2 綜 説 遺伝性不整脈の機序と治療 新潟大学大学院医歯学総合研究科 循環器内科学分野 渡 部 裕 はじめに 今までに同定された不整脈症候群の原因遺伝子 我が国では年間約10万人が突然死しており、そ のほとんどは心筋細胞の特に細胞膜に発現するイ のうち約6万人は心異常が原因である。突然死の オンチャネルやイオンチャネルの機能を修飾する 多くは健康で社会に貢献している国民に生じるた 蛋白である。これら個々の遺伝子変異が来す心臓 め、社会的な損失は極めて大きい。自動体外式除 電気生理活動の異常を解析することによって、 細動器(AED)が普及してきているが、AED に 様々な不整脈のメカニズムが分かってきている。ま よる電気ショックで治療される心肺停止例はわず た近年の遺伝子解析法の進歩により可能となった か1~2%程度であり、そのうち約40%しか救命 ゲノムワイド関連研究(Genome-Wide Association されない。このため、突然死の予知と予防が重要 Study)によって、心筋細胞の電気生理活動から である。 予想される範疇を超えた原因遺伝子が明らかにな 突然死の原疾患は心臓病が大きな割合を占めて ると共に、例えば QRS 間隔や QT 間隔の個々人 いるが、特に不整脈が重要な原因である。不整脈 のばらつきといった表現型の多様性に遺伝的背景 は心筋梗塞や心筋症等の器質的な心筋異常に伴う が関与していることも示されてきている。 しかし、 ものと、それらによらない特発性不整脈症候群に 遺伝子変異が同定される症例の割合は決して高く 分けられる。突然死の原因として心筋梗塞が多い はなく、これは未知の原因遺伝子の存在を示唆し 欧米と異なり、我々の検討では突然死の約30%は ている(表1) 。 特発性不整脈症候群が原因であり、その大部分を 心室性不整脈が占めている。突然死に占める不整 心筋細胞の活動電位 脈症候群の割合が若年層ほど高いことも、大きな 活動電位の形成と維持、静止膜電位への再分極 社会的問題である。 へは様々なイオンチャネルを流れる電流が関与し 不整脈症候群は心室性不整脈や徐脈から突然死 ている。心筋細胞における活動電位の形成に関与 を来しうる疾患群であり、家族内で発症すること しているイオン電流を図1に示す。心筋細胞では が多く、また発症すると突然死を来しうることか イオンチャネルを介した電流は、細胞内への Na+ ら、古くから遺伝学が発達してきた分野である。 電流や Ca2+ 電流と、細胞外への K+ 電流に大きく QT 延長症候群は最も遺伝学的な検討がなされて 分けられる。Na+ 電流が生じることにより活動電 いる不整脈症候群であるが、その他にも Brugada 位が開始する。このため、Na+ 電流の低下は活動 症候群や早期再分極症候群、特発性心室細動、カ 電位開始の遅延、つまり伝導障害を来す。なお、 テコラミン感受性多形性心室頻拍、QT 短縮症候 洞結節や房室結節では Na+ 電流が非常に小さく、 群、心房細動、洞不全症候群、心臓伝導障害(房 Ca2+ 電流によって活動電位が開始される。このた 室ブロックを含む)といったあらゆる不整脈への め、Ca2+ 電流の低下は洞機能の低下(洞不全症候 遺伝子の関与が解明されている。不整脈症候群の 群)や房室結節での刺激伝導の低下(房室ブロッ 原因遺伝子を表1に示す 。現在までに80種超の ク)につながる。Na+ 電流と Ca2+ 電流は活動電 原因遺伝子が同定されているが、その1割程度の 位の維持に関与するため、Na+ 電流と Ca2+ 電流 同定に筆者は関与してきた。 の増加は活動電位の延長から、心電図上の QT 時 1) 新潟県医師会報 H26.12 № 777 3 表1 遺伝性不整脈症候群の原因遺伝子 疾患 QT 延長症候群 LQT1 LQT2 LQT3 LQT4 LQT5 LQT6 LQT7 LQT8 LQT9 LQT10 LQT11 LQT12 LQT13 QT 短縮症候群 SQT1 SQT2 SQT3 SQT4 SQT5 SQT6 Brugada 症候群 BrS1 BrS2 BrS3 BrS4 BrS5 BrS6 BrS7 BrS8 BrS9 BrS10 BrS11 BrS12 カテコラミン感受性多形性心室頻拍 CPVT1 CPVT2 CPVT3 特発性心室細動・突然死 ERS(早期再分極症候群) ERS ERS ERS