8.1 スラブの設計 8.1.1 スラブの設計 第 8 章 二次部材の断面設計 8.1 スラブの設計 8.1.1 スラブの設計 INDEX: 設計概要・設計寸法・設計応力・設計位置・曲げモーメントに対する計算・その他の検討 (1)設計概要 スラブ形式の設計範囲は「スラブ」 、 「跳ね出しスラブ」である。 「コーナースラブ」と「基礎スラブ」 (耐圧版、耐水版)の「跳ね出しスラブ」が設計対象外である(基礎スラブ指定もできない) 。 構造形式としては RC スラブ、フラットデッキスラブが設計対象である。 設計法として算定計算、検定計算、検定検索計算がある。 (2)設計寸法 長方形スラブは内法寸法により設計する。 任意形状のスラブは長方形置換して設計する。置換長方形の設計用内法寸法 x、y は下記による。入 力値があれば入力値による。 1)スラブ(2 方向版スラブ) ・配筋方向無指定 主筋方向を指定されていない一般スラブのx は該当床パネルの内接円の内、最も大きい内接円の直径 とする。内接円の中心を通り内接円の接する 3 あるいはそれ以上の辺と平行な直線が床パネルを横切る 最大寸法をy とし、その方向に垂直な方向をスラブの主筋方向とする。 図-8.1.1.1 任意形状スラブの長方形置換(1) B-8.1.1-1 8.1 スラブの設計 8.1.1 スラブの設計 x x y y 図-8.1.1.2 任意形状スラブの長方形置換(2) 2)一般スラブ(2 方向版スラブ) ・配筋方向指定 一般スラブに主筋方向が入力されている場合、床パネルの各頂点から主筋方向に引いた直線および主筋 方向に垂直に引いた直線が床パネルを横切る寸法の各最大値を算定し、その長い方をy、短い方をx と する。 入力された 主筋方向 x y x y 図-8.1.1.3 主筋方向を指定した任形状スラブの長方形置換 B-8.1.1-2 8.1 スラブの設計 8.1.1 スラブの設計 3)1 方向版スラブ 1 方向版スラブは主筋方向が指定されている。床パネルの各頂点から主筋方向に引いた直線が床パネル を横切る寸法の最大寸法をx とする。1 方向版の場合、y は無視する。 x x 図-8.1.1.4 1 方向スラブの設計スパン 4)跳ね出しスラブ 跳ね出しスラブは設計用跳ね出し長さx を親部材に直交する跳ね出し長さのうち長い方の値 1、跳ね 出し方向θから下式で計算する。 x = 1 / cosθ θ 2 1 θ x 図-8.1.1.5 跳ね出しスラブの設計スパン B-8.1.1-3 8.1 スラブの設計 8.1.1 スラブの設計 (3)設計応力 設計応力は床パネルに載る単位面積当たりの荷重を求め、(2)設計寸法で求めたxおよびyを用いて 計算する。 1)2 方向スラブ 長方形(2 方向)スラブの柱間帯設計用曲げモーメントは下式による。 1 w x x2 12 1 wx x2 18 1 w x2 24 1 w x2 36 M x1 M x2 M y1 M y2 wx y4 x4 y4 w ここで w :単位面積あたりの等分布荷重 長方形スラブの柱列帯の設計用曲げモーメントは柱間帯の 1/2 とする。 2)1 方向スラブ 1 方向版スラブの設計用曲げモーメントは下式による。 0 .6 1 w x2 w x2 12 20 1 0.35 1 M 0 0.35 C ( )w x 2 w x2 8 12 10 M x 1 0. 6 C M x2 3)跳ね出しスラブ 跳ね出しスラブは、3 端固定、他端自由の跳ね出し梁の応力で設計する。 (4)設計位置 スラブは曲げモーメントに対して設計する。せん断力に対しては設計しない。 2 方向スラブの設計位置は柱間帯、柱列帯の端部と中央部である。 1 方向スラブの設計位置は端部と中央である。 跳ね出しスラブの設計位置は端部である。 スラブハンチ位置では設計しない。 B-8.1.1-4 8.1 スラブの設計 8.1.1 スラブの設計 (5)曲げモーメントに対する計算 1)許容曲げモーメントの計算 スラブの許容曲げモーメントは下式による。 M at ft j 7 j d 8 ここで ft :鉄筋の許容引張り応力度 d :スラブ有効せい 鉄筋のかぶり厚さは上端、下端で別入力できる。 釣合鉄筋比を超える場合の検討は行わないが、超えたことをメッセージ出力する。 2)必要付着長さの計算 配筋形式がトップ、モチアミトップの場合、中央、端部のトップ筋について必要付着長さを検討する。 必要付着長さは下式による。 db K t As K fb 0 .3 C 0. 