量低下] 北太平洋亜熱帯域の海水が吸収する CO2 の量が、過去 10 年以上にわた
って減少し続けていることを米ハワイ大のグループが突き止め、14 日付の英科学誌ネイチャーに発表
した。この傾向が続けば、同海域の CO2 吸収量は 08 年にゼロになると予想され、グループは「海の
吸収量の減少が、人為的な地球温暖化を悪化させることも懸念される」と指摘する。
[全国水生生物調査
(毎日 03.8.14)
56%が“きれいな水”] 環境省と国土交通省は、2002 年度の全国水生生物
調査の結果を取りまとめた。河川に生息する水生生物の調査による水質判定では、調査した全国 5414
6
地点のうち 56%が「きれいな水」と判定された。
[月島機械
廃木材からエタノール]
(化工日 03.8.15)
月島機械は廃木材から燃料となるエタノールを取り出す技
術の実用化にめどを付けた。廃木材など生物資源(バイオマス)を希硫酸で処理し、特殊な菌で発酵さ
せてエタノールを抽出する。100t の廃材から 20∼25t のエタノールを回収できる。
(日経 03.8.15・03.8.29)
[CO2
海に、地中に封じ込め]
CO2 を深海や地中に封じ込める「炭素固定化技術」の取り組み
が注目されている。日、米、ロシア、中国など 14 か国が技術開発の協力で合意し、日本は新潟県で 7
月から初めての実証実験を始めた。発電所から出る排ガスを集め、特殊な化学液にいったん溶け込ま
せた後、強い熱を加えて純度の高い CO2 を分離、回収する。こうして回収した CO2 をパイプラインや
船で運び、地中や石炭層、深海に圧力をかけて沈めて封じ込める。新潟県長岡市の天然ガス採掘鉱区
で、地下 1100m に広がる帯水層に1日 20t、1年半かけて約1万 t の CO2 を封じ込める計画。しかし、
CO2 を封じ込めるのに1t 当たり 3,000 円∼8,000 円かかり、コストの課題の克服が必要。実用化のメ
ドは早くて 2020 年頃とされる。
[国際協力銀
(読売 03.8.15、日経 03.9.5・03.9.29、朝日 03.9.6)
CO2 排出枠獲得へ] 政府系金融機関の国際協力銀行が、CO2 など温室効果ガスの
排出を抑えて地球温暖化を防止する世界銀行の「炭素基金」へ出資した 1,000 万ドルへの配当として、
近く約 5600t の温室効果ガス削減量(排出枠)を獲得することが 14 日、分かった。国際協力銀行が排出
枠を獲得することになったのは、今年 6 月、同基金が出資したチリの水力発電事業の温室効果ガスの
排出削減量が、ドイツの審査機関によって認証されたため。年内にも正式に出資額に見合った排出枠
が認定される。
(朝日 03.8.15)
[家庭用小型風力発電機
来年度から補助金] 微風でも発電できる小型風力発電機を家庭にも普
及させるため、環境省は、来年度、新たな補助金制度を創設することを決めた。秒速約 2m でも発電
する出力が数百 w∼数百 kw の小型機の開発が進展。補助金は国と自治体が費用を 3 分の1ずつ負担
する予定。昨年度の風力発電の国内実績は 46 万 kw だが、政府は 2010 年度には 300 万 kw に増やす目
標。
(読売 03.8.15、朝日 03.8.17)
[ホルムアルデヒドの放散量
住宅用合板「星の数」に注目] 住宅用合板の選択に「星の数」が
注目されるようになってきた。ホルムアルデヒドの放散量を、日本農林規格(JAS)が星の数で表示す
るようにしたからだ。4 つが最高ランクで、多いほど放散量が少ない。メーカーの生産は現在、4 つ星
が中心で、3 つ星は受注生産。改正法の施行後、4 つ星の比率は床下地などで 60%強に対して、内装
向けでほぼ 100%だという。
[巨大風車、景観に邪魔?]
(日経 03.8.16)
巨大風車は、国立公園の景観にふさわしいか − 環境省は国立・国
定公園内の風力発電用風車の建設について、許可基準の検討を始めた。風力発電の適地は、国立・国
定公園内に多く、園内に風車建設をとの要望が自治体から相次いでいる。だが、景観や自然への影響
は無視できず、自然保護団体などから慎重さを望む声も強まっている。
[CO2 排出削減
(朝日 03.8.16)
21 事業に補助金] 国土交通省は国内の物流部門が排出する CO2 を削減するため、
21 の事業に合計1億 3,000 万円の補助金を交付する。CO2 の排出量が多いトラック使用を減らし、排
出量の少ない鉄道や船の使用を増やす事業が対象。鉄道用コンテナの購入費や船積み用クレーンなど
の設置費を補助し、民間企業の負担を軽減する。
(日経 03.8.17)
7
[ヒマワリ油をエコ燃料に]
ヒマワリ油をディーゼルエンジンの燃料として利用するシステムの
開発研究が進んでいる。筑波大学バイオシステム研究科の松村正利教授らは、−30℃でも凝固しない
バイオディーゼル油の製造技術を開発。植物を原料とするバイオディーゼル油は、硫黄酸化物などの
排ガス問題を解消し、地球温暖化防止にも貢献する。
[アルミ
車材料で燃費向上
(産経 03.8.17)
環境対策にも] 自動車の材料として、アルミニウムが急拡大して
いる。高価だが、同じ強度にした場合に鉄の 2 分の 1 と軽く、環境対策や燃費性能を向上するために
欠かせないと考えられ始めた。自動車用アルミ板材の需要は、03 年は月 3200t 程度だが、07 年には月
1万 2000t に拡大するとみる。
[道路冷やし街涼しく]
(朝日 03.8.18)
山形県鶴岡市が温水を路面下のパイプに通して融雪する装置を夏に利用
して路面を冷却、快適な歩行空間やヒートアイランド現象の緩和に役立てようと検証実験をしている。
クールロード実験と呼ばれ、市中心部の歩道約 150m で実施。
[天然ガス車“快走”へ道半ば]
(日経 03.8.18)
「天然ガス自動車」と表示したバスやトラックが目立つように
なった。世界的にもここ 10 年で 3 倍に急増し、すべてのバスを天然ガス車に切り替える都市まで出て
きた。大気汚染物質の排出が少ない環境性能の良さが受けている一方、走行距離が短いなどの弱点を
抱える。本格的に普及していくかどうか、正念場を迎えている。
[燃料電池車用水素タンク
(朝日 03.8.18)
GM 系日本進出] 米ゼネラル・モーターズ(GM)系の燃料電池車関
連製品メーカー、クアンタム・テクノロジーズ(カリフォルニア州)は 2005 年にも日本に進出、燃料電
池車の基幹部の一つである車載用水素貯蔵タンクの工場を建設する。
[廃 PVC を効率リサイクル]
(日経(夕) 03.8.18)
東京農工大学大学院生物システム応用科学研究科の堀尾生靭教授、
野田玲次助手、成昊鎮院生らは、廃 PVC(ポリ塩化ビニル)に含まれる塩素を塩化ナトリウムとして捕
捉、無毒化するとともにメタンガスやチャーなど再利用可能な物質を回収するリサイクルシステムの
構築に成功した。この方法は、新たに多量のエネルギーを投入せず、エネルギーポテンシャルを得る
ことができるため廃 PVC 処理というだけでなく、エネルギーが回収でき、有用性が高いリサイクルシ
ステム。
(化工日 03.8.19)
[残留農薬の有無調査] 農林水産省は 18 日、JAS(日本農林規格)法に基づき「有機」
「オーガニッ
ク」と表示しているコメや野菜、果実などが、農薬や化学肥料の使用基準を守られているかどうか、
今月下旬から全国調査に入ると発表した。全国約 400 カ所で 10 月末まで、有機農産物の畑などの状況
や栽培記録を調べ、実際の農産物の残留農薬を分析する。
[清水建設
(毎日 03.8.19)
環境影響を減らす設計手法導入] 清水建設はビルや橋りょうの着工から最後の取り
壊しまでの生涯にわたる環境への影響を低減する「トータル・エコ建設」設計手法を導入する。建物
の規模や構造などのデータをもとに完成後の建物の環境への影響を試算し、環境保全に最適な資材や
建物の構造、施工方法などを選択する。建物の建築時に発生する廃棄物の再資源化率は 2002 年度実績
の 92%を 95%に引き上げる。
[廃棄物処理
(日経 03.8.19)
施設整備で 5 カ年計画] 環境省は、新たに廃棄物処理施設整備計画(素案)を取り
まとめた。この整備計画は、2003 年度∼2007 年度までの 5 ヵ年計画で、廃棄物の排出抑制に係る取り
組みや減量化の目標などを前提に施設整備事業の実施の目標などを定めたもの。ごみのリサイクル率
を 16%から 21%へ、ごみの減量処理率を 95%から 97%へそれぞれ同計画中に改善するほか、一般廃
棄物の残余年数を 2002 年度の水準に維持することとなっている。
8
(化工日 03.8.19)
[「脱温暖化、地元は活性化」両立案を公募] 地球温暖化対策を進めながら地元経済の活性化を実
現する − 。そんな好循環の地域づくりを実証するため、環境省は来年度、市町村からコンペ方式で
発案を募るモデル事業を始める方針を決めた。対象事業では、アイデアに沿ってバイオマス(生物資源)
発電や小型風力発電、燃料電池導入など、温室効果ガス削減に効果がある技術や設備を集中的に投入
し、規模のメリットを生かした「地域まるごと脱温暖化」を目指す。
(朝日(夕) 03.8.19)
[自治体の省エネ助成] 経済産業省は 18 日、最新機器を使って省エネ計画を作る ESCO(エネルギ
ー・サービス・カンパニー)のサービス導入費用を助成する方針を固めた。来年度の概算要求に 28 億
円を盛り込み、民間の施設に比べて遅れていると言われる自治体の庁舎や病院、学校などの省エネル
ギー化を促す。
(読売 03.8.19)
[太陽光発電技術等フィールド事業
新規に 157 か所]
新エネルギー・産業技術総合開発機構
(NEDO)は、2003 年度の太陽光発電新技術等フィールドテスト事業の新規共同研究者として 157 カ所
(システム容量の合計は 4820kw)の採択を決定した。NEDO は、共同研究者と共同研究契約を締結し、
共同研究に係わる経費の 2 分の1相当額を負担し、システム設置年度を含めて 5 年間の共同研究事業
を進める。システム種別内訳は、新型モジュール採用型が1件、建材一体型が 14 件、新制御方式適用
型が 4 件で、残りは効率向上追求型。
[植物原料プラスチック
(化工日 03.8.20)
耐熱、強度大幅向上] NEC は植物を原料とするこれまでのプラスチッ
クに比べて、耐熱性と強度を大幅に高めた新素材を開発した。微生物によって水と CO2 に分解される
生分解性プラスチック「ポリ乳酸」に、補強材として植物「ケナフ」の繊維を混ぜることで、耐熱性
を 1.8 倍、強度も 1.7 倍向上した。今後 2 年以内にパソコンなどに採用していく。
[地球温暖化対策税
(産経 03.8.20)
本格議論へ] 環境省は 27 日、CO2 の排出を減らすための「温暖化対策税」
