資料(PDF 210KB)

2015/2/9
東京都新宿区本塩町 22-8
TEL: 03-5919-9341(直通)
URL:http://www.tdb.co.jp/
特別企画:国内菓子メーカーの経営実態調査
近畿・中国、大遷宮効果で売り上げ増加
~小麦、乳製品、カカオなど原料高でほろ苦さも~
はじめに
バレンタインデーは 1 年のなかで最もチョコレートの需要が増すことから、菓子メーカーや百
貨店では、バレンタイン商戦が本格化している。今年は、消費税率 8%引き上げ後、初めてのバレ
ンタインデーとなるほか、当日は土曜日にあたることから、義理チョコ需要の減少が予想される。
近時は、チョコレート菓子の原料となるカカオ価格の上昇や円安の影響で、販売価格の値上げ
に踏み切る菓子メーカーも出始めている。さらに、酪農家の減少によるバター不足や、その他原
材料価格の高騰など業界への影響が懸念される。
帝国データバンクは、2015 年 1 月時点の企業概要データベース「COSMOS2」
(145 万社収
録)の中から、2013 年度(2013 年 4 月~2014 年 3 月期)決算の年売上高が判明した国内菓子メー
カー、474 社(年売上高 10 億円以上、一部推計値を含む)を抽出し、売上高総額の推移、損益状
況、地域・業歴別について分析した。
同様の調査は 2014 年 2 月に続き 4 回目。
※国内菓子メーカー474 社のうち、2011 年度~2013 年度の年売上高が判明し比較対象としたのは 462
社。2013 年度および 2012 年度決算の当期純損益が判明し比較対象としたのは 386 社
調査結果(要旨)
1.国内菓子メーカー474 社のうち、2013 年度および 2012 年度の年売上高が判明した 462 社の 20
13 年度の年売上高総額は 2 兆 8899 億 7600 万円となり、前年度比で 820 億 7800 万円増加(2.9%
増)となった
2.2013 年度決算における損益(当期純損益)は、黒字となった企業が 82.6%(319 社)を占め
た一方、赤字企業は 17.4%(67 社)となっており、原材料価格の上昇や燃料費の高騰で前年
度比 4.7 ポイント上昇した
3.地域別では、増収企業の割合が最も高いのは「中国」
(11 社、構成比 78.6%)となった。島
根県出雲大社の大遷宮効果で観光客数が増加し、観光土産用菓子の販売数が急伸。
4.業歴別では、業歴 30 年以上が全体の 82.7%を占めた。また、
「100 年以上」の長寿企業 78 社
のうち、6 割以上の企業が増収となった
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特別企画:国内菓子メーカーの経営実態調査
1.売上状況
~売上高総額は 2012 年度比 820 億 7800 万円増加
国内菓子メーカー474 社のうち、2013 年度および
売上高総額
(百万円)
2012 年度決算の年売上高が判明した 462 社を対象
に各年度の年売上高総額をみると、2013 年度は 2
2012年度
2013年度
兆 8899 億 7600 万円となり、2012 年度(2 兆 8078
億 9800 万円)比で 820 億 7800 万円増加
(2.9%増)となった。
前年度比
(%)
2,807,898
2,889,976
-
2.9
業績比較
2012年度
2013年度
また、2013 年度、2012 年度、2011 年度
社数
決算の年売上高が判明した 462 社の動向を
みると、
「2 期連続増収」企業は 190 社(構
増収
減収
横ばい
合計
成比 41.1%)となった。一方、「2 期連続
減収」企業は 87 社(18.8%)となった。
271
170
21
462
構成比
(%)
58.7
36.8
4.5
100.0
社数
271
174
17
462
構成比
(%)
58.7
37.7
3.7
100.0
※3期連続で年売上高が判明している企業を集計
2. 損益状況
~黒字企業が 8 割占める
2013 年度および 2012 年度決算の当期純
損益比較
2012年度
損益が判明した 386 社を比較すると、2013
年度は「黒字」企業が 82.6%(319 社)と
社数
なり、全体の約 8 割を占めた。一方、
「赤字」
黒字
赤字
合計
企業は 17.4%(67 社)となっており、前年
度比 4.7 ポイント上昇した。
2013 年度は、原材料価格の上昇に加え、
構成比
(%)
337
87.3
49
12.7
386 100.0
2013年度
社数
構成比
(%)
319
82.6
67
17.4
386 100.0
※各年度において、当期純損益額が判明している企業を集計
燃料費の高騰や電気料金の値上げの影響で、
赤字決算を余儀なくされた企業もあった。
また、2013 年度、2012 年度、2011 年度決算の当期純損益が判明した 370 社の動向をみると、
「2
期連続黒字」となった企業は 298 社(構成比 80.5%)となった。一方、
「2 期連続赤字」
となった企業は、28 社(同 7.6%)となった。
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特別企画:国内菓子メーカーの経営実態調査
3. 地域別
~出雲大社の大遷宮効果で中国地方の増収企業が増加