ERS SUD(突然死) SIDS(乳幼児突然死症候群) 心房細動 AF1 AF2 AF3 AF4 AF5 AF6 AF7 AF8 AF9 AF10 AF AF AF AF AF 進行性心伝導障害 PCCD PCCD PCCD PCCD 洞不全症候群 SSS SSS SSS 遺伝子 蛋白 KCNQ1 KCNH2 SCN5A ANK2 KCNE1 KCNE2 KCNJ2 CACNA1C CAV3 SCN4B AKAP9 SNTA1 KCNJ5 カリウムチャネル(Iks)αサブユニット カリウムチャネル(IKr)αサブユニット ナトリウムチャネルαサブユニット アンキリン B カリウムチャネル(Iks)βサブユニット カリウムチャネル(IKr)βサブユニット カリウムチャネル(Ik1)αサブユニット カルシウムチャネルαサブユニット カベオリン ナトリウムチャネルβサブユニット Yotiao αシントロフィン カリウムチャネル(IkATP)αサブユニット KCNH2 KCNQ1 KCNJ2 CACNA1C CACNB2 CACNA2D1 カリウムチャネル(IKr)αサブユニット カリウムチャネル(Iks)αサブユニット カリウムチャネル(Ik1)αサブユニット カルシウムチャネルαサブユニット カルシウムチャネルβサブユニット カルシウムチャネルαサブユニット SCN5A GPD1L CACNA1C CACNB2 SCN1B KCNE3 SCN3B KCNJ8 CACNA2D1 KCND3 MOG1 ABCC9 ナトリウムチャネルαサブユニット グリセロール産生蛋白 カルシウムチャネルαサブユニット カルシウムチャネルβサブユニット ナトリウムチャネルβサブユニット カリウムチャネルβサブユニット ナトリウムチャネルβサブユニット カリウムチャネル(IkATP)αサブユニット カルシウムチャネルαサブユニット カリウムチャネル(Ito)αサブユニット 核輸送蛋白 カリウムチャネル(IkATP)βサブユニット RYR2 CASQ2 TRDN リアノジンレセプター カルシクエストリン 筋小胞体タンパク質トリアディン KCNJ8 CACNA1C CACNB2 CACNA2D1 SCN5A PKP2 GJA1 カリウムチャネル(IkATP)αサブユニット カルシウムチャネルαサブユニット カルシウムチャネルβサブユニット カルシウムチャネルαサブユニット ナトリウムチャネルαサブユニット デスモソーム構成タンパク質プラコフィリン コネキシン43 KCNQ1 KCNE2 KCNJ2 GJA5 KCNE1 KCNA5 ANK2 KCNH2 ABCC9 SCN5A SCN1B SCN2B SCN3B GATA4 カリウムチャネル(Iks)αサブユニット カリウムチャネル(IKr)βサブユニット カリウムチャネル(Ik1)αサブユニット コネキシン40 カリウムチャネル(Iks)βサブユニット カリウムチャネル(IKur)αサブユニット アンキリン B カリウムチャネル(IKr)αサブユニット カリウムチャネル(IkATP)βサブユニット ナトリウムチャネルαサブユニット ナトリウムチャネルβサブユニット ナトリウムチャネルβサブユニット ナトリウムチャネルβサブユニット 転写因子 ANP ??? SCN5A SCN1B LMNA GJA5 ナトリウムチャネルαサブユニット ナトリウムチャネルβサブユニット ラミン コネキシン40 SCN5A HCN4 ANK2 ナトリウムチャネルαサブユニット カリウムチャネル(If)αサブユニット アンキリン B 新潟県医師会報 H26.12 № 777 4 間の延長を来す。K+ 電流は活動電位を終了させ い遺伝的原因である。その変異チャネルの機能を て、活動電位が生じる前の静止膜電位(心筋細胞 主に培養細胞を用いて解析すると、変異チャネル では -90mV 程度)に戻すことに関与するため、 では Na+ 電流が低下していることが示されてき K+電流の低下は活動電位終了の遅延につながり、 た。筆者らも加わっている国際的な研究グループ QT 時間の延長を来す(QT 延長症候群) 。逆に によるゲノムワイド関連解析において、HEY2が K+ 電流の増加は、 QT 時間の短縮をもたらす(QT 新たな Brugada 症候群発症に関与する遺伝子で 短縮症候群)。 あることが報告された3)。