の制度案をまとめた。化石燃料の輸入・出荷段階で課税する形で、税収規模の試算は約1兆円。石油
や石炭など化石燃料に含まれる炭素量に課税する。税収は、省エネ住宅や燃料電池車の普及など削減
効果が大きい分野に使う。試算では炭素1t 当たり 3,400 円の税額。ガソリン1リッ
トル 当たり約 2 円、マイ
カーを持つ平均的家庭の負担額に換算すると月約 460 円になる。
(化工日 03.8.20、読売 03.8.21、朝日・読売 03.8.28、化工日 03.8.29)
[ごみ処理施設補助を 50%に] 環境省は 28 日、焼却で発生する熱を有効利用したり、焼却灰を原
料に路盤材を製造することができるなど、先進的なごみ処理施設を自治体が整備する場合、費用の
(毎日 03.8.21)
50%を補助する方針を決めた。
[トラック「低公害」で勝負] ディーゼル車の排出ガス規制を強化する「新短期規制」が 10 月か
ら本格化するのを前に、今月、低公害トラックが相次いで売り出される。いすず自動車が対応車を発
売したことで、02 年度の小型トラック市場のシェアは大きく変動した。三菱ふそうトラック・バスも
26 日、大型トラックの新型車を発売。05 年には「新長期規制」が控えており、環境技術を軸にした業
界の合従連衡も進みそうだ。
(朝日 03.8.21、日経 03.8.27、産経 03.8.30)
[省エネ細型蛍光灯開発] 特殊ランプ製造の岩瀬プリンス電機は、消費電力を最大 47%削減でき
る細型蛍光灯を開発した。直径が 15.5mm と従来の半分の太さで、明るさは従来と同程度。中に塗る
蛍光体を工夫し、通常よりも白っぽく明るい色にした。
[路面電車
(日経 03.8.21)
電池で走った!] (財)鉄道総合技術研究所は 20 日、架線を使わず、電池(バッテリ
ー)のみで動く路面電車「架線レス
バッテリートラム」の実験走行に世界で初めて成功したと発表し
9
た。動力源はハイブリッド自動車でも使われているリチウムイオン二次電池。重さ約1t と軽量なが
ら、自動車の 10 倍以上となる 300kw の電力を持つ電池システム。実用化までには 5 年ほどかかるが、
ブレーキ時の運動エネルギーを電気に変えて再び利用できる「省エネ型」の上、無公害で景観保全に
も役立つ。
(読売 03.8.21)
[環境教育、e ラーニングで]
NEC や富士通など情報大手がインターネットを使って環境分野の
教材を配信する e ラーニング事業を加速している。受講者が集合する必要がなく、双方向で教育でき
る e ラーニングの特長を生かし、システム受注につなげる考え。企業や学校、自治体での需要を期待
している。総務省は 2001 年度に 290 億円だった e ラーニングの市場規模が、2006 年度には約 7 倍の
1,984 億円に膨らむと予測。
(日経 03.8.21)
[燃料電池バス運行] 東京都は 28 日から全国で初めて燃料電池を使った路線バスの運行を始める。
トヨタ自動車と日野自動車が共同開発。運行車両は1台で、東京駅八重洲口 − 東京テレポート駅間、
門前仲町 − 東京テレポート駅間を走る。
[土や水の汚染状態
手軽に診断]
(産経 03.8.21、日経 03.8.28)
庭の土壌、井戸水などの汚染状態が簡単に診断できるサービ
スを domi 環境が 8 月から始めた。
「domi バリューション」と名付けた簡易汚染診断のサービスは、家
庭の土壌分析、地下水、井戸水のほか、河川、湖沼の水質分析・診断などを手軽に行える「デコラ土
壌モニター」
「アズレス水質モニター」と、やや専門的な「ワトル土壌モニター」の 3 つがある。低価
格・納期保証・品質保証・プライバシー配慮がセールスポイント。
[熱で「水分解」水素製造成功]
洗研究所は、高温で水を分解し 35
リッ
トル
(産経 03.8.22)
高温ガス炉による水素製造を目指している日本原子力研究所大
/時の水素を製造することに成功した。ヨウ素と硫黄を使った熱
化学法による水素製造は世界で初めて。同研究所によると、水にヨウ素と二酸化硫黄を加えてできる
ヨウ化水素を約 400℃の熱で分解することで、水素を取り出すことができた。
(朝日・日経 03.8.22)
[学校版環境 ISO 広がる] 子どもたちの環境に対する関心を高めるため、学校全体でごみの減量
や電気、水道の節約に取り組む「学校版環境 ISO」の試みが広がっている。企業や自治体が採り入れ
ている環境管理の国際規格(ISO)の発想を参考に、子どもたちが自ら目標を立て成果をチェックする。
19 日に熊本県水俣市で初の全国交流集会が開かれた。
[家電
(日経(夕) 03.8.22)
省エネ情報に順位] 経済産業省は 22 日、家庭での省エネを進めるため、家電製品を販売
する大型店を対象に、消費者に製品の省エネ性に関する情報をどれだけ提供しているか調査し、ラン
キングを作成することを決めた。経産省は、一般家庭の家電製品を省エネ性の高い製品に切り替える
ことなどで、国内エネルギー消費の 3.5%に相当する年間 1400 万 kl 分の原油が節約できると試算する。
(読売 03.8.23)
[バイオマス
下水処理場に集め発電]
国土交通省が、生ごみや家畜の糞尿、木くずなどのバイ
オマスを1か所にまとめて活用する初めての試みに乗り出す。単独ではガスの発生量が少なく、コス
トに見合わないことが多く、燃やして処分する処理場もある。だが、近隣の汚泥をまとめて使うと電
力自給が 6 割程度に上がり、生ごみや木くずも利用すれば 100%の自給も可能という。 (朝日 03.8.24)
[環境技術情報ネット
専用 HP 開設] 環境省と(独)国立環境研究所は、22 日から環境技術情報
ネットワークの運用を開始した。環境保全に貢献する技術の普及を図るため、同ネットワーク専用の
ホームページを開設。コンテンツは環境技術交流フォーラム、環境技術新書ニュース、環境技術ライ
ブラリー、環境技術情報ナビゲーションから構成されている。
10
(化工日 03.8.25)
[内分泌かく乱物質
放射線照射で分解]
日本原子力研究所は、放射線の照射により内分泌かく
乱物質を分解・不活性化する基礎技術を開発した。エストロジェン活性(女性ホルモン様活性)物質の
ひとつで、その活性が最も高い 17β-エストラジオールに放射線(コバルト 60 ガンマ線)を照射し、エ
ストロジェン活性をほぼ 100%喪失させることに成功したもの。
[化学物質の汚染状況
手軽に計算
(化工日 03.8.25)
即一覧] 工場から排出される化学物質の公表データを入力
すれば、特定場所の汚染状況が計算できるソフトウエアを(独)産業技術総合研究所化学物質リスク管
理研究センターの東野晴行研究員らが開発した。26 日から、インターネットで無償提供し、10 月には
東京で使い方の講習会を開く。ソフトウエアはパソコン用。曝露・リスク評価大気拡散モデル
(ADMER)と名付けた。拡散に影響する気象データも入力して、5km 四方の区画ごとの大気中濃度分
布と土地への沈着量が計算できる。ダウンロードと使い方講習会の申し込みは 26 日以降、同センター
のホームページ(http://www.riskcenter.jp/)。
[環境負荷
全パソコン公表]
(朝日 03.8.25)
NEC はグリーン購入の動きが拡大しているのに対応、年内にパソ
コン全機種の環境負荷データを公開する。環境負荷は原材料の調達、製造、使用、廃棄まで製品の全
寿命でとらえるライフサイクルアセスメント(LCA)の手法で分析した。各段階で生じる環境負荷を
CO2 に換算して表示する。
[日本メーカー
(日経 03.8.25)
有害物質の使用中止へ] 欧州連合(EU)が 06 年 7 月から電気・電子機器を対象に
使用を禁止する 6 つの特定有害物質について、前倒しで使用をやめる日本メーカーが増えている。セ
イコーエプソンは、05 年 3 月までに使用を停止、ソニー、キヤノン、富士通も 04 年中に廃止の方針。
すでに東芝や松下電器産業が 05 年 3 月末までの廃棄を発表し、日立製作所や NEC なども対応を急い
でいる。中国や韓国でも規制の動きがある。
[有害物質の製品混入防止で共通指針]
(毎日 03.8.26、読売 03.10.8)
ソニーやキヤノン、東芝など大手電機メーカーや部品メ
ーカーなど 46 社で作る「グリーン調達調査共通化協議会」は 25 日、製品に有害な化学物質が混入す
ることを防ぐ「グリーン調達」について、共通指針を作成したと発表した。米国電子工業会(EIA)、
欧州情報通信技術製造者協会(EICTA)とも共通化を目指す。指針が対象に定めた物質は計 29 種類。こ
のうち有害で他国などでも規制されている物質が 15 種類で、法規制はないが環境などへの影響が懸念
される物質や、金などリサイクル需要がある物質が 14 種類となっている。
[ラムサール条約登録湿地
(読売 03.8.26)
国内 15 候補地選定へ] ラムサール条約への国内登録湿地を、現在
の 13 カ所から 22 カ所以上に増やすため、環境省は 26 日までに、選定作業を本格化させることを決め
た。来年 3 月までに全国で 15 カ所程度の候補地を選び、登録手続きに入る。登録には保護区指定など
のほか①「絶滅の恐れがある種の生存にとって重要」など条約が示す基準に該当②地元自治体の了解
が必要。条約では今月 19 日現在、世界 138 カ国、1308 の湿地が登録されている。
(日経(夕) 03.8.26)
[環境促進法、提案へ] 環境省は 26 日、環境配慮型の経営をする企業が評価されるシステムを作
るため、早ければ次期通常国会に新法「環境経営促進法(仮称)」を提案する方針を決めた。環境経営
を推進する企業を国の調達や公的融資で優遇する。
[廃炉解体費
(毎日(夕) 03.8.26、朝日 03.8.27)
公費で支援] 環境省は 26 日、ダイオキシンの規制強化で廃炉になった地方自治体
の焼却施設の解体費用を 04 年度から公共事業費で支援する方針を決めた。解体を「施設整備と一体」
とみなし、費用の 25∼50%を補助する。
(朝日 03.8.27)
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[カイコ・クモの糸
CO2 も利用] 糸を吐くカイコやクモが、空気中の CO2 を糸の中に取り込ん
でいるという実験結果を、農林水産省系の(独)農業生物資源研究所の馬越淳研究員らのグループがま
とめ 27 日発表した。カイコは、クワの葉を食べ、それに含まれる炭素を材料に糸を作る。グループは、
通常の炭素とは重さが異なる炭素 13 という同位体を活用。炭素 13 の割合が通常より 80 倍高い空気の
中でカイコとクモに糸を作らせたところ、糸の中の炭素 13 の割合が増え、空気中の CO2 が取り込ま
れていることが分かった。米国の生体高分子関係の学術誌に掲載された。
[燃料電池車への水素供給、主役は?]