2013 年度の売上高が判明した 474 社を地域別でみると、「関東」
が 149 社(構成比 31.4%)と最多となり、国内最大の消費地である
地域別
社数
東京都を含む「関東」に菓子メーカーが集中していることが伺える。
次いで、「中部」と「近畿」が同数の 91 社(同 19.2%)となった。
474 社のうち、2013 年度および 2012 年度の年売上高が判明した
462 社を地域別にみると、増収企業の割合が最も高かったのは「中
国」
(11 社、構成比 78.6%)となった。特に、2013 年度は、島根県
出雲大社の 60 年ぶりの大遷宮効果から観光客が増加し、観光土産
用菓子の販売数が急伸した。また「九州」(25 社、同 65.8%)も、
2011 年 3 月より九州新幹線が全線開通したことで福岡駅を中心に乗
北海道
東北
関東
北陸
中部
近畿
中国
四国
九州
合計
28
23
149
25
91
91
14
14
39
474
構成比
(%)
5.9
4.9
31.4
5.3
19.2
19.2
3.0
3.0
8.2
100.0
降客数が増加。さらに、長崎県の端島(軍艦島)が世界遺産に推薦されたほか、同県の夜景が世
界 3 大夜景に認定されたことを受け、観光客数が増加したことも寄与した。
一方、減収企業の割合が高かった地域は「四国」
(8 社、同 61.5%)であった。伊勢神宮(三重
県)や出雲大社(島根県)の遷宮で、関西からの観光客を奪われたことが影響したものと思われ
る。
2012年度~2013年度の地域別増収・減収比較
地域別 増収 構成比 減収 構成比 横ばい 構成比
(%)
(%)
(%)
北海道
13
46.4
15
53.6
0.0
東北
10
43.5
13
56.5
0.0
関東
87
59.2
53
36.1
7
4.8
北陸
15
62.5
7
29.2
2
8.3
中部
50
56.8
34
38.6
4
4.5
近畿
55
63.2
29
33.3
3
3.4
中国
11
78.6
3
21.4
0.0
四国
5
38.5
8
61.5
0.0
九州
25
65.8
12
31.6
1
2.6
合計
271
58.7 174
37.7
17
3.7
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(社数)
合計
28
23
147
24
88
87
14
13
38
462
2013年度の地域別損益比較
地域別
北海道
東北
関東
北陸
中部
近畿
中国
四国
九州
合計
黒字 構成比 赤字 構成比
(%)
(%)
17
70.8
7
29.2
20
87.0
3
13.0
96
80.7
23
19.3
11
61.1
7
38.9
69
90.8
7
9.2
66
89.2
8
10.8
9
69.2
4
30.8
10
76.9
3
23.1
27
84.4
5
15.6
325
82.9
67
17.1
(社数)
合計
24
23
119
18
76
74
13
13
32
392
3
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特別企画:国内菓子メーカーの経営実態調査
4. 業歴別
~業歴 100 年以上の長寿企業、6 割が増収
2013 年度で売上高が判明した 474 社を業歴別でみ
ると、
「50 年~100 年未満」が 218 社(構成比 46.0%)
業歴別
社数
となり、次いで「30 年~50 年未満」が 95 社(同 20.0%)
となった。業歴 30 年以上が全体の 82.7%を占めてい
ることから、全業種のなかでも老舗企業が多い業種と
言える。
474 社のうち、2013 年度および 2012 年度決算の年
売上高が判明した 462 社を業歴別でみると、
「100 年以
10年未満
10~30年未満
30~50年未満
50~100年未満
100年以上
合計
11
71
95
218
79
474
構成比
(%)
2.3
15.0
20.0
46.0
16.7
100.0
上」の長寿企業 78 社のうち、6 割以上の企業が増収となった。
「100 年以上」の長寿企業には、
(株)
五十二萬石本舗(福岡市博多区、1587 年創業)、
(株)カステラ本家福砂屋(長崎市、1624 年創業)、
(株)両口屋是清(名古屋市中区、1634 年創業)、
(株)聖護院八ツ橋総本店(京都市左京区、1689
年創業)、
(株)赤福(三重県伊勢市、1707 年創業)など銘菓の製造元として知られる企業が並ぶ。
業歴別業績比較
業歴別
10年未満
10~30年未満
30~50年未満
50~100年未満
100年以上
合計
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増収
5
45
57
116
48
271
構成比
(%)
62.5
65.2
62.6
53.7
61.5
58.7
減収
3
23
33
89
26
174
構成比 横ばい 構成比
(%)
(%)
37.5
0.0
33.3
1
1.4
36.3
1
1.1
41.2
11
5.1
33.3
4
5.1
37.7
17
3.7
合計
8
69
91
216
78
462
4
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特別企画:国内菓子メーカーの経営実態調査
【地域別売上高上位3社】
TDB