この研究では、HEY2 が Na+ 電流の機能を修飾している可能性が示さ Na+ チャネル れた。 Na+ 電流は活動電位の開始と維持の両方に関与 特発性心室細動の1種である早期再分極症候群 する(図1)。Na チャネルが開孔し、Na が細 は、最近提唱された新しい疾患概念であるが、筆 胞膜の外側から細胞内に流入すると、つまり Na + 者らは SCN5A が早期再分極症候群の原因遺伝子 電流が流れることによって -90mV 程度の静止膜 であることを解明した4)。また、SCN5A 変異に 電位から脱分極が起こり、 活動電位が開始される。 よる Na+ 電流の低下は心臓内の刺激生成や刺激 Na+ 電流で引き起こされる脱分極は隣接している 伝導の障害を来すため、洞不全症候群や進行性伝 心筋細胞へ伝導していくために、Na 電流は心臓 導障害、房室ブロックの発症にも関与する。この 内の興奮の伝導にも関与する。その後 Na 電流 ように SCN5A の変異は様々な不整脈の原因であ は大きく電流量が低下して持続的に流れるが、こ るために、しばしば不整脈の合併もたらす。例え の持続的な電流は活動電位を維持することに寄与 ばSCN5Aが原因遺伝子であるBrugada症候群は、 する。つまり持続的な Na 電流は心電図上、QT しばしば伝導障害を合併する。 間隔を規定している。 活動電位が生じている間に Na+ 電流は持続的 Na+ が通過する孔を形成するαサブユニット に流れているが、この遅延 Na+ 電流は活動電位 の遺伝子(SCN5A)は様々な不整脈の原因遺伝 の維持に関わっており、心電図上の QT 間隔を規 子である 。SCN5A 変異は Brugada 症候群の約 定している。SCN5A は3型 QT 延長症候群の原 20%ほどで同定され、本疾患のもっとも頻度の高 因遺伝子であるが、これは遺伝子変異が遅延 Na+ + + + + + 2) 電流を増加させて QT 間隔を延長することによ る。また、SCN5A 変異は乳幼児突然症候群にお いて最も頻度の高い遺伝子異常であり、その大部 分は持続性 Na+ 電流の増加を来す変異である。 不整脈症候群に加えて、SCN5A 変異は拡張型 心筋症や左室緻密化障害の原因としても報告され ている。また SCN5A 変異の同定された Brugada 症候群症例の心臓 MRI や心筋生検において心筋 症様の所見を認めることもある。SCN5A のノッ クアウトマウスは心発生異常から胎内死をきた し、SCN5A が心筋細胞の発生で最も早く発現す る 転 写 因 子 の 発 現 を 制 御 し て い る こ と が、 図1 活 動電位に関与するイオン電流。Na+ 電流と Ca2+ 電流は細胞内へ、K+ 電流は細胞外へと生 じ る。Na+ 電 流 は 活 動 電 位 の 開 始 と 維 持、 Ca2+ 電流は活動電位の維持、K+ 電流は活動電 位の静止膜電位への再分極と静止膜電位の維 持にはたらく。 新潟県医師会報 H26.12 № 777 SCN5A変異が心筋障害を来すことを支持している。 αサブユニット遺伝子の SCN5A に加えて、 Na+ チャネルの機能を修飾するβサブユニット やその他の Na+ チャネル関連蛋白の遺伝子も遺 伝性不整脈症候群の原因遺伝子であることが知ら 6) れている(表1) 。筆者らは、β1サブユニット 5 遺伝子である SCN1B が、Brugada 症候群や進行 群といった特発性心室細動の原因遺伝子でもある 性伝導障害の原因遺伝子であることや、SCN1B ことが最近報告されたが、その機序は未だ解明さ と SCN2B が心房細動の原因遺伝子であることを れていない9)。その他、様々な K+ チャネルが心 解明した4)、7)。これらの遺伝子変異が不整脈を来 房細動の原因遺伝子であることが報告されている。 す機序は、Na チャネルの機能低下による Na 電 + + 流の低下であり、 SCN5A変異のそれと同様である。 Ca2+ チャネル Ca2+ チャネルには複数の種類があるが、心筋細 K+ チャネル 胞の電気的活動には主に L 型 Ca2+ チャネルが関 Na+ チャネルと同様に K+ チャネルもイオンが 与している。