(朝日 03.8.28)
燃料電池車への水素供給は石油産業が主役になる − 。
(財)石油産業活性化センターは石油業界が製造する水素で燃料電池車向け需要は当面賄え、鉄鋼製造
工程の副産物としてできる水素よりも価格競争力があるとする報告書をまとめた。石油会社は石油を
3
脱硫するための水素製造装置を保有し、2020 年には燃料電池車向けに 35 億 m の供給余力があり、製
3
造コストは 1m 当たり最低で 11.1 円。
(日経(夕) 03.8.28)
[01 年度温室効果ガス総排出 13 億 t] 政府は 29 日、2001 年度の温室効果ガス総排出量が 12 億
9900 万 t(CO2 換算)だったと発表した。前年度比 2.5%の減少ながら 1990 年比では 5.2%の増加となっ
た。全体の 9 割を占める CO2 の排出量は 12 億 1400 万 t、国民1人当たり排出量では、9.53t だった。
メタンの排出量は CO2 換算で 2030 万 t(前年度比 2.5%減)、90 年度比では 17.8%の減少。N2O の排出
量は同 3540 万 t(同 6.4%減)、90 年比では 12%の減少。ハイドロフルオロカーボン類(HFCS)の排出量
は同 1560 万 t(同 15%減)、基準年である 95 年比では 22.1%減。パーフルオロカーボン類(PFCS)の排
出量は同 990 万 t(同 13.6%減)で 95 年比では 13.7%減。六フッ化硫黄(SF6)の排出量は同 450 万 t(同
21%減)で、95 年比では、72.9%減。
(日経 03.8.28、朝日(夕)・読売(夕)・日経(夕) 03.8.29、化工日 03.9.5、読売 03.9.17)
[米、工場排ガス規制緩和] 米環境保護局(EPA)は 27 日、各種工場に排出ガスの汚染除去を義務
づけている規制を緩和した。汚染除去装置を増強しなくてすむケースが増える。自然資源防衛評議会
によると、火力発電所や石油精製工場など、全米で 1 万 7000 施設が該当する。
[02 年度の下水処理人口普及率
(朝日(夕) 03.8.28)
65%に上昇] 国土交通省は、2002 年度末の全国の下水道整備状
況をまとめた。全国の処理人口普及率は、2001 年度末の 63.5%から 2002 年度は 65.2%に上昇し、処
理人口は約 8257 万人となった。下水道整備により海や川に清らかな水環境が復活した結果、清流にし
かいない生物の姿が戻るなどの事例が全国各地にみられた。
[都市ガスから水素抽出]
(化工日 03.8.29)
東京ガスと三菱重工業は共同で、都市ガスから高効率で水素を取り出
す技術を開発した。特殊な薄膜で水素を分離・回収する。抽出効率は従来の方法より約 10ポイ
ント 向上。水
素分子だけを透過する厚さ 20μm の薄膜を使う。都市ガスからエネルギー換算で約 80%に当たる水
素を取り出す。
[氷蓄熱
(日経 03.8.29)
用途広がる] 同じ量の 0℃の氷と水を比較すると、ものを冷やすエネルギー(冷熱)は氷
の方が 80 倍大きい。氷蓄熱空調システムは温度による水の状態変化を利用し、夜間、氷を作って冷熱
をため、昼間の冷房などに使う空調の方法。エアコンの室外機にあたる冷凍機と、水や氷を貯蔵する
蓄熱槽が主な設備で、氷蓄熱は、冷水を作って冷やす水蓄熱と比べ、蓄熱槽の規模も約 5 分の1に縮
小できる。氷蓄熱は果物の保存やワイン貯蔵、マイタケ栽培などに応用できる。
[植物燃料に商社注目]
(読売 03.8.29)
大手商社が、植物を原料とする「バイオエタノール」の関連ビジネスに
本腰を入れ始めた。地球温暖化防止のための CO2 削減策として、バイオエタノールをガソリンに混ぜ
12
た自動車燃料の需要増を見込んでの動き。エタノールや製造プラントの販売だけでなく、海外で CO2
削減に貢献すれば、その分の「排出権」を取得して他社に転売できることも大きい。
[京都議定書
(朝日 03.8.29)
ロシア当面批准せず] ロシア天然資源省のオソキナ次官は 28 日、プーチン大統領
が地球温暖化防止の京都議定書の批准に向けた議会審議を承認し、下院で審議が始まるとの見通しを
明らかにした。しかし、ロシア大統領府高官は 9 月 16 日、「経済的な利点が明確にならない限り批准
しない」方針を明らかにした。ロシアが、9 月 29 日からの世界気候変動会議で批准に前向きな姿勢を
示すとの予想を覆す形で、環境と自国経済を関連づける戦略を打ち出したことにより、議定書の早期
発効は困難になりそうだ。
(朝日(夕) 03.8.29、日経 03.9.27)
[代替フロンの代わりは・・・] オゾン層を守るために登場した代替フロンについて、欧州連合(EU)
が「地球温暖化への影響が大きい」と、10 年までに排出予測量の約 4 分1を削減する規制を発表した。
現在、
「代替フロン」に位置付けられているハイドロフルオロカーボン(HFC)は、フッ素・水素・炭素
から構成され、塩素を含んでいないためオゾン層を破壊する心配がないが、温室効果ガスの一つだ。
HFC の温暖化への影響力は、CO2 の 12∼1 万 2000 倍あり、冷蔵庫やカーエアコンに使われる種類だ
と 1300 倍になる。フッ素が炭素と結びついて分解しにくく、長期間温暖化へ影響を与えるという。
(毎日 03.9.1)
[洋上風力発電を推進]
新エネルギーとして、注目される風力発電施設を海上に建設する際の技
術的課題などについて、国土交通省の外郭団体「沿岸開発技術研究センター」が 4 日から、調査・研
究に着手する。05 年春まで実施する。北海道瀬棚町が、瀬棚港の防波堤近くに建設中の洋上風力発電
施設(出力 1200kw)を研究対象として、生態系に与える影響や、風と波から受ける影響、技術的課題
などを検討する。資源エネルギー庁などによると、全国の風力発電施設は 03 年 3 月末現在、576 基(総
出力 46 万 3000kw)で、いずれも内陸部や港湾の陸地部。
[放流水質基準など制定]
(毎日(夕) 03.9.1)
国土交通省は、下水道法施行令の改正案をまとめた。未制定だった公
共下水道、流域下水道についての構造・技術上の基準を定めたほか、雨天時の合流式下水道からの放
流水質基準なども設定した。来年 4 月1日から施行する。今回の改正のなかで、処理施設の構造・技
術上の基準については、嫌気性無酸素好気法と急速ろ過法を併用する方法をはじめ、施設の処理方法
ごとに計画放流水質を定めた。BOD(生物化学的酸素要求量)を1リッ
トル 当たり 5 日間に 10mg 以下と同 10
∼15mg の 2 つの区分としたほか、窒素含有量を同 10mg 以下、10∼20mg、20mg 以上の 3 区分に、ま
たリン含有量は同 0.5g 以下から 3 以上で区分は 9 つとした。放流水の水質・技術上の基準では、水素
3
イオン濃度 pH5.8 以上 8.6 以下、大腸菌群数 1cm 当たり 3,000 個以下、浮遊物質1リッ
トル 当たり 40mg 以
下の一律の基準とした。
[キヤノン
(化工日 03.9.2)
EU 環境規制に対応] キヤノンは情報機器で欧州連合(EU)の有害化学物質規制に適
合した製品を商品化する。EU は 2006 年 7 月以降、電子電気機器に重金属など有害物質の使用を禁じ
ており、キヤノンは第一弾として 11 月、世界に先駆けて同規制に対応した複写機・プリンターの複合
機を発売する。欧州規制への対応による部品調達コストの上昇は 2%程度。2004 年末までには全製品
で規制対応を完了、製品の競争力に結びつける。
[落雷、豪雨を呼ぶ「ヒートアイランド現象」]
(日経 03.9.2)
都市化に伴いコンクリートビルや舗装が増えた
結果、都心部の気温が周辺地区より高くなる「ヒートアイランド現象」が発生し、都市型水害である
集中豪雨や落雷など局地的な異常気象がたびたび起きている。停電や交通マヒだけでなく、コンピュ
ーターなどの電子機器へ影響を与えるため被害は甚大。首都圏では国土交通省関東地方整備局を中心
13
に、都市で起きる水害への対策が進んでいる。
[太陽電池
薄く安く]
(毎日 03.9.2)
薄型・軽量で安価に製造できる次世代太陽電池の開発が進み、住宅や携
帯機器向けに 2005 年にも商品が登場する。電機メーカーや素材、精密機器など約 60 社(アイシン精機、
日立マクセル、昭和電工、キヤノン、シャープ、三菱製紙など)が開発を手がけ、大型のパネルや曲げ
られるパネルなど成果が相次いでいる。CO2 を排出しない太陽光発電装置は政府の助成策などで需要
が伸びており、次世代技術の実用化で市場はさらに拡大しそうだ。
[PRTR 集計データ
(日経(夕) 03.9.2)
大気濃度を地図表示] 環境情報科学センターは、
「PRTR 集計データマップ」
に関する情報提供を開始した。同センターのホームページ「PRTR&リスクコミニュケーション」のな
かで、物質別排出量に関する市区町村別集計データおよび1km メッシュ地図と、有害大気汚染物質
優先取組物質として全国的なモニタリングが行われている 11 物質の大気濃度を暫定的に描いた1km
メッシュ地図の掲載を始めたもの。問い合わせは同センターホームページ(http://www.prtr.net.jp)、同
センターの PRTR 計算ユニット係(電話 03-3265-3916)。
[廃棄物対策
国が積極関与]
(化工日 03.9.3)
環境省は、廃棄物・リサイクル問題の抜本的な解決のため、不法
投棄や廃棄物をめぐる紛争の解決、施設整備などに国として積極的に足を踏み出すことを決めた。①
広域的な廃棄物処理に係る紛争に国が自ら乗り出す ②不法投棄の撲滅と優良事業者の育成 ③循環型
社会の構築に向けた公共関与による施設整備の促進 − の 3 つを柱に、国の役割、責任を具体的に果
たそうというもの。2004 年度概算要求に予算措置を盛り込んだほか、法令の整備などを促進、5 年以
内に大規模不法投棄ゼロの実現を目指す。
[PCB 汚染土壌
(化工日 03.9.3)
サイト浄化に成功] 三菱重工業は神戸市北区で行っていた PCB で汚染された土
壌の浄化を完了した。溶剤抽出法で土壌中の PCB を全量回収した。2001 年 3 月に発見された不法投
棄の廃高圧コンデンサから漏れた PCB による土壌汚染に対するもの。汚染土壌量は約 100t、PCB 量
は約 6kg と推定された。浄化実証試験システムは、汚染土壌から溶剤で PCB を抽出する抽出システム
(抽出塔)、抽出処理後の土壌を乾燥し溶剤を回収する溶剤回収システム、回収した溶剤を精製するシ
ステムで構成される。浄化費用も土壌1t 当たり 30 万円∼50 万円で対応可能。
[国内の CO2 排出権取引
(化工日 03.9.3)
100 社・団体が参加] 松下電器産業、リコー、住友商事、日本経団連、
電気事業連合会など 100 を超える企業・団体が、経済産業省の進める国内の CO2 排出権取引制度に参
加する。先進国に温暖化ガス削減を義務付ける地球温暖化防止・京都議定書の発行が近いと判断、官
民で実際の売買の仕組みや会計ルールを詰める。2005 年度にも取引が可能になる見通しで、国内で1
兆円ともいわれる排出権市場が動き出す。
[土壌の VOCS 汚染
(日経 03.9.3)
浄化の新工法] 竹中公務店と竹中土木は地中深部にある揮発性有機化合物
(VOCS)を掘削することなく、金属系還元材で原位置浄化する「DCM-e 工法」を共同開発した。掘削
除去が困難な深さ 40m 程度までの汚染土壌を浄化することができる。浄化処理はまず土壌中の汚染部
まで深層混合処理機のかく拌翼を貫入させ、先端から金属系還元材を吐き出し、撹拌翼の回転で汚染
土壌と還元材を均一に混ぜあわせる。約 3∼6 か月で環境基準値以下まで汚染濃度を低減でき、その後
も浄化効果が持続するという。
[ハイブリッド小型トラック
(化工日 03.9.3)
11 月発売] トヨタ自動車と日野自動車はディーゼルエンジンと電
気モーターを併用するハイブリッド方式の小型トラックを共同開発、11 月1日に発売する。積載量 2、
3 トン級で価格は 419 万 5,000∼475 万円。
(日経 03.9.4)
14
[100℃の加熱で外れるネジ]
シャープは 5 日、100℃程度に加熱するだけで結合部分が外れる特