4 db 鉄筋配置による修正係数 ここで t :付着検定断面位置における鉄筋存在応力度 As :鉄筋断面積 C :鉄筋間のあき、かぶり厚さの 3 倍、もしくは鉄筋径の 5 倍の最小値 db :鉄筋径 fb :許容付着応力度 ψ :鉄筋の周長 許容付着応力度は下記による。 長期 短期 Fc 0 .6 ) 60 上端筋 0.8( その他の鉄筋 Fc 0 .6 60 長期の 1.5 倍 必要付着長さは一般スラブ(2 方向版)では短辺、長辺、1 方向版では短辺、跳ね出しスラブでは端部 で検定する。中央トップ筋は(長辺方向では中央が最大モーメントでない場合もあるが)中央からの必 要付着長さを検定する。 曲げモーメントからトップ筋が計算上不要になる位置でのトップ筋の必要付着長さは検定しない。 B-8.1.1-5 8.1 スラブの設計 8.1.1 スラブの設計 (6)その他の検討 1)ひびわれの検討 縁応力度を計算し、ひびわれ応力度と比較検討する。 ひびわれ応力度はσc=α・√Fc とし、α=0.56 とする(99 年度版 RC 規準 (8.4)式) 。 2)長大スパンスラブ 以下の場合に長大スパンスラブとして鉄筋比を制限し、 「固有振動数」を検討する。 一般スラブ 大梁内法スパン(一般には短辺有効スパンx) > 4.0m 跳ね出しスラブ 跳ね出し寸法(梁面より) > 1.7m 主筋方向の引張鉄筋比を 0.4%以上、複筋比を 0.5 以上とする。 固有振動数を算定し制限値(初期値は 12Hz)以上とする。 <固有振動数の検討> 長大スパンスラブと判定されたスラブについてのみ検討する。 固有振動数を算定し制限値(初期値は 12Hz)以上とする。 2 方向版スラブの固有振動数は 4 辺単純支持として下式による。 fv 2 1 t 2 2 x 2 g Ec 12(1 2 ) ここで :辺長比=y/x (ただし、2 の時は 1 方向版として計算する) g :重力加速度=980(cm/sec2) Ec :コンクリートのヤング係数 :固定荷重の平均値(N/m2) :ポアソン比 1 方向版スラブの振動数計算は梁の振動数計算に準じて計算する。 跳ね出しスラブは跳ね出し梁の振動数計算に準じて計算する。 基礎スラブ指定のある場合は検討しない。 ハンチがある場合の版厚 t はたわみ量計算時と同じ扱いとする。 3)たわみ検討(弾性たわみδe) 弾性たわみを算定し、制限値以下であることをチェックする。 制限値の初期値は、一般スラブx/4000 と 3mm の小さい値、跳ね出しスラブx/4000 と 3mm の小さ い値とする。 一般スラブ(2 方向版)の弾性たわみ e は 4 辺固定として下式による。 e 1 4 W x 4 32 1 4 Ec t 3 ここで W :スラブの全荷重(N/m2) B-8.1.1-6 8.1 スラブの設計 8.1.1 スラブの設計 一般スラブ(1 方向版)の弾性たわみは両端固定として算定する。 跳ね出しスラブの弾性たわみは端部固定として算定する。 ハンチがあるスラブの版厚tは一般スラブでは中央の値、跳ね出しスラブでは先端と端部の平均値とす る。 基礎スラブ指定がある場合には検討しない。 4)鉄筋量に関する制限 スラブの各方向に対して当該方向の柱間帯および柱列帯に配された鉄筋の全断面積をコンクリート断 面積の 0.2%以上とする。 1 方向版の配力筋、跳ね出しスラブも同様とする。 5)施工時荷重の検討 施工時荷重について下記を検討し、これを満たさない場合にメッセージを出力する。すべてのスラブに ついて検討するが、個別に検討するしないを指定できる。 2.1 t 400 1 .5 L Wa ここで :コンクリート重量密度( N/m3) t :スラブ版厚(ハンチがある場合は平均値) ( m) L Wa :スラブ主筋から逆算される長期許容荷重( N/m2) 6)内法面積制限(2 方向版のみ) 設計用内法面積が制限値(初期値は 30 ㎡)以下であることを検討し、超えている場合はメッセージを 出力する。具体的には断面設計表の内法面積の欄に、下記のように表示する。 制限値を超えた場合でも設計には何ら影響しない。 7)最小版厚の検討 RC 規準による必要最小版厚を検討する。ただし、1 方向スラブは必要最低版厚さの検討は行なわない。 必要最小版厚は下式による。 4 辺固定 t 0. 7 wp x )x (1 0. 6 10 10000 跳ね出しスラブ t x 10 ここで wp :積載荷重と仕上荷重の和( kN/m2) ハンチがある場合の版厚は一般スラブでは中央の値、跳ね出しスラブでは端部の値とする。 B-8.1.1-7
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