検査項目と解説「PDF」

eo 健康−アンチエイジング医療特集
「アンチエイジングドック/血液検査項目と解説」
抗酸化力
ビタミン A
暗い場所でモノを見たり、色を識別したりするなど、眼の働きに大きく関わります。また、皮膚や粘
(脂溶性)
膜の機能維持や免疫作用にも関わります。著しい不足や過剰に取りすぎても骨折などのリスクが
高まるため、サプリメントでの摂取には注意が必要です。食品ではレバー・うなぎ・卵・緑黄色野菜
(にんじん・かぼちゃ・春菊など)に多く含まれます。
ビタミン C
ストレスへの抵抗力や免疫能、コラーゲンの合成などに必要なビタミンです。野菜(カリフラワー・ブ
(水溶性)
ロッコリーなど)や果物(みかん・いちご・キウイフルーツなど)に多く含まれ、体内の活性酸素を消
去します。血中から比較的すみやかに消えていくため、補給への気配りが必要です。
ビタミン E
主に血液中や細胞膜で抗酸化作用を発揮します。動脈硬化性心血管障害の予防効果があり、ビ
(脂溶性)
タミン C と併用した場合の痴呆症予防効果などの研究も報告されています。食品では、はまち・う
なぎ・植物油に多く含まれています。
CoQ10
ユビキノールともいわれ、細胞内のミトコンドリアでエネルギー産生に働く物質です。とくに心臓に
(コエンザイム
多く存在し、体内で合成されますが、40 歳を過ぎるとその量が減少します。食品ではマイワシ・サ
Q10)(脂溶性)
バ・納豆・きなこなどに多く含まれます。
ミネラル類
鉄
赤血球のヘモグロビンの材料となるため、不足すると鉄欠乏性貧血の原因となりますが、多すぎる
と体内で活性酸素を作る原因となりますので、サプリメントでの摂取には注意が必要です。食品で
は、レバー・牛肉・かつお・ひじきなどに多く含まれます。
カルシウム
生体のカルシウムの 99%は、骨・歯を形成しています。血液のカルシウムは 0.1%程度ですが、
種々の生理機能調節に関わり、副甲状腺ホルモンやビタミン D によって調整されています。血中
ではアルブミンと結合しています。
マグネシウム
玄米・そば・豆腐・マグロに多く含まれ、体内酵素の正常な働きや心臓の拍動・血糖値を正常に保
つために必要なミネラルです。また、カルシウムとともに骨や歯の形成にも関わりがあります。
カリウム
細胞内に存在する主な陽イオン。神経・筋細胞の興奮などに関わっています。体液バランスの異
常や腎機能障害などによって変化します。
亜鉛
体を構成するタンパク質(皮膚・頭髪・赤血球)や細胞のもととなる DNA を作る際に欠かせない栄
養素のため、不足すると体の機能が正常に発達しなくなります。また、味覚との関係も注目されて
います。食品では、牛肉・かき・ほたて・とうもろこしなどに多く含まれます。
リン
リンの大部分は骨や歯に塩の形で存在します。エネルギー代謝は、有機リンが主として関与します
が、測定されるのは無機リンで、体液バランスの恒常性に重要な働きをしています。腎機能障害時
に測定値が上昇します。
銅
銅は必須微量元素の1つです。欠乏が臨床症状を呈することは稀ですが、時に貧血や骨の変化
をきたします。活性酸素を消去する時に働く SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)という酵素など
が働くためには、銅を必要とします。
ホモシステイン関連
ホモシステイン
血液中のアミノ酸の一種ですが、増えすぎると動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞の原因の
1つとなります。また、アルツハイマー病や骨折に関連することが分かってきました。ビタミン B6、
B12、葉酸の不足や遺伝的な素因で増加します。
ビタミン B12
造血や神経機能に関わるビタミンです。葉酸とともにヘモグロビンの合成を助けたり、ホモシステイ
(水溶性)
ンの血中濃度を改善します。食品では貝類(しじみ・あさり・かき)や、さんま・かつおに多く含まれま
す。
葉酸
遺伝情報を伝える DNA・RNA の合成や造血に関わるビタミンです。また、ビタミン B12 とともに、ホ
(水溶性)
モシステインの血中濃度を改善します。食品では、ほうれん草・モロヘイヤ・レバーに多く含まれま
す。
ビタミン類
ビタミン B2
エネルギーを産生する時に必要な水溶性ビタミンの1つです。豚肉・レバー・サバ・牛乳に多く含ま
(水溶性)
れます。粘膜や皮膚の機能維持に働くため、不足すると口内炎や口角炎の原因となります。
免疫バランス
NK 細胞
病原菌やウイルスを排除したり、がん細胞を殺したりすることで、病気から体を守る働きをします。
強いストレスによって低下し、低下すると風邪などの病気にかかりやすくなります。白菜・キャベツ・
玉ねぎなどの淡色野菜は NK 細胞の働きを高めます。
白血球 5 分画
血液中に様々なタイプの白血球が存在し、それぞれが何%含まれるかを調べるための検査です。
また、白血球の構造異常や未熟なものがないかといったことも分かります。これによって、感染症・
白血病などが調べられます。
ホルモン
E2
体内のエストロゲン(女性ホルモン)の中で、最も作用が強いホルモンです。骨量や HDL コレステ
(エストラジオール)
ロールを増やし、LDL コレステロールを減らして高脂血症を改善します。閉経後はこの値が極めて
低くなりますが、ホルモン補充療法は乳がんの増加などの危険性もあるため、主治医に相談しまし
ょう。大豆に含まれるイソフラボンが女性ホルモンの働きをサポートします。
DHEA-S
副腎などで作られるホルモンの一種です。20 歳を堺に年齢とともに低下するため、老化の指標とも
なります。動脈硬化や糖尿病・肥満・骨粗しょう症・がん・免疫改善に効果があることが分かってきま
した。
執筆:水都メディカルクリニック 升川 健司医師
2009 年 11 月 5 日掲載 [ eo 健康 - アンチエイジング特集 ]
http://eonet.jp/health/