殊なネジを試作したことを明らかにした。このネジで組み立てられた家電製品がリサイクルで回収さ
れると、短時間で解体できるという。このネジは金属製のネジと、形状記憶合金製のリングを組み合
わせた構造で、プラスチック製の部品同士を留める場合などに使う。
[大阪のダイオキシン訴訟和解]
(読売 0.3.9.6)
血中から高濃度のダイオキシンが検出された大阪府能勢町のご
み焼却施設「豊能郡美化センター」の元従業員 5 人と遺族1人が、国や豊能郡環境施設組合、焼却炉
を建設した三井造船など 3 社に計 5 億 3,000 万円の損害賠償を求めた訴訟は 9 日、3 社と同組合への
訴えについて、大阪地裁で和解した。和解条項などによると、三井造船と関連会社 2 社が解決金 3,000
万円を支払うほか、会社側と組合がダイオキシン汚染に遺憾の意を表明する。
(朝日 03.9.6、朝日・日経・産経・毎日 03.9.10)
[臭素系難燃剤「BDBPT」 生体内蓄積でシロ証明] 日本難燃剤協会が試験委託していた臭素系
難燃剤「FR-720」(BDBPT=テトラブロモビスフェノール A 誘導体)の生体内蓄積性の検証で、この
ほど「極めて低い濃縮倍率である」との結果が出され、当初予想通り安全性が科学的に証明された。
検証先の化学物質評価研究機構(CERI、化評研)では現在、英文報告書の作成に入っており、これが完
成次第、難燃剤協会では、同難燃剤の禁止・撤回を行ったオランダ政府に報告書を提出する。
(化工日 03.9.9)
[超低濃度用排ガス計測装置開発] 堀場製作所の米子会社ホリバ・インスツルメンツ(カルフォル
ニア州)は、超低濃度排ガス車用の新型排ガス計測装置を開発、米連邦環境保護庁(EPA)での採用が決
まった。新型装置は EPA が 2 年前に認証した、排ガスを部分採取し一定比率で希釈する BMD 法を世
界で初めて採用した。従来の排ガス全量を採取する方法に比べて低濃度成分の計測に向いている。
(日経 03.9.9)
[水生生物保全水質
環境基準審議] 中央環境審議会水環境部会は 11 日、水生生物の保全等に係
る水質環境基準の設定について審議した。同部会では、8 つの物質について、その毒性が魚介類やそ
のエサとなる水生昆虫にどう影響するか調査。その結果、亜鉛について、基準値を河川で1リッ
トル 当たり
0.03mg、一般海域で 0.02mg と定めた。
[NOX・PM 低減装置
(化工日 03.9.10・03.9.16、読売 03.9.12)
認定第 1 号] 国土交通省は、昨年 9 月に創設した「窒素酸化物(NOX)ま
たは粒子状物資(PM)を低減させる装置の性能評価制度」に基づく、第1号の NOX・PM 低減装置を条
件付きで認定した。同装置は既存のディーゼル車に取り付けて、NOX・PM を低減させるもの。第1
号認定を受けたのは、エス・アンド・エス エンジニアリングが開発した DBS(デュエット・バーン・
システム)型排気ガス浄化装置「DBS-A1」。軽油タンクと別に水タンクを搭載、ディーゼル燃料と水
を混合しエマルジョン化(乳化)させることで、燃焼時に水が気化熱を奪い NOX の発生を抑制、同時に
PM などの排出を抑える。さらに排ガス中の PM を DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)
で除去する仕組み。
(化工日 03.9.10)
[アルミ缶リサイクル強化] 日本アルミニウム協会は 9 日、このほど開催された産業構造審議会
廃棄物・リサイクル小委員会で、アルミ缶の回収・再資源化率を 2006 年度までに 85%とするなど、
再資源化に向けたリサイクルガイドラインが改定されたのを受け、さらに普及・啓蒙などの各種活動
を強化していくと発表した。
(化工日 03.9.10)
[廃棄物処理・リサイクルガイドラインを改定] 産業構造審議会は、事業者が取り組むべき事項
を整理した「廃棄物処理・リサイクルガイドライン」を改定した。個別品目および業種ごとの 3R 対
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策を質・量ともに高めていくことを目的に、従来のガイドラインの充実を図ったもの。非鉄金属製造
業、自動車製造業、ゴム製品製造業などで産業廃棄物最終処分量の削減目標見直しや新たな目標設定
を行ったほか、有害物質対策強化などを織り込んだ。また、自動車、パソコンなど 9 品目について設
計・製造段階での 3R 配慮の具体的公表方法を明示した。ガイドラインの対象は 35 品目 18 業種にお
よび、一般廃棄物量の 70%、産業廃棄物量の 40%をカバーしている。
[日産ディーゼル
(化工日 03.9.10)
NOX 半減大型トラック発売] 日産ディーゼル工業は 2004 年秋、粒子状物質
(PM)と尿素を水に溶かした「尿素水」を排出ガス中に噴射して窒素酸化物(NOX)を大幅に減らした超
低公害大型トラック(総重量 16t 以上)を発売する。
[ディーゼル車規制に]
(日経 03.9.10、朝日 03.9.11)
東京都、神奈川、埼玉、千葉県と、政令指定都市の横浜、川崎、さいた
ま、千葉市の 8 都県市は 10 日、10 月 1 日から同時に開始する予定のディーゼル車排ガス規制につい
て、排ガス対策を講じる意向を示した運送会社やトラック業者などに証明書を発行し、3 か月の間、
罰則の適用を猶予する方針を固めた。また、自民党千葉県連は、県ディーゼル条例による運行規制の
罰則適用時期を、05 年 3 月まで延期する条例改正案を 9 月県議会に提出する方針を決めた。一方で、
罰則付きの厳しい規制に運送業者は対応に追われ、悲鳴を上げる。中小・零細業者の負担感は大きい。
(朝日・読売・毎日・日経・産経 03.9.10∼03.10.29)
[RPF 工業会が本格始動]
事業系の廃プラスチックや再生できない古紙類などを原料とする
RPF(リフューズ・ぺーパー&プラスチック・フューエル)事業の全国組織、
「日本 RPF 工業会」が本格
スタートした。RPF は、廃プラ、古紙類を原料に石炭と同程度にカロリー調整し、電力用の原料など
化石燃料の代替となるもの。廃棄物の有効利用や資源循環に貢献する。同工業会は、RPF の製造、販
売、原料集荷・収集運搬、品質管理などの充実、さらに関連する情報交換を行うことを目的とする。
正会員は、エコ・マイニング、大林開発、三造エコ燃料、上越マテリアル、関商店、知多イー・アン
ド・エム、松崎商事の 7 社。
[排出ガスに新認定基準]
(化工日 03.9.11)
国土交通省は、自動車の環境対策に関し、世界最高水準の認定値を盛
り込んだ新しい認定制度を 10 月1日、導入する。新制度は、00 年規制値よりも大幅にきびしい 05 年
規制値を基準とし、「05 年規制値比で 50%削減」「同 75%削減」の 2 種を用意する。現在の市販車で
この認定を受けられそうなのはトヨタのプリウス、日産自動車のブルーバードシルフィ程度。
(朝日 03.9.11)
[浮遊粒子状物質
3 年連続悪化] 環境省が 10 日発表した 2002 年度の大気汚染状況調査で、呼吸
器に沈着して悪影響を及ぼす浮遊粒子状物質(SPM)の環境基準達成率が 3 年連続で悪化したことが分
かった。同省は「塗料などの揮発性有機化合物が光化学反応で粒子化する二次粒子が増加傾向にある
ため」と分析している。達成率は 1999 年度に一般局で 90.1%、排ガス局で 76.2%まで改善した後、3
年連続で悪化した。
[産廃の法定外目的税
(読売・日経 03.9.11、化工日 03.9.12)
具体的使途分析へ] 環境省は、産業廃棄物行政と政策手段としての税の
あり方に関する中間取りまとめを行った。課税の根拠としては、廃棄物処理のための財源確保と価格
インセンティブ効果による減量化などの促進の 2 点にまとめている。価格インセンティブ効果による
減量化などの促進については、同効果が働く税率の水準を詳細に解析したうえで導入の是非を検討す
べきとしているほか、課税による不法投棄の増加や、全国的な制度導入を背景にした海外への廃棄物
流出などの影響の有無について、予測を含めた分析が必要としている。
16
(化工日 03.9.12)
[日本の不発弾処理難しく] 廃棄物の海洋投棄を全面禁止するロンドン条約「96 年議定書」が早
ければ来年にも発効することから、日本が海に捨てている第二次大戦時の米軍不発弾が処理できなく
なる恐れが出てきた。ロンドン条約は有機ハロゲン化合物など投棄禁止物質を定め、それ以外の投棄
を認めている。不発弾は廃火薬として投棄でき、日本は先進国で唯一、海に捨てている。日本が議定
書を批准すれば、新たな不発弾処理施設が必要になるが、責任省庁がなく施設整備のめどが立たない
状態。環境省は 16 日、中央環境審議会の専門委員会で防衛庁を含む関係省庁からヒアリングをし、対
応を検討する。日本では毎年約 2000 件、60∼100t の不発弾が見つかっている。ほとんどが米軍のも
ので、4 割が本土戦前に激しい爆撃を受けた沖縄県に集中している。同県にはまだ 2500t が埋まって
いると推定されている。
[製品内化学物質を開示]
(朝日 03.9.14)
化学最大手の三菱化学は、自社の製品に有害な化学物質が含まれてい
るかどうかを調べ、製品を供給する電機、自動車メーカーなどに情報を開示する取り組みを始める。
調査は製造過程での有害物質の含有量も対象にする。国内法で義務づけれられていないごく微量の場
合も明示する方針で化学業界では初めての試みという。有害な化学物質に対する規制が強化されてお
り業界全体に広がりそうだ。
(朝日 03.9.14)
[海の“呼吸”観測に成功] 海は森林と同様、大気中の CO2 の大きな吸収源。その実態をできる
だけ正確につかむことは、地球温暖化の予測に欠かせない。(独)国立環境研究所の野尻幸宏・総合研
究官らは、カナダ海洋研究所と協力して、貨物船による観測に挑んだ。1995 年から 4 年半で、北太平
洋 36 往復分の観測に成功。その結果から、北緯 34 度以北の北太平洋の CO2 吸収量は、年間平均 2.4
億 t と計算され、季節や海域よる変動が大きいことも確認できた。このような成果が注目され、欧米
各国も貨物船による観測を始めた。
(読売(夕) 03.9.17)
[酸化エチレン処理技術の実証試験要領を策定] 環境省は、酸化エチレン処理技術の実証試験要
領を策定した。対象は、製造業や医療機関などに設置されている酸化エチレン滅菌装置からの排ガス
を燃焼、酸化触媒反応、加水反応などの技術により適切に処理する技術・装置。同要領では、試験の
実施体制から実際の試験方法、報告書の作成までをまとめている。10 月以降に実証機関による対象技
術の公募・選定を行う予定。
[環境政策
根本から検証]
(化工日 03.9.18)
環境省は、環境問題の取り組みについて既存の政策の枠組みのあり
方も含めて根本から検証することを目的に「環境基本問題懇談会」を開催する。現時点では「持続可
能な開発と環境・公害問題への取組」「環境と経済活動の統合」「社会・地域のあり方と環境の保全」
「科学・技術と環境」の 4 テーマが挙がっている。
[揮発性有機化合物規制へ]
(化工日 03.9.18)
光化学スモッグや浮遊粒子状物質(SPM)の原因になるトルエンなど
揮発性有機化合物(VOC)の大気中への排出について、環境省は 17 日、初めて法的な規制に乗りすこ
とを決めた。印刷工場などから出る VOC は、窒素酸化物などと並び大気汚染の 4 大物質といわれる
が、物質が数十種類にものぼり、印刷、塗装など用途も多いことから規制は先送りされてきた。SPM
はこれまで車の排ガスや工場のばい煙などが主な発生源とみられたが、SPM の 3∼5 割は VOC が作用
していることが分かった。このため、環境省は 10 年度までの大気環境基準を達成するには VOC の排
出抑制が効果的と判断した。
[廃プラ、分別せずに再生]
(朝日 03.9.18)
産業廃棄物処分業の吉岡産業と富士通オートメーションは共同で、
プラスチック廃棄物を種類ごとに分別せずに再生樹脂にリサイクルする仕組みを開発した。家庭から
17
出る一般ゴミや産業廃棄物を建築資材などに再生できる。
[生分解性プラスチック需要