企業コード
商号
010851052 (株)ロイズコンフェクト
北海道
東北
関東
北陸
中部
近畿
中国
四国
九州
所在地
北海道
2013年度
売上高
主なブランド・製品
(百万円)
18,000 生チョコレート、ポテトチップチョコレート
030003362 六花亭製菓(株)
北海道
14,200 マルセイバターサンド、ストロベリーチョコ
090100751 (株)ケイシイシイ
北海道
8,267 LeTAO(ルタオ)、ドゥーブルフロマージュ
160003151 (株)でん六
山形県
18,698 でん六豆
100424188 (株)菓匠三全
宮城県
7,717 萩の月
190316568 (株)三万石
福島県
985814507 (株)明治
東京都
4,731 ままどおる、エキソンパイ
164,300 ミルクチョコレート、カール、キシリッシュ
600009030 カルビー(株)
東京都
155,037 ポテトチップス、じゃがりこ、かっぱえびせん
985821600 森永製菓(株)
東京都
147,628 森永ビスケット、チョコボール、ハイチュウ
360003441 (株)ブルボン
新潟県
101,667 ルマンド、エリーゼ、アルフォート
340100241 亀田製菓(株)
新潟県
73,698 亀田の柿の種、ぽたぽた焼、ハッピーターン
340342073 (株)三幸
新潟県
45,686 雪の宿、ぱりんこ、チーズアーモンド
968364052 (株)シャトレーゼ
山梨県
41,831 シャトレーゼ
671001004 井村屋(株)
三重県
29,033 あずきバー、水ようかん
395012284 (株)おやつカンパニー
三重県
16,500 ベビースター、フランスパン工房
580020051 江崎グリコ(株)
大阪府
530104331 (株)ユーハイム
兵庫県
151,124 ポッキー、ビスコ、プリッツ
32,055 ユーハイム、バウムクーヘン
530038405 モロゾフ(株)
兵庫県
27,924 モロゾフ、チョコレート
610011819 カバヤ食品(株)
岡山県
27,124 カバヤ、ゴールドチョコレート、ジューC
690181381 壽製菓(株)
鳥取県
610120681 (株)源吉兆庵
岡山県
740096604 (株)あわしま堂
愛媛県
740044902 (株)ハタダ
愛媛県
4,333 ハタダ栗タルト、御栗タルト
740086582 ルナ物産(株)
愛媛県
4,100 OEM商品(チルドデザートなど)
810159303 (株)森田あられ
福岡県
9,696 餅のおまつり
800001073 (株)石村萬盛堂
福岡県
6,300 鶴乃子、塩豆大福
850122012 (有)和泉屋
長崎県
5,400 長崎カステラ、長崎しよこらあと、綺麗菓
7,923 とち餅、因幡の白うさぎ
7,319 福渡せんべい、陸乃宝珠
11,581 あわしま堂、どらやき
※1 一部推計値を含む
※2 (株)明治は明治ホールディングス(株)が開示した決算短信(補足説明資料)の菓子事業の売上高を引用した
※3 (株)おやつカンパニーは2014年8月1日に(株)OCホールディングスに吸収合併され、同社は商号を(株)おやつカンパニーに変更し事業を引
継いでいる
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特別企画:国内菓子メーカーの経営実態調査
5.まとめ
国内菓子メーカー474 社のうち、2013 年度および 2012 年度決算の年売上高が判明した 462 社を
対象に各年度の年売上高総額をみると、2013 年度は 2 兆 8899 億 7600 万円となり、2012 年度(2
兆 8078 億 9800 万円)比で 820 億 7800 万円増加(2.9%増)となった。また、2013 年度および 2012
年度決算の当期純損益が判明した 386 社を比較すると、2013 年度は「黒字」企業が 82.6%(319
社)となり、全体の約 8 割を占めた一方、原材料価格や燃料費高騰の影響で「赤字」企業は 17.4%
(67 社)となっており、前年度比 4.7 ポイント上昇した。
地域別では、島根県出雲大社や三重県伊勢神宮の大遷宮効果で周辺県まで観光客が増加し増収
につながった地域が見られるなか、関西からの観光客が多い四国は、他地域との競合で全地域中、
減収企業の割合が最も高くなった。
2014年度は、消費増税に加え、円安や原材料、包装資材価格の高騰で、大手の食品・菓子メー
カーにおいても数十年ぶりとなる価格改定に踏み切る企業も増加傾向にある一方で、OEMを手
がける中堅企業は増加するコストを価格転嫁出来ず、赤字を余儀なくされる業者が散見された。
一部のメーカーでは、値上げは売り上げに響くため、内容量を減らす方向で検討する企業も出て
きており、食品・菓子メーカーを取り巻く環境は厳しさを増している。
今後は、消費税率10%の引き上げと同時に軽減税率の導入が検討されており、対象となる品目
の区分や中小企業へのコスト増加が懸念されている。少子高齢化が進むなかで、新たな需要を発
掘し、利益を確保できるか動向が注目される。
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東京支社情報部
担当:田中 祐実
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