Ca2+ 電流は細胞外から細胞内への内 通過する孔を形成するαサブユニットとその機 向き電流であり、Na+ 電流によって開始される脱 能を修飾するβサブユニットからなり、多くの 分極を維持して、活動電位のドームの形成と維持 種類の K チャネルのサブユニットが心筋細胞に に寄与する(図1) 。このため、Ca2+ 電流の増加 発現している。K+ チャネルは細胞内から細胞外 は遅い時相の持続的な Na+ 電流と同様に活動電 へと K+ イオンを通すために細胞内から外へ向か 位持続時間の延長を来し、L 型 Ca2+ チャネルの う外向き電流を生じる。このため K+ チャネルは αサブユニット遺伝子 CACNA1C の変異は QT 活動電位が静止膜電位へ戻る再分極過程や、静止 延長症候群の原因である。一方で Ca2+ チャネル 膜電位の維持に寄与している(図1) 。 遺伝子の変異による Ca2+ 電流の低下は QT 短縮 再分極過程には主に遅延整流 K+ 電流が寄与し 症候群の原因となりうるが、興味深いことに Ca2+ て い る が、 こ れ は 早 い 時 相 で 活 性 化 す る IKr チャネル遺伝子の変異は Brugada 症候群と同様 (rapid)と遅い時相で活性化する IKs(slow) な波形の ST 上昇を伴って QT 間隔が短縮してい の 二 つ の 電 流 が 含 ま れ る。IKs チ ャ ネ ル は る症例で同定されている11)。 + KCNQ1遺伝子のαサブユニットと KCNE1遺伝 子のβサブユニットから構成されており、IKr その他の不整脈症候群の原因遺伝子 チャネルは KCNH2遺伝子のαサブユニットと カテコラミン感受性多形成心室頻拍(CPVT) KCNE2遺伝子のβサブユニットから構成されて は小児期から発症し極めて致死率の高い重症な遺 いる。これら4つの K チャネル遺伝子の変異は、 伝性不整脈症候群である。CPVT の機序は、筋 遅延整流 K 電流の低下から活動電位持続時間の 小胞体のリアノジンレセプターからの異常な Ca2+ 延長をきたし、QT 延長症候群の主要な原因であ 放出であり、リアノジンレセプターを中心とした る 。特に、KCNQ1(1型 QT 延長症候群の原因) 筋小胞体の Ca2+ 複合体を不安定にさせる遺伝子 と KCNH2(2型 QT 延長症候群の原因)は QT (RYR2、CASQ2、TRDN) の 変 異 が CPVT の 延長症候群の症例において高頻度で同定される。 原因となる1)。 KCNQ1の機能修飾蛋白である Yotiao の遺伝子 コネキシンは心筋細胞結合部のギャップジャン AKAP9の変異も K 電流の低下から QT 延長症 クションに発現しており、心筋細胞間の刺激伝導 候群を来す。また、KCNQ1と KCNH2の機能増 に関与している。ギャップジャンクションの遺伝 強型の変異は遅延整流 K 電流の増加から活動電 子 GJA5や GJA1は進行性伝導障害や乳幼児突然 位の短縮を来し、QT 短縮症候群の原因である 。 死症候群に関与する。GJA5変異は細胞間の刺激伝 これは QT 延長症候群とは反対の機序である。 導を低下させることにより伝導障害を来しうる12)。 内向き整流 K+ 電流も再分極過程に寄与してお 心房性ナトリウム利尿ペプチドである ANP の り、遅延整流 K チャネルと同様に QT 間隔の異 遺伝子 NPPA は心房細動の原因遺伝子であり、 常に関与し、QT 延長症候群や QT 短縮症候群の 変異 ANP は活動電位時間を短縮させて心房細動 原 因 遺 伝 子 で あ る。IKATP チ ャ ネ ル の 別 の α 発症に関与することが報告されている。ペース サブユニット遺伝子 KCNJ8の Gain-of-function 変 メーカー電流をもたらす過分極活性化 HCN チャ 異が、さらに Brugada 症候群や早期再分極症候 ネル(HCN)は洞結節に多く発現し、洞調律の + + 8) + + 1) + 新潟県医師会報 H26.12 № 777 6 形成に重要な役割を果たしているが、このチャネ 謝辞 ルの遺伝子 HCN4は洞不全症候群の原因遺伝子で 本綜説に関連する研究「循環器疾患の新たな原 ある。 因と機序の解明ならびに治療法の開発」に対して 平成26年度新潟県医師会学術奨励賞を賜りまし 不整脈症候群の治療 た。この場をお借りして心より感謝いたします。 