(日経 03.9.18)
2015 年に国内の1割] 日本政策投資銀行は生分解性プラスチック
が 2015 年ごろに国内樹脂需要の1割を占めるという市場予測をまとめた。生分解性プラスチック原料
は現在、1kg 当たり 500 円前後だが、150 万 t の需要があれば 150 円まで下がると予測している。
(日経 03.9.18)
[いすず
ディーゼルトラックに天然ガス活用] いすず自動車とカナダのベンチャー業、ウエス
トポート・イノベーションズは天然ガスを燃料にした直噴式ディーゼルエンジン搭載のトラックを完
成させた。パワー、スピードは通常のディーゼルエンジントラックと同水準という。
[日商岩井が植林ファンド]
(日経 03.9.18)
日商岩井は投資ファンド方式による環境植林事業を来年からベトナ
ムで始める。ファンドは 50 億円規模とし、電力会社、鉄鋼、電機メーカーなどから出資を募る。植林
を通じて得られる CO2 排出権を出資者に配当する仕組み。
[豊島の不法投棄産廃
(日経 03.9.18)
本格処理始まる] 瀬戸内海・豊島(香川県)に不法投棄された約 50 万 t の
産業廃棄物を焼却・溶融する本格的な産廃処理が 18 日、西約 5km の直島の処理施設で始まった。業
者による不法投棄の開始から約 20 年、産廃の完全撤去を勝ち取った国の公害調停成立から 3 年余り。
調停の合意事項に基づき、県は直島の施設で、汚染土壌なども含めて計約 67 万 t を 10 年計画で処理
する。
[03 年度版
(日経(夕)・毎日(夕) 03.9.18)
環境報告書ガイドライン案]
環境省は、2003 年度版環境報告書ガイドライン(案)
をまとめた。内容は基本的項目、環境経営方針・目標・実績などの総括、環境マネジメントに関する
状況、環境負荷の低減に向けた取り組みの状況、社会的取り組みの状況の 5 分野 25 項目に整理されて
おり、2000 年度版に比べて社会的取り組みの状況が増えている。
[群馬県環境白書
公害苦情件数 8.2%増]
(化工日 03.9.19)
群馬県は 2003 年版の環境白書をまとめた。県や市町
村に 02 年度中に寄せられた公害に関する苦情件数は、前の年度より 8.2%多い 2915 件に達した。環
境に対する意識の高まりを背景に、大気汚染や悪臭などの苦情の増加が目立つ。白書に示された環境
に関する数値では、地盤沈下の悪化が目立った。
[シックハウス原因物質、簡単に検出]
(日経 03.9.19)
(財)神奈川科学技術アカデミー(KAST)と慶応大学理工
学部応用化学科分析化学研究室の研究グループは 18 日、シックハウス症候群の原因となる化学物質の
トルエン、キシレンの有無や量を色の変化で簡単に調べる試薬を開発したと発表した。宮城教育大で
23 日始まる日本分析化学会で報告する。試薬は化学物質のアニリンとホルマリンの固体化合物。原因
物質の量が多いほど反応して赤色が濃くなる。
(毎日 03.9.19)
[「電力自給都市」を実験] 風力発電所や燃料電池などを電線で結び、新エネルギーだけを使った
電力網を構築する実験が始まる。情報技術(IT)を利用して発電量を管理し、特定地域でのエネルギー
の自給自足を目指す。2005 年ごろを目標に、三菱総合研究所と三菱電機は青森県や同県八戸市と共同
で、風力、太陽光、バイオマス(量的生物資源)を使った地域電力網を作る。また、富士電機、日新電
機、野村総合研究所など 5 社は京都府や同府弥栄町と共同で、風力、太陽光、バイオマス発電、燃料
電池をつなげた電力網を弥栄町に 2005 年初めまでに構築する。
(日経 03.9.20)
[自動車解体工場炎上] 19 日午後 3 時ごろ、茨城県猿島郡境町志鳥の自動車解体会社「A・A」の
作業場から出火、廃車、タクシー車載用 LP ガスタンクなどに引火し爆発、炎上した。鉄筋 3 階建て
18
2
2
の同工場事務所約 670m が全焼、約 5600m の廃車置き場にあった廃車約 1000 台も燃えた
(朝日・読売・日経・毎日・産経 03.9.20)
[新船底塗料
環境ホルモン溶出なし]
奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科の藤木
道也教授、内藤昌信助手らは、内分泌かく乱物質を溶出しない新規船底塗料を開発した。同教授らが
開発したのは非環境ホルモン系の付着忌避活性物質をミクロな網目を持つ高分子(マトリックス高分
子)内に組み込んだ塗料。
(化工日 03.9.22)
[ナノテク共同研究] 三菱商事と中堅化学メーカーの本荘ケミカル、大阪大学はナノテクノロジー
(超微細技術)分野で共同研究を始めた。ノートパソコン用の燃料電池の寿命を 6 倍に延ばす材料や、
次世代の大型表示装置と期待される電界放出型ディスプレー(FED)用の中核部品を開発する。それぞ
れの技術や知識をいかして 2005 年の実用化を目指す。
[車用リチウムイオン電池
(日経 03.9.22)
出力 2.5 倍可能に] 伊藤忠商事は米企業と共同で自動車用リチウム
イオン電池の出力を現行製品の 2.5 倍にできる製造方法を開発した。原料の炭素やマンガン等をそれ
ぞれ別個に真空蒸着させる技術を開発。最小約 5nm の精度で各原料を蒸着する位置を制御できるため、
余分なすき間ができにくく出力が高まる。リチウムイオン電池の出力を1kg 当たり 5000kw に高めら
れる。電池を小型化できるため自動車の動力部分を省スペース化でき、車体の軽量化にもつながる。
(日経 03.9.23)
[ヒ素汚染土壌
植物で低コスト浄化]
フジタはファイトレメディエーション(植物浄化)による
ヒ素汚染土壌の浄化事業を展開する。米エーデンスペースシステムズからモエジマシダを用いたヒ素
汚染土壌の浄化技術の日本国内における実施権を取得。モエジマシダは高いレベルでヒ素を蓄積する
ことが 2001 年に報告されており、ヒ素蓄積量は植物体乾燥量1kg 当たり 20g 超で、植物成長が1年
間で 2kg/m2 であることから高い浄化能力が発揮でき、環境基準値の数百倍レベルの汚染まで対応でき
るという。
(化工日 03.9.24)
[パルス放電の水処理技術開発] 荏原の 100%子会社、荏原総合研究所は、水中パルス放電技術を
開発した。水中でアーク放電して発生する瞬間的な高エネルギーを利用して排水処理するもので、新
規の物理化学的な水処理技術として実用化を急ぐ。これまでに、テスト機を製作し、難分解性化学物
質や内分泌かく乱物質などの処理実験で良好な成果をあげており、フィールド実験の検討を進める。
同時に、クリプトスポリジウム不活性化や貝類付着防止などでも、応用効果を確認しており、生物対
策分野での応用も期待できる。今後、用途分野ごとの実用化研究を急ぐとともに、エネルギー回収型
の環境装置技術と組み合わせて高効率システムの開発へとつなげていく。
(化工日 03.9.24)
[大気汚染濃度と呼吸器有症率に関連みられず] 環境省は、2001 年度の大気汚染に係る環境保健
サーベイランス調査結果を取りまとめた。全国 34 カ所の地域で約 8 万 2000 人の 3 歳児を対象に実施
した。結果をみると、大気汚染物質濃度と呼吸器症状(ぜん息、ぜん鳴など)有症率との間に全濃度区
分を通じて一定の傾向は確認できなかった。
[野生生物保護へ
(化工日 03.9.24)
環境 NGO が法案作成] 日本自然保護協会など 44 団体で組織する「野生生物
保護法制定をめざす全国ネットワーク」は、国会議員の紹介で衆議院法制局とも相談を重ね、今年 6
月、野生生物保護基本法案の要綱をまとめた。
[ホルムアルデヒド
(読売(夕) 03.9.24)
基準濃度でもラットに障害] 厚生労働省が定めた室内環境基準濃度のホル
ムアルデヒドでも、誕生前後のラットがさらされると、平衡感覚や学習行動に障害が出るとの実験結
19
果を東海大の相川浩幸講師がまとめた。神奈川県相模原市で開かれる日本免疫毒性学会で 26 日、発表
する。
(日経 03.9.25)
[温室効果ガス
2013 年以降の削減枠組み検討始める] 環境省は 25 日、2013 年以後の温室効果
ガスの排出削減の枠組みに関する検討を始めた。中央環境審議会の地球環境部会で基本方針を取りま
とめ、12 月にイタリアで開かれる気候変動枠組み条約第 9 回締約国会議(COP9)で提案する。京都議
定書は先進国全体に対し、08∼12 年の 5 年間平均で 90 年比 5.2%以上の削減を義務付けたが、13 年
以降の枠組みは、まだ決まっていない。
[長崎ホルマリン使用トラフグ
(毎日 03.9.26)
出荷再開] 長崎県内の養殖トラフグの一部に、禁じられている
ホルマリンの使用が発覚するなど養殖魚への不信が広がっている。しかし、長崎県は出荷前の検査や
出荷後のフグにホルマリン使用履歴書など関係書類の添付を義務化するなどのシステムを確立するこ
とや専門家の意見などにより 8 月以降、出荷停止解除を決定した。
(日経(夕) 03.9.26、産経 03.9.28、日経 03.9.29)
[北極圏
氷床が崩壊] カナダにある北極圏最大の氷床が 2 つに割れ、一部がバラバラになって
海に流れ出していることが、カナダ・ラバル大と米・アラスカ大のグループの観測で 26 日までに明ら
かになった。北極圏で目立っている温暖化傾向が原因だという。
[石綿すべて禁止]
(朝日(夕) 03.9.27)
石綿(アスベスト)を吸い込むことで生じる健康被害問題で、厚生労働省は 19
日、「労働安全衛生法施行令」を改正し、来年 10 月から石綿を原則使用禁止とする方針を決めた。ア
スベストに関しては EU(欧州連合)も全面禁止を検討している。新たに使用禁止となったのは、白石
綿の住宅屋根用スレートや外壁用の繊維強化セメント板など建材、ブレーキパッドなど摩擦材など計
10 製品。
(毎日 03.9.28)
[PET ボトルリサイクル
02 年度は回収率 53.4%] PET ボトルリサイクル推進協議会は、「PET
ボトルリサイクル年次報告書 2003 年度版」をまとめた。それによると、2002 年度の事業系回収量を
加えた PET ボトル回収率は、前年度を 9.4 ポイント上まわる 53.4%、となり、初めて過半数を突破し
た。2002 年度の PET ボトル用樹脂の生産量(輸入容器を含む)は、前年度比 2%増の 41 万 3000t とな
った。
[PRTR 対象物質
(化工日 03.9.29)
川崎市が排出削減目標]
川崎市は、化学物質の環境リスク低減に向けた重点
目標として、市内の事業所から排出される PRTR 対象物質の総排出量を 2006 年度までに 2001 年度比
30%削減を目指す。昨年 10 月に定めた同市の環境基本計画に盛り込まれたもの。対象事業所へのヒア
リングなどによって各事業所による自主的な取り組みを促すとともに、市民を対象としたセミナーな
どを通じたリスクコミュニケーションにも積極的に取り組んでいる。PRTR 対象物質の削減は、企業
や事業所単位では削減目標を設定する例が増えているが、自治体が具体的目標値を掲げるのは極めて
珍しい。また、旭化成の川崎支社は PRTR 対象物質排出削減の一環として脱気されたメタクリル酸メ
チル(MMA)、アクリル酸メチル(MA)の排出量を現状の 4 分の1以下に低減する。今年 12 月に排出
源であるメタクリル樹脂製造プラント(浮島地区)に排ガス脱臭設備を設置するもの。同支社における
2001 年度の MMA、MA の排出量は合わせて 89t だったが、2004 年度には 20t 以下になる見込み。
(化工日 03.9.29・03.10.2)
[旧日本軍遺棄毒ガス
国に責任]
旧日本軍が日中戦争終了前後に中国に遺棄した毒ガス兵器や
砲弾がその後数十年を経て毒ガスが漏れ出したり、爆発したりして死傷した中国人とその遺族計 13
20
人が、日本政府に計約 2 億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が 29 日、東京地裁であった。片山良広裁
判長は「政府は兵器の遺棄場所やその処理方法などの情報を中国側に積極的に提供して事故の防止を
図るべきだったのに 72 年の日中国交正常化後もこの義務を履行せず、事故が発生した」と述べて計約
