第4章 アナログ回路(オペアンプ) アナログ回路とは:時間的に連続変化する信号を扱 う電子回路のことである. アナログ回路には,増幅回路,発振回路,加算回路, 減算回路,微分回路,積分回路などがある.一般に, トランジスタを中心に抵抗,インダクタンス(コイル), キャパシタンス(コンデンサ)などを用いて,いろいろな 電子回路が作られる. この章では,トランジスタなどから作った集積回路であ るオペアンプを用いて,アナログ回路の簡単な設計方 法を学習する. 1 1 4−1 理想的演算増幅器 演算増幅器は,アナログ回路における演算用(四則 演算,微分,積分など)のため,トランジスタなどから作 られた集積回路であり,性能の高い直流増幅器である. 一般に,オペアンプ(OP,Operation amplifier)という. オペアンプを用いてアナログ回路が簡単に作られる. 2 2 オペアンプの構成 vo=A(vi+−vi-) Aを電圧増幅度という. V+,V−は電源で,一般にV+に+15V, V−に−15V に接続する. 入力端子vi+とvi−は2つあり, vi+ に入力するとき, 出力voの位相は同じ, vi− に入力するとき,出力voの 位相は反転となる. 3 3 オペアンプの性質 vi+ = 0のとき vo= − Avi入力と出力の極性が 反転(逆位相)である. vi− = 0のとき vo= Avi+ 入力と出力の極性が 同じ(同位相)である. 4 4 オペアンプの性質 入力電流 入力インピーダンス オフセット電圧 出力インピーダンス 5 5 理想オペアンプ (1)Zin=∞,Ii+=Ii−=0, Vio=0 (2) Zout=0 (3)電圧増幅度A=∞ (4)入出力間に応答時 間が0である(瞬時処理) 以上の4つ条件を仮定したオペアンプを理想オペア ンプという.今後,理想オペアンプを使うことにする. 6 6 4−2 反転増幅器 ■増幅率はR0 とRAの比で決 められるので, 非常に便利で ある. ■入力の極性 ■理想オペアンプを使う.■vi+=0とする. と出力の極性 は反対である R0 − ので,要注意. 入力と出力関係 v0 = − RA vi 7 7 4−3 非反転増幅器 ■増幅率は R0とRAの比 で決められる ので,非常に 便利である. 入力と出力関係 R0 + vi v0 = 1 + RA ■入力の極 性と出力の 極性は同一 である. 8 8 4−4 オフセットの調整 オフセット電圧とは,入力電圧がなくても,微小な電 圧が出力されることである.一般に温度,電磁干渉, 電源電圧の不安定などの原因で発生する.これの存 在はオペアンプの精度が大きく損なわれる. この回路で打ち消されるこ とができる.また,オペアンプ にオフセット調整端子(可変 抵抗器)が付いている.入力 が0のとき,出力も0であるよ うに調整すればよい. 9 9 4−5 加算回路 ■n個の入力電 圧があって,そ れらの和を演算 する回路を加算 回路という. ■反転増幅器と 同じ原理で実現 される. ■入力電圧にそ れぞれのR0/Riを かけて,総和が 得られる. 10 10 例題:オペアンプによる加算回路 11 11 加算回路 反転増幅回路 12 12 4−6 加減算回路 減算 部分 加算 部分 13 13 減算回路 ■出力はvi+とvi-の 差からなり,その倍 率は R0/RAで調整 できる. ( R0 + v0 = vi − vi− RA ) ■理論回路であり, 実際に加減算回路 を用いる場合が多 い. 14 14 補充:乗算と除算回路 乗算回路の基本は,反転増幅回路である. 15 15 補充:乗算と除算回路 除算回路の基本は,反転増幅回路である. 16 16 4−7 前段回路との接合 ■前段回路がある場,オペアンプ反転増幅器のR0と RAの選び方を考える.結果:RA=RS(なぜか?後で論 述)になり,R0は出力関係v0=-(R0/RA)viの要求により 求められる. 17 17 4−7 前段回路との接合 ■RA=RSであるか の理由を説明する. ■インピーダンス 接合とは, RA=RS のとき,最大に効 率で前段回路の信 号をオペアンプ増 幅器に伝える. 18 18 4−8 電圧ホロワ回路 前段回路のRSが非 常に大きい場合,イ ンピーダンス整合の ための,大きなRAが 入手できない. v0=vi+,その入力イン ピーダンスはオペアン プの入力インピーダン ス(∞と仮定)となる. 大きなRSに対応でき る点が利用される. 電圧ホロワ回路 19 19 4−8 電圧ホロワ回路 電圧ホロワ回路を使うことにより,前段回路とオペア ンプ回路とのインピーダンス接合がうまくできる.結 局:v0=-Avs,前段の高インピーダンスの影響を克服 できる. 20 20 4−9 微分回路 21 21 4−9 積分回路 22 22 4−10 差動増幅回路 23 23 演習問題 24 24 演習問題 25 25 演習問題 (4)次の回路の入力電圧と出力電圧の関係を求めよ. 26 26 演習問題 (5)次の回路の入力電圧と出力電圧関係を求めよ. ただし,数学の微分と積分記号を使ってもよい. 27 27
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