多形性心室頻拍や心室細動から突然死を来しう る 危 険 の 高 い 症 例 で は、 植 え 込 み 型 除 細 動 器 文献 (ICD)による突然死の予防が治療の第一選択と 1)Barsheshet A, Brenyo A, Moss AJ, et al: なる。しかし、ICD は突然死予防には最も有効 Genetics of sudden cardiac death. Current な治療であるが、発作を予防する治療ではないた cardiology reports 2011; 13: 364-376. めに、発作が頻回である症例では、発作を予防す 2)W i l d e A A , B r u g a d a R : P h e n o t y p i c a l る治療が必要となる。Brugada 症候群では、迷 manifestations of mutations in the genes 走神経刺激によって不整脈発作を来しやすくなる encoding subunits of the cardiac sodium ことが知られており、心室細動発作が頻発する場 channel. Circulation research 2011; 108: 884- 合には、β刺激薬であるイソプロテレノールが 897. 有効である。また、シロスタゾールが心室細動抑 3)B ezzina CR, Barc J, Mizusawa Y, et al: 制に有効であったという報告もある 。通常 Common variants at scn5a-scn10a and hey2 Brugada 症候群においては、ナトリウムチャネ are associated with brugada syndrome, a ル遮断薬は禁忌であるが、一過性外向き K 電流 rare disease with high risk of sudden (Ito)のブロック作用のあるキニジンやベプジ cardiac death. Nat Genet 2013; 45: 1044-1049. リジルが、心室細動の再発予防に有効である 。 4)Watanabe H, Nogami A, Ohkubo K, et al: また、Brugada 症候群と臨床像に共通点が多い Electrocardiographic characteristics and 早期再分極症候群においても、イソプロテレノー scn5a mutations in idiopathic ventricular ルやキニジン、ベプリジルの有効性が報告されて fibrillation associated with early いる。極めて致死性の高いカテコラミン感受性多 repolarization. Circulation. Arrhythmia and 形成心室頻拍では、交感神経刺激となる精神的・ electrophysiology 2011; 4: 874-881. 13) + 14) 肉体的ストレスが発作のトリガーとなるために、 5)Makiyama T, Akao M, Shizuta S, et al: A β遮断薬が治療に用いられるが、β遮断薬投与 novel scn5a gain-of-function mutation 中にもかかわらず不整脈発作を来す症例が少なか m1875t associated with familial atrial らず存在する。筆者らは、Na チャネル遮断薬で fibrillation. Journal of the American College あるフレカイニドが、リアノジンレセプターの抑 of Cardiology 2008; 52: 1326-1334. + 制作用を有しており、カテコラミン感受性多形成 6)B o u d o u l a s K D , M o h l e r P J : B e y o n d 心室頻拍症例に極めて有効な治療法であることを membrane channelopathies: Alternative 発見した 。なお、QT 延長症候群ではβ遮断薬 mechanisms underlying complex human の効果が高いために、ICD はβ遮断薬無効例な disease. Acta pharmacologica Sinica 2011; どの重症例で適応となる。 32: 798-804. 