1億 9,000 万円の支払いを命じた。が、国は、10 月 3 日、東京地裁の判決を不服として東京高裁に控
訴した。
(朝日・読売・毎日・日経・産経 03.9.30、朝日・日経・毎日 03.10.4)
[SPM 基準
2010 年達成へ
VOC 抑制対策に着手] 環境省は、浮遊粒子状物質(SPM)の環境基
準達成に向けた揮発性有機化合物(VOC)排出抑制対策の検討に着手した。汚染状況の改善を促進する
ため、追加的措置として今年 11 月中旬をめどに基本的な枠組みを取りまとめる予定。9 月 29 日に行
われた第1回揮発性有機化合物排出抑制検討会では、削減目標について実用化されている先進技術を
ベースに設定する方向性が示され、対策のあり方についても現在進められている自主的な取り組みを
阻害しない手法を選択する必要があるとの意見が出された。
[クレオソート油含有 3 化学物質
(化工日 03.10.1)
使用規制] 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会化学物質安全
対策部会は1日、クレオソート油に含有される化学物質の規制基準を決定した。対象となるのは発が
ん性が見いだされているベンゾピレン、ベンズアントラセン、ジベンズアントラセンの 3 物質。基準
は家庭用品への使用を規制するもので、クレオソート油を含有する木材防腐剤および木材防虫剤中の
含有量を 3 物質とも 10ppm 以下に制限するほか、クレオソート油およびその混合物で処理された防腐
木材および防虫木材でも同じく 3ppm 以下に制限する内容となっている。
[産廃
自然乾燥ブロックに]
(化工日 03.10.2)
石材や鉄鋼スラグ、汚泥などの産業廃棄物を再利用、焼かずに自
然乾燥させて固めた「無焼成レンガ風ブロック」が、茨城県猿島郡総和町の丘里工業団地内にある東
電環境エンジニアリング総和リサイクルセンターで生産されている。この方法は産業廃棄物を原土と
混ぜて処理、薬品を投入した後、真空状態にして 12 時間自然乾燥させたうえ1カ月間養生させて仕上
げる。化石燃料を使用しないため CO2 が発生しないほか、原料に含まれる水分も利用するので工場か
らの排水もないという。
(毎日 03.10.2)
[RoHS 指令特定化学物質の閾値 0.1∼0.01%が濃厚] 2006 年 7 月から施行される欧州の RoHS 指
令(電気・電子機器類の有害物質の規制に関する指令)で、議論が進んでいる特定化学物質の閾値(含有
限界値)はカドミウムが 0.01%、その他の 5 物質が 0.1%となる見通しが強まった。すでに実施されて
いる ELV(使用ずみ自動車)指令の閾値が 0.1∼0.01%となっており、これとの整合化が協調された模様。
(化工日 03.10.3)
[家庭向け水素ステーション開発]
ホンダは家庭に設置できる燃料電池自動車向け水素ステーシ
ョンを開発、米国の研究所で実証実験を始めた。天然ガスから水素を取り出すほか、内蔵している燃
料電池で熱と電気を供給できる。将来の燃料電池車普及をにらみ、家庭や事務所で燃料の水素を充て
んできる技術を確立する。
[特定産廃除去
(日経 03.10.3)
2012 年度までに] 環境省は 2 日、青森・岩手県境などの過去に不法投棄された
産業処理廃棄物の除去を進めるため、産業廃棄物特別措置法に基づいた都道府県に対する基本方針を
発表した。基本方針は都道府県が特定産業廃棄物の実態調査を進めることや措置命令の発動、実施計
画の作成による廃棄物の撤去などを定めた。全国の約 200 カ所が対象となる見込み。2012 年度までに
計画的に撤去を進める。
(日経 03.10.3・化工日 03.10.7)
21
[手のひらサイズの燃料電池]
東芝は 3 日、手のひらに載るサイズの小型燃料電池を開発したと
発表した。25cc のメタノールを燃料として約 20 時間の発電が可能で、携帯電話のリチウム電池 6 個
分程度に相当する。2005 年の製品化を目指す。
[温暖化続けば
(日経 03.10.4)
生産地「不適格」に] 地球温暖化が予測されているペースで進むと、2060 年ご
ろにリンゴとミカンの主産地が軒並み栽培に適さない地域になることが、農林水産省系独立行政法人
「農業・生物系特定産業技術研究機構・果樹研究所」の研究でわかった。栽培時期をずらしたり、ハ
ウスを利用したりして気候変動に対応しやすいイネや野菜と違い、果樹は対応が難しい。また、地球
温暖化で海水温が 1.5℃上昇するとマダイやトラフグの漁獲・養殖主産地の九州・四国地方が「生息
不適」になることも、農水省・水産庁の調査でわかった。
[温室効果ガス削減認証組織
(朝日 03.10.4、毎日(夕) 03.10.30)
日本法人名乗り] 温室効果ガス削減量などを第三者として認証す
る「運営組織」(OE)に、日本の監査法人などが名乗りを上げている。OE を目指しているのは中央青
山、朝日、トーマツといった監査法人、日本環境認証機構などの ISO 規格認証機関、産業技術に詳し
い日本プラント協会など 6 法人。
(朝日(夕) 03.10.4)
[リコー、2010 年 CO2 排出ゼロに] リコーは 2010 年までに、自社が排出する CO2 量を植林など
で獲得できる排出枠で相殺できる事業体制を確立する。これは地球温暖化ガスの削減を目指す京都議
定書の枠組みで CO2 排出量ゼロに相当する。日本全体の目標を大幅に上回る計画を進めておき、将来
の環境対策負担のリスクに備える。
[内分泌かく乱物質など
(日経 03.10.5)
微量小分子の新測定法開発] 東京大学大学院新領域創成科学研究科の
上田宏助教授らは、内分泌かく乱物質など微量小分子を測定するためオープンサンドイッチ法による
免疫測定法を開発した。抗体の抗原結合部位である可変領域を構成する 2 つのドメイン VL、VH の相
互作用が抗原濃度により変化するオープンサンドイッチ法を利用した。抗体 VH、VL の抗原結合能と
VH/VL 間相互作用の両方を簡便に評価するため、新規ファージ提示系スプリット Fv システムを構築。
このシステムは簡単に酵素免疫測定法を実施でき、ビスフェノール A を用いた実験では検出限界が
0.2ng/ml を下回る結果を得た。
[減農薬すすむゴルフ場]
(化工日 03.10.6)
ゴルフ場の芝を維持するために使う農薬の量が激減している。バブル
による建設ブームで水源や土壌の汚染が社会問題になった 10 余年前に比べれば、総量で 4 割以上も減
っている。不況で農薬散布などの管理費を切りつめた結果という側面もあるが、農薬に頼らず病害虫
に強い芝を育てようというゴルフ場の意識も高まりつつある。
[鉄道輸送で CO2 排出量削減]
(朝日 03.10.6)
日産自動車は来年1月、トラックの代わりに、鉄道で自動車部品
を運ぶ輸送手法を導入する。部品在庫を抑制する「ジャスト・イン・タイム」の生産方式を維持しな
がら、輸送費を 2 割、CO2 排出量を 7 割削減する。
(日経 03.10.7)
[原発を基幹電源に] 政府は 7 日、昨年 6 月に施行されたエネルギー政策基本法に基づく初のエネ
ルギー基本計画を閣議決定し、国会に報告する。安定供給や地球温暖化対策などの面から、原子力発
電を「安全確保を大前提に基幹電源として推進」とする一方、東京電力の原発トラブル隠しを踏まえ、
国と電力会社による徹底した安全確保の必要性を強調。核燃料サイクル政策の推進も明記している。
(産経 03.10.7)
[01 年度 PRTR の大気濃度マップ作成] (独)製品評価技術基盤機構(NITE)は、2001 年度の PRTR
の「大気濃度マップ」(全国版)を作成、ホームページ上で公開した。総排出量の上位 10 物質のうち、
22
大気排出量の少ない1物質を除いた 9 物質について、発生源分布と大気濃度を地図上に表示したもの。
5 月に関東版を作成していたが、このほど全国版にリニューアルした。PRTR 物質の排出量や濃度推計
値の把握を容易にし、化学物質をめぐるリスクコミュニケーションなどへの活用を促進するのが目的。
(化工日 03.10.8)
[有害化学物質
削減・代替技術開発を促進] 経済産業省は、化学物質リスク削減に向け、有害
化学物質を削減、代替する技術の開発に乗り出す。代替物質や技術に関するニーズの高い分野を対象
に、公募方式により民間企業などが持つ技術シーズをマッチングさせ、広く導入可能な技術基盤を開
発しようというもの。来年度以降、年間 3 件程度のテーマを抽出し、新エネルギー・産業技術総合開
発機構(NEDO)の委託事業として実施し早期実用化を促進する構想。
[汚染土壌から有機ヒ素分解菌発見]
(化工日 03.10.9)
金沢大学工学部と金沢大学大学院自然科学研究科の研究グ
ループは、汚染土壌中の有機ヒ素化合物を無機ヒ素化合物に分解する菌の迅速・簡便なスクリーニン
グ法を開発するとともに、同法により 3 種類の有機ヒ素分解菌を新たに発見した。研究グループでは、
有機ヒ素汚染管理区域の土壌中に存在するヒ素の濃度分布を還元気化原子吸光法により測定したうえ
で、高濃度の汚染土壌試料からヒ素耐性菌を単離し、ジメチルジチオカルバミン酸銀を用いた比色法
によって有機ヒ素分解菌を探索。複数の採取地点の土壌から約 60 種類のヒ素耐性菌を単離し、新しく
開発した手法でスクリーニングした結果、3 種がメチルヒ素を無機ヒ素に分解することを確認した。
(化工日 03.10.9)
[飲用井戸から有害物質]
茨城県牛久市の飲用井戸から環境基準を超える有機塩素系物質が検出
された問題で、県は 24 日、問題の井戸から半径 250m 圏内の全井戸 79 カ所の調査結果を公表した。
新たに 24 カ所で環境基準を超える「トリクロロエチレン」と「四塩化炭素」が、水道水の水質基準の
3∼23 倍の濃度で検出され、有機塩素系物質に汚染された井戸は計 33 カ所になった。また住民への聞
き取り調査などから、周辺で有機塩素系物質を使用した可能性のある事業所が新たに 4 カ所判明した。
金属機械加工工場やクリーニング店などですでに廃業しており、県は井戸水汚染との関連を調べる。
(読売 03.10.9、朝日・毎日 03.10.25)
[関心高い“地球温暖化”] 環境省は、環境保全への取り組みに関するアンケート調査結果をまと
めた。この調査は、第二次環境基本計画の着実な実行を確保するため、国民と子供、民間団体をそれ
ぞれ対象に実施したもの。そのうちの国民アンケートでは、現在関心のある環境問題については「地
球温暖化」が最も多く、次いで「オゾン層破壊」「大気汚染」「不法投棄など廃棄物の不適正の処理」
の順となった。子供アンケートでは、環境問題についての関心領域は幅広く、とくに水質汚濁や森林
減少、地球温暖化、大気汚染に対する関心が高いという結果が出た。民間団体の主たる活動分野は地
域環境問題および地球環境問題が多く、活動形態は環境保全の実践活動が 7 割を超えた。また、団体
運営における資金不足、人員不足が活動充実のための課題となっている状況が明らかになっている。
(化工日 03.10.10)
[ディーゼル排ガスの有害粒子を 90%除去] 経済産業省所管の研究機関、地球環境産業技術研究
機構(RITE)はディーゼル車の排ガス中の粒子状物質(PM)を効率よく除去する新技術を開発した。帯
電粒子(プラズマ)を発生させ有害粒子を分解する手法で、粒子の約 90%を除去でき、価格も従来装置
の 5 分の 1 程度に抑えられる見込み。2005 年に強化されるディーゼル排ガス規制の達成に向け有望な
技術になりそうだ。
(日経 03.10.10)
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[ホンダ
新型燃料電池を自社開発] ホンダは 10 日、燃料電池車の弱点だった寒冷地での使用を
可能とする新型の燃料電池「ホンダ FC スタック」を開発したと発表した。ホンダの燃料電池として
は 3 世代目にあたる。零下 20 度でも始動できるほか、材料にステンレス合金を使うなどして量産化の
めどがついた、としている。新型燃料電池を搭載した車は、来年1月の東京箱根間往復大学駅伝の先
導車を務める予定。
(日経(夕) 03.10.10、朝日・日経 03.10.11)
[絶滅危惧種冷凍保存
つくばに施設]
環境省は来年度から、絶滅の恐れがある野生生物の遺伝
子や細胞を凍結保存する事業を本格的に開始する。専用の保存施設を(独)国立環境研究所(茨城県つく
ば市)に来年 3 月に設置し、60 種類以上の生物の長期保存に入る。最後の日本産トキとして死亡した
「キン」も対象。絶滅種の復活を可能にするバイオテクノロジー実現に備えるという。保存対象は 2005
年度までに絶滅の恐れのある約 200 種類の野生生物など。
[雲の立体構造低コスト観測
(日経 03.10.13)
高精度の温暖化予測] 千葉大学と通信総合研究所は共同で、雲の
立体構造を地上から観測できる新型レーダーを開発した。消費電力が従来の 3000 分の1程度で済む。
地球を温めたり冷やしたりする複雑な雲の働きの解明に役立ち、地球温暖化の予測精度向上にもつな
がる。
(日経 03.10.13)
[次世代型の下水汚泥焼却炉]
三菱重工業は焼却効率が高い次世代型の下水汚泥焼却炉を横浜市
から初受注した。1日の処理量は 200t と国内最大級で、2005 年 3 月に完成する。焼却に使う砂を炉
内で循環させて均一な高温状態(850℃)で焼却するほか、炉内脱硫システムを備える。焼却効率は従来
型に比べて 2 割程度高まる見通しで、運転管理も容易になる。
[光触媒前駆体を開発]
(日経 03.10.13)
橋本和仁東京大学先端科学技術センター教授と神奈川科学アカデミー
(KAST)の研究グループは、酸化チタン光触媒前駆体を開発した。この光触媒を炭酸カルシウムと一
緒に塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン、塩化ビニリデンなど塩素を含有している樹脂に添加する
と、燃焼時にダイオキシン発生を抑制、仮に極微量発生したダイオキシンも炭酸カルシウムがトラッ
プし、環境中への拡散を防止することができる。さらに万が一、焼却灰中に混入しても光触媒が分解
するというもの。
(化工日 03.10.14)
[FRP 廃船リサイクル
300 隻を処理] 国土交通省は、「FRP(ガラス繊維強化プラスチック)廃船
高度リサイクルシステム構築プロジェクト」の 2003 年度事業として、前年度に引き続き「リサイクル
システム総合実証試験」を関東から九州地域までのモデル地区で実施する。2003 年度の総合実証試験
は、地域ごとに個人および自治体から使用ずみ船を全体で約 300 隻公募し、陸上(トラック)または海
上(台船、曳航など)輸送により、一時保管場所まで運搬。その後、分別・解体試験を実施し約1m 角
の FRP 破砕片(約 80t)を得る。続いて、FRP 破砕片を中間処理プラント(下関市)に運搬後 2cm 角まで
粉砕し、選別・調合工程を経て、セメント焼成用 FRP 混合物約 100t を製作する。
(化工日 03.10.14)
[2012 年度にガソリンから混合燃料へ全面転換] 地球温暖化を招く CO2 を減らすため、環境省は
今年度から、植物などを原料としたアルコールの一種、バイオエタノールを 3%加えた混合ガソリン
(E3)を普及させるモデル事業を始める。12 年度にはすべてのガソリンを E3 に転換させる方針で、こ
れによって運輸部門が排出する CO2 は、E3 を導入しない場合と比べて 1%以上削減される計算になる
という。
[地方環境研究所
(朝日 03.10.16)
人材・資金確保が課題] 環境省は、地方における環境研究・技術開発に関す
る調査報告書をまとめた。この報告書は、地方環境研究所 69 機関を対象に、現状分析及び課題やその
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解決策、今後の施策などについて整理したもの。課題については人材の確保、資金の確保、業務の充
実の 3 点が指摘されており、その解決策として行政・他機関との連携や機器の共同利用システムの構
築、外部資金の積極的な導入などの取り組みが挙げられている。
[廃駆除剤
産廃に追加]
(化工日 03.10.16)
環境省は、廃掃法施行令の改正案を取りまとめた。同改正案では、新
たに廃駆除剤を産業廃棄物に追加するとともに、例外的に海洋投棄処分が認められている一般廃棄物
に一部の廃駆除剤が含まれている実態を踏まえて、廃駆除剤の海洋投入処分も禁止する。また、ポリ
塩化ビフェニル(PCB)が混入した汚泥などを特別管理産業廃棄物に追加するほか、廃 PCB など収納す
る運搬容器について、漏出防止を目的に、その構造について環境省令で基準を創設する内容となって
いる。
(化工日 03.10.16)
[大気汚染物質の自主管理
排出削減計画上回る] 有害大気汚染物質の排出削減が順調に進展し
ている。経済産業省はこのほど、「有害大気汚染物質に関する自主計画」(第二期)の 2002 年度の実施
状況をまとめた。それによると、日本化学工業協会など延べ 74 団体が策定した 36 の自主管理計画の
対象 12 物質の総排出量は、単純加算で基準年(1999 年度)比半減、個別物質ごとの排出量も 5 物質が
2003 年度目標を達成、2001 年度に目標を達成している 4 物質と合わせ、12 物質中 9 物質が削減目標
をクリアしたことになる。残る 3 物質も達成率は 90%台であり、全体として当初計画以上に排出削減
が進展しているといえそうだ。
[所沢ダイオキシン報道訴訟
(化工日 03.10.16)
テレビ朝日の勝訴破棄] 埼玉県所沢市産の野菜がダイオキシンに
汚染されているとテレビ番組「ニュースステーション」で報道され、野菜価格が急落したとして、同
市の農家がテレビ朝日に損害賠償と謝罪を求めた訴訟で、最高裁第一法廷は 16 日、放送内容が名誉棄
損にあたるかどうかについて「一般の人の視聴の仕方を基準に、放送全体から受ける印象なども総合
的に考えて判断すべきだ」とする基準を示した。そのうえで、
「今回の放送内容が真実だったとは証明
されていない」と指摘。農家側の請求を退けた二審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻す実質的
なテレ朝側敗訴の判決を言い渡した。
[ディーゼル車の排ガス規制
(朝日(夕)・読売(夕)・毎日(夕) 03.10.16、朝日 03.10.17)
NOX 9 割削減] 環境省は 2010 年度までにディーゼル車の新たな
排ガス規制を導入する。2005 年度に導入する規制に続くもので、大気汚染の原因となる窒素酸化物
(NOx)と粒子状物質(PM)の排出を、トラックなど重量車では現行規制からそれぞれ最大 9 割減らすこ
とを目指す。規制値については車両総重量が 3.5t 超のトラックなどの場合、NOx が現行規制より 92%
以上、PM が 93%以上削減する見通し。
[複合ごみ処理施設実用化へ]
(日経 03.10.17)
神奈川県横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町の 4 市1町
は、バイオガス施設と都市ごみ燃焼施設を組み合わせた都市ごみ広域処理施設の実用化に乗り出す。
2002 年 11 月から横須賀市と住友重機械工業が共同で進めている「生ごみのバイオガス化実証試験」
の経済性・環境負荷の評価で、これまでに、全量焼却に比べバイオガス化設備・焼却設備併設方式は、
建設費用が安価でランニングコストも削減でき、しかも、CO2、NOX、ダイオキシン類など環境負荷
物質も 30%以上削減可能という結果を得た。これを受けて 4 市1町では、日本初のバイオガス化設備・
焼却設備併設による可燃ごみの広域処理に向けて詳細内容を詰める。
[世界自然遺産登録
(化工日 03.10.17)
知床を来年推薦] 環境省と林野庁は 16 日、世界遺産の中の自然遺産の新規
登録地として、知床(北海道)を来年推薦すると発表した。今後、具体的な保護管理計画を取りまとめ、
来年 2 月1日の締め切りまでにユネスコ(本部・パリ)の世界遺産委員会に推薦書を提出する。早けれ
25
ば 05 年 6 月に、白神山地(青森、秋田県)、屋久島(鹿児島県)に次いで、国内 3 カ所目となる自然遺産
への登録が決まる。
(毎日 03.10.17)
[大型ディーゼル商用車の排ガス規制
日米欧での統合促す] ダイムラークライスラーや日野自
動車など世界の商用車大手 15 社の首脳は 16 日、トラックなど大型ディーゼル商用車の排ガス規制を
2010 年にも日米欧で統合するよう各国政府に促すことで基本合意した。規制の一本化で巨額の研究開
発投資を抑制する狙い。日米欧のメーカー間で技術や製品の共通化が可能になり、トラック業界の国
際的な再編や提携の素地にもなる。
[まぶたけいれん
化学物質も要因]
(日経(夕) 03.10.17)
重症になるとまぶたの筋肉が震え、目を開けられなくなっ
てしまう「眼瞼けいれん」が、室内や職場などで化学物質に長い間接触すると起きる可能性が高いこ
とを、井上眼科病院(東京都)のグループが突き止めた。眼瞼けいれんによって歩行や車の運転にも大
きな支障が出ていることも判明。グループは日本臨床眼科学会で発表する。
(朝日 03.10.19)
[次世代旅客機に燃料電池搭載へ] 米ボーイングは次世代旅客機「7E7」で、機内用電源に燃料電
池を採用する検討を始めた。発電効率が高く、取り扱いの難しい純水素を必要としない固体酸化物型
(SOFC)燃料電池を調達、搭載する方針。2008 年の1号機就航から数年後に実現したい考え。旅客機
での燃料電池採用は初めてとなる。
[小型燃料電池
規格統一へ]
(日経 03.10.19)
日立製作所や東芝、NEC など電機各社がノートパソコンや携帯電
話に使う小型燃料電池の規格統一に乗り出す。月内にも業界団体の日本電機工業会(JEMA)に燃料電
池規格に関する「超小型燃料電池標準化委員会」を設置、3 年以内に規格を策定。燃料容器の接続方
式や性能試験手法を共通化してパソコンや携帯機器向けの普及をはかる。
[ダイオキシン特措法対象
(日経 03.10.20)
2 化学品施設を追加] 環境省は、ダイオキシン類対策特別措置法に
規定する特別施設(水質基準対象施設)に、2 化学物質の製造施設を追加する。予定している改正内容
によると、新たに特定施設に追加するのは 4-クロロフタル酸水素ナトリウム製造施設のうち、ろ過施
設、乾燥施設、塩素ガス処理施設の 3 施設、2,3-ジクロロ-1,4-ナフトキノン製造施設については、ろ
過施設、塩素回収施設、塩素ガス処理施設の 3 施設となっている。いずれも排出基準は1 リッ
トル 当たり
(化工日 03.10.20)
10pg-TEQ。
[簡単なダイオキシン除去装置開発]
ごみ焼却の排ガスを水に吹き込み、ダイオキシンを除去す
る簡便な装置を大阪大の碓井建夫教授(反応工学)と住金関西工業(大阪市)などの研究グループが開発
した。ダイオキシンが取り付いている微粉末を除く方法として、400-500ml の瓶 5 本に入った水にガ
3
スを吹き込み、通過させた。すると、ガス 1m 当たり最高で 170ng だったダイオキシンが 11ng まで
減少した。ガスを吹き込むと水中に気泡が発生し、液体と気体の境界に微粉末などの不純物が残り、
ガスから分離される仕組み。気泡を細かくして不純物をとらえる境界面の面積を増やすと、ダイオキ
シンの除去率が上ったという。22 日からつくば市で始まる廃棄物学会で発表する。
(日経 03.10.21)
[ボディーは「植物製」] トヨタ自動車系の部品メーカー、アラコは、CO2 を多く吸収するなど新
たな植物資源として注目される「ケナフ」をボディーの原料にした 1 人乗り電気自動車を試作した。
25 日から一般公開される東京モーターショーに出展する。強度が必要な車体をケナフ製にしたのは世
界初。鉄製ボティーより軽く、燃やしても有害物質の発生が少なく、廃車後の処理がしやすい利点も
ある。
(産経 03.10.21)
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[難燃剤協会・BSEF
リスク評価の最新情報提供] 化学物質のリスクアセスメントは、残留性・
生物蓄積性・慢性毒性(PBT)がリスクの構成要素とされ、EU の電気・電子機器の有害物質規制(RoHS