15) カテーテルによる心筋焼灼術も試みられてお 7)Watanabe H, Koopmann TT, Le Scouarnec S, り、Brugada 症候群における右室流出路の心外 et al: Sodium channel beta1 subunit 膜側からの焼灼術、早期再分極症候群における心 mutations associated with brugada 室細動をトリガーする心室性期外収縮を標的とし syndrome and cardiac conduction disease in た焼灼術、カテコラミン感受性多形性心室頻拍に humans. J Clin Invest 2008; 118: 2260-2268. おけるプルキンエ線維の心筋焼灼術などの有効性 が報告されている。 新潟県医師会報 H26.12 № 777 8)R oden DM: Clinical practice. Long-qt syndrome. The New England journal of 7 medicine 2008; 358: 169-176. 12)M akita N, Seki A, Sumitomo N, et al: A 9)Barajas-Martinez H, Hu D, Ferrer T, et al: connexin40 mutation associated with a Molecular genetic and functional association malignant variant of progressive familial of brugada and early repolarization heart block type i. Circulation. Arrhythmia syndromes with s422l missense mutation in and electrophysiology 2012; 5: 163-172. kcnj8. Heart Rhythm 2012; 9: 548-555. 13)I guchi K, Noda T, Kamakura S, et al: 10)G iudicessi JR, Ye D, Tester DJ, et al: Beneficial effects of cilostazol in a patient Transient outward current(i(to))gain-of- with recurrent ventricular fibrillation function mutations in the kcnd3-encoded associated with early repolarization kv4.3 potassium channel and brugada syndrome. Heart Rhythm 2013; 10: 604-606. syndrome. Heart Rhythm 2011; 8: 1024-1032. 14)W atanabe H, Chopra N, Laver D, et al: 11)Burashnikov E, Pfeiffer R, Barajas-Martinez Flecainide prevents catecholaminergic H, et al: Mutations in the cardiac l-type polymorphic ventricular tachycardia in calcium channel associated with inherited mice and humans. Nature Medicine 2009; j-wave syndromes and sudden cardiac 15: 380-383. death. Heart Rhythm 2010; 7: 1872-1882. 7 平成26年度がん登録届出状況 11月末現在 区分 4月~ 10月 11月 計 (平成25年度計) 届 出 件 数 13,852 1,867 15,719 25,500 医療機関数 114 36 実医療機関数 116 実医療機関数 132 新潟県・新潟県医師会・新潟県健康づくり財団 新潟県医師会報 H26.12 № 777
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