指令)でも、特定の臭素系難燃剤が使用禁止とされる根拠になった。RoHS 指令で全廃されるのは、
PBB(ポリ臭化ビフェニル)と PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)だが、使用量からみた実際の全廃
物質は「PBB 類」と「ペンタ BDE」
「オクタ BDE」の 3 種といえる。このため、日本難燃剤協会と臭
素科学・環境フォーフム(BSEF)では、欧州のリスクアセスメントの考え方や化学物質評価研究機構
(CERI)の最新情報を紹介するセミナーを開催するなど、科学的知見に基づく考え方を広めていく考え。
(化工日 03.10.21)
[ダイオキシン
1g 削減 1 億円] 昨年 12 月のダイオキシン規制強化に対応するごみ焼却施設の建
て替えなどで、その費用と対策で減った排出量を計算したところ、1g 削減するのに平均約1億円かか
っていた。産業技術総合研究所・化学物質リスク管理研究センターがダイオキシン対策をした公設の
焼却施設から 153 施設を無作為に選んで調べた。規制強化によってかかった費用から、炉の寿命など
を計算に入れて1年間の経費の増加分を算出すると計 240 億円。削減できるダイオキシンの量は年間
249g で、1g 当たり約 9,600 万円に上った。個別の施設をみると、1g 当たり 33 万円から 190 億円まで
の開きが出た。廃炉の解体費用は含まれていない。
(朝日(夕) 03.10.22)
[光ディスクから BPA 回収] 日本ビクターは、使用ずみコンパクトディスク(CD)のケミカルリサ
イクルで、CD-R や DVD を含めた光ディスク全般での高効率分解技術を確立した。CD のベース材料
であるポリカーボネートから BPA(ビスフェノール A)を高効率回収する液相分解技術を確立したもの
で、シュミレーション技術ながら、4 段階蒸留で 99.9%の高純度化も確認している。同社では今後、
採算性の高い分解反応の確立、さらにモノマーからポリマーを合成する試みも重要としており、より
実用性を高めて行く考え。
[難処理廃棄物
(化工日 03.10.23)
無害化し減容]
石川島播磨重工業はフッ素・塩素系の樹脂や放射性廃棄物とい
った難処理廃棄物を無害化し、20 分の1以下に減容する処理技術を開発した。廃棄物を 500℃-700℃
に熱しながら水蒸気を加えてガス化する。ダイオキシンなどが発生しないように燃焼してから急冷し、
塩素やフッ素を水溶液にして回収する。比較的低温でも有毒ガスが発生しないため、事業所などの小
規模施設に利用できる。
[環境型社会形成実証事業
(日経 03.10.24)
5 件採択] 環境省は、2003 年度の循環型社会形成実証事業の公募結
果を発表した。今年度は 239 件の応募のなかから、5 件が採択された。
「お祭り・イベントで利用する
リターナブルカップシステムの開発」(京アジェンダ 21 フォーラム)、「PET リサイクルシステム構築
による循環型社会形成実証プロジェクト(日本コカコーラ、朝日監査法人)」、
「南九州における 900ml
茶びんの統一リユースシステムモデル事業」(環境生活文化機構)、
「エコマネーを利用した有機性循環
資源リサイクル事業」(厚木なかちょう大通り商店街振興組合)、
「会員向けビデオテープ回収リサイク
ルシステムの構築」(ベネッセコーポレーション)の 5 件。いずれも国からの委託事業として 650 万∼
950 万円の資金援助を受け、今年度末までを実施期間として実施する。
[妊婦向け水銀含有
(化工日 03.10.27)
注意 7 種からマグロ除外] 厚生労働省は今年 6 月、水銀を含む魚介類等の
「摂取注意事項」を発表した。インドマグロの平均水銀含有量 1.08μg/g、クロマグロ同 0.81、メバチ
マグロ同 0.74 など大型魚の含有量は多く、近年は微量な水銀による胎児の脳への影響を指摘する研究
報告があり、各国で妊婦や乳児への摂取制限の動きが広がっている。ところが、同省薬事・食品衛生
審議会の乳肉水産食品・毒性合同部会は、摂取量の少ないマグロを含める必要はないと判断し、注意
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7 種の中に入れなかった。注意 7 種の平均水銀含有量は、バンドウイルカ 6.60(単位:μg/g)、コビレ
ゴンドウ 1.50、ツチクジラ 0.70、マッコウクジラ 0.70、サメ 0.43、キンメダイ 0.58、メカジキ 0.71。
(毎日 03.10.27)
[環境汚染物質測定システム
細胞膜構造を利用] 東芝はこのほど、高感度に環境汚染物質を測
定できる「エコセンサシステム」を開発したと発表した。有害物質が細胞膜を通して生体内に取り込
まれる過程に着目し、細胞膜の脂質二分子膜構造を利用した。このシステムの実用化に向けて、日本、
米国、カナダなどの研究機関や民間企業を交えたプロジェクトによる国際研究を開始する。
「エコセン
サシステム」は、1リッ
トル 当たり 100∼1000 分の 1mg での分析が可能。
[日経地球環境技術賞
(化工日 03.10.27)
大賞はダイハツ] 第 13 回日経地球環境技術賞は大賞に「インテリジェン
ト触媒の開発」(代表、田中裕久・ダイハツ工業滋賀テクニカルセンター主担当員)、環境技術賞は「大
気化学物質の飛来予測システムの開発」(鵜野伊津志・九州大学教授)、
「廃プラスチック循環資源化技
術の開発と普及」(代表、近藤博俊・新日本製鉄技術総括部資源化推進グループ部長)に決まった。排
ガス対策や汚染物質対策、リサイクルの最新技術が評価された。
[一級河川の内分泌かく乱物質
(日経
03.10.27)
新たに 6 地点で確認] 国土交通省は、「2002 年度水環境におけ
る内分泌かく乱物質に関する実態調査」の結果をまとめた。02 年度は全国の一級河川 109 水系のうち
約半数の 55 水系 76 地点における水質調査と、22 水系 24 地点の底質の調査を実施した。水質調査の
結果、エストロン(検出下限値 0.0005μg/リッ
トル )は 52 地点中 19 地点で検出され、うち 18 地点は重点調査
リッ
濃度(0.0005μg/リッ
トル )を上回り最大値は 0.030μg/ トル 。ただ、これらの地点は過去にもエストロンが検出
されおり、新たに汚染が拡大しているとはいえないとしている。また 4-t-オクチルフェノール(検出
リッ
下限値 0.01μg/リッ
トル 、重点調査濃度 0.496μg/トル )は、44 調査地点中 6 地点で検出下限値以上を検出(最大
リッ
リッ
0.067μg/リッ
トル )。ノニルフェノール(同 0.1μg/トル 、0.304μg/ トル )は 64 調査地点中 21 地点で下限値以上を
リッ
検出、うち 4 地点で重点調査濃度を上回り最大値は 1.7μg/リッ
トル 。ビスフェノール A(同 0.01μg/トル 、同
リッ
0.4μg/リッ
トル )は 49 調査地点中 17 地点で検出、重点調査濃度以上は1地点で 2.1μg/ トル を検出。17β-エス
リッ
トラジオール(同 0.0005μg/リッ
トル 、同 0.0005μg/ トル )は 49 のいずれの調査地点でも検出されなかった。ま
た、フタル酸ジ-n-ブチル(同 0.2μg/リッ
重点調査濃度未設定)は 24 地点中1地点で検出(0.20μg/リッ
トル 、
トル )、
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(同 0.2μg/リッ
同未設定)は 24 地点中 6 地点で検出、最大値は 1.5μg/リッ
トル 、
トル 。
アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(同 0.01μg/リッ
トル 、同未設定)は 24 地点中 3 地点で検出、最大値は 0.038
μg/リッ
トル 。底質調査では、ベンゾ(a)ピレン(検出下限値 1.0μg/kg)を 24 地点で調査、16 地点で検出下限
値以上となった。
(化工日 03.10.28)
[複合微生物で汚染土壌処理] 三井造船はダイオキシン類(DXNS)による汚染土壌を、複合微生物
で無害化処理する新技術を開発した。同社環境エネルギー技術開発センターで、実証実験をスタート
させた。2005 年度に実用化する。この技術は DXNS 汚染土壌を、嫌気性と好気性の微生物の双方を使
って無害化するもの。嫌気性微生物は三∼八価の塩素化 DXN を還元的に脱塩素化し、好気性微生物
は 0∼三価の塩素化 DXN を酸化分解・無機化する。ラボテストの結果では DXNs 濃度が数千 pg-TEQ/g
の汚染土壌を数カ月で無害化することを確認した。
[PCB 廃棄物
(化工日 03.10.29)
全体として保管量増加] 環境省は、2002 年 3 月末時点の PCB 廃棄物の保管など
の状況を集計した。それによると、前回集計結果(2002 年 7 月 15 日時点)に比べて保管量が減少した
のは、廃棄物 12 種類のうち高圧トランス、PCB、感圧複写紙(ノーカーボン紙)の 3 種類。とくに PCB
は前回の 2%弱と大幅に減少している。合回の集計結果は、PCB 特別措置法に基づき、事業者から都
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道府県に届け出のあった廃棄物種類ごとの保管量および PCB 使用製品の量を環境省が全国集計した
もの。廃棄物の種類ごとに 2002 年 3 月末時点の数量および事業所数がまとめられている。全体の傾向
をみると、PCB 特別措置法の施行により、廃棄物の把握の進展および使用から保管への切り替え促進
により保管量が増加し、使用量は減少している。
[殺虫剤成分
(化工日 03.10.30)
神経に障害] 殺虫剤や難燃剤などに幅広く使われている有機リン化合物(リン酸エ
ステル類)が引き起こすとされる遅発性神経障害や行動に落ち着きがなくなる多動障害など、神経毒性
の仕組みが米国の研究チームによる動物実験で次第に明らかになり、日本の関係当局の間でも注目さ
れ始めている。有機リン系殺虫剤の利用は、米欧では子どもの脳・神経の発達に与える影響も考慮し
て規制が強められている。これに対し、日本ではその毒性があまり重視されず、規制面で立ち遅れて
おり、欧米並みの規制実施に向けて議論を呼びそうだ。
[ホウ素除去システム確立]
(朝日 03.10.30)
東京都立産業技術研究所(都立産技研)の資源環境技術グループは、
メッキ排水などでのホウ素除去で、マグネシウムイオンを添加し pH を調整することにより、ホウ素
を共沈除去する処理技術を開発した。ホウ素は 2001 年の環境省令により水質汚濁防止法の暫定基準が
策定されたが、来年 7 月にはこの「暫定」が外され、メッキ、ほうろう製造などを含めた非鉄金属関
連事業者にも新排水基準が適用される。同研究グループでは、従来法より安価なコストでの処理が可
能としており、中小業者を軸に、今回の除去システムを提案していく。
[処分場の産廃
(化工日 03.10.31)
掘り返し減量化] 環境省は 2003 年度から 3 年間、沖縄県と協力し、処分場に埋
め立てた産業廃棄物を掘り返して減量化する実証実験を行う。埋め立てた産廃から発生するガスやし
み出す水を調査。また、搬入される産廃や掘り返した産廃から分別した資源をリサイクルする技術も
研究。同省は 11 月から始める実験の結果を基に、全国で不足している処分場の延命策として活用でき
るか検討する。
[CO2 を効率分解]
(化工日 03.10.31)
地球環境産業技術研究機構(RITE)は、工場の排ガスなどに含まれる CO2 を効
率的に分離・回収する技術を開発した。新技術はアルカリ性溶液に CO2 を吸収させたうえで、微細な
穴が多数開いた中空糸膜で溶液ごと分離する。分離後に溶液中の CO2 を気化して回収する仕組み。溶
液は再利用する。従来法と比べてコストを 3 割程度削減できる見込みという。地中や海洋に CO2 を隔
離して排出量を削減する温暖化防止対策などに役立つ。
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(日